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T 検討の趣旨について
1 パートタイム労働者は近年著しく増加し、週間就業時間が35時間未満の雇用者は平成11年には1,138万人と10年前(平成元年)の602万人の1.9倍となっており、雇用労働者全体に占める割合も10年前の13.1%から21.8%、女性雇用者全体に占めるパートタイム労働者の割合も10年前の25.2%から37.4%へと大幅に上昇している。また、パートタイム労働者の就業の状況については、近年、専門的・技術的職業従事者や役職者が増加しつつあるなどその職域が拡大・多様化するとともに、勤続年数も長期化する傾向がみられる。
経営環境が変化する中で、パートタイム労働者は、基幹的・恒常的な労働力としての役割を担い、企業の戦力としての活用が進んでいるが、この背景には、技術・技能等を生かせる仕事や単純・補助的でない主要な仕事を希望するなど積極的な就業意欲を持っパートタイム労働者が増加しているように、パートタイム労働者側の意識の多様化も影響していると考えられる。
このような中で、パートタイム労働を企業や労働者が必要に応じて選択でき、また、パートタイム労働者がその有する能力を有効に発揮できる良好な就業形態としていくことは、企業やパートタイム労働者自身にとってはもとより、人的資源を有効に活用する観点から今後の我が国経済社会全体にとっても極めて重要な課題となっている。
2 パートタイム労働者の雇用管理の改善等を図ることを目的として「短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律」(以下「パートタイム労働法」という。)が平成5年6月に制定されたが、その附則第2条において、「政府は、この法律の施行後3年を経過した場合において、……この法律の規定について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。」と規定されており、この規定を踏まえて、今後のパートタイム労働対策のあり方について全般的な検討が行われ、その結果は平成10年2月に女性少年問題審議会の建議として取りまとめられたところである。
この建議においては、雇用管理上の中心的な課題として、「労働条件をめぐるトラブルの防止」、「パートタイム労働の多様化に対応したキャリア形成及びそれに伴う能力開発などの就業実態に応じた合理的な雇用管理の確保」、「希望、就業実態に応じた雇用の安定の確保」とともに、「通常の労働者との均衡を考慮した処遇・労働条件の確保」が挙げられている。
3 これらの指摘事項のうち、「労働条件をめぐるトラブルの防止」に関しては、平成10年9月の労働基準法の改正により、文書明示をすべき労働条件の範囲の拡大が図られることで改善が期された。また、「就業実態に応じた合理的な雇用管理の確保」については、「短時間労働者雇用管理改善等助成金」の助成メニューの拡充が行われた。さらに、「希望、就業実態に応じた雇用の安定の確保」については、有期労働契約の更新が繰り返される場合の雇用の安定の確保が問題となるが、これについては、パートタイム労働者に固有の問題ではなく、有期契約の労働者に共通の課題であることから、基本的に有期契約労働者についての扱いに従うこととされた。このほか、平成11年2月には、パートタイム労働法に基づく指針の改正により、事業主が講ずべき措置の明確化等その内容の充実が図られたところである。
4 上記の2の指摘事項のうち、「通常の労働者との均衡を考慮した処遇・労働条件の確保」に関しては、パートタイム労働法第3条において、「事業主は、その雇用する短時間労働者について、その就業の実態、通常の労働者との均衡等を考慮して、適正な労働条件の確保及び......雇用管理の改善......を図るために必要な措置を講じることにより、当該短時間労働者がその有する能力を有効に発揮することができるように努めるものとする。」と規定されていることを踏まえ、建議において「通常の労働者との均衡を考慮した処遇・労働条件の確保はパートタイム労働法における重要な原則であるが、具体的にどのように『通常の労働者との均衡』を考えるかの指標(モノサシ)が形成されておらず、具体的な取組につながりにくいという問題がある。これについては、異なる賃金形態間の比較や職務の異同に係る評価が必要になる等技術的、専門的事項を整理した上で取り組む必要がある。したがって、労使が比較の物差しづくり及び処遇の均衡又は均等に取り組みやすくするため、行政として情報提供等一定の支援が必要であり、このため労使も含め、技術的・専門的な検討の場を設けることがこの原則を実効あるものにするために必要である。」とされたところである。
本研究会は、この建議を踏まえ、労使がどのように「通常の労働者との均衡」を考慮するかについての物差しづくりや処遇の均衡等に取り組みやすくするため、行政として情報提供等一定の支援を行うことに資するべく参集され、賃金に係る均衡の考え方を中心に所要の検討を行ってきた。
5 本研究会は、第1回会合を平成10年12月14日に開催し、その後、平成11年2月に実施された事業所及びパートタイム労働者に対するアンケート調査(「職場における多様な労働者の活用実態に関する調査」。以下「アンケート調査」という。)や、同年1月から11月にかけて実施された企業及び労働組合に対するヒアリング調査の結果に基づいて、国内のパートタイム労働者の賃金等処遇の決定の仕組み、均衡に係る労使の意識などの実態の把握を行うとともに、諸外国の法制等の状況等についての分析も行いながら鋭意検討を進めてきたところである。
なお、これらに際しては、本研究会の委員3名を含む学識経験者7名による論点整理、上記のアンケート調査及びヒアリング調査の実施、諸外国の法制等の状況に係る調査その他の基礎的な作業の成果をもとに、本研究会においてさらに検討を加えたところである。
6 本研究会においては、パートタイム労働者の多様な就業実態、通常の労働者との均衡等を考慮した雇用管理の改善を図る上での技術的な事項に関し、労使が取り組む際の参考となると思われる事例も含め、以下のとおり整理を行った。
関係労使においては、本報告書における整理を参考とし、また、各々における実情等を踏まえ必要な工夫を凝らしつつ、通常の労働者との均衡等を考慮した処遇や労働条件の確保に向けて自主的な取組を図ることが期待される。そのため、行政においても、財団法人21世紀職業財団の行う短時間労働者雇用管理改善等助成事業も活用しつつ、関係労使に対して本報告書の内容について積極的な情報提供を行うことが求められる。
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U 均衡の考慮に係る考え方について
1 検討の視点について
(1) パートタイム労働者の就業の実態は極めて多様であるが、通常の労働者(以下では便宜上「正社員」という。)の働き方に近い者も多くの事業所でみられるところである。
平成11年1月に実施したアンケート調査(対事業所)によれば、
@ 雇用するパートタイム労働者の中に、「『正社員』と職務内容がほとんど同じ」者が存在する事業所は58.6%
A 雇用するパートタイム労働者の中に、「管理業務や専門業務に従事している」者が存在する事業所は26.0%
B 雇用するパートタイム労働者の中に、「『正社員』とほぼ同じ勤務時間で、残業や事業所内の配置転換もある」者が存在する事業所は20.1%
C 雇用するパートタイム労働者の中に、「勤務期問が相当程度長期化(10年以上)している」者が存在する事業所は49.5% |
(2) このような中で、パートタイム労働者について正社員との均衡等を考慮した雇用管理のあり方を考えるに当たっては、その就業の実態に応じた整理を行った上で、それに即して所要の検討を行っていくことが必要であると考えられる。
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2 パートタイム労働者の就業の実態に応じた整理等について
(1)整理の視点について
上記の1の(2)によりパートタイム労働者について正社員との均衡等を考慮した雇用管理のあり方を考えるための整理を行うに当たっては、
@アンケート調査によれば、「『正社員』と職務内容がほとんど同じ」パートタイム労働者については、約半数の事業所が正社員との処遇の格差を縮める必要性を認識していること
Aまた、パートタイム労働者にとっても、正社員との賃金格差に対する不満のほとんどが、「職務内容や責任の重さが同じ」や「職務内容や責任の違いに見合っていない」ことによるものとなっていること
B諸外国の法制等においては均等取扱いに係る法制を採用するものが見受けられるが、その場合においては、比較の対象としてのフルタイム労働者の範囲を画定するに当たり「職務の同一性」が重要な基準とされていること(参考資料2「諸外国における法制等の状況について」を参照=省略)
を考慮すれば、「正社員との職務の同一性」の有無や程度、(後述(3)のハを参照)に着目した整理を行い、それを踏まえて正社員との比較のあり方を検討していくことが考えられる。
@ アンケート調査(対事業所)によれば、「『正社員』と職務内容がほとんど同じ」パートタイム労働者については、48.4%の事業所が、社員との格差を縮めることについて「一定の必要性がある」又は「必要性が高い」としている。(なお、以下のAの設問と異なり、「責任」の異同に関しては質していない。)
Aアンケート調査(対パートタイム労働者)によれば、正社員との賃金格差に対する不満のほとんどが、「職務内容や責任の重さが同じだから」あるいは「職務内容や責任の違いに見合っていない」となっている。(他方、職務内容や責任が異なる場合には、職務内容や責任が同じ場合に比べて、正社員との賃金格差について納得する傾向がある。) |
(2) パートタイム労働者の職務に着目した整理について
上記の(1)を踏まえ、パートタイム労働者の職務に着目した整理を試みれば次のようになる。
【Aタイプ】
パートタイム労働者が正社員と同じ職務を行うケース。さらに、職務のレベルにより、比較的専門的・高度な職務や管理的職務に従事しているケースをA−1タイプ、比較的単純・定型的な職務に従事しているケースをA−2タイプに区分。
【Bタイプ】
パートタイム労働者が正社員と異なる職務を行うケース。さらに、職務のレベルにより、比較的専門的・高度な職務や管理的職務に従事しているケースをB−1タイプ、比較的単純・定型的な職務に従事しているケースをB−2タイプに区分。
これを図で示すと、以下のとおりである。
職務レベル
(高度/非定型的/裁量的)
|
【Bタイプ】
(職務が異なる)
(B−1タイプ)
○正社員と区分された職務の中で、パートタイム労働者が、比較的専門的・高度な職務や、他のパートの管理の職務に従事
|
【Aタイプ】
(職務が同じ)
(A−1タイプ)
○パートタイム労働者と正社員が、混在的に、比較的専門的・高度な職務や、管理的職務に従事
|
(B−2タイプ)
○正社員と区分された職務の中で、パートタイム労働者が比較的単純・定型的な職務に従事 |
(A−2タイプ)
○パートタイム労働者と正社員が、混在的に、比較的単純・定型的な職務に従事 |
(単純/定型的/非裁量的)
|
(3) 正社員との比較のあり方について
イ このような整理を前提とした場合、パートタイム労働者と正社員との比較は「同じ職務を行う正社員」との間で行われることが現実的かつ有用である。このような具体的な比較が可能なパートタイム労働者としてはAタイプの者が想定されることから、これらの者を中心に具体的な比較のあり方を検討していくことが適切であり、また、上記の(1)のアンケート調査の結果に照らしても理解が得られ易いものと考えられる。
ロ 他方、Bタイプのパートタイム労働者については上記のイに述べたような具体的な比較の対象は存在しないが、これらの者についても、均衡を考慮した雇用管理のあり方について検討していくことが適切である。
ハ 職務の同一性いかんについて検討する場合には、労働省編職業分類の細分類の区分を参考としつつ、通常従事する作業が同じかどうかで判断することとし、その際には作業の遂行に当たって求められている責任や付与されている権限の範囲についても考慮することが適切である。
また、当該作業を遂行するために必要な最低限の能力や当該作業を実施する上での困難度などの「職務レベル」も、職務の同一性の判断基準となる。
このような職務の同一性が認められる場合には、臨時的ないし付随的な作業(例えば、作業後の清掃)の有無に違いがあっても、同じ職務として扱うことが適切である。
一方、作業の幅や責任が大きく異なる場合、例えば、正社員がパートタイム労働者の行う作業に加えて生産計画の策定、顧客対応等も行うような場合などは、職務そのものが異なるものとして扱うことが考えられる。
いずれにしても、職務の同一性いかんについては、各企業の実態を踏まえ、労使において具体的に検討されることが適切である。
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3 正社員と同じ職務を行うパートタイム労働者(Aタイプ)に係る均衡を考慮した雇用管理のあり方について
(1) 処遇や労働条件のあり方について
イ 処遇や労働条件に関し均衡を考えるに当たっての基本的視点について
正社員と同じ職務を行うパートタイム労働者(Aタイプ)の処遇や労働条件について当該正社員との均衡を考えるに当たっては、まず、@これらに係るパートタイム労働者・正社員双方の決定方式を合わせていく方法があり、これが合わせられない場合には、Aこれらの水準について正社員とのバランスを確保する方法について検討する必要があるであろう。
ロ 決定方式を合わせる方法について
(イ)イの@については、例えば賃金に係る双方の決定方式を合わせていくやり方がある。
具体的には、賃金の構成要素、支給基準、査定や考課の基準、支払い形態などの決定方式を合わせていくことが考えられる。このような場合には、結果的には、これらの水準について、正社員とのバランスが確保されることとなる。
(ロ)一方、雇用管理上の合理的な理由がある場合には、両者の決定方式を異にすることはあり得るところである。ここで合理的な理由がある場合としては、例えば、@異なる職務間の異動がある正社員については職能で賃金を決めるが、職務間異動がないパートタイム労働者については職務で賃金を決める場合、A毎月の所定労働時間がほぼ一定の正社員については月給制で、パートタイム労働者のうち、所定労働時間が様々に変動する者については時給制を採用する場合などが考えられる。
ハ 水準のバランスを確保する方法について
(イ)一般的には、雇用管理上の合理的な理由があるものとしてパートタイム労働者と正社員との間で処遇・労働条件の決定方式を異にすることが認められる場合が多いものと考えられるが、このような場合であっても、上記のイのAに示したように、パートタイム労働者の処遇や労働条件の水準、例えば時間当たり賃金について、正社員とのバランスを図っていく方法が考えられる。
(ロ)上記の(イ)において述べたところにより、水準についてバランスを図っていく場合において、例えば、正社員と比較してパートタイム労働者に残業や休日出勤がない又は少ないという事情があり、これらが労働協約、就業規則、労働契約等において明らかにされているようなときには、そのような事情については正社員との均衡を考える場合に考慮されることもあり得るところである。また、その結果として、処遇や労働条件の水準について、そのような事情が存在しない場合と比較して合理的な範囲で差を設けることもあり得るところである。
この場合、いかなる差が合理的範囲であるといえるかについては、労使において具体的に決定されることが適切である。
ただし、これらの事情について労働協約等において規定されている場合であっても、実態としての差がないようなときには、考慮すべき事情とはならないことはいうまでもない。
(ハ)このほか、例えば、正社員と比較してパートタイム労働者に配置転換や転勤がない又は少ないという事情があり、これらが労働協約、就業規則、労働契約等において明らかにされているような場合には、上記の(ロ)と同様に考えることができる。
なお、いわゆる就業調整が行われる場合については、その結果として、パートタイム労働者に残業や休日出勤がない又は少ないといった事情が具体的に生ずる場合に限り、その範囲で、上記の(ロ)と同様に正社員との均衡を考えるに当たり考慮されることはあり得るところである。
(ニ)また、パートタイム労働者と同じ職務を行う正社員が複数いて、それらの賃金水準が勤続期間や職務遂行能力の違いなどによって異なっている場合に、どの正社員と比較するか、あるいはいずれの賃金水準を比較の対象とするかなどの具体的な比較の方法については、労使においてそれぞれ決定されることが適切である。
ニ 賞与や退職金の扱いについて
なお、パートタイム労働者と同じ職務を行う正社員に賞与や退職金が支給されている場合には、上記のロの「決定方式を合わせる方法について」及びハの「水準のバランスを確保する方法について」に述べた考え方を踏まえつつ、パートタイム労働者に対しても、合理的な内容により賞与や退職金に係る制度が設けられることが適切であると考えられる。
ホ 処遇や労働条件に違いが設けられている理由等の明確化について
(イ)上記のロの(ロ)及びハの(ロ)及び(ハ)に述べたところによりパートタイム労働者と正社員との間で処遇や労働条件に係る決定方式や水準に違いを設け得る事情がある場合であっても、そのような事情については、事業所内で必ずしも明確になっていないことが多い。このため、これらを理由とする処遇や労働条件の差の合理性について当事者が判断しにくい面があり、これがパートタイム労働者が正社員との処遇や労働条件の差について不満を抱く要因のひとつとなっている。
(ロ)このため、パートタイム労働者の不満を解消し、その納得度を高めていくためには、上記のハの(ロ)及び(ハ)の均衡を考える場合に考慮し得る事情の有無等が明確化され、パートタイム労働者に適切な情報提供がなされることが必要である。また、これらに係る認識が当事者間で異なる場合においては、当該事業所における雇用管理に精通している者により、適切な苦情処理が図られることが必要となる。
(ハ)このような方向に沿った取組としては、例えば次のようなものが考えられる。
a 情報の提供
パートタイム労働者に対し、必要に応じ、次のような事項についての適切な情報が提供されること。
@正社員・パートタイム労働者双方の職務の内容等
A正社員との間で処遇や労働条件に係る決定方式や水準に違いが設けられている場合には、その内
容や違いを設けている理由
b 相談体制の整備
パートタイム労働者からの処遇や労働条件に関する相談や苦情に応ずる体制を整備するとともに、こ
れらに基づき検討を行い、必要な改善に努めるほか、その結果の説明を行うこと。
なお、その際、短時間雇用管理者が選任されている場合にはその適切な活用を図ること。
へ 取組に係る参考事例について
以上を踏まえて、パートタイム労働者の処遇や労働条件について正社員とのバランスを確保しようとする場合における取組の方向について考えていく際には、平成11年8〜10月に実施したヒアリング調査(20企業・労働組合)の結果をはじめとする各種の調査における事例が参考になるものと考えられる。
便宜上、個別的な事項毎に事例の整理を試みれば別添の「均衡を考慮する場合の具体的な参考事例」の1のとおりであるが、具体的な取組のあり方については、これらを適宜参考としつつ、雇用管理全体の中での取組の重点をいずれに置くかにっいても考慮の上、検討されることが適切と考えられる。
(2)働き方の選択性を高めるための条件整備について
イ 勤続期間が長期化する中でパートタイム労働者の就業二一ズ等にも変化が生じ得るところであり、そのような中で、より専門的・高度な職務に就きたい、あるいは正社員になりたいというような希望を持つパートタイム労働者もみられるところである。このため、パートタイム労働者に対しては、上記の(1)の「処遇や労働条件のあり方について」において述べたように処遇や労働条件に係る決定方式や水準について正社員とのバラ
ンスを図ることのほかに、採用後改めて選択(乗換え)の機会を付与することが、パートタイム労働者の意欲や納得度を高め、さらにはその能力の有効発揮にも資するものと考えられる。
@アンケート調査(対パートタイム労働者)によれば、今後の働き方の希望として、「より専門的・高度な仕事をしたい」者が48.0%、「より責任のある仕事をしたい」者が42.3%、「正社員になりたい」者が40.6%存在している。
Aアンケート調査(対事業所)によれば、33.3%の事業所が正社員への登用制度を設け、その65.5%において実際に登用が行われている。 |
ロ このような働き方の選択性を高めるための条件整備としては、まず、パートタイム労働者の能力や適性の範囲において、正社員へ転換できる制度を設けるなどの措置が考えられる。併せて、A−2タイプのパートタイム労働者に関しては、別に専門的・高度な職務や管理的職務が存在する場合において、その適性、能力及び就業二一ズを踏まえつつ、そのような職務のパートタイム労働者(A−1タイプ又はB−1タイプ)に転換することで処遇や労働条件が向上する途を確保すべく検討することも重要である。
ハ このような方向に沿った取組の方向について考えていく際には、例えば別添の「均衡を考慮する場合の具体的な参考事例」の2の事例も参考になるものと考えられる。
二 正社員等への転換制度を設ける場合には、例えば、@転換基準の明確化、A転換後の労働条件の整備及び明確化、B制度の周知・情報提供といった措置を併せて講ずることが適切である。
また、能力評価の仕組みの整備や教育訓練の機会の付与についても検討されることが適切であり、さらに、転換制度が円滑に機能するためにも、正社員の働き方についての検討も今後の課題となる。
(3)まとめ
イ 以上のように、Aタイプのパートタイム労働者に係る均衡の考慮については、@その処遇や労働条件に係る決定方式や水準について正社員とのバランスを図るとともに、A働き方の選択性を高めるための条件を整備することにより、その確保が図られるものと考えられる。
ロ このことを踏まえたパートタイム労働者の処遇や労働条件に係る均衡考慮の具体的なあり方については、パートタイム労働者の就業の実態や就業二一ズを踏まえ、別添の「均衡を考慮する場合の具体的な参考事例」の3の(1)の事例等も適宜参考としつつ、労使において決定されることが適切である。
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4 正社員と異なる職務を行うパートタイム労働者(Bタイプ)に係る均衡を考慮した雇用管理のあり方について
(1) 具体的な比較の対象がない場合における雇用管理上の課題について
正社員と異なる職務を行うパートタイム労働者(Bタイプ)については、正社員との間で上記の3におけるAタイプのパートタイム労働者に対するような具体的な比較を行うことは困難であるが、これらの者についても正社員との均衡を考慮した雇用管理が図られることが必要である。
その場合には、上記の3におけるAタイプのパートタイム労働者に係る検討を踏まえ、次の2点について検討されることが適切である。
@パートタイム労働者の従事する職務やそのレベル、職務遂行能力等に応じた合理的な雇用管理の構築を図ること。
Aパートタイム労働者としての働き方に係る納得性を高めていくこと。
(2)雇用管理のあり方について
イ Bタイプのパートタイム労働者の雇用管理に当たっては、就業の実態等に応じ、また従事する職務やそのレベル、職務遂行能力等について的確な把握を図りつつ、それらに見合った処遇や労働条件を考えることが重要であり、このことを踏まえて、賃金、賞与、退職金等の扱いについて検討していくことが適切である。
ロ とりわけ、専門的・高度な職務や管理的職務を行うパートタイム労働者(B−1タイプ)については、例えば職務の専門性や難易度、職務遂行能力、成果等を踏まえ、それにふさわしい枠遇や労働条件を考えていくことが適切である。
ハ また、勤続の長期化に伴いパートタイム労働者の職務遂行能力が向上するような場合には、それらを処遇や労働条件に適切に反映させていくことが、パートタイム労働者の意欲の喚起、さらには能力の発揮につながるものと考えられる。
アンケート調査(対パートタイム労働者)において、自己の職務レベルを高く認識する者ほど正社員との賃金格差に「納得できる」者が減少する傾向にある。
(自己の職務レベルを正社員の「入社1〜2年目」とみる者のうち64.2%が「納得できる」としているのに対し、「入社3〜4年目」は47.8%、「入社5年目以降」は38.2%、「グルーブリーダークラス」は34.9%となっている。) |
二 さらに、パートタイム労働者の適性、能力及び就業二一ズを踏まえつつ、必要な教育訓練等の機会を付与すること等により、その積極的な活用を考えていくことが必要である。
(3)働き方に係る納得性を高めるための条件整備について
イ パートタイム労働者の納得性を高めていくためには、パートタイム労働者が十分な理解の下に働き方を選択できるような条件を整えていくことが必要であり、そのためには、パートタイム労働者に対し、正社員との職務の内容、処遇や労働条件の違い等に関する必要な情報の提供及び相談体制の整備がなされることが適切である。
ロ また、勤続期間が長期化するにつれて、パートタイム労働者の就業二一ズ等にも変化が生じ得るところであり、その能力や適性の範囲において、改めて選択(乗換え)の機会を付与することが、その意欲や納得度を高めることにつながることとなる。
具体的には、上記の3の(2)の「働き方の選択性を高めるための条件整備について」において述べたところを参考にしつつ検討されることが適切と考えられる。
(4)取組に係る参考事例について
以上を踏まえBタイプのパートタイム労働者に係る具体的な取組の方向について考える場合には、別添の「均衡を考慮する場合の具体的な参考事例」の3の(2)のような事例が参考になるものと考えられる。
別添
均衡を考慮する場合の具体的な参考事例
下記の1から3までは、平成11年8月から10月にかけて実施されたヒアリング調査(20企業・労働組合)の結果等に基づき、均衡を考慮する場合の参考事例を整理したものである。
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1 処遇や労働条件の項目ごとの事例(本文皿の3の(1)のへを参照)
1 昇進・昇格について
○ 職務に基づく格付け制度をパートタイム労働者と正社員に共通のものとして設け、実際にも、パートタイム労働者を役職(店舗の統括・部門マネージャークラス)に就かせている例 |
2賃金について
@ パートタイム労働者の採用時の時給については、時間当たりに換算した正社員の初任給の水準に合わせて設定することを基本としている例
A 正社員と異なる賃金体系の下で、全国転勤がある正社員の転勤に係るコストとの差を考慮して、理念的には、賃金の水準を「地域限定の正社員」と同程度としている例
B パートタイム労働者を3つに区分の上、最も正社員に働き方の近い区分(コース)に転換した時点の賃金について、正社員の初任給の水準に合わせている例
C パートタイム労働者の役職就任時の賃金について、役職初任の正社員の水準に合わせることとしている例
D パートタイム労働者の採用時の時間給について、同じ職務に従事する正社員の時間当たり初任給と同水準にするとともに、昇給額について、同じ職務に従事する正社員と同一の人事考課表(仕事の能率+勤務態度+勤続年数)を適用して決定している例
E 正社員と同一の職務に基づく賃金体系の下で、パートタイム労働者の時間当たり基本給を同じ職務に従事する正社員と同水準にしている例
F パートタイム労働者の時間当たり基本給を、役職に就いていない正社員(時給制)と同水準にしている例
G 上位区分(コース)のパートタイム労働者に転じた場合には、賃金の構成要素や評価基準を正社員に近付けている(例.時給制→日給制、基本時給(最賃額+10円)+各種加給(部門、時間帯、曜日、技術等)→基本賃金(勤続給)+役職手当)例 |
3 諸手当について
@ 役職に就いているパートタイム労働者に対し、正社員と同一の額の役職手当を支給している例
A 通勤手当及び役職手当をパートタイム労働者と正社員の双方に同額支給するが、家族手当及び住宅手当については正社員のみに支給している例
B 皆勤手当(正社員に対し職務等の違いにかかわらず一律の額を支給)をパートタイム労働者に対しては時間比例的に支給している例
C 家族手当(正社員に対し職務等の違いにかかわらず一律の額を支給)、住宅手当(同)、乗務員手当(正社員に対し、運転業務に従事した労働時間が全労働時間の一定割合を超えた場合に定額を支給)をパートタイム労働者にも時間比例的に支給している例
D パートタイム労働者に対し、通勤手当、家族手当、精勤手当として正社員の場合の8割の額を支給している例
E 正社員の3/4以上の勤務時間のパートタイム労働者に対し、同じ職務を行う正社員と同水準の通勤手当、住居手当、食事手当、外勤手当を支給している例
F 一定の上限を設けた上で、パートタイム労働者に対しても通勤手当を支給している例 |
4 昇給について
○ 同じ職務に従事する正社員と共通の人事考課表(仕事の能率+勤務態度+勤続年数)を適用し、パートタイム労働者に係る昇給の額を決定している例 |
5 賞与について
@ パートタイム労働者に対しても、正社員の支給方式を基礎としつつ一定割合を減ずることにより(例.正社員に係る支給月数の1/2による額)、賞与を支給している例
A 同じ職務を行う正社員と共通の人事考課表(仕事の能率+勤務態度+勤続年数)をパートタイム労働者に適用の上、パートタイム労働者に対し、正社員の水準を基礎として時間比例的に賞与を支給している例
B 職務に基づく正社員と共通の賃金体系の下で、パートタイム労働者に対し、時間比例的に(ただし標準労働時間が正社員の1/2であることを理由に、これを上限として)賞与を支給している例
C 同じ職務を行う正社員に係る賞与の水準を基礎として、時間比例的に賞与を支給している例 |
6 退職金について
@ 同じ職務を行う正社員と同一の人事考課表(仕事の能率+勤務態度+勤続年数)を適用の上、パートタイム労働者に対し、正社員の水準を基礎として時間比例的に退職金を支給している例
A 職務に基づく正社員と共通の賃金体系の下で、時間比例的に(ただし標準労働時間が正社員の1/2であることから、これを上限として)退職金を支給している例
B 中小企業退職金共済制度を活用している例 |
7 教育訓練について
@ パートタイム労働者に対しても、自己啓発(通信教育講座の受講等)に対する補助を行っている例
A パートタイム労働者の能力開発に対する費用補助について、正社員に対する補助の水準を基礎として、時間比例的に(ただし標準労働時間が正社員の1/2であることから、これを上限として)算出した額を支給している例 |
8 福利厚生について
@ 金銭の貸付や遺児への育英年金など長期雇用を前提としている制度を除き、パートタイム労働者による福利厚生制度(例.施設の利用、社員割引等)の利用について正社員と同様の扱いとしている例
A 企業内託児施設を設け、正社員とパートタイム労働者の双方に利用させている例 |
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2 正社員等への転換制度等の事例(本文Uの3の(2)のハを参照)
1 パートタイム労働について、職務に必要な技能や労働時間の長さにより4つの区分(コース)を設けるとともに、最上位の区分に属する者については、筆記試験及び面接を行った上で、正社員(店舗の主任クラスの資格者)への転換を可能としている例
2 正社員への転換希望があれば、実績を勘案し、また残業(最大1時間程度)に応じられることを条件とするが、原則的に正社員への転換を認めている例
3 職場からの推薦に基づき、学科試験及び面接を行った上で、正社員への転換を認めている例
4 パートタイム労働者と正社員との中間的な形態として、販売等の業務のみに従事するフルタイム勤務の準正社員(パートより給与額が高く、地域異動がない。)を設けるとともに、本人の希望によりパートタイム労働者から準正社員、準正社員から正社員への転換を認めることにより、本人の希望による働き方の転換を可能としている例 |
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3 各企業ごとにみる取組の事例
(1)Aタイプ(正社員と同じ職務を行うパートタイム労働者)(本文皿の3の(3)のロを参照)
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正社員と共通の役職体系の下で、パートタイム労働者を積極的に役職に登用するともに、登用した者については正社員と賃金水準を合わせている例 |
@職務に基づく格付け制度をパートタイム労働者と正社員に共通のものとして設け、昇格基準も共通のものとすることによりパートタイム労働者の役職への登用を促進し、その能力発揮を図っている。
A役職にいた場合には、正社員と同じく月給制とし、役職初任の正社員(24歳での就任が標準的)と時給換算で同程度の賃金水準としている。
2
段階的に能力発揮を促す制度を設けるとともに、正社員と働き方が同じ区分の者について、賃金を正社員の初任給と同程度の水準とし、さらに正社員への転換機会を付与している例 |
@パートタイム労働者について、職務に必要な技能、責任、労働時間の長さ等に基づいて複数の区分(コース)を設けるとともに、コースの転換を認めることにより、パートタイム労働者の段階的な能力発揮を図っている。
A最も上位のコースのパートタイム労働者(正社員の主任クラスの職務を行う)については、正社員と同じ月給制としている。
B当該コースヘの転換時における賃金について、最も下位の資格の正社員のうち一定の昇給を経たものと同水準とし、さらに賞与を支給している。
Cまた、これらの者については、筆記試験及び面接を行った上で、正社員(店舗の主任クラスの資格者)への転換を可能とすることにより、パートタイム労働者の選択と能力の発揮の機会の一層の拡大を図っている。
3
パートタイム労働者の初任給の額を正社員の初任給の水準に合わせるとともに、勤続期間が長期化したパートタイム労働者についてはより上位の正社員とのバランスを考慮している例 |
@パートタイム労働者について、職務等による区分を行うことなく、その採用時の時給を、時間当たりに換算した正社員の初任給の水準に合わせて設定することを基本としている。
A金銭の貸付や遺児への育英年金など長期雇用を前提としている制度を除き、パートタイム労働者による福利厚生制度(例.施設の利用、社員割引等)の利用について正社員と同様の扱いとしている。
B勤続期間が長期化した(10年以上)パートタイム労働者については、一定の要件(目標の達成に係る努力と達成度を評価要素とする7段階の査定において3段階以上、部門長の推薦)の下に、「上級パート」に昇進させている。
C上級パートについては、時間給の要素の一つである遂行力加算について、加算額を拡大することで、より上位の正社員とのバランスを図っている。
4
パートタイム労働者の初任給の額を同じ職務を行う正社員の水準に合わせるとともに、正社員と共通の人事考課表による査定に基づき、昇給や賞与の支給を行っている例 |
@パートタイム労働者の採用時の時間給の額について、同じ職務を行う正社員の時間当たり初任給と同水準としている。
Aパートタイム労働者に対し、通勤手当、役職手当を正社員と同額にて、皆勤手当(正社員の場合、職務にかかわらず一律の額)を時間比例的に支給している。ただし、家族手当及び住宅手当は正社員のみに支給している。
Bパートタイム労働者についても、同じ職務を行う正社員と共通の人事考課表(仕事の能率+勤務態度+勤続年数)により、正社員と同様に4段階に査定の上、昇給や賞与に反映させている(昇給率は会社の業績による)。
Cパートタイム労働者の賞与は、正社員と同一の算定方式(月の基準賃金額に一定の月数を乗じた上で、出勤率と人事考課に基づく加算がなされて決定)に基づき、時間比例的に支給されている。
Dパートタイム労働者の退職金は、正社員と同一の算定方式(退職時の賃金額に勤続年数に基づく支給率を乗じて決定)に基づき、時間比例的に支給されている。
E正社員への転換希望があれば、フルタイム勤務が可能であることを条件として、原則的に正社員への転換を認めている。
5
共通の賃金体系の下で、パートタイム労働者の賃金等を時間比例方式にて決定するとともに、正社員とパートタイム労働者との相互転換を可能としている例 |
@職務に基づく共通の賃金体系の下で、同じ職務を行う正社員の労働条件を基礎として、パートタイム労働者に係る賃金、賞与、退職金及び外部研修受講費の補助を時間比例で支給することにより、パートタイム労働者のモラールの向上と正社員も含めた人材の確保を図っている。(なお、パートタイム労働者は時給制。)
Aポストに空きが生じた場合には、社内で公募し試験を行った上で、正社員とパートタイム労働者との間の相互転換を認めている。
6
正社員について育児や介護のための短時間勤務制度を設けるとともに、短時間勤務を行う正社員(パートタイム労働法上の「短時間労働者」に該当)の労働条件を決定する際の視点として時間比例の考え方を取り入れている例 |
@小学校就学前の子供を持つ正社員及び病気の家族の介護を行わなければならない正社員について、その希望により、勤務時間(通常は8時間)を5時間又は6時間45分に短縮する短時間勤務制度を導入している。
A給与、賞与、年末手当は、通常の労働時間で勤務する正社員を基準として時間比例的に支給している。
B短時間勤務の正社員は、上記の@の事由の終了、又は所定の手続の下での本人の希望により、通常の8時間勤務に戻ることとなる。 |
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(2)Bタイプ(正社員と異なる職務を行うパートタイム労働者)(本文皿の4の(4)を参照)
1
パートタイム労働者について、職務遂行能力に基づき格付けされた等級に基づき基本時給を決定するとともに、人事考課を実施し、その結果を賞与に反映させている例 |
@パートタイム労働者について、職務遂行能力(作業の熟練度、担当業務に対する姿勢、指導力等)に応じて5段階の職務等級に格付けし、基本時給を当該格付けに基づき決定している。
Aパートタイム労働者に対しても業績+能力+態度を評価要素とする人事考課制度を導入し、賞与に反映している。
Bパートタイム労働者に対し、基本時給に【支給率±考課率】を乗じた額の賞与を支給している(支給率は等級により決定され(1.03月〜1.83月)、考課率は人事考課表及び勤務評定基準により決定される(3段階に分かれ、±0.1月))。
Cパートタイム労働者について、基本時給を基礎として、これに勤続年数に応じた正社員と同一の支給率を乗じた退職金を支給している。
2
パートタイム労働者の勤務成績や能力を賃金に反映。さらに、正社員とパートタイム労働者との中間的な形態(準正社員)を設け、パートタイム労働者から準正社員、準正社員から正社員への転換を可能としている例 |
@基本時給に加給される業績加給については、勤務成績に基づく絶対評価により点数(100点満点)を示し、当該点数に基づいて決定している(基本時給の20%が上限)。
Aさらに、職種加給や、専門的な資格を有する者に対する調整加給により、パートタイム労働者の能力を賃金に反映させている。
Bパートタイム労働者と正社員との中間的な形態として、販売等の業務のみに従事するフルタイム勤務の準正社員(パートタイム労働者より給与額が高く、地域異動がない。)を設けるとともに、パートタイム労働者から準正社員、準正社員から正社員への転換を認めることにより、本人の希望による働き方の転換を可能としている。
C一般のパートタイム労働者に対しても、正社員の中途採用の実施について周知させるとともに、これに上司の推薦で応募した者について積極的な採用を図っている。
3
パートタイム労働者について、勤務成績に基づく評価を昇給に反映させるとともに、長期勤続した場合の退職金制度を設けている例 |
@パートタイム労働者の基本給は、年齢、職務内容、勤務地、勤務時間、技能、能力等を勘案して個別に決定している。
A昇給には、勤務態度、対人関係、欠勤率等を評価要素とする4段階の査定に基づき決定される部分と、パートタイム労働者全員に一律に行われる部分とがある(正社員の昇給率とは一致しない)。
B勤続年数が一定以上のパートタイム労働者に対しては、勤続年数に応じた定額の退職金が支給される。勤続年数を経れば、1年毎の上昇額の幅が大きくなる。
4
パートタイム労働者についてぺースアップや勤続年数に応じた昇給を行い、また、通信教育講座の受講を可能とすることにより、その能力の発揮や定着を図っている例 |
@パートタイム労働者については、時間給に精皆勤手当(所定労働時間に応じて額が変わる)が付く。、
Aパートタイム労働者にも地域のパートタイム労働者の相場を考慮したべ一スアップを行い、また、勤続年数に応じて時間給を一定程度上昇させている。
Bパートタイム労働者を含む全社員を対象とした通信教育講座(無料)を開設している。
Cパートタイム労働者と正社員の双方に対し、慶弔見舞金、誕生祝い金を支給している。
5
パートタイム労働者の中に、より高度・専門的な職務を行い処遇もアップする区分を設け、一般のパートタイム労働者からの転換を可能としている例 |
【例1】
@パートタイム労働者について労働時間により2つに区分し、所定労働時間の長いパートタイム労働者については、登用試験を行った上で、「エキスパート」として部門の責任者としての業務に就かせている。
Aエキスパートについては、基本時給に加算される職能給(コミュニケーション能力+今後の期待度+部門ごとの職務遂行能力(商品発注業務が可能か否か等)を評価要素とする査定に基づき決定される)の水準をアップしている。
【例2】
@パートタイム労働者の中に小規模店舗のチーフとしてまとめ役を担当させるコースを設け、特に業績・能力が高いと認定した者を(希望により)転換させている。
Aパートタイム労働者の時間給は職種給+本人給(仕事の量・質、協調性、責任性等を要素とする6段階の査定に基づき決定)で構成されているところ、@の者については、職種給額をアップさせるとともに、本人給の額が拡大する(6段階の各ランクに対応する額がアップ)。
B@の者については、賞与として過去6ケ月分の平均給与月額(1月分)を、年2回支給している。 |
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