就業規則作成の手引き(3)
小規模事業場の担当者が自ら、就業規則の作成にタッチする場合の手引き書です。
就業規則の作成を、難しいものと考える必要はない。9割かたのところは、誰にでも起草できる。もっとも、就業規則は今後の労使の権利・義務関係を規定するものでもあるから、最後のチェックだけは専門家に相談するのが、いいかも知れない。
規定例は、(社)全国労働基準関係団体連合会が労働省の委託事業として作成したモデル就業規則を使用している。解説は、労務安全情報センターにおいてまとめた(責任編集)。
この種のものは解説だけ読むのは、なかなか辛いもの。ここでは、より実践的にと、規定例を中心に置き、そこから、「リンクで解説に飛ぶ」ように工夫してみた。
*** | 条項 | 条文内容 (リンクの貼ってある箇所には、作成上の具体的注意事項などの解説があります。) | 一般留意解説の有無 |
【定年、退職および解雇】戻る | --- | 第7章 定年、退職および解雇 | あり |
(定年等) | 第36条 | 1 従業員の定年は、満○歳とし、定年に達した日の属する月の末日をもって退職とする。 2 定年に達した従業員について、本人の希望により一定の期間引き続き雇用することがある。 |
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(退職) | 第37条 | 前条に定めるもののほか従業員が次のいずれかに該当するときは、退職とする。 イ.退職を願い出て会社から承認されたとき、または退職願を提出して14日を経過したとき ロ.期間を定めて雇用されている場合、その期間を満了したとき ハ.第○条に定める休職期間が満了し、なお休職事由が消滅しないとき ニ.死亡したとき |
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(解雇) | 第38条 | 1 従業員が次のいずれかに該当するときは、解雇するものとする。 イ.勤務成績または業務能率が著しく不良で、従業員としてふさわしくないと認められたとき。 ただし、第49条第2項の事由に該当すると認められたときは、同条の定めるところによる。 ロ.精神または身体の障害により業務に耐えられないと認められたとき ハ.事業の縮小その他事業の運営上やむを得ない事情により、従業員の減員等が必要となったとき ニ.その他前各号に準ずるやむを得ない事情があるとき 2 前項の規定により従業員を解雇する場合は、少なくとも30日前に予古をするか、または平均賃金の30日分以上の解雇予告手当を支払う。ただし、予め、労働基準監督署長の認定を受けて第49条第2項に定める懲戒解雇をする場合および次の各号のいずれかに該当する従業員を解雇する場合はこの限りでない。 イ.日々雇い入れられる従業員(1か月を超えて引き続き雇用された者を除く。) ロ.2か月以内の期間を定めて使用する従業員(所定期間を超えて引き続き雇用された者を除く。) ハ.試みの使用期間中の従業員(14日を超えて引き続き雇用された者を除く。) |
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【退職金】戻る | --- | 第8章 退職金 | あり |
(退職金の支給) | 第39条 | 勤続○年以上の従業員が退職し、または解雇されたときは、この章に定めるところにより退職金を支給する。 ただし、第49条第2項により懲戒解雇された者には、退職金の全部または、一部を文給しないことがある。 |
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(退職金の額) | 第40条 | 1 退職金の額は、退職または解雇時の基本給の額に、勤続年数に応じて定めた別表の支給率を乗じた金額とする。 2 第9条により休職する期間は、会社の都合による場合を除き、前項の勤続年数に算入しない。 |
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(退職金の支払方法および支払時期) | 第41条 | 退職金は、支給の事由の生じた日から○か月以内に、退職した従業員(死亡による退職の場合はその遺族)に対して支払う。 中小企業退職金共済契約による場合の例 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− (退職金の支給) 第○条1 従業員が退職し、または解雇されたときは、この章に定めるところにより退職金を支給する。 2 前項の退職金の支給は、会社が従業員について中小企業退職金共済事業団(以下「事業団」という。)との間に退職金共済契約を締結することによって行うものとする。 (共済契約) 第○条 新たに雇い入れた従業員については第○条に定める試用期間を経過し本採用となった月に事業団と退職金共済契約を締結する。 (掛金月額) 第○条 退職金共済契約は、従業員ごとに、その基本給に応じ次の表に定める掛金月額によって締結し、毎年4月掛金を調整する。 基本給月額 掛金月額 ○万円未満の者 ○円 ○万円以上○万円未満の者 ○円 ○万円以上の者 ○円 (退職金の額) 第○条1 退職金の額は、掛金月額と掛金納付月数に応じ中小企業退職金共済法に定められた額とする。 2 従業員が第○条により懲戒解雇された場合には、会社は、事業団に退職金の減額を申し出ることがある。 (退職金共済手帳の交付) 第○条 従業員が退職し、または解雇されたときは、本人(死亡のときは遺族)に退職金共済手帳を1か月以内に交付する。 −−−−−−−−−−−−−−−− −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− |
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【安全衛生および災害補償】戻る | --- | 第9章 安全衛生および災害補償 | あり |
(遵守義務) | 第42条 | 1 会社は、従業員の安全衛生の確保および改善を図り、快適な職場の形成のため必要な措置を講ずる。 2 従業員は、安全衛生に関する法令および会社の指示を守り、会社と協力して労働災害の防止に努めなければならない。 |
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(健康診断) | 第43条 | 1 従業員に対しては、採用の際および毎年1回(深夜労働その他労働安全衛生規則第13条第1項第2号で定める業務に従事する者は、6か月ごとに1回)、定期に健康診断を行う。 2 前項の健康診断のほか、法令で定められた有害業務に従事する従業員に対しては、特別の項目についての健康診断を行う。 3 前2項の健康診断の結果必要と認めるときは、労働時間の短縮、配置転換その他健康保持上必要な措置を命ずることがある。 |
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(安全衛生教育) | 第44条 | 従業員に対し、雇い入れの際および配置換え等により作業内容を変更した際に、その従事する業務に必要な安全衛生教育を行う。 |
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(災害補償) | 第45条 | 従業員が業務上の事由または通勤により負傷し、疾病にかかり、または死亡した場合は、労働基準法および労働者災害補償保険法に定めるところにより災害補償を行う。 |
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【教育訓練】戻る | --- | 第10章 教育訓練 | あり |
(教育訓練) | 第46条 | 1 会社は、従業員に対し、業務に必要な知識、技能を高め、資質の向上を図るため、必要な教育訓練を行う。 2 前項の教育の実施方法などについては、別に定めるところによる。 3 従業員は、会社から教育訓練を受けるよう指示された場合には、特段の事由がない限り指示された教育訓練を受けなければならない。 4 前項の指示は、教育訓練開始日の少なくとも○週間前までに該当従業員に対し文書で通知する。 |
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【表彰および懲戒】戻る | --- | 第11章 表彰および懲戒 | あり |
(表彰) | 第47条 | 1 会社は、従業員が次のいずれかに該当する場合は、表彰する。 イ.業務上有益な創意工夫、改善を行い、会社の運営に貢献したとき ロ.永年にわたって誠実に勤務し、その成績が優秀で他の模範となるとき ハ.事故、災害等を未然に防ぎ、または異常に際し適切に対応し、被害を最小限にとどめるなど特に功労があったとき ニ.社会的功績があり、会社および従業員の名誉となったとき ホ.前各号に準ずる善行または功労のあったとき 2 表彰は、原則として会社の創立記念日に行う。 |
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(懲戒の種類) | 第48条 | 懲戒は、その情状に応じ、次の区分により行う。 イ.けん貴 始末書を提出させて将来を戒める。 ロ.減 給 始末書を提出させ減給する。ただし、減給は1回の額が平均賃金の1日分の5割を超えることはなく、また、総額が1賃金支払い期間における賃金の1割を超えることはない。 ハ.出勤停止 始末書を提出させるほか、7日間を限度として出勤を停止し、その間の貸金は支給しない。 ニ.懲戒解雇 即時に解雇する。 |
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(懲戒の事由) | 第49条 | 1 従業員が次のいずれかに該渋するときは、情状に応じ、けん責、減給または出勤停止とする。 イ.正当な理由なく無断欠勤○日以上に及ぶとき ロ.正当な理由なくしばしば欠勤、遅刻、早退するなど勤務を怠ったとき ハ.過失により会社に損害を与えたとき ニ.素行不良で会社内の秩序または風紀を乱したとき ホ.その他この規則に違反し、または前各号に準ずる不都合な行為があったとき 2 従業員が、次のいずれかに該当するときは、懲戒解雇する。ただし、情状により減給または出勤停止とすることがある。 イ.正当な理由なく無断欠勤14日以上に及び、出勤の督促に応じないとき ロ.しばしば遅刻、早退および欠勤を繰り返し、○回にわたって注意を受けても改めないとき ハ.会社内における窃盗、横領、傷害等刑法犯に該当する行為があったとき、またはこれらの行為が会社外で行われた場合であっても、それが著しく会社の名誉もしくは信用を傷つけたとき ニ.故意または重大な過失により会社に重大な損害を与えたとき ホ.素行不良で著しく会社内の秩序または風紀を乱したとき ヘ.重大な経歴詐称をしたとき ト.その他前各号に準ずる重大な行為があったとき |
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【附 則】戻る | ****** | 附 則 この規則は、平成○年○月○日から施行する |
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