最近の爆発火災による労働災害
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労働省が爆発火災等防止対策の強化について通達 労働省は、平成8年8月6日、最近の爆発火災災害の多発を受けて、以下、防止対策の強 化を都道府県労働基準局長に通達した。 併せて、(社)日本化学工業協会、石油連盟、石油化学工業協会、日本メンテナンス工業 会、(社)日本鉄鋼連盟、電気事業連合会、中央労働災害防止協会の長に対して、再発防止 対策の徹底を要請した。 平成8年1月から7月までの爆発火災等の災害事例 (平成8年8月6日付基発第506号の4 都道府県労働基準局長あて、労働省労働基準局長通達) 爆発火災等防止対策の強化について 爆発火災や溶鋼等の高温物との接触(以下「爆発火災等」という。) による労働災害の防止については、労働基準行政の最重点課題のーつと して、従来からその徹底を図ってきたところであるが、本年に入り、先 般発生した大阪府高石市のアルキルアルミニウム製造施設における爆発 災害をはじめ別添1のとおり化学工業、鉄鋼業、電気事業等において、 重大な爆発火災等による災害が多発している状況にあることは、誠に遺 憾に耐えないところである。 これらの災害が、設備の運転時における作業とともに、定期修理工事 等に伴ういわゆる非定常作業において発生していることから、設備運転 時の安全管理とともに、工事施工業者を含めた定期修理工事等における 安全管理が重要である。 このような状況にかんがみ、別添2から別添4(略)により関係事業 者団体あて同種災害の再発防止に万全を期すよう強く要請したところで あるので了知されたい。 ついては、本要請の趣旨を踏まえ、関係事業場に対し、監督指導、労 働安全衛生法第88条に基づく計画の届出の受付等の機会を捉え、下記 に留意の上、爆発火災等の災害防止のための的確な指導に努められたい。 なお、当該指導等に当たっては、先に平成8年6月10日付け基発第 364号により示した化学設備の非定常作業における安全衛生対策のた めのガイドラインについて、化学工業に対しては周知徹底方、また、鉄 鋼業、電気事業等に対してはこれを参考にして安全管理の徹底を図るよ う指導されたい。 記 1 安全衛生管理体制の確立 (1)親企業・構内協力会社が一体となった総合的な安全衛生管理体制 の確立及び安全管理者、作業主任者等の職務の励行 (2)定期修理工事等に伴う非定常作業における工事及び作業ごとの安 全衛生管理体制の確立 2 安全衛生に係る事前評価の徹底 (1)設備の新設、変更時等における安全衛生に係る事前評価の徹底 (2)定期修理工事等に伴う非定常作業における爆発火災等の災害要因 及び対応措置についての事前評価の徹底 3 設備の保守点検の励行 4適正な作業方法の確立 (1)設備の運転操作、保守管理等に関する作業標準の整備 (2)定期修理工事等に伴う非定常作業における作業の指揮・命令系統、 作業手順、災害要因及び対応措置の内容等を定めた作業計画書の整備 5異常事態発生時における対応マニュアルの整備等の緊急体制の確立 6 安全衛生教育の徹底 (1)安全管理者、作業主任者等の管理監督者、危険有害業務従事者、 新規採用者等に対する安全衛生教育の徹底 (2)定期修理工事等に伴う非定常作業における当該作業従事者に対す る安全衛生教育の徹底 別添1 平成8年1月から7月までの爆発火災等の災害事例 ページの先頭に戻ります −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 発生月日 業種 発生状況 被災状況 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 1月11日 非鉄金属 転炉の耐火れんがの補修作業中、作業確認のため転炉内に入ったところ、 製造業 何らかの着火源により着衣に引火し、転炉内に漏えいしていた酸素ガスに より激しく燃焼した。 死亡者3人 1月29日 化学工業 屋外タンクヤードにあるタンクの中をベンゼンを用いて洗浄作業中、何ら 死亡者1人 かの着火源により爆発が発生した。 負傷者1人 3月 8日 化学工業 ポリプロピレン製造プラントのガス分離装置において、サンプリングのた めのバルブを閉めずに装置出口のバルブを開いたため、プロピレンガスと 被災者なし ポリプロピレンベレットが噴出、何らかの着火源により着火、火災が発生 した。 4月 6日 鉄鋼業 台車に載せた溶鋼を入れた容器を、台車から降ろそうとした時、溶鋼が地 面の水たまりにこぼれ、水蒸気爆発を起こした。 負傷者5人 4月16日 化学工業 爆薬の充填作業中に、取扱いを誤って爆発が発生した。 死亡者3人 4月26日 化学工業 重油直接脱硫装置の反応塔供給加熱炉において、重油と水素を加熱中、加 熱炉が炎上した。 被災者なし 4月29日 化学工業 実験プラント反応槽内の温度が異常に上昇し、警報が鳴ったため、当該反 応槽に近付いたところ、爆発した。 負傷者1人 5月17日 化学工業 実験室のドラフトチャンバー内において、青汁、硝酸、過塩素酸を加熱中、 漏洩したプロパンガスが爆発した。 負傷者5人 5月24日 化学工業 水素製造プラント内にある吸収塔及び再生塔内の吸収液を貯蔵タンクへ回 収したところ、水素ガスが貯蔵タンクに逆流し、この水素ガスに何らかの 着火源により着火し、貯蔵タンクが爆発した。 被災者なし 6月 3日 電気業 変電所において、定期点検、修理作業後に開閉器を操作したところ、開閉 器が破裂して開閉器内の高温ガスが噴出した。 負傷者3人 6月10日 化学工業 バッチ方式による反応釜に原料を入れ、加熱したところ、一定の温度に達 した後、熱源が止まったものの、他の物質が混入して反応が暴走し、反応 釜が爆発した。 負傷者1人 6月13日 電気業 発電所において、ボイラー起動の際、点火バーナーの着火不良と軽油供給 弁の不良から、火炉内に流入した軽油が保温材に浸透し、発火した。 被災者なし 6月18日 電気業 発電所において、定期点検、定期修理後の試運転中、ボイラーの煙道内で 死亡者2人 爆発が発生した。 負傷者1人 7月 3日 鉄鋼業 鋳物の溶解作業中、キューボラからの溶鋼の出が悪いので、キューポラの 底ふたを開放した時、溶鋼が飛散した。 負傷者5人 7月15日 鉄鋼業 溶鋼鍋から溶鋼を連続鋳造機へ導くノズルの目詰まりを修理中、溶鋼が飛 散した。 負傷者3人 7月16日 化学工業 MEK脱ろう装置の定期修理作業中、装置に使用していた保冷材の発泡ウ レタンが、何らかの着火源により引火、火災が発生した。 負傷者2人 7月17日 化学工業 アルキルアルミニウムの製造施設のー部が爆発し、火災炎上した。 負傷者11人 7月27日 化学工業 常圧蒸留装置の配管に設置してある温度計付近から、灯油留分等が漏えい し、火災が発生した。 被災者なし 7月30日 化学工業 石炭乾留ガスタンクに発生した亀裂を修理するため、当金とタンクをドリ ルで穴あげ作業中火災が発生した。 被災者なし 7月31日 化学工業 廃油処理設備の工事中、何らかの着火源により廃油処理水槽内で爆発が発 死亡者1人 生した。 負傷者4人 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−