タワー仕様のクローラクレーンの事故
■HOMEPAGE
■640/480
■災害事例目次へ





タワー仕様のクローラクレーンの事故


1 東京都内における事故

(1)発生年月日  平成7年5月22日

(2)被災状況  重傷1名

(3)事故の概要

 予定された作業が終了したため、移動式クレーンを移動させようとフックを巻き上げ、ジブを起こし、上部旋回体を所定方向に旋回させて後、移動式クレーンを後進させていたが、運転席が揺れる等の異常を感じたため走行を停止したところ、ジブがさらに起き上がっており、停止直後にジブが後方に倒れ、続いてタワー部分が後方に折れて倒れた。折れたジブとフックが建設現場に隣接する建屋の屋上に落ち、そこにいた労働者に当たった。


2 神奈川県内における事故

(1)発生年月日  平成7年6月13日

(2)被災状況  被災者なし

(3)事故の概要

 荷卸し作業が一部終了し、次の荷を待つ間に荷卸し位置を確認するため運転者が移動式クレーンの運転席を離れていたところ、フックが巻き上げ状態にあったため、ジブが起き上がり後方に折れて倒れ、続いてタワー部分も後方に倒れた。なお、巻過防止装置の機能は無効にされていた模様。


(注)上記の事故の状況等については調査中であり、確定したものではない。



再発防止対策

 労働省は、平成7年6月19日、上記の災害に関連して、都道府県労働基準局長に対策を指示するとともに、日本建設業団体連合会等関連9団体の会長あてに、下記の再発防止対策の徹底を要請した。



移動式クレーンの安全な作業の徹底について


 移動式クレーンによる作業の安全の確保については、従来よりクレーン等安全規則などによりその徹底を図っているところであり、平成4年には同規則を改正し安全基準の強化を行ったところです。しかしながら、依然として移動式クレーンの転倒等の事故は跡を絶たない状況にあり、本年において別紙の通り5月に東京都内の建設現場で、また、6月に神奈川県内の建設現場で大型の移動式クレーンのジブが倒れるという事故が続いて発生したことは誠に遺憾なことであります。
 これらの事故の原因については所轄局において調査中ですが、いずれもタワー仕様としたクローラクレーンのジブが起き過ぎて後方に倒れたものであり、このような大型のクローラクレーンが増加している中で、同種の災害が今後も発生することが懸念されます。
 つきましては、移動式クレーンの転倒等による労働災害に防止対策を徹底するとともに、特にクローラクレーンのジブの起き過ぎによる事故の防止のため、下記事項を確実に実施するよう会員事業場に徹底を図っていただきたく要請いたします。

                           記


1 ジブ起伏ワイヤ口ープ及び巻上げワイヤロープの巻過防止装置等の安全装置、操作レバー等の操作機器の機能等について、その日の作業を開始する前に確実に点検を行うこと。点検の結果異常が認められたときには、直ちに、補修を行い、補修が終了するまでは当該移動式クレーンの使用を禁止する等の措置をとること。

2 運転者に、移動式クレーンによる作業中は巻過防止装置等の安全装置の機能を無効とさせないようにすること。

3 移動式クレーンによる作業中に、巻過防止装置、操作レバー等の機能に異常を認めたときは直ちに作業を中止し、これらの補修等を行い、正常に機能することを確認した上で作業を再開すること。

4 運転著が操作を中断するとき又は運転席を離れるときは、操作レバー等の操作機器が作動を停止する状態にあり、現に操作している機構部分以外の機構が作動していないことを十分に確認させるようにすること。

5 強風時には作業を中止するとともに、強風により移動式クレーンが転倒するおそれのあるときはジブを固定する等の措置を講ずること。

6 移動式クレーンの運転者に対し、安全衛生教育指針に示す移動式クレーン運転士安全衛生教育を行う等により安全作業の定着を図らせること。



HOMEPAGE
640/480