労災補償の話題

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2006/08/24 【最新】脳・心臓疾患及び精神障害に係る労災補償状況

 厚生労働省が先に公表した17年度の認定状況によると、 労災請求件数は、脳心869件(前年比6.5%増)、精神障害656件(前年比25.2%増)といずれも増加傾向にある。 認定率は、脳心が36%→38%へと若干上昇。これに対して、精神障害は24.8%→19.4%と大幅低下(請求件数の急増が影響か?) 業種別には、脳心は、運輸、卸小売、製造、建設の順、精神障害は、製造、卸小売の順に請求件数が多い。 年齢別に認定件数をみると、脳心では、50歳代→40歳代→30歳代の順に労災認定件数が多いのに対して、精神障害では、30歳代→29歳以下→40歳代の順で推移する。 詳細は以下のURLから確認できる。 http://www.mhlw.go.jp/shingi/2006/06/dl/s0627-6c.pdf


2006/06/30 労働福祉事業に充てる限度額を引き下げ

6月27日労働政策審議会は労災保険法施行規則改正要綱を可とする答申を行った。
この結果、
労働福祉事業に充てる限度額の割合を現行の122分の22から120分の20に引き下げることが決まった。(昨年度の労災保険率の改定で、労働福祉事業等に必要な料率を従来の1,000分の1.5から1000分の1.4に引き下げたため)


2006/05/31 石綿肺がん、中皮腫の労災申請が急増

平成17年度の「石綿による肺がん及び中皮腫の労災請求・補償状況」がまとまった。
肺がん
・請求件数は712件であり、前年度61件の11.7倍
・認定件数は219件であり、前年度58件の3.8倍
中皮腫
・請求件数は1084件であり、前年度の7.3倍
・認定件数は503件であり、前年度の3.9倍
業種別
・製造業361件(50%)、建設業301件(41.7%)両業種で全体の91.7%を占めた。


2006/05/24 石綿関連・1年間1社でこれだけの死者が出ている

〔大手機械メーカー、クボタ〕
「2005年度中に石綿関連で死亡が判明した同社の社員や元社員が34人に上ったことが21日明らかになった。」(5月22日の日本経済新聞記事から)


2006/05/06 クボタに続き、ニチアスも救済金

 5月2日、「ニチアス」とその子会社「竜田工業」は、工場の周辺でアスベスト被害にあった患者等に対して、年齢等に応じて、1人当たりニチアスが1500-3000万円、竜田工業が1000-2000万円の救済金を支払うことを発表した。
 救済金の支払対象者は、原則、(1)工場(石綿を扱っていた)周辺400メートル以内で1971年以前に1年以上、居住していた、(2)業務で石綿を取り扱った経験がない、(3)石綿被害救済新法の規定を満たす患者とその遺族、(のいずれにも該当する場合)。
 なお、両社は「因果関係は認めていない」とコメントしている。


2006/04/18 クボタが石綿患者とその遺族に、「救援金」

 4月17日、大手機械メーカー「クボタ」は、旧神崎工場の周辺でアスベスト被害にあった患者等に対して、新たな補償として、症状の程度、年齢、家族構成などに応じ、1人当たり2500万〜最高額4600万円の救済金を支払うことを発表した。
 救済金の支払対象者は、原則、(1)神崎工場(石綿を扱っていた)1954〜95年の間に1キロ以内に1年以上、居住・勤務・通学のため滞在、(2)業務で石綿を取り扱った経験がない、(3)石綿被害救済新法の規定を満たす患者とその遺族、(のいずれにも該当する場合)。なお、患者・遺族に一律200万円を支払う見舞金・弔慰金制度は廃止される。

 企業が石綿の危険を知りながら使い続けた事実がある以上、訴訟による高額補償金の問題は残る。今回のクボタ発表に対しての評価は分れよう。
 この問題についての当方の関連見解があります。→筋の通らない話だ!


2006/04/14 3月27日、石綿による健康被害救済法が施行に

 「石綿による健康被害の救済に関する法律」(平成18年法律第4号)が平成18年3月27日から施行されている。
 また、3月10日公布の政令によって被害者に支払われる救済給付の額などが確定した。
 救済給付の額は、次のとおり。
 『(1)療養手当は月額10万3870円、(2)葬祭料は19万9000円、(3)特別遺族弔慰金は280万円』
 このほか、遺族には「特別遺族年金」ないし、「特別遺族一時金」が支払われる。

 なお、労災遺族で時効消滅に係る取扱いは、以下の厚生労働省作成のリーフレットに詳細説明があるので参考に。
  「石綿による健康被害の救済に関する法律(リーフレット)」


2006/04/7 この間一番の労災補償の話題

 昨年からこの間の一番の話題といえば、何と言っても、労災保険未加入中の事故補償に対する事業主からの「費用徴収」であろう。
 今後とも、
労災未加入中の事故に対しても労働者や遺族には、保険給付は行われる。
問題はそのあとの費用負担だ。
保険である以上、未加入中の事故には、事業主に全責任があることになるが、「当局からこれまで加入方の指導がなく、かつ、設立から1年未満の事業場」を除いて、(立替)給付費用の100%ないし、40%を事業主から取り立てようというのがH17.11.1から運用されている国の新・費用徴集制度だ。
 国作成のリーフレットは、具体例としてつぎのような説明をしている。

 A社では、今まで労災事故を発生させたことがなく、また保険料の支払が負担になることから、労災保険の加入手続を行っていなかった。 ところが、先般従業員B(賃金日額1万円)が労災事故が原因で死亡し、遺族の方に対し労災保険から逼族補償一時金の支給が行われた
 このようなケースでは、以下のとおり費用徴収が行われることとなる。

故意と認定された場合
 労災事故が起こる以前にA社が都道府県労働局の職員から労災保険の加入手続を行うように指導を受けていたにもかかわらず、その後も労災保険の加入手続を行わなかった場合は、「故意」により手続を行わないものと認定され、保険給付詩の100%の金額が費用徴収されることになります。
 この場合の費用徴収の額はおおむね次のとおりとなります。
遺族補償一時金の額(10.000円(労働者の賃金日額)X1,000日分)×100%=10,000,000円

重大な過失と認定された場合
 A社について、労災事故が起こる以前に労災保険の加入手続を行うよう指導を受けた事実はないものの、労災保険の適用事業となったときから1年を経過して、なお手続を行わない場合には、「重大な過失」により手続を行わないものと認定され、保険給付額の40%の金額が費用徴収されることになります。
 この場合の費用徴収の額はおおむね次のとおりとなります。
遺族補償一時金の額(10.000円(労働者の賃金日額)×1,000日分)×40%=4,000,000円

 対策は、とにかく、パートだろうがアルバイトだろうが、人一人でも使っているならば、創業一年経過までに、必ず労働保険加入手続きを済ませるしかない
 故意は当然としても、正直なところ、無知が企業倒産をまねくとしたら、穏やかではないが、『制度のことをよく知らなかった』が、理由として認められない以上、仕方がない。
 〔参照〕労災保険未加入事業場に対する費用徴収に強化について(リーフレット)


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