賃金・人事労務、福利厚生制度のいま

そして、ワーク・ライフ・バランス
オープニング画面


2006/04/12 日米社会保障協定始動−米の公的年金をもらうための手続きは?

 社会保障協定(2005.10発効)により、日米それぞれの年金加入期間を互いに通算できるようになった
 例えば、米国の年金に4年だけ加入して帰国しても、日本で6年以上加入していれば通算で10年以上。米国の基準を満たし、早ければ62歳(65歳原則のため減額あり。)から、払った保険料4年分に相当する年金を受け取れる。この恩恵を受けられる日本人は数10万―100万人とみられる。
 『都内在住の河本淳弘さん(仮名、66)は昨年10月初め、近くの社会保険事務所を訪ね、一通の書類に記入して提出した。「合衆国年金の請求申出書」。日本語で書かれてはいるが、米社会保障制度の老齢年金や遺族年金などを受給するための仮申請書だ。
 その後、米社会保障庁のフィリピン・マニラ事務所から郵送されてきた英語の本申請書にも記入して返送。最終的には今年2月、ボルティモアの同庁本部から資格承認の通知書が届いた。後は、指定した銀行口座に年金が毎月振り込まれるのを待つだけだ。
 河本さんは1980年代、電機メーカーから4年半ニューヨークへ派遣された。会社負担で社会保険料を払い続けた。米国では、受給資格を得るのには原則10年が必要。従来は赴任期間が短すぎて、保険料が掛け捨てになるケースが大半だった(が、救済の道が開けた。)』(日本経済新聞2006.2.26サンディニッケイアルファ)


2006/04/12 「年金の資産・加入期間」のポータビリティ化

 『セコムは、年金法が2005年10月に改正施行されたことに伴い、中途入社社員が、前の会社で積み立てた「年金の資産・加入期間」を同社入社後の制度に合算できる「ポータビリティ制度」を導入する』、との記事が2005.10.21、日経新聞に掲載されていた。
 いささか古い情報になったが、
 今後労働市場は、中途採用戦線が活況化が予想される。
 その際、年金のポータル化への対応企業であるのか、そうでないのかは、重要な企業選択肢となっていく可能性がある。


2006/04/10 ワーク・ライフ・バランスで「座談会」

 ビジネス・レーバー・トレンド2006年1月号の「座談会」〜「欧米におけるワーク・ライフ・バランスの動向-それが示唆すること-」  脇坂明氏がイギリスの、中村艶子氏がアメリカの、それぞれのワーク・ライフ・バランスの動向を説明している。

中から、1,2紹介しよう。

1 アメリカでは企業の生産性向上の観点から、ワーク・ライフ・バランスが語られることが多い。例えば、1ドルの投資分につき4ドル分の節約が可能だといった調査結果や、制度をつくることによって従業員の忠誠心を保つことができ、ほかの企業に移ることを引き止める効果がある、など。(出産でやめるひとが減って節約できた、女性の勤続年数が延びた結果募集コストが節約できたなども同様)生産性があがったかどうかの検証を絶えずやる。
2 アメリカ5000人アンケート。女性76%、男性58%が、「企業の育児支援は生産性を向上させる」と回答しているが、一方で、アメリカには所得、階級格差が厳然とある。(企業取組み型であることもあり=編注 )低所得者層には、ほとんどケアがなく、子どもは自宅で見るしかない。一方、高所得者層が使う企業内保育所は高級ホテルのよう。中間層が公立から、民間のデイケアセンターに預けるといった形で、所得の段階に応じてケアが変わる。
3 アメリカに限らないが第1子誕生後、辞めずに働き続けれれる企業があるのだとわかると、当然、いい人材がいく可能性がある。働きやすい職場は、忠誠心も生まれる。
 もっとも、評価としては、採用面で効果があるからといって、それが、経営パフォーマンスの向上につながっているかどうかはわからない。ファミリー・フレンドリーな環境で育った結果として、競争力のある人材になるかどうかは、わからない。
4 日本の企業は、ある意味英米より進んでいる。問題(欠けているの)は、子どもを産んだ女性であっても勤め続けられるような形に発想転換できるかどうか。社長、人事部だけでなく、ラインマネージャーの頭の中で、その切り換えができるかどうかだけ。あとは多くを変える必要はない。
 (日米比較した場合、違うのは、アメリカでは働き続けることが暗然の了解という点である。)

 座談会形式で読みやすいと思いますので、ぜひ、通読をお勧めします。


2006/04/1 ワーク・ライフ・バランスの取組みの国際的動向

 (2005年12月時点のまとめ記事)
 いま、注目のワーク・ライフ・バランスの取組みについて理解に資する。
 ワーク・ライフ・バランスの取組み(流れ)には、公共政策として国・地方自治体が中止にサービスに取り組んでいるヨーロッパ型と、企業経営上のメリットという観点から企業主導で、取組みが進められてきたアメリカ型がある、という。
 この記事は、それを「フランス」と「アメリカ」の取組みから、経緯と現状を報告する。ワーク・ライフ・バランスの取組みについて、概括的かつ今日的理解に資するものとなっている 。一読を!
 ワーク・ライフ・バランスの取組みの国際的動向

 付記、『このレポートの注2において、ノルウェーの国民健康法の規定が紹介されていた。
 ノルウェーでは産前産後休業が一体となって規定されており、産前3週間及び産後6週間は母親に割り当てられ、その後子どもが満1歳になるまでの間の最長4週間が父親に割り当てられる。父親が休業を取得しない場合は、その分の手当支給がなくなるため、男性が休業を取得する大きなインセンティブとなっている。同制度の導入により、男性の育児休業取得は飛躍的に増加した。』 とある。
 インセンティブの設定はむつかしく多くが失敗に帰する中で、”これはおもしろい”と思った。〔労務安全情報センター記〕


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