派遣労働のいま


2008/01/20 派遣労働に関する指針改定案〜日雇派遣の規制強化へ

 朝日新聞1月16日記事が、日雇派遣について規制強化の観点から指針改定を予定−と報じている。
 記事の概要は、
 (注/16日の審議会需給調整部会へ提示予定の厚生労働省の指針改定案に関する記事)
 指針改定案は、1日単位か30日以内の労働者派遣を行う派遣元企業と派遣先企業を対象として適用する。
 その内容は、
(1) 二重派遣を防ぐため、派遣元と派遣先双方に対し、実際の就業場所を巡回して契約通りか確認することを要求。
(2) 不正な給与天引きの禁止。(使途が明白で労使協定を結んだ場合以外は「不適正な控除が行われないようにする」と明記/データ装備費のように使途が不明確なものは認めない。)
(3) 現場への集合から作業開始までの拘束時間の賃金を支払わない例が多いため、「労働時間を適正に把握し、賃金を支払うこと」を求める。
(4) 労働条件や賃金といった基本的な労働条件を労働者に書面で明示するよう定める。
等。

 併せて、派遣法施行規則の一部改訂案も明らかになっている。
 具体的には、
(1) 労働者派遣の期間が一日を超えないときであっても、派遣先責任者を選任すること。(34条)
(2) 労働者派遣の期間が一日を超えないときであっても、派遣先管理台帳の作成及び記載を行うことを要すること。(35条)
(3) 派遣先管理台帳の記載事項に、派遣労働者の派遣労働に従事した事業所の名称及び所在地その他派遣就業をした場所を加える。(36条)
(4) 派遣元事業主への通知事項に、派遣就業をした場所と従事した業務の種類を追加する。(38条)
(5) 事業報告書の様式に、日雇い派遣労働者の数、日雇い派遣労働者の従事する業務にかかる派遣料金、日雇い派遣労働者の賃金を追加する。


2008/01/11 東京労働局がグッドウィルに対して労働者派遣事業停止命令

 2007.1.11東京労働局は、株式会社グッドウィル(代表取締役神野彰史,所在地/東京都港区赤坂9丁目7番1号)に対して、労働者派遣事業停止命令及び労働者派遣事業改善命令を出した。
 併せて、
 グッドウィルから派遣された労働者を別の企業に不正に派遣する「二重派遣」をしていた(港湾荷役業を営む別の会社の指揮下で働かせた)として、東京都港区の荷役会社「東和リース」を職業安定法違反の疑いで警視庁に告発した。

 東京労働局の処分発表分等は下記URLから確認できる。
 http://www.roudoukyoku.go.jp/news/2007/200801111-kaizen/200801111-kaizen.html


2008/01/04 派遣労働Q&Aから

現在、レーバー・スタンダード研究所が編集中の「派遣労働Q&A」から
(サンプル紹介です)

Q18 派遣労働者を巻き込む労働災害が発生した,派遣先と派遣元にはどのような対応が必要か

■ 派遣労働者を受け入れている派遣先において労働災害(労災事故)が発生した。この場合の対応の基本をしっかり押さえておく必要がある。多くの混乱(労災かくし等の疑惑)がこの初期対応への誤りや無知から生じているからだ。
■ 事後発生の際に、まず、所轄労働基準監督署への事故報告の義務があるのは、事故の発生状況を把握できる立場にある「派遣先事業主」であること。生命に関わる事故や法令上事故報告の対象に指定されている事故(安衛則第96条)については、電話で所轄監督署へ速報を入れるほか、遅滞なく労働者死傷病報告書を提出する義務がある(安衛則第97条)。
■ その後(電話通報等は別途必要であろう)において、派遣先は、前記提出控えの労働者死傷病報告書の写しを派遣元事業主に送付する。派遣元は当該写し等をもとに事故発生状況を確認し、派遣労働者の雇用主として、改めて所轄労働基準監督署へ労働者死傷病報告書を提出すると同時に、「労災給付の手続き」について、派遣労働者に協力して申請等の手続を行う。
(注/労災給付の申請等は、派遣元の労災保険番号をもとに行うものであること。)
■ 所轄労働基準監督署が行う事故の現地調査等には、派遣先の立ち会いが要請されることがあり、事故責任が追及されることもあるので注意が必要だ。


2007/12/29 派遣労働者、昨年度は過去最高321万人

(2007.12.28厚生労働省発表の4万1966事業所の集計結果)
 2006年度中に1度でも派遣労働をした人の数は延べ約321万人。(過去最高)
 伸び率も前年度比26.1%とこれまでで最大。
 ・派遣契約期間は、最も多いのが「3か月未満」で80.4%。
 ・派遣料金(8時間換算)は、「特定労働者派遣事業」が平均2万2948円、「一般労働者派遣事業」が平均1万5577円。このうち、労働者が受け取る賃金(同)は、特定が1万4156円、一般が1万571円。


2007/12/26 派遣労働〜規制改革会議の要求をソデに

 2007.12.25開催の労働政策審議会労働力需給制度部会は、派遣労働をめぐる労使の意見の調整は不可能と判断し、来年度を目指していた法改正を断念した。
 当初方針では、規制改革会議の議論等を踏まえ、
○事前面接の解禁
○直接雇用の申し入れ義務の撤廃
などを目指していたが、先の参議院選の結果などを受け、議論環境が激変、規制緩和の流れにストップがかかった形だ。
 一方、弊害の指摘されてきた「日雇い派遣」に対する規制強化が一部実施に移される。

(編注)
 [派遣労働の議論をめぐる主要な労使の意見の相違点は、左記フレームに、情報リンクしてありますので確認してください。]


2007/12/24 日雇い派遣業界の両雄に事業停止命令

8月のフルキャスト処分に続いて、グッドウィルに対しても年内に事業停止処分が科される方針が確定したようだ。

■グッドウィルの労働者派遣法違反の状況
 表題について、2007.12.22日経新聞は次のように報じている。
 「厚労省などによると、今年2月、グッドウィルから派遣された20代の男性が、派遣契約を結んだ会社とは別の港湾荷役会社の指示で働かされ、労災事故(*編注=()内補充 左脚を骨折、3本の靭帯も切れる重傷。仕事は陸揚げされたコンテナから重さ25キログラムの袋をパレットに積んでいく作業。高さ1・2メートルまで積み上げる作業であり日当は8500円)に遭った。職業安定法に違反する二重派遣の状態で、派遣が禁じられている港湾荷役業務に派遣していたとみて、東京労働局を中心に事業所を調査していた。
 この結果、禁止業務への派遣のほか、派遣法が定める派遣元責任者を置かずに働かせたり、運送業での荷役作業を中心に二重派遣をするなど、複数の法令違反が分かったという。」

■フルキャストに対しては、本年8月、労働者派遣法で禁止されている港湾での荷さばき業務に労働者を派遣していたとして、事業停止命令が出されている。

日雇い派遣業界は、抜本的な体質改善を迫られそうだ。


2007/12/24 派遣労働者を受け入れる主な理由

厚生労働省「労働力需給制度についてのアンケート」(17年度)調査結果より

ベスト4
1 欠員補充等必要な人員を迅速に確保できるため 49.8%
2 経費が割安なため 32.2%
3 一時的・臨時的な業務量の増大に対処するため 27.0%
4 特別な知識・技術を必要とするため 24.9%


2007/12/24 労働者派遣事業に係る基本的な資料

厚生労働省が作成した「労働者派遣事業に係る基本的な資料」がありますので、参照してください。
(労政審労働力需給制度部会H19.9.19第103回提示資料)

資料は下記構成になっています。(平成17年調査資料が中心)
源資料は、http://www.mhlw.go.jp/shingi/2007/09/dl/s0919-13c.pdf
にPDF資料として掲載されています。
1 労働者派遣事業所の推移
2 派遣先事業所数の推移
3 派遣労働者の就業の有無別事業所構成比
4 派遣労働者の主な受入れ理由
5 派遣労働者数の推移
6 派遣労働者の年収
7 派遣労働者が派遣という働き方を選択する理由
8 労働者派遣事業に係る監督指導件数
9 海外の労働者派遣の制度について
10 海外の労働者派遣の実態について


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