2000年・夏本番−熱中症の多発に備えよう
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夏本番
熱中症の多発に備えよう
 平成元年以降の熱中症による死亡災害発生の推移はグラフのとおりであるが、昨年の平成11年には20件が発生している。
発生月では、7月・8月に集中。建設業での発生が圧倒的だが、他産業でも屋外作業には注意が必要。年齢別には20代から60代まで満遍なく発生、また、熱中症は当該屋外作業を開始してから数日においてほとんどが発生していると言われるから、この点に着目した対策を講ずるようにしよう。作業中のこまめな休憩、水分・塩分の補給や極力、一人作業を避けるなどの配慮もしよう。

平成11年の熱中症死亡災害事例












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平成11年熱中症
死亡災害発生状況

(事例)



発生日 業種 気温(湿度)  発 生 状 況 原因
5.13 埼玉 建築工事業 28.3℃
(72.2%)
 午前8時30分頃より、鉄道車両検修基地新設工事現場の検修棟の屋根上において、鋼板製の屋根材(長さ27メートル、巾0.5メートル)をローラー上で転がして運搬する作業に従事していたところ、午後2時30分頃に気分が悪くなった。直ちに病院に搬送されたが、8日後に死亡した。 ・日除けのない屋外作業
・休憩時間不十分
・水分・塩分の補給不十分
・作業者の健康状態把握せず
6.4 岡山 建築工事業 27.1℃
(69%)
 午後3時30分頃より、建築工事現場において、型枠の運搬作業に従事していたところ、体調不良となったため、休憩室で休憩していた。午後4時30分頃に意識朦朧状態となり、病院に運び込まれたが、翌日に死亡した。 ・日除けのない屋外作業
・作業者の健康状態把握せず
6.11 愛知 建築工事業 27.1℃
(52%)
 午前8時15分頃より、共同住宅新築工事現場において、地梁の配筋用足場の解体作業に従事していたところ、午前11時30分頃に足がガクガクしてきたため、休憩所へ向かったが、その途中の道路上で倒れた。直ちに病院に搬送されたが、午後3時34分に死亡した。 ・日除けのない屋外作業
・休憩場所の利用不十分
・作業者の健康状態把握せず
6.29 沖縄 電気通信工事業 30.4℃
(82%)
 移動通信網の鉄塔建設現場において、午前中鉄塔のボルトの本締め作業(高さ20m)を行っていたところ、両手に筋肉痛がしたので職長に申し出て、午後からは地上での清掃作業を行った。午後3時頃、鉄塔の下で仰向けに倒れている被災者が発見されたが既に呼吸停止、意識不明で、直ちに病院に搬送されたが死亡が確認された。 ・日除けのない屋外作業
・休憩場所不十分
・水分・塩分の補給不十分
7.15 兵庫 金属製品製造業 30.5℃
(54%)
 午前7時36分より、屋外において、電線くずの固まりから太い電線と細かい電線とに選別する作業を行っていたところ、午後2時頃に具合が悪くなりよろよろし始めた。直ちに病院に収容されたが、発生から21日後に死亡した。 ・日除けのない屋外作業
・休憩時間不十分
・水分・塩分の補給不十分
・作業者の健康状態把握せず
7.19 熊本 機械修理業 73℃
(タンク内)
 午前9時頃より、電熱ヒーター付きのサイロ状タンクの下部において、ストックしていたアスファルト合材の除去作業に従事していたところ、午前11時45分頃にタンク内で倒れた。直ちに病院に搬送されたが、午後1時14分に死亡した。 ・作業場所の温度確認不十分
7.24 石川 土木工事業 33.2℃
(67%)
 午前8時40分頃より、庭木剪定作業の補助・雑作業に従事していたところ、午後4時30分頃、気分が悪いと申し出たため日陰に座らせた。体の震えを生じるなど状態が悪化したため、直ちに病院に搬送されたが午後8時15分に死亡した。 ・日除けのない屋外作業
・休憩場所不十分
・水分・塩分の補給不十分
・作業者の健康状態把握せず
7.28 宮城 土木工事業 36℃  午前8時頃より、県道の路肩及び法面の除草作業を刈払い機を用いて行っていたが、午後2時20分頃しゃがみ込むのを目撃され、抱きかかえたところ嘔吐して意識を失った。直ちに病院に搬送されたが死亡した。 ・日除けのない屋外作業
・休憩場所不十分
・水分・塩分の補給不十分
7.29 岩手 林業 28.8℃
(73%)
 午前8時30分頃より、杉の植林地において、下草の刈払作業に従事していたところ、午前11時30分頃に保護帽を被ったまま両膝を付き、前屈みになっているところを発見された。直ちに病院に搬送されたが、午後11時30分頃に死亡した。 ・日除けのない屋外作業
・休憩場所不十分
・休憩時間不十分
・水分・塩分の補給不十分
7.29 愛知 土木工事業 32℃
(64%)
 午前8時頃より、河川堤防の除草作業に従事していたところ、午後2時頃気分が悪くなり、休憩を取りに行ったが意識を失い、仰向けに倒れているところを発見された。直ちに病院に搬送されたが、翌々日に死亡した。 ・日除けのない屋外作業
・水分・塩分の補給不十分
・作業者の健康状態把握せず
・救急措置等に関する知識不十分
7.29 神奈川 非鉄金属製造業 28℃
(88%)
 午前8時頃より、製線工場内の仕上作業場において、製品の出荷作業を行っていた。現場巡回をしていた社員が、被災者が作業に苦労しているとの話を聞き、様子を見に行ったところ、製品の上に座り込んでいるのを発見した。直ちに病院に運ばれたが、入院1ヶ月に後死亡した。 ・作業場所の温度確認不十分
・水分・塩分の補給不十分
・作業者の健康状態把握せず
8.2 新潟 土木工事業 34.8℃  午前8時15分頃より、屋外において、土木工事等の作業に従事していたが、午後4時30分頃に休憩場所の木陰でうずくまっているところを発見された。直ちに病院に搬送されたが、午後6時19分に死亡した。 ・日除けのない屋外作業
・休憩場所不十分
・水分・塩分の補給不十分
8.4 新潟 建築工事業 34℃
(54%)
 午前中、配水管周りの型枠外し作業に従事し、現場を移動して、午後1時より住宅のコンクリート基礎の型枠外し作業に従事していた。午後2時25分頃、建屋南側の土の上に痙攣状態で倒れているところを発見され、直ちに病院に搬送されたが、翌々日に死亡した。 ・日除けのない屋外作業
・作業者の健康状態把握せず
8.4 栃木 金属製品製造業 33.1℃
(56.3%)
 午後より、工場内において、図面を見ながら仕上がった製品(鉄製の型枠)の寸法をメジャーで確認をする作業を行っていたところ、午後4時10分に突然うつ伏せになって倒れた。直ちに病院に運ばれたが、午後7時16分に死亡した。 ・作業場所の温度確認不十分
・作業者の健康状態把握せず
8.6 東京 建築工事業 32.3℃
(79%)
 午前8時より、家屋建築工事現場(1階鉄骨、2・3階木造)において、2階床となるデッキプレート上で2階床取付作業の現場管理に従事していた。午後5時に業務終了後、午後7時に帰宅したが、体調が悪いためすぐに横になり休んでいたところ、午後11時30分に死亡しているのを発見された。 ・日除けのない屋外作業
・休憩場所不十分
・作業者の健康状態把握せず
8.10 北海道 林業 28.6℃  午前7時30分頃より、国有林内で風倒木の処理作業のため、ワイヤー掛け作業に従事していたが、疲労気味に見えたので、午前11時頃、昼休みを早めて休憩するように指示された。午後0時30分頃、作業開始時に姿が見えないので探したところ、林道脇で倒れているのを発見された。直ちに診療所に搬送されたが、午後2時10分に死亡した。 ・日除けのない屋外作業
・水分・塩分の補給不十分
・作業者の健康状態把握せず
8.11 福岡 建築工事業 30.7℃
(63%)
 午前8時より、病院改修工事において、南側傾斜20度の斜面にて、手作業による配管工事に従事していた。午後3時50分頃、倒れるところを目撃されるが、その時点で意識はなかった。当該病院(老人病院)で診察の後、直ちに別の病院に搬送されたが、翌日に死亡した。 ・日除けのない屋外での重労働
・休憩場所の利用不十分
・通気性の悪い服装作業者の健康状態把握せず
8.11 山口 土木工事業 31℃
(64%)
 午前8時より、屋外現場において、測量補助作業に従事していた。午後3時10分から休憩していたが、午後4時45分頃に休憩していた場所から158メートル離れた道路脇の畑の土手に横たわっているところを発見された。直ちに病院に搬送されたが、翌日早朝に死亡した。 ・日除けのない屋外作業
・水分・塩分の補給不十分
・通気性の悪い服装作業者の健康状態把握せず
8.20 新潟 土木工事業 31.7℃
(62%)
 午前7時30分より、駐車場の舗装工事においてスコップマンとして作業に従事していたが、午後2時20分頃、午前に比べ動作に異常が見られたため日陰で休むよう指示された。30分後にぐったりしているところを発見され、直ちに病院に運ばれ治療を受けていたが、午後11時19分に死亡した。 ・日除けのない屋外作業
・休憩場所不十分
・水分・塩分の補給不十分
9.9 静岡 建築工事業 31.9℃
(64%)
 午前8時30分頃より、建設工事現場において、仮設ステージの組立作業を行っていたところ、午後2時頃になって気分が悪くなったため、しばらく日陰で休んでいた。その後、症状が悪化したため、病院に搬送されたが、3日後に死亡した。 ・日除けのない屋外作業
・休憩時間不十分
・水分・塩分の補給不十分
・作業者の健康状態把握せず