32-22 退職時に年休を使いきってやめてよいか  戻る

■ 解雇予定日が20日後である労働者が20日の年休権を有している。この場合、労働者がその年休取得を申し出たとき、「当該20日間の年次有給休暇の権利が労働基準法に基づくものである限り、当該労働者の解雇予定日をこえての時季変更は行えない。」(S49.1.11基収第5554号)

■ これは、労働者の退職の場合でも同様であり、退職予定日をこえて時季変更権は行使し得ない。
例えば、2週間後に退職したいと退職を申し出ている労働者が、残っている年休の10日間を取得して辞めたいという場合なども、その請求は認めざるを得ないと考えるべきである。
(この例の場合などで、申し出のあった退職日より10日早くやめさせることは、使用者からする解雇との解釈も成立する余地があり得策ではない。)

■ 退職時の残余の年休に関しては、「労働者の退職によって権利が消滅するような場合に、残日数に応じて調整的に金銭の給付をすることは、事前の買上げと異なるものであって、必ずしも本条に違反するものではない。」(労働省労働基準局編著「労働基準法」上巻)とされるので、労働者との話し合いによって、残った休暇権を買い上げ、退職予定日を労使で調整することは可能である。

■ 法外なコメント/以上は、法律的な解説であるから、自己都合退職の場合、これをそのまま実行に移すかどうかは慎重に考えた方がいいだろう。現在、わが国の職場で、これを何のわだかまりもなく受け入れる土壌はないと思った方がよい。逆に、使用者の事情で労働者を解雇する場合、少なくとも30日前の予告が義務付けられているが、この予告期間中における残余の年休付与は、使用者としてむしろ積極的に対応すべきではないかと思われる。何の根拠もない法外コメントでした。