ISO9000s,14000sの認証制度
■HOMEPAGE
■640/480 ■安全衛生管理
■国内におけるISO9000s、14000s認証取得の増加の背景 目次に戻ります ここ数年、ISOによる品質管理の国際規格ISO9000シリーズを導入している企 業が増加している。 輸出企業が海外顧客から認証取得を要求されるケースが多くなり、企業がそれに対応し たのが普及の契機となった。いまでは、国内の企業取引でも定着の勢いにある。 ISOには、品質管理(ISO9000シリーズ)環境管理(ISO14000シリー ズ)のほか、労働安全・衛生管理(番号未定)も制定される予定となっている。 その背景と最近の動向を探ってみた。 ■経済のグローバル化に伴って多発する貿易摩擦の解決策、すなわち、貿易障壁の対策 として活用しようという気運があること。 日本政府も、規格・基準の国際的整合性と相互承認制度の導入を図る(平成8年3月 29日閣議)としている。 ■ISOは、米英法の影響をうける国を中心に普及してきた。これらの諸国では、認証 取得は、ビジネス取引上、必須となっている。PL法・製造物責任訴訟対策でも、認 証取得は重要で、損害保険会社も契約締結において重視している。 アメリカでは、製品、製造物を原因とする労働災害も、多く製造物責任訴訟で争われ ている。 イギリスでは、労働安全・衛生管理も国内規格BS8750シリーズ(現在8800 の追加制定がなされたとの情報もある)で運用に入っており、この規格をベースにI SO規格を制定しようと動いており、動向が注目される。 ■ISOの基準は、その時点での最高基準を要求するものとなっており、例えば、我が 国の労働安全衛生法が規定する「最低基準」とは性格を異にしている。最低基準を守 ることに戦略を設定していては、企業の存続が図れない時代を迎えるかも知れない。 ■建設業は、内需型産業の典型だが、この業界すら国際化の影響から無縁ではない。参 入障壁への批判へ対処し、国際的に適合する入札基準を考察する中で、ISOの導入 が検討されている。 民間工事や地方公共工事の小工事への適用は当面の問題にはならないとしても、IS Oの認証取得の有無は建設業の存続条件としての重要性を持つようになると考えるべ きかも知れない。 ■日本の多くの製造メーカーは、アセンブリングメーカーであることから、最近では、下請 工場を巻き込んだ形で認証取得に取り組む動きもある。百貨店業界は、PL法に対応 して仕入先と販売員の品質管理、教育の徹底に取り組んでいるほか、ISO1400 0Sの内容に沿った環境保護への訴求を強めている。 ■ISOの認証制度は、作業手順書や品質検査記録などの立証のための文書化要求が厳 しく、事務能力のある管理者層にめぐまれない企業は苦戦を強いられる。政策面でも、 この問題への中小企業対策が急務と思われる。 ■企業あるいは事業所は、ISOの動向、流れについて情報を的確にキャッチしておく ことが重要である。 【ISOについて】 目次に戻ります ISOは、1947年国際連合規格調整委員会と万国規格統一協会を母体に設立され、 多国間交易の促進のため、規格の統一を図り技術的貿易障壁を取り除くための役割が を持つ。本部をジュネーブにおく非政府機関。 このうち、ISO9000(品質管理)シリーズは、1970年代後半、ヨーロッパ経 済が落込みを見せたとき、日本やアメリカに対して国内市場が小さく、品質規格も各国 バラバラの現状では対抗できない、という反省があり、EC統合、規格統一への気運が 盛り上がって行った。特に、イギリスはISOによる標準規格の制定に熱心であった。 ISO9000シリーズは、1987年に、イギリスで先行実施されていた品質システ ム認証制度が世界の共通制度として承認されたものである。 現在では、イギリス・欧州での認証件数が世界の78%を占めているが、北米の件数も 増えている。 ISO14000シリーズは、企業のマネジメントを環境保護の観点から規定したもの。 ISO9000SもISO14000Sも企業の行動指針を規定したものであるが、IS O9000Sは製品設計から出荷までを対象に、工程プロセスを重視した管理システム の維持を目的としている。 一方、ISO14000Sは、企業の環境面に対するマネジメントシステムを重視し、 環境保全の持続的改善を目的としている。 【ISO9000シリーズの認証制度について】 目次に戻ります ISO9000シリーズは、製品品質の規格ではない。工場あるいは企業の「製品の品 質を保証するシステム」に関する規格である。審査登録機関が、企業等の品質システム を客観的に審査し、ISO9000シリーズの要求事項に適合していれば認定機関に登 録する仕組である。 〈認証取得のプロセス〉 (1)企業あるいは事業所が認証取得の申請を行う。 (2)審査登録機関が書類審査を行う。 (3)その後、審査登録機関による予備審査、本審査が行われ、合格決定がなされる。 (4)企業あるいは事業所は認定機関に登録し、認証取得が完了する。 なお、認証取得後も、品質システムの定着状況の観察を受ける。3年毎に再審査が行わ れ、要求事項に適合しなくなれば認証取得は取消されることとなる。 日本における認定機関として、日本品質システム審査登録認定協会(JAB)がある。 認証取得には、1年6カ月の期間がかかるといわれる。 日本経済新聞(平成8年8月16日朝刊第1面トップ)記事全文 目次に戻ります 環境配慮の企業認定 ISO国際規格を採択 産廃や省エネ目標作り促す−−取引条件にも−− 産業分野の国際規格を決めている国際標準化機構(ISO、本部ジュネーブ)は、「 環境に優しい企業」を認定するための国際規格の導入を決めた。この規格は、「ISO 14001と呼ばれ、「一定の条件を満たした企業を各国の審査登録機関が認定する仕 組み。9月下旬に国際規格として発効、通産省は日本工業規格(JIS)に取り込む。 認定されているかどうかが国際取引の選別につながる可能性が大きく、日本企業も対応 を迫られよう 今回採択されたISO14001は環境に配慮した企業経営として、@産業廃棄物の 削減、省資源、省エネ、リサイクルなどの具体的目標を定めて企業内外に周知するA実 施責任者を決め、各事業部門ごとの具体的な実施内容を文書でマニュアル化するBノウ ハウのある監査人が点検するーーことなどを国際規格として決めている。 企業は事業所ごとに、通産省の外郭団体である日本適合性認定協会(JAB)から認 定を受けた民間の審査登録機関に申請し、この規格を満たせば認定される。参加各国の 政府はISOの国際規格に沿って国内規格を整えることになっており、通産省はISO 規格をそのまま日本語訳してJISに取込、10月20日に日本でもスタートさせる。 環境規格は法的拘束力はなく、企業にとっても認定を受ける義務はない。しかし、環 境に優しい企業としてイメージアップにつながるだけでなく、環境問題に敏感な米欧の 企業・政府などとの間では、事実上の取引資格になる可能性もある。すでにチバガイギ ーやノキアなどの欧州企業は、日本の取引企業に同規格の認定を申請するかどうかを打 診している。 日本企業はかつてISOの品質管理規格を軽視したため、欧州企業から取引停止など の不利益を被った苦い経験がある。今回は日本企業の関心も高く、ソニー、NECなど ISO14001の草案段階から仮認定を受けている企業も多い。規格が正式に発効す れば申請が相次ぐとみられる。 ISOは環境対策のための経営規格が採択されたことを近く各国に正式に通知する。 今後は環境に配慮した製品に付与する「エコアマーク」など環境に関する具体的な規格 を順次採択する見通しだ。 ISO14001認定のため企業が実施すべき対策例 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− ○廃棄物削減、省エネなどの目標を作り、社内に周知させるだけでなく社外にも公表する ○担当役員など責任者を決める ○各事業部門で取り組むべき対策、責任、権限などを明記した実施マニュアルを作る ○苦情記録、製品情報、環境への影響度などをまとめた環境記録を作る ○環境法規などの知識をもった社内外の環境監査人が実施状況を点検する ○経営層が定期的に監査結果や目標達成度を検討し、管理システムを見直す −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−