32-20 パート労働者等の年休の比例付与制度が「適用される場合、適用されない場合」の実際  戻る

■ パート労働者等に対する年休の取扱いでは、週の所定労働時間数が30時間未満で、かつ、1週間の所定労働日数が命令で定める日数以下の労働者が、比例付与の対象となる。現在、この基準日数は4日とされている。(施行規則第24条の3第4項)

■ しかし、パート労働者等には

<例1>1日の勤務時間が3時間だが、毎日勤務する者
<例2>1日の勤務時間が6時間で、週4日勤務する者
<例3>1日の勤務時間が8時間で、週4日勤務する者
<例4>月の前半は休み、後半にだけ10日間勤務する者
など、その実態はさまざまである。このような場合の、比例付与の基準をどのように適用していくのか整理してみる。

■ まず

まず、週で合計した所定労働時間数が30時間未満か、30時間以上かをみる。
これが30時間以上であれば、比例付与の対象とならない。前記の<例3>は週合計が32時間であるから比例付与の対象とならず、正規の年休を付与する。
週の所定労働時間が、30時間未満の労働者についてのみ、次に述べるところにより比例付与制度が運用される。

■ 次ぎに

次ぎに、週の労働日数を見る。これが4日以下か5日以上か。5日以上であれば正規年休が無条件に適用される。前記の<例1>のケースは、6か月経過で10日、その後1年毎に1日の年休が加算される正規年休が適用されることとなり、比例付与の適用を受けない。
逆に4日以下であれば、比例付与表で示される「週の所定労働日数欄の区分(4日,3日,2日,1日)」に応じて、付与日数が決まる。(例2のケースなどの場合)。この週の労働日数は基準日で判定されることとなり、年度の途中で所定労働日数が変更されても、その年度における適用関係は変更されない。

■ さらに

週以外の期間(月や季節によって)で労働日数が定められている労働者について判断する。
現在、この基準日数は年216日とされている。
217日以上の場合は、正規の年休が付与され、比例付与の対象とならない。
216日以下の場合は、比例付与表の「1年間の所定労働日数欄の区分」に応じて、付与日数が決まる。(例4のケースなどの場合)。
この基準は、週で労働日数が決まっている労働者には適用されないので注意する。例えば、所定労働日数が基本的に週5日で決まっている場合には、年収調整などの関係で夏休みを2か月位置くなどの結果、1年間の所定労働日数が216日以下であっても、比例付与の対象とはならない。)