安全衛生管理と災害事例

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2008/10/25 EU化学物質規制「REACH」の日本版-2010年度にも導入

 化学物質管理で新規制-「製造・輸入量、用途」の年1回報告義務づけへ

 「新規制は化学物質審査規制法を改正して導入。2008.10.23に開く経済産業、環境、厚生労働各省の合同審議会で同法改正案をまとめ、来年の通常国会に提出する方針だ。」(以上は、2008.10.23日本経済新聞朝刊記事から)という。

 現行法は1973年以降の化学物質が対象だが、改正案のポイントは「既存化学物質」を対象に加えること。新たに対象となる既存物質は、推定「2万種超え」というから、影響は大きいが、国は、はじめて化学物質の総量把握が可能となる。
 なお、企業には、年1回、国への報告を義務づけるが、EU化学物質規制「REACH」のように、直ちに企業に「安全性の評価」を求めるものとはなっていない、と云われる。


2008/10/02 「労災かくし」の書類送検-最近の労災かくしのパターンはこうだ!!

厚生労働省が2008年9月に「労災かくし」防止キャンペーンの一環として公表した労働基準監督署による最近の「書類送検」事例。
(一部、編集アレンジしています:労務安全情報センター)

事例(1)
  労働安全衛生法違反の疑いで、建設会社Yと経営者Aを書類送検
 経営者Aは、同社が請け負った工事現場で、同社の作業員が作業中に高さ約7.5メートルの足場から墜落し、両手首骨折の重傷を負って4日以上仕事を休んだにもかかわらず、所轄労働基準監督署長に労働者死傷病報告を提出しなかった疑い。

事例(2)
  労働災害が発覚するまで「労働者死傷病報告」を提出しなかったとして、労働安全衛生法違反の疑いで、2次下請である塗装業Bの代表bと3次下請の塗装業Cの代表cを書類送検。
 
マンション新築現場で、Cの作業員が吹き付け塗装をするためのシート張りをする際、転倒し右手首を複雑骨折したが、BとCは共謀して、「受注を確保するために元請けに労災保険で迷惑をかけたくない。」として労働災害を隠蔽したもの。

事例(3)
  運送会社Dと同社社長を労働災害5件を隠した労働安全衛生法違反の疑いで、書類送検
 同社は荷物を扱う作業中に発生した社員の骨折など、1年1か月間で起きた5件の労働災害について、「労働者死傷病報告」を提出しなかったもの。社長は「荷主に知られたくなかった。」と供述。

事例(4)
  虚偽の「労働者死傷病報告」で労災かくしを行ったとして、労働安全衛生法違反の疑いで建設会社Eと同社の専務取締役を書類送検
 同社は元請建設会社から2次下請けしたビル建設工事を行っていたが、同社労働者が同建設現場で熱湯を浴び全治3週間のやけどを負った労働災害が発生した際、「自社の資材置き場で起きた。」と同労基署に虚偽の報告をした疑い。
 工事現場での労働災害は、元請建設会社の労災保険で補償されることになっているが、同社専務は「元請けの労災保険を使うと迷惑がかかり、仕事がもらえなくなると思った。」と供述。

事例(5)
  マンションの改装工事中に労働者が骨折した労働災害があったにもかかわらず、別の工事で労働災害があったとする虚偽の「労働者死傷病報告」を提出したとして、労働安全衛生法違反の疑いで、電気工事会社Fの社長を書類送検
 社長は、他県で行っていたマンション改装工事で、同社労働者がはしごから墜落し、あごなどを骨折した労働災害があったにもかかわらず、同工事現場の所轄労基署に「労働者死傷病報告」を提出せず、自社で請け負った別の工事現場で労災事故があったように装い、別の労基署に「労働者死傷病報告」を提出した疑い。
 元請けに迷惑がかからないよう、労働者の治療費を自社で負担しようとしていたが、負担が大きく、別の工事で労働災害に仕立てたもの。
 元請けの担当者2名と1次下請けの建設会社社長も黙認していたとして、同法違反の共犯で書類送検した。


2008/10/01 常勤産業医の配置

 リコーは、全国の主要事業所に8人の常勤の産業医を置く。
 健康診断とストレスなど心の健康状態の診断を連携させ、両者の診断結果を照らし合わせて不調の原因を詳しく分析し、産業医や保健師から総合的なアドバイスを受けられるようにする等、社員の「体」と「心」の健康を一体的にサポートする体制を整える。

編注:(2008.9.22日経新聞朝刊記事を参考に編集しました。)


2008/10/01 2年余7件8人の労災死亡発生の「幸陽船渠」を書類送検(広島労働局・三原労基署)

 2008.8.29付け本ページ記事でもお伝えした広島県三原市の造船会社「幸陽船渠」において、8月に、作業員がレールの下敷きになって死亡した事故を捜査していた、三原労働基準監督署は2008.9.30、同社と、施設管理チーム長(53)と担当技師(28)の3人を労働安全衛生法違反容疑で、書類送検した。

 ※ 三原労基署の調べでは、8月24日朝、同社ドックで、移動式クレーンで運搬中のレール(重さ約300キロ)が落下。下請け会社の男性作業員(61)が下敷きとなって死亡した。2人は法律で禁止されているのにつり荷の下に作業員を立ち入らせ、クレーンの運転手にも作業方法などを伝えなかった疑い。(共同通信記事を参照しました)


2008/09/26 労働安全衛生法施行令・安衛則、特化則等の一部改正へ

(再掲)

■ 2008.9.22、労働政策審議会の答申を受け、以下の労働安全衛生法施行令改正を行う。



(1) 譲渡・提供時に名称等を表示すべき物及び特定化学物質(第2類物質)として、ニッケル化合物(ニッケルカルボニルを除き、粉状の物に限る。)並びに砒素及びその化合物(アルシン及び砒化ガリウムを除く。)を追加。(H21.4.1施行予定)

(2) 石綿等の製造又は取扱いに伴い石綿の粉じんを発散する場所における業務について、特別の項目についての健康診断及び健康管理手帳の交付の対象とする。(H21.4.1施行予定)

(3) 代替が困難であった適用除外製品等について、その一部について代替化が可能になったこと等から、それらの製造等を禁止する。(H20.12.1施行予定)


■ 同時に、H21.4.1施行予定で「労働安全衛生規則」、「特化則」、「作業環境特定法施行規則」、「石綿障害予防規則」の改正も行う。



(1) 労働安全衛生規則の改正によって「石綿等の製造又は取扱いに伴い石綿の粉じんを発散する場所における業務について、健康管理手帳の交付の対象要件を定める。」

(2) 特定化学物質障害予防規則の改正によって、

 ○「ニツケル化合物(ニツケルカルボニルを除き、粉状の物に限る。以下同じ。)並びに砒素及びその化合物(アルシン及び砒化ガリウムを除く。以下同じ。)を「管理第2類物質」とし、かつ、特定化学物質障害予防規則第38条の3の「特別管理物質」とする。」
 ○「燻蒸作業を行うときの措置の規制対象に、ホルムアルデヒドを追加する。」

(3) 作業環境測定法施行規則の改正によって、「ニツケル化合物並びに砒素及びその化合物を製造し、取り扱う作業場の種類を分類する。」

(4) 石綿障害予防規則の改正によって「石綿等の製造又は取扱いに伴い石綿の粉じんを発散する場所における業務について、特別の項目についての健康診断の対象とする。」


2008/09/12 吹付けアスベスト等を使った場所がある-実態調査

厚生労働省が11日発表した同省所管施設の吹付けアスベストの使用実態調査の結果では、
 「吹付けアスベスト等を使った場所が施設内にある」が
(1) 1,335の病院(31.1%)
(2) 4,558の社会福祉施設等(5.5%)
(3) 278の公共職業能力開発施設等(18.9%)

 このうちの223施設
 (前記のうち(1)が109病院(2)が112施設(3)が2施設)
で石綿等の粉じんが飛散する危険性がある。
http://www.mhlw.go.jp/houdou/2008/09/h0911-1.html


2008/09/08 三重-内径1.1メートルの細いずい道で、「換気不良」事故

 2008.9.7、三重県四日市市泊小柳町の工業用水配管工事現場で、地下約4メートルに埋設された配管(直径1.1メートル,全長1.2キロメートル)内で作業していた従業員2人と連絡が取れなくなったが、その後2人の死亡が確認された。
 工事は配管の内側に新しい管を入れて補強する工事で、当日2人は午前8時ごろから別の作業員とともにコンクリート製の配管内に入り、ポンプで水を抜く作業をしていた、という。

(編注)全長1.2キロメートル、内径1.1メートルというから中間には立坑等はなかったのだろう。ずい道内は、水抜きを要した訳だから「腐敗による硫化水素」「酸欠」のきけんは想定すべきだが、送風機による換気はどうしていたか、等は不明。


2008/08/30 東京・赤坂の建設現場でゴンドラ転落

 東京・港区の高層マンションの建設現場で29日午前、作業用のゴンドラが10階付近から地下に転落する事故があり、ゴンドラに乗っていた作業員2人(男性40歳、52歳)が死亡した。
 事故があったのはゼネコン大成建設が施工(工期2006年8月〜2009年6月)している「赤坂四丁目薬研坂南地区市街地再開発工事」で、高さ約160メートル、地上43階、地下2階のビル。
 落下したゴンドラは地上35階から地下1階まで移動できるが、近くにいた別の作業員の証言などから、ゴンドラは高さ約30メートルの10階部分で、エレベータの設置作業を行っているときに落下したようだ(何らかの原因でゴンドラを吊るワイヤロープが切断したと見られる)。
 この工事現場では、5月30日にも、32〜35階部分に設置されていた足場が約95メートル下に落下する事故があったばかり。

※(マスコミ各紙の記事を参照してまとめました)
(編注)箱ごと落とすとは、”ミットモナイ”限りだ。


2008/08/29 今年の造船業の死亡災害の3分の1は「幸陽船渠」で発生

 広島県警は28日、本社/広島県三原市幸崎町能地544−13「幸陽船渠」(社長 檜垣俊幸)の家宅捜索に踏み切った。
 同造船所では2006年以降、8件9人が犠牲となり、今年だけで4人が死亡するなど事故が突出している。
なお、今年起きた全国の造船業における死亡事故はこれまでに12件12人。うち広島県内が6件6人と半数を占め、さらに、うち、4件4人を幸陽船渠が占めている。
(中国新聞2008年8月29日記事を参考にしてまとめました)

 なお、同社は従業員数407名だが、場内に、数十社の協力事業所があり、約2,000人の従業員が船舶の建造・修理に従事している。


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