安全衛生管理と災害事例

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2011/01/11 認可・無認可保育所における年間事故発生状況(死亡12件、骨折等の負傷38件が発生!)

 厚生労働省は2011.1.11、平成21年12月から平成22年12月の間に報告のあった、保育施設における事故報告を取りまとめ公表しています。
 その概要は以下のとおりです。

○報告件数は50件あった。うち認可保育所が38件、認可外保育施設が12件だった。

○負傷の報告は38件、死亡事例は12件であった。

○事故発生の主なケース

・午睡中に保育士が異変を発見し、病院搬送後死亡。
・おやつをのどに詰まらせ、窒息し死亡。
・登園中、道路に飛び出し乗用車と衝突。
・火傷を負った事例については、2件ともにポット等が倒れ子供にお湯がかかり負傷。
・鉄棒、ジャングルジム等から落下または自ら飛び降り、着地に失敗して骨折。
・廊下や保育室を走り転倒。

 なお、調査の対象である認可、認可外保育施設の状況は以下のとおり。
 認可保育所(23,068か所、利用児童数2,080,114人),認可外保育施設(11,153か所,利用児童数232,765人)

 詳細は下記URLから参照できます。
 → http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r985200000101kr.html


[参考]
 なお、放課後児童クラブでの事故状況については、同厚生労働省が昨年10月に調査結果を向上している。
 その概要は、以下のとおり。
 「厚生労働省が、平成22年3月23日〜9月30日の約半年間に報告のあった、放課後児童クラブでの重篤な事故(全治1カ月以上)を取りまとめ公表した。」
 → 報告件数は、35都道府県 死亡・意識不明3件を含む105件。


2011/01/10 建設現場で働く労働者10000人に聞いた-ヒヤリ・ハット・60.0%が体験

 厚生労働省が昨年10月31日現在において、建設業における安全衛生管理体制、安全衛生活動等を調査した「平成21年建設業労働災害防止対策等総合実態調査結果」が公表されています。

 この調査結果では、労働者への個人調査において「ヒヤリハット体験」の有無が調べられています。
 (調査対象労働者数 10,920人 有効回答数 8,723人 有効回答率 79.9%)
 → http://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/saigai/anzen/09/index.html

「ヒヤリ・ハット体験」

 現在の工事現場での作業中、自分の身に危うく労働災害がふりかかるような「ひやり」としたり、「はっ」としたりした体験(ヒヤリ・ハット体験)が「ある」労働者の割合は60.0%(平成16年70.3%)
 その年代別内訳は
 29歳以下 65.2%(65.2%)
 30〜39歳 62.9%(72.8%)
 40〜49歳 58.0%(70.9%)
 50〜59歳 57.7%(70.7%)
 60歳以上 53.4%(68.2%)
 男  60.2%(70.8%)
 女  51.1%(27.1%)
 ()内は、平成20年調査

 また、その体験を他の労働者に対して「周知する機会があった」労働者の割合は93.0%
 周知する機会(複数回答)をみると、「朝礼など現場のミーティングで話し合いをした」71.7%が最も高くなっている。


2011/12/25 再生砕石に混入するアスベスト対策で、3省が実施した解体現場,破砕施設のパトロール結果

 「再生砕石に混入するアスベスト対策について」(平成22年9月9日 厚生労働省、国土交通省及び環境省)に基づき、都道府県、労働基準監督署等が、再生砕石へのアスベスト含有建材の混入防止を図るため、解体現場及び破砕施設へのパトロール等を実施した結果が公表されている。

 → http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000000zdmu.html

 詳細は前記リンクを直接参照してください。

 厚生労働省、国土交通省及び環境省の3省関連のうち、労働安全衛生法を所管する労働基準監督署にかかる部分のパトロール結果は、次のとおりとされている。

 ---労働安全衛生法(石綿障害予防規則)に関するパトロールの実施結果

 労働基準監督署が都道府県等と合同でパトロールした現場において、石綿含有建材に係る内容の指導を行ったものは172件でした。

・ 石綿含有建材の事前調査を実施していない又は結果の記録と概要の掲示を行っていないため、その徹底について指導したもの(154件)
・ その他、湿潤化を実施していない、保護具を使用していないため、 その徹底について指導したもの等 (18 件)


2011/12/17 受動喫煙防止対策、メンタルヘルス対策にかかる部会報告書案

 厚生労働省の労働政策審議会安全衛生分科会は、年内にも「今後の職場における安全衛生対策について報告書をまとめ、2011年の通常国会に労働安全衛生法改正案を提出する方針とされる。

 以下は、2010.12.13分科会で示された報告書案の概要である。
(原文の方も、A4-6ページとコンパクトにまとめてあるので、下記リンクから原文を参照してください。)

1 職場における受動喫煙防止対策

イ)一般の事務所、工場等--全面禁煙や空間分煙を事業者の義務とする

ロ)飲食店、ホテル・旅館業等--全面禁煙や空間分煙を事業者の義務とするが、営業上の支障が生じ、全面禁煙や空間分煙の措置をとることが困難な場合には、当分の間、可能な限り労働者の受動喫煙の機会を低減させることを事業者の義務とする。
 なお、以上については罰則は付さない

2 職場におけるメンタルヘルス対策

イ)医師が労働者のストレスに関連する症状・不調を確認し、この結果を受けた労働者が事業者に対し面接の申し出を行った場合には、現行の長時間労働者に対する医師による面接指導制度と同様に、事業者が医師による面接指導および医師からの意見聴取等を行うことを事業者の義務とする「新たな枠組み」を導入する

ロ)個人情報の保護の観点から、医師(ストレスに関連する症状・不調の確認を行った医師)は、労働者のストレスに関連する症状・不調の状況および面接の要否等の結果については、労働者に直接通知する

ハ)事業者は、労働者が面接の申し出を行ったことや、面接指導の結果を理由として、労働者に不利益な取り扱いをしてはならない


http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000000ympk.html




2010/11/09 酸欠か?苫小牧埠頭」の大豆かすなどの家畜飼料の保管倉庫

・8日午後4時20分ごろ、北海道苫小牧市真砂町の物流会社「苫小牧埠頭」の倉庫で作業中の男性2人が倒れた。2人は病院に搬送されたが、まもなく死亡が確認された。
・地元消防によると、事故直後の計測で倉庫内部の酸素濃度が通常の約3分の1になっており、酸欠になった可能性がある。
・倉庫は大豆かすなどの家畜飼料を保管しており、袋のカビを取り除く作業などをする予定だったとみられる。(日経新聞2010.11.9朝刊記事から)


2010/10/24 放課後児童クラブでの重篤な事故〜35都道府県で死亡を含む105件(過去6ヶ月)

 厚生労働省が、平成22年3月23日〜9月30日の約半年間に報告のあった、放課後児童クラブでの重篤な事故(全治1カ月以上)を取りまとめ公表している。

 報告件数は、35都道府県 死亡・意識不明3件を含む105件。

どのような事故が多かったのか。
以下は主な事例。

・児童同士の「ふざけあい」などによる遊具(鉄棒、ブランコ、シーソー、すべり台、ロープウェー、一輪車、うんてい、ジャングルジム)からの転落。

・球技(サッカー、ドッジボール)中の他児童との衝突、転倒。

・集団遊び(追いかけっこ、馬跳び)中の転倒。

・他児童から押される、引っ張られるなど、児童同士のふざけあいによる転倒。

・2階のクラブ室に通じる階段や座っていた窓枠からバランスを崩し転落。

・施設内を走る、坂を駆け下りる際に転倒。

・帰宅中や活動として敷地外の公園に向かう途中における車との接触。

・プール遊びの自由活動中に溺れる。

・他児童がドアを閉め、ドアに指を挟まれる。

・机を移動する際、手をすべらせ、机が児童の足に落下。


2010/10/20 昨年4月の千代田区ビル現場のクレーン転倒事故(通行人死亡)で、書類送検

 「東京都千代田区のビル建設工事現場で昨年4月、作業中のクレーンが倒れて通行人の女性が死亡するなどした事故で、警視庁捜査1課は19日、元請け業者の東亜建設工業(東京・新宿)の男性現場責任者(44)ら4人を業務上過失致死傷容疑で書類送検した。
 現場にいなかった元請け側の刑事責任を問うのは異例だ。同課は下請けや孫請け業者を指導する立場にもかかわらず、クレーンの操作場所が安全かどうかを確認させるなど適切な対応を怠ったことが事故につながったと判断。漫然と下請けに任せることがないよう建設業界に警鐘を鳴らした。
 ほかに書類送検したのは東亜建設工業の男性工事担当者(34)、下請けの大洋基礎(同・中央)の男性社員(35)、クレーンを操縦した孫請けの光北産業(埼玉県新座市)の元オペレーターの男性(39)。
 送検容疑は昨年4月14日午前11時10分ごろ、千代田区麹町の工事現場で、クレーンの最大荷重を確認するなど必要な安全対策を怠って重さ約10・5トンの資材をつり上げ、クレーンを横転させた。長さ約28メートルのアームが工事用フェンスをなぎ倒し、下敷きになった東京都武蔵野市の会社員、山本槙子さん(当時62)を死亡させたほか、4人に重軽傷を負わせた疑い。
 このほか元オペレーターもけがをした。

 同課によると、クレーンはつり上げる資材との距離(作業半径)が長くなるほど最大荷重が低下する。10トンの資材をつり上げるには作業半径を約10メートル以内にする必要があったが、事故当時は半径約14メートルだった。
 同課は、大洋基礎の社員は作業半径を適切に保つよう指導せず、元オペレーターも作業半径を確認しない過失があったと認定。元請けの2人は事故当時は立ち会っていなかったが、事前の打ち合わせの際などに安全管理を怠ったと判断した。」

(以上、日経新聞2010.10.19夕刊記事から)


[コメント]
1)管理責任の問題は確かにあるが、クレーンのオペレーターにプロの自覚がないことが、この種の事故の最大の問題だ。
 作業半径超えを知り、過負荷の状況にあることは承知しながら起こす事故が大半だ。危険状態を承知で起こした事故が「過失」とはブラックジョークのような話だ。
 これからも移動式クレーンの横転事故は続くだろう。

2)記事中の「現場にいなかった元請け側の刑事責任を問うのは異例だ」
確かに、元請けの工事担当者(34)は、管理責任を問われたのではないようだから、現場にいなかった人間の過失を問うのは異例といえば異例なのかも知れない。


2010/10/16 鉱山事故の安全対策の現状を反映し、桁違いの「激発」

(再掲)

 チリ北部で発生した鉱山事故(8月5日発生)は、2ヵ月以上にわたって地中に閉じ込められてきた33人の鉱山労働者の救出作業は10月14日に無事終了した。(祝!)

(***)
 世界の労働力の約1%が従事する鉱業。死亡災害の発生割合では全産業の8%を占め、毎日、約6,300人が業務上の負傷や疾病で命を落とし、年間合計では230万人以上に達する。労働災害件数も年間3億3,700万件に達している。(ILO調査)

 このように、鉱業(鉱山)は、もっとも労働災害防止対策の遅れた分野の一つではある。


2010/10/13 化学物質のリスク評価-平成21年度検討会報告書「対象4物質の評価結果」

 有害物暴露作業報告制度に基づく平成21年度化学物質リスク評価結果が「報告書」にまとめられた。
 21年度の評価対象化学物質は、次のとおり。

1 酸化プロピレン
2 1,4-ジクロロ-2-ブテン
3 ジメチルヒドラジン
4 1,3-プロパンスルトン

 これら化学物質については、
 発がん性が認められるとして、1〜3の物質は、規制し健康障害防止措置を講ずるのが相当(一部は特化物第2類としての規制)
 また、4の物質は、測定結果は定量下限値未満であったが一定の健康障害防止措置を講ずべきであるとする報告書の内容である。
詳細は下記URLから報告書を直接、ご確認ください。
→ http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000000tu0n.html


2010/09/29 2010.9.28、日本経済新聞「なるほどタイム」に”ホーム柵、事故防ぐ効果てきめん”の記事

 表題の記事は、次の通り。

 「鉄道駅のホームで列車と接触したり、線路に落下したりする事故が後を絶たないことから、鉄道各社が「可動式ホーム柵」の設置を急いでいる。
 国土交通省によると、2010年3月時点の設置駅は449駅で、統計がある2年前より61駅増えた。ただ、国内の駅全体に占める割合は5%弱にとどまっている。
 ホーム柵は1974年に東海道新幹線の熱海駅に設置されたのが第1号。
 その後、私鉄や東京、大阪、名古屋の地下鉄なども導入し始めた。
 国交省によるとホームでの転落・接触事故は酔客を中心に最近、増加傾向にあり、これを受けてホーム柵の設置も加速している。JR東日本は17年度までに山手線全駅への設置を目指している。
 事故や自殺を防ぐ効果は高く、すでに全駅に設けた東京メトロの南北、丸ノ内、副都心線は以来、事故が起きていない。
 国交省は「設置のペースをさらに上げてほしい」と期待する。半面、ドア数が異なる列車が乗り入れる駅では可動部分の位置決めが難しく、ホームが狭く設置スペースが取れない駅も多いといった課題もある。 」


[コメント]
 隔世の感あり
 その昔、さすがに、それは難しいことだと妙に納得していた私がいた。


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