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■波紋を広げる労働省の「時間当たり賃金が減少しなければ・・労基法適用上問題ない」見解
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労働省労働基準局賃金時間部労働時間課長が、平成9年2月7日、全国中小企業団体中央会・日
本商工会議所・全国商工会連合会・全国商店街振興組合連合会の中小企業4団体に次のような見
解を示しが、これに、連合をはじめ労働団体が猛反発、波紋が広がっている。

「週40時間労働制への移行に伴う月給者に対する賃金の取扱いについては、基本的には労使間
の話し合いで解決すべきものであるが、週40時間労働制の移行に伴う賃金の改定に当たっては
、時間当たり賃金が減少しない等労働時間の変更との関係からみて合理性があるものであれば、
労働基準法の適用上問題とならない。」

加えて、平成9年3月31日付け労働省労働基準局長名で『(賃金)決定の合理性についても当
事者の判断に、委ねられるものである』などと釈明通達を出したものの混乱は収まらない。
実はこの問題は、賃金水準の決定の問題であると同時に、就業条件(就業規則)の不利益変更に
当たるか否かの問題を含んでいるのだが、今回、労働省の一連の見解明示には、後者の視点が全
く欠けているのが気にかかるところである。

今後、この『月額賃金の引き下げ(時間当たり賃金は維持)』の問題は、法律上の係争点として
は、就業規則の不利益変更の問題として浮上する可能性が高い。
そこで、一連の経緯と「週40時間制移行と賃金問題について」の経過と問題点を整理してみた。

「週40時間制移行と賃金問題について」のページを見る





■化学物質の有害性調査の範囲拡大と情報のデータベース化を提言!
 (労働省設置の検討会)
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労働現場で使用されている化学物質は、その数およそ5万2千。年間500〜600の新規物質が新
たに導入されている。
労働省が平成7年7月に設置していた「化学物質の有害性調査のあり方に関する検討会」(座長高田
昴北里大学名誉教授)による検討結果が、このほど、報告書としてとりまとめられ、要旨以下のよう
な提言がなされている。
【報告書における提言のポイント】
1 がん原性以外の有害性調査の実施方法
(1)従来から実施している化学物質のがん原性の調査に加え、生殖毒性、神経毒性、臓器毒性、刺
   激性、感作性等がん原性以外の有毒性についても優先度合いを考慮しながら調査。
(2)調査対象とする化学物質は、国内でのばく露労働者数及び取扱い量が多い化学物質や国際的に
   有害性調査の必要性について合意が得られている化学物質とすべき。
(3)専門家会議の設置。
2 国及び民間が果たす役割
(1)化学物質を製造・輸入する事業者等が共同して有害性調査を行う仕組みを設ける必要がある。
   (国の積極的支援)
(2)国による基本方針の策定。
(3)化学物質の有害性に関する情報をデータベース化し、広く国民に提供する必要。






■労働安全衛生規則等の改正、平成9年3月25日公布
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「今回の改正は、社会経済情勢の変化や技術革新の進展等に対応して、職場における労働者の安全と
健康を確保する上で安全衛生水準の低下をもたらさない事項について、技術的検討を経て見直しを行
い、所要の措置を講ずるとともに、高圧ガス取締法の改正等に伴う所要の整備を行ったもの」とされ
ている。
改正のポイントは、つぎのとおり。
○労働安全衛生規則
 1 高圧ガス取締法の改正に伴う所要の整備(H9.4.1施行)
 2 特許法の改正に伴う所要の整備
 3 安衛規則第599条(織機のひで緒を引き出す場合の緒引出具の規定)の削除
 4 安衛規則第621条(たんつぼの備え付けの規定)の削除
 5 有機溶剤中毒予防規則の改正に伴う所要の整備
 6 少量新規化学物質の確認申請を継続して行う場合に申請様式の記載の簡略化。 
○ボイラ・圧力容器安全規則
 1 高圧ガス取締法及び電気事業法の改正に伴う所要の整備(H9.4.1施行)
○クレーン等安全規則
 1 積載荷重が0.25トン以上1トン未満のエレベータで設置から廃止までの期間が60日以内
   ものについて、エレベータ設置報告書の廃止。
 2 玉掛技能講習の受講資格を定める規定の廃止。(H9.10.1施行)
○有機溶剤中毒予防規則
 1 プッシュフル型換気装置を規則に取り入れ、関連規定を整備。
 2 空気清浄装置を設けていない局所排気装置等の場合でも、労働大臣の定める濃度以下であれば
   排気口の屋根からの高さを1.5m以上とするには及ばないとされた。
 3 局所排気装置等を稼働させる場合、それそれの性能規定(制御風速、要件、換気量)以上での
   稼働が義務づけられた。(所轄監督署長の許可を受けた場合、例外運転の規定あり。)
   (H9.10.1施行)
 4 一部様式の改正。
 5 その他。
○特定化学物質等障害予防規則
 1 製造許可申請に添付の摘要書の一部改正。
○施行日 項目末尾に記載。無記載の項目は平成9年3月25日から施行。







■国際標準化機構(ISO)は労働安全衛生に関する管理システムについて当面、
 国際標準化を見送る方針
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平成9年3月20日の日経新聞が、『国際標準化機構(ISO)は労働安全衛生に関する管理シス
テムについて当面、国際標準化を見送る方針を決めた。、、』と報道している。
ISO9000s(品質)ISO14000s(環境)に続くものとして、労働災害防止などの安
全衛生マネジメントシステムの国際標準化作業の行方が注目されており、昨年11月末までのワー
クショップの報告書に基づき本年1月の技術管理協議会で最終方針が決定されることになっていた。
今回、その調整がつかなかったものと思われるが、概ね妥当な結論であろう。
そもそも、ISO規格として制定することが妥当かという点で疑問も提起されていた。
”品質”、”環境”問題と違って労働基準の規格化は、伝統的に労使に政を加えた3者構成の場で
の協議という枠組の尊重が必要。加えて、最近の労働安全衛生の課題はヒューマンマネジメントの
領域に踏み込んだ対策が重要になりつつあり、関係国の慣行には大きな相違点がある。
また、ISOの書類審査偏重、マニュアル主義も問題が多い。中小企業、ベンチャー企業にとって
は新たな障壁となりかねないほか、マニュアル偏重は産業現場の安全衛生管理において、むしろ有
害ですらある。
(マニュアル主義ともいうべき安全衛生活動への消極論であって、活動の集大成としてのマニュア
ルの存在の意義を否定するものでも、安全教育・訓練活動を視野に入れた作業手順書の意義を否定
するものでもない、、。)
労働安全衛生に関する管理システムは、ISOを離れた場で研究協議されることが適当と思われる。







■平成8年度の産業別最低賃金が確定!249件、約477万人が適用を受ける
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全国の各労働基準局(最低賃金審議会)において、進められていた平成8年度の産業別最低賃金の
改訂作業が終了した。新しい産業別最低賃金は249件(金額改定240,新設3,据置6)。
全国加重平均日額は、5,649円で前年度より129円、2.34%の上昇となった。
この産業別最低賃金の適用を受ける労働者は約477万人と推定される。
なお、産業別最低賃金の適用を受けない労働者は、地域別最低賃金(全国加重平均日額4,969
円、対前年2.12%アップ)の適用を受ける。

全国の最低賃金一覧表で、個別の地域別最低賃金・産業別最低賃金の金額を確認する




■電磁波がガン抑制の免疫機能を弱める可能性がある?
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労働省産業医学総合研究所の城内主任研究官らが1月に、オフィスや家庭の電気製品から発生する
極低周波の電磁波がガンを抑制する人間の免疫機能を弱める可能性があるとの研究発表を行った。
電磁波の問題では以前、妊娠中の女子への影響が論議されるなどの経緯があったほか、パソコンの
ディスプレイの遮蔽対策が講じられたりした。今回新たな研究成果が出たことにより、電磁波の人
体に及ぼす影響と今後の研究の推移に、企業の安全衛生担当者は注目しておく必要があろう。

日経パソコン(日経BP社)3月10日号が関連の記事を掲載している。
現在、他のデータが入手できないのでこの記事を引用する形になるが以下に紹介する。

電気機器から発生するのは、50Hz程度の極低周波であるが、
『実験では「末梢血液リンパ球」と呼ばれる血液の一成分を実験装置に入れて50Hzの電磁波を
71時間浴びせリンパ球が作り出す6種類のサイトカイン(免疫関連物質)の産生量の変化を見た。
浴びせた電磁波の強さは1,3,10,30ミリテラの4段階である。注目されたのはガンを抑制
する機能を持つ糖タンパクTNF_α(腫瘍懐死因子)の産生量の変化。1,3,10ミリテラの
環境下では通常の75%程度、30ミリテラでは90%程度に低下した。すなわち、極低周波を浴
びることで細胞レベルではガン免疫力が落ちるという結果が得られたことになる。』
日経パソコンは、併せて、この研究について城内研究官は、「TNF_αの産生量の25%の低下
が人体に具体的にどのような影響を及ぼすのか、まだわからない。TNF_αの産生量の変化は精
神的ストレスなどによっても見られ、さほど珍しいことではない。」との解説を掲載している。
<今後、動物実験や人体での反応を見定める必要がある>というのが実相のようだ。
また、同誌は、『通常、オフィスや家庭で人間が浴びている極低周波は、最大でも(今回の)実験
値より2ケタ小さい0.01ミリテラ程度と言われている。例えば、パソコンのディスプレイにつ
いては、日本電子工業振興会の定めるガイドラインが250ナノテスラ(0.00025ミリテラ)
以下となっている。現在、会員8社の5割以上はこの基準を満たしており98年1月までにはすべ
ての製品がこの基準を達成する見込みだ。』と報じている。
以上。今後の研究動向に注目したい。

この機会に労働省産業医学総合研究所のホームページをのぞいて見る