32-21 使用者の時季変更権/「事業の正常な運営を妨げる場合」とは  戻る

■ 「事業の規模、内容、当該労働者の担当する作業の内容、性質、作業の繁閑、代行者の配置の難易、労働慣行等諸般の事情を考慮して客観的に判断すべきである。」(S53.1.31大阪高裁判決ほか多数)とされる。

■ 最高裁判決の中に、「使用者に対し、できる限り労働者が指定した時季に休暇を取得することができるように、状況に応じた配慮をすることを要請していると解すべきであって、そのような配慮をせずに時季変更権を行使することは、、右趣旨に反するものといわなければならない。」
しかし、労働者が長期かつ連続の時季指定をした場合には(「もとより、その判断は(労基法規定の)趣旨に沿う、合理的なものでなければ、、違法である」)としながらも、「・・・右休暇が事業運営にどのような支障をもたらすか、右休暇の時季、期間につきどの程度の修正、変更を行うかに関し、使用者にある程度の裁量的判断が認められる。」としたものがある。(H4.6.13最高裁第三小法廷「時事通信社事件」)

■ 法外なコメント/この事件は、40日間の年休権を有するニュース配信会社の記者が1か月間の連続休暇を請求したのに対し、科学技術記者クラブ詰めの常駐記者が1人で、代替要員の確保が困難として2週間ずつ2回にわけてとるよう指示した使用者の時季変更権行使を正当と是認したものであるが、「1か月の連続休暇を非常識に長いとするかどうか」は、時代的環境が大きく影響するところがあり、この種の事件での今後の判断にはまだ揺れがあることもありそうだ。