賃金・人事労務、福利厚生制度のいま

そして、ワーク・ライフ・バランス
オープニング画面


2006/08/22 確定拠出年金→導入広がる

導入企業数−7168社(2006.6末、1年で51%増)
加入者数−197万人(2006.6末、1年で31%増)
(日経新聞記事から)


2006/08/02 企業年金、加入者不利の規約ぞろぞろ

 企業が国に申請した確定給付企業年金(昨年度末までに1430の企業や団体が導入済み)の規約案に、受給資格が生じる加入期間を不当に長く設定するなどの問題事例が相次いでいることがわかった、という。
 例えば、
○厚労省によると、受給資格が得られる加入期間を「25年超」とするなど、「20年以内」と定めた確定給付年金法に反する例が複数みつかった。給付期間が20年の年金なのに、受給権が「80歳に達したら消滅する」としたものもあった。この場合、60歳を超えてから退職すると受給期間が20年より短くなるため違法となる。
○違法とは言いきれないものの、「給付額の算定方法を明記していない」「職種によって給付体系が違うのに、職種が変わった場合の措置を明記していない」など、加入者の権利を損なう恐れが強い規約もあるという。

 中小企業の多くは専門ノウハウがある信託や生保に規約作成を依頼する。同省では金融機関のチェックが甘いか、企業が負担減らしを狙った規約作成を働きかけ、金融機関がそれに応じている可能性もあるとみている。
(8月1日, 日本経済新聞朝刊記事から)


2006/07/20 日本版401k−転職を機に4万7千人が運用放棄!

 「えっ」と思うような日経7月18日朝刊に載った記事だが、本当らしい。
 記事によると、

 確定拠出年金(日本版401k)の運用を、転職を機に放棄している人が2005年度末で4万7千人にのぼるという。
 確定拠出年金の加入者は、昨年末時点で約175万人。転職の際に、転職先の企業年金に積立金を持ち運べる「ポータビリティー」が特徴の一つ。転職先に同型(企業型)の年金がない場合、「個人型」に積立金を移して運用を続ける必要がある。
 転職後、半年以内に切り替え手続きをしないと、積立金は自動的に国民年金基金連合会に移され、運用が一時的にできなくなるほか、毎月50円の手数料を取られるため、将来の受取額が減る。
 自己責任を歌いにした企業年金だけに、運用放棄は自己責任と言ってしまえばそれまでだが、「手続きの説明を受けた覚えがない」など、継続手続きを知らずにいる人が多いのも事実。導入企業は、現実を見据えて周知・説明に努める必要がありそうだ。


2006/07/13 財形貯蓄−利用減少に歯止めがかからず

 財形貯蓄には一般、年金、住宅の3種がある。
 この財政制度の利用が最近停滞している。
 利用件数は昭和62年度の19,290件をピークに11,187件(平成17年度)まで減少。合計預金残高も、平成13年度の19兆をピークに、17兆6900億円(平成17年度)に減少している。
 助成金の効果はいまいち。
 事務代行制度も積極的寄与は見られないようだ。


2006/05/01 2005年度企業年金の運用利回り、23.33%(過去最高)

 生命保険会社が運用する「企業年金」の2005年度運用利回りが、大手生保7社(富国、第一、三井、大同、明治安田、住友、日本)平均で、23.33%と過去最高水準となっている。〔2006.5.1日経朝刊1面記事〕


2006/04/30 「会社の運動会などの親睦行事は、できれば参加したくない]

社会生産性本部は、2006.4.26「2006年度 新入社員 意識調査結果」を発表した。
調査は、2006年3〜4月に実施した新入社員研修の受講者等に「若者意識アンケート」を配布し、1,961通の有効回答(回収率97.5%)を集計したもの。
詳細は、表記リンクを参照してください。

今回調査では、表記の「会社の運動会などの親睦行事は、できれば参加したくない」とする個人主義的回答は、急減〔過去最低を記録〕など、興味深いデータも提供している。
〔コメント〕、そうは言っても、一度中止してしまった「運動会」、再開するには、莫大なエネルギーがいるからな〜。


2006/04/30 NTT−退職者の年金給付削減の正当性を主張して提訴

 H18.4.30日本経済新聞朝刊は、表記に関し、1日もNTTが国を相手取って提訴するとの記事を掲載している。
 NTTは2004年4月、現役社員を対象に事実上の年金給付の減額を強行〔確定給付型から受取額が国債流通利回りに連動するキャッシュバランス型に移行〕したが、約14万人の退職者に対する減額措置は、厚生労働省によって不適当として退けられた。
 NTTは、退職者の87%の同意を取り付けており、労使合意を踏まえた企業の自主性を損なう決定だと反発していた。


2006/04/22 なぜ、嫌われるのか

全米最大の小売業ウォルマート。
ウォルマート従業員の平均年収は約2万ドル(約234万円/1ドル117円換算)に過ぎない。
そのためもあって、ウォルマート従業員の半数は会社提供の医療保険に入っていない。(保険料を払うには給与が低すぎるのだ。)
アメリカには、高齢者と低所得者向けを除いて公的な医療保険がないから、
会社の提供する保険に入らないということは、無保険で過ごすか、低所得者向けの公的保険に頼るしかない。

ウォルマート従業員に対する公的医療支出はますます膨らむ。それは、連邦分だけで年間15億ドルに達するとする試算さえある、これに州負担支出が加わる。
いまや、ウォルマートの出店は、全米各州、どこからも歓迎されない。

効率経営を求めて、
一心不乱に突き進んで
得られたものは何だったのか。
「社会からの尊敬を得る」、といった経営はもっと違ったルート上にあるのだろう、と(改めて)思ったりした。
しかし、効率経営は、経営者の本能に近いものでもあり、うっかりすると「つい、うっかりしやすいもの」だ。他山の石としたい。


2006/04/14 日本版401kの導入が進み−6,600社に

日本経済新聞4月13日夕刊は次のように報じている。
「厚生労働省によると、導入企業は3月末時点で6,600社強と前年度比5割(2,300社)増加。加入者は860万人(1月末時点)と約50万人増えた。」
401kの資産残高は2兆円強、その3割程度を投信に振り向ける加入者が多いという。401k向け投信の本数は329本とこれも昨年度に比べ、28本増えている。


2006/04/13 団体定期保険(いわゆるAグループ保険)に係る最高裁判決=4月11日

 会社が従業員にかけた団体定期保険(いわゆるAグループ保険)契約をめぐり、原告遺族が、「会社が,各従業員の死亡につき6000万円を超える高額の保険を掛けながら,社内規定に基づく退職金等として原告らに実際に支払ったのは各1000万円前後にとどまるのは不当」であるとして、最高裁に上告していた2件の訴訟判決が、4月11日最高裁第三小法廷であった。
 最高裁は、「(あえて同意以外の追加規制を採用していない立法政策が採られていることにも照らすと、団体定期保険の保険契約が=編注)被保険者の同意があることが前提である以上,・・直ちに本件各保険契約の公序良俗違反をいうことは相当でない」と判示。 また、そもそも、「社内規定に基づく給付額を超えて死亡時給付金を遺族等に支払うことを約したなどと認めるべき根拠がない=原審はが合理的な根拠に基づくことなく,むしろその認定を妨げるべき事情が認められるにもかかわらず(そのように認定したことには理由がない。)」 とした。
 2人の裁判官が補足意見を付している。
 上田裁判官は、本件の「根元的な問題点は、商法674条1項が要求する被保険者(従業員)の同意の欠如にあった(したがって保険契約は無効=編注)というべきである。」 原告らの本訴請求は,本件各保険契約が有効に成立したことを前提に,それに基づいて支払われた保険金の全部又は一部の分配を求める趣旨と解されるから,(・・前提を欠いた請求になっている=編注)」
 藤田裁判官は、「(本件各保険契約は無効であったと解されるところであり,=編注)本来,被告(会社)が本件各保険契約に基づいて保険金の支払を受けることができたかどうかについては,重大な疑問が存在する。本件訴訟では,現に支払われた保険金の帰属ないし分配という枠組みでの攻撃防御が展開された関係で,こうした論点は表に登場していない(だけである=編注)」

編注
注目された判決であったが、要するに、
(1) 本件保険契約は同意が欠如しており無効である、したがって、会社は本来保険金を受取ることなどできないのに、そのことは誰も争わなかった。
(2) (実際には同意欠如は明らかだが)、仮に同意があったという前提にたてば、本件保険契約は有効に成立する。しかし、その場合は、「団体定期保険も,保険契約である以上,保険金を受け取る権利を有するのは契約上の受取人であり,それ以外の者が,この契約を根拠として,保険会社ないし受取人に対し保険金の全部又は一部の支払を請求する権利を有するものではないことは,本来自明の理である。」すなわち、原告遺族には、あらかじめ会社規定等で約束されたもの以上のものが渡る道理はないのである。
と、いうことのようだ。

H18.4.11最高裁第三小法廷S軽金属工業保険金引渡請求事件判決文


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