屋上の常設ゴンドラが地上まで落下した事故
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屋上の常設ゴンドラが地上まで30メートル落下
1 業 種 建設業 (東京都新宿区のビル改修工事現場にて、平成6年5月の発生)
2 被害者 死亡2名(内1名事業主)負傷1名
3 発生状況
午前零時よりビル5Fの窓枠等の取付作業を行うため、屋上の常設ゴンドラ(アーム固定型)を保管場所より移動させ、作業床をビルの壁面にセットし、作業員2名がゴンドラ作業床に乗り込み、作業位置にむかって、1メートルほど横に走行させたところ、ゴンドラの台車が、レールから外れて転倒し、作業員2名ともどもゴンドラ全体が地上まで30メートル落下した。
そのとき、ビルの周辺に駐車していたタクシーに、ゴンドラが当たり、その運転手が被災した。
4 発生原因
災害の発生したゴンドラは、台車の自重のみで安定度を満たすゴンドラであったが、レールを保持する機構がなかったため、ゴンドラの台車が屋上床面から50センチメートルの高さにあるレールから脱線した際に、台車が道路側に転倒し、ゴンドラ全体が落下したものである。
脱線の原因としては、建物の角でゴンドラの台車の方向を変えるターンテーブル部の軸受けに磨耗によるガタが生じており、ターンテーブル部のレールの継ぎ目がずれ、そのため車輪フランジが、レールに乗り上げ、そのまま走行したためと考えられる。
なお、対策としては、台車の各車輪に浮上がり防止金具等を設置することが考えられる。
再発防止対策
労働省は、平成6年6月13日、上記の災害に関連して、都道府県労働基準局長に対策を指示するとともに、関連業界に、下記の再発防止対策の徹底を要請した。
(要請先1)
建設業労働災害防止協会長
(社)建設業協会長
(社)全国ビルメンテナンス協会長
全国ガラスクリーニング協会連合会長 あて
1 作業開始前の点検
軌道式ゴンドラを使用する作業を開始する前には、レールについて、ターンテーブル、ポイント部等を重点に点検を実施し、異常がないことを確認した上で作業を開始すること。
2 作業時の安全確保
軌道式ゴンドラで、ターンテーブル部等において台車車輪が外れるおそれのあるものを使用するときは、屋上に台車走行の状況を監視するための監視人を置き、監視人の指示に基づき走行させること。
なお、作業場所下方の立入禁止等ゴンドラ安全規則に定める事項を確実に実施すること。
3 労働者に対する教育の実施
使用するゴンドラの機種が変わった際等においては、当該ゴンドラの安全な使用について、労働者に随時教育を行うこと。
4 設置者に対する情報の提供
軌道式ゴンドラで、夕ーンテーブル部等において台車車輪が外れるおそれのあるゴンドラについては、その設置者に対して、今回の災害の発生状況、対策等について情報提供を行うとともに、改善を要請するよう努めること。
(要請先2)
(社)日本クレーン協会長
(社)ボイラ・クレーン安全協会長 あて
1 保守管理の徹底
定期自主検査の際には、レールについて、ターンテーブル、ポイント部等を重点に十分に点検すること。
2 軌道式ゴンドラの安全確保
軌道式ゴンドラで、ターンテープル部等において台車車輪が外れるおそれのあるものについては、これを防止する措置を講じるようにすること。
3 ゴンドラ使用者の指導
設置したゴンドラを他の事業者に使用させるときは、安全な使用方法等について通知すること。
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