「新・労働基準法」の実務解説
 
16.割増賃金の計算基礎に参入しない住宅手当の条件

 
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H10改正・労基法の実務解説16
文責は労務安全情報センターにあります。(H11.4.13)


割増賃金の計算基礎に参入しない
住宅手当の条件
予備知識
H11年規則改正のポイント





予備知識

1.これまで
     
 労働基準法第37条第4項、労働基準法施行規則第21条の定めにより、

 割増賃金の算定基礎から除外することができる手当の範囲

  イ 家族手当
  ロ 通勤手当
  ハ 別居手当
  ニ 子女教育手当
  ホ 臨時に支払われた賃金
  へ 1箇月を超える期間ごとに支払われる賃金

 が除外賃金とされていました。

2.H11.3.31労働基準法施行規則の改正が行われ、一定の条件に該当する『住宅手当』が除外賃金に加えられました。

3.割増賃金の計算基礎に参入しないこととできる住宅手当の条件は以下のとおりです。

  (給与制度については、誤った取り扱いをその後に変更するのは簡単ではありません。条件についての正確な理解が必要です。)

4.なお、改正規則は平成11年10月1日から適用になります。




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H11年規則改正のポイント


労働基準法施行規則第21条改正
施行(解釈)通達の内容

1.割増賃金の基礎となる賃金に算入しない賃金(労働基準法施行規則第21条関係)

(1))概要

   割増賃金の基礎となる賃金に算入しない賃金として、住宅手当を追加したものであること。

(2)具体的範囲

 イ 割増賃金の基礎から除外される住宅手当とは、住宅に要する費用に応じて算定される手当をいうものであり、手当の名称の如何を問わず実質によって取り扱うこと。

 ロ 住宅に要する費用とは、賃貸住宅については、居住に必要な住宅(これに付随する設備等を含む。以下同じ。)の賃貸のために必要な費用、持家については、居住に必要な住宅の購入、管理等のために必要な費用をいうものであること。

 ハ 費用に応じた算定とは、費用に定率を乗じた額とすることや、費用を段階的に区分し費用が増えるにしたがって額を多くすることをいうものであること。

 ニ 住宅に要する費用以外の費用に応じて算定される手当や、住宅に要する費用に関わらず一律に定額で支給される手当は、本条の住宅手当に当たらないものであること。

(3)具体例

 (2)に係る具体例を示せば、次のとおりとなること。

 
 イ 本条の住宅手当に当たる例

 (イ) 住宅に要する費用に定率を乗じた額を支給することとされているもの。

   例えば、
   賃貸住宅居住者には家賃の一定割合、持家居住者にはローン月額の一定割合を支給することとされているもの。

 (ロ) 住宅に要する費用を段階的に区分し、費用が増えるにしたがって額を多くして支給することとされているもの。

   例えば、
   家賃月額5〜10万円の者には2万円、家賃月額10万円を超える者には3万円を支給することとされているようなもの。




 ロ 本条の住宅手当に当たらない例

 (イ) 住宅の形態ごとに一律に定額で支給することとされているもの。

   例えば、
  賃貸住宅居住者には2万円、持家居住者には1万円を支給することとされているようなもの。

 (ロ) 住宅以外の要素に応じて定率又は定額で支給することとされているもの。

   例えば、
   扶養家族がある者には2万円、扶養家族がない者には1万円を支給することとされているようなもの。

 (ハ) 全員に一律に定額で支給することとされているもの。







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