2007/06/04 労災補償保険の不正受給(詐欺の疑い)で告発
- (京都新聞は6月1日記事で、要旨、次のように報じている)
・京都南労働基準監督署は31日までに、労災補償保険の不正受給(詐欺の疑い)で、城陽市のNPO法人(特定非営利活動法人)「きらっと」の浦畑眞一郎代表理事(53)(=現職の城陽市議会議員)と男性事務員(46)を京都府警に告発。
『労基署によると、事務員は2005年1月に勤務中の交通事故で重傷を負い、労災保険の休業補償給付と特別支給金を受給していた。2006年5月の職場復帰したが、その後も給付請求を続け、約192万円を不正に受け取った疑い。浦畑代表理事は事務員が出勤しているのを知りながら、毎月の給付申請書などに押印していた、という。
事務員は労基署の調査に対し「交通事故の示談交渉を有利に進めるために休業期間を長く見せかけたかった」などと容疑を認め、代表理事も関与を認めている、という。「きらっと」は城陽市寺田で「きらっと介護支援センター」を運営し、府の指定居宅介護支援事業者になっている。浦畑代表理事は03年5月に市議に初当選し、現在2期目。取材に対し「軽率だった。申し訳ない」と話している。』(京都新聞)
2007/05/17 過労死及び精神障害等の労災認定率の推移
- 5月16日、厚生労働省は過労死及び精神障害等の労災認定状況について、以下のとおり発表した。
1「過労死」等事案の労災補償状況
(1) 請求件数は938件であり、前年度に比べ69件(7.9%)増加。
(2) 支給決定件数は355件であり、前年度に比べ25件(7.6%)増加。
(3) 業種別の支給決定件数は「運輸業」が最も多く、次いで「卸売・小売業」 が多い。
(4) 職種別の支給決定件数は「運輸・通信従事」が最も多い。
(5) 年齢別の支給決定件数は50〜59歳が最も多い。
2 精神障害等の労災補償状況
(1) 請求件数は819件であり、前年度に比べ163件(24.8%)増加。
(2) 支給決定件数は205件であり、前年度に比べ78件(61.4%)増加。
(3) 業種別の支給決定件数は、「その他の事業」を除くと、「製造業」が最も多い。
(4) 職種別の支給決定件数は「専門技術職」が最も多い。
(5) 年齢別の支給決定件数は30〜39歳が最も多い。
http://www.mhlw.go.jp/houdou/2007/05/h0516-2.html
当研究所では、過労死及び精神障害に関して、その認定率を算出した。
(グラフ参照)
認定率でみる限り、
[1]過労死認定率は、前年度44.1%から若干低下して、43.4%に。(全体傾向としては横ばい)
[2]精神障害等認定率は、前年28.3%から5ポイント強増えて、33.8%になっている。(直近年度において顕著な増加)
2007/03/13 全ての労災保険適用事業主が対象です
- 事業主のみなさん石綿健康被害救済法ってご存知ですか
アスベスト被害者を救うこの法律には皆さんのお力が必要なんです
支えあう力で さあ!
http://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/sekimen/chousyu/asx/070305_01.asx
↑ 2007.5.末日までこんな映像まで配信している
(コメント=この費用も全ての労災保険適用事業主が支えあいのため提供しています。)
--これこれ町の魚屋さん、あなたも1000分の0.05お願いします(モトへ)義務です--
2006/12/19 佐呂間町の竜巻災害−被災者を労災認定
- 北見労働基準監督署は18 日、佐呂間町で2006.11.7発生した竜巻災害の犠牲者9人の遺族が提出していた労災申請を、すべて認めると決めた。
−負傷の20人前後についても、申請が届き次第、労災を認める方針。
天災は、通常、労災認定の対象にならないが、「トンネル工事関係者は工事事務所内で作業の打ち合わせ中、突然発生した竜巻に巻き込まれた」点を重視した模様。〔情報源:時事通信ほか〕
2006/12/16 石綿被害で最高裁判決-4600万円の賠償命令
- 最高裁一小は、中皮腫の発症は、アスベストが原因であり対策を怠った結果であると認定して、原告(遺族)に4600万円の損害賠償を命じた(被告「関西保温工業」の上告を退ける決定を行ったもの)。
原告は1963年から同社に勤務。
コンビナートの加熱炉補修工事などの現場監督を務めていた。1995年頃から胸の痛みを訴え翌年死亡した。99年11月労災認定は得ていた。
2006/12/06 ここにも労災被害あり
- 2004年日本看護協会実施調査(看護師・介護職員3837人対象)
「職場の暴力に関する実態調査」(回答者1218人、回答率42.9%)によると、過去1年に受けた暴力被害は「身体的暴力」が31.4%、「言葉の暴力」が32.4、セクハラも14.2%が経験していた。身体的暴力の加害者の9割以上が患者やケア対象者だった。
--身体的暴力などは、被災結果を伴えば労災扱いが可能だが、加害患者やケア対象者を甘やかさないで、毅然たる対応を図らなければ、減少への道は遠いように思われる。
2006/11/06 アスベスト被害632件を特別救済(新法施行半年経過)
- 石綿新法に基づいて政策救済が図られた(時効消滅分)労災の遺族補償請求について、半年経過時点の決定状況を2日、厚生労働省が明らかにした。それによると
○請求件数 1,334件
○決定件数 945件
イ)支給決定件数 632件
(特別遺族年金551件、特別遺族一時金 81件)
ロ)不支給決定件数 313件
○これを疾病別に見ると、その決定件数は次のようになっている。
1 肺がん−支給(154)、不支給(191)
2 中皮腫−支給(452)、不支給(33)
3 石綿肺−支給(26) 、不支給(2)
4 対象疾病外−支給(0)、不支給(87)
なお、詳細は次のサイトで確認できる。
http://www.mhlw.go.jp/houdou/2006/11/h1102-2.html
2006/11/01 行政判断に過失相殺を取り入れろ ?
- 東京高裁が10月30日、元給食調理員のぎっくり腰の公務災害認定事件において、公務上の判断を示すと同時に、判決の中で『「公務災害制度の運営が(財政的に)困難に直面し、被災者側の過失に応じた減額制度などがないことがそれを増幅している。現行法に限界があるのは明らかだ。しかし制度の問題点を訴訟に持ち込むのは間違い」と制度改革を促した』と報じられている(共同通信)。
確かに(認定実務上)、『被災者側の過失に応じた減額制度などがないこと』(裁判で言う過失相殺)は認定実務面に大きな困難をもたらしている。であるからと言って、行政が事案ごとの『過失相殺』の認定を行うなら、それはそれで問題を複雑にするだけ(過失割合の決定自体が裁判の係争点になって行く)だろう。
同高裁判決が『制度の問題点を訴訟に持ち込むのは間違い』というのは、業務上外判断の性格と民事過失相殺制度を混同した見当違いの見解のように思える。
−判決事件は公務災害をめぐって業務上外が問われた事件のようであるから、民賠事件における過失相殺の考えとは違うものではないか。
2006/09/29 不整脈あり、残業もほとんどなくそれでも労災
- 共同通信によると、
『船舶の荷物積み降ろし作業後に心臓病で死亡した港湾労働者の男性=当時(48)=の遺族が、大阪西労働基準監督署長に遺族補償給付などの不支給処分取り消しを求めた訴訟の控訴審で、大阪高裁は 28 日、作業条件の厳しさなどから労災と認め、遺族の逆転勝訴とする判決を言い渡した。
1 週間の残業時間が約 1 時間で、直前の 2 日間が休日だったため「負担が重いと断定するのはためらう」としたが、死亡時が夏で直射日光を浴びて作業していたことから「前の週に比べ厳しい業務となった」と判断。
横田勝年裁判長は男性は心臓に持病があったものの「心臓病発症寸前までは悪化していなかった」から、業務による心臓病の発症であると認定し、不支給処分を取り消した。
男性は 1995年7月、早朝から貨物船に鋼材を積み込む作業をしていたが、午後8時ごろ倒れているのが見つかり間もなく死亡したもの。』(編集要約)
この判決には理屈がない。
被災者がかわいそうだレベルの判決が続く(しかも高裁判断である)のは気がかりだ。
業務上の判断は、被災者の死亡に事業主の責任を認めることであるが、
この事件の経過をもって、事業主に責任を負わせることができるかは、はなはだ疑問。
(高裁判決だけに上告を含めた最終判断は難しそうだ。しかし、このような低レベル判断での判決確定は望ましくない。)
2006/09/21 退職後の自殺は労災か
- 「H5.1.6からF園の保母として勤務をはじめたAは、勤務が苛酷で保母の交替が激しいため、勤務時間は11時間、帰宅後も、翌日の保育の準備や調理の準備などに追われていたところ、併設のT園で3月31日付けで保母6名全員が退職し4月から新任保母5名体制になるが、その元でAが主任保母としてコンピュータ導入関連の業務の担当を申し渡された。Aは、日曜日もほとんど出勤した結果、3月31日には、精神的ストレスが起こす心身症的疾患との診断で入院(翌日退院)、同日=3月31日付で保育所を退職したが、4月29日自殺した。(注H10.8.27大阪高裁判決、最高裁確定の民事事件から構成)」
本件は、事案の発症経緯からはもともと業務上の判断はあり得たと思われるが、自殺の経緯が問題となったケースである。
国は「(退職で)ストレス要因であった業務から離れたのみで急速に回復し、発症から約12日後には症状が消失した状態になっていた」と主張していたが、これは、離職後短期間であり、判断は分かれるところ。
問題は、自殺である。
国側は、文字の乱れもなく理路整然と書かれた遺書をして「覚悟の自殺だ」として問題視した。
マスコミ報道は、退職後の過労自殺を幅広く認めた判決との論調が強いのであるが、本件は「退職から自殺までの期間が短いこと」もあって、そのことは中心争点にはなっていないようだ。
争点は、先の民事判決において「自殺するに至ったのは、多分に、Aの性格や心因的要素によるところが大きい」として8割を減額し園には2割を賠償するよう命ずるのが相当である。」(H10.8.27大阪高裁)とした部分にあったようだ。
いずれにしても、国は、本件の控訴を断念している。
この結果を受けて、所轄の加古川労基署が早急に労災認定するという。
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