医療機関内の清掃業従事者のエイズ発症について
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医療機関内の
清掃業従事者のエイズ発症について

感染性廃棄物の適正処置について(通達)

感染性廃棄物処理マニュアル(抜粋)

病院清掃の基本と実務(抄)

【症例】  医療機関内の清掃業従事者に、使用済み医療器具による針刺しを頻繁に起こ していた57歳の日本人男性が、エイズ発症のために都内病院を受診した。
【感染原因】  「感染症予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」第15粂の規定 により、国が本症例を特定して更なる調査を行うことは困難なため、HIVの 感染経路を針刺しとは断定できなかった。
【今後の対応】

 医療機関内の清掃従事者等に対しては、使用済み医療器具によるHTV感染 の危険性について、改めて周知徹底する必要があると考えられる。

@医療機関内清掃業者等への更なる周知
 使用済み医療器具による針刺しがあった場合はHIV感染の危険性があり、その際は初期対応が必要なことについて、講習会等を通して更なる周知をお願いする。

A医療従事者等に対する呼びかけ
清掃業者等が針刺しを起こさないような、使用済み医療器具の取扱いを呼びかける。

Bエイズ動向委員会への報告
 以上の対応後の経過をまとめ、第87回エイズ動向委員会(本年10月23日開催予定)にて報告する。

平成13年9月12日
厚生労働省健康局疾病対策課
 平成13年7月31日第86回エイズ動向委員会(委員長:吉倉広国立感染症研究所長)において、以上の事例が報告された。

 

 





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感染性廃棄物の適正処理について

厚生省生活衛生局水道環境部長から各都道府県知事・各政令市長あて通達(平成4年8月13日衛環第234号)


 感染性廃棄物の適正処理の確保については、「医療廃棄物処理ガイドライン」に基づいて行われるようご指導いただいてきたところであるが、平成3年10月に改正された廃棄物の処理及び清掃に関する法律において、特別管理一般(産業)廃棄物に関する制度を設けたことに伴い、感染性廃棄物処理対策検討委員会を設置して検討を進めてきたところ、今般、「感染性廃棄物の適正な処理の推進について」が別添のとおりまとめられた。同法施行に伴い特別管理一般(産業)廃棄物として指定された感染性廃棄物については、別添報告書別紙二の「廃棄物処理法に基づく感染性廃棄物処理マニュアル」に基づいて感染性廃棄物の処理を行うこととするので、必要な体制の整備に努められたい。
 なお、平成元年11月13日付け衛環第174号厚生省水道環境部通知「医療廃棄物の適正処理について」は廃止する。
(別添及び別紙1 略)

別紙2

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廃棄物処理法に基づく感染性廃棄物処理マニュアル
(中略)


4章 医療関係機関等の施設内における感染性廃棄物の処理


4.1 分別

 感染性廃棄物は他の廃棄物と分別して排出するものとする。

【解説】
1 医療関係機関等から発生する廃棄物は、一般に次のように区分できる。
 (1) 感染性廃棄物
 (2) 非感染性廃棄物(医療行為等に伴って生ずる廃棄物のうち感染性廃棄物以外の廃棄物)              
 (3) 上記以外の廃棄物(紙くず、厨芥等)


2 感染性廃棄物は、公衆衛生の保持及び病原微生物の拡散防止の徹底の観点から、より安全に配慮した取扱いを要するものであり、このため廃棄物の発生時点において他の廃棄物と分別するものとする。
  ただし、感染性廃棄物と同時に生ずる他の廃棄物を感染性廃棄物と同様の取扱いをする場合は、この限りでない。


3 感染性一般廃棄物と感染性産業廃棄物の各々について別の形態、方式で処理を行う場合は、これらも必ず区分しなければならない。


4 感染性廃棄物は、「4.4梱包」による梱包が容易にできるよう、排出時点で次のとおり分別することが望ましい。
 (1) 液状又は泥状のものと固形状のものは分別する。
 (2) 鋭利なものは他の廃棄物と分別する。


4.2 施設内における移動

 感染性廃棄物の施設内における移動は、移動の途中で内容物が飛散・流出するおそれのない容器で行うものとする。

【解説】
 梱包前の感染性廃棄物は、内容が溢れ出にくい形の容器に入れること、蓋のついた容器に入れて蓋をすること等により、移動の途中で飛散・流出するおそれがないようにし、カート等により移動させるものとする。


4.3 施設内における保管

1 感染性廃棄物の保管は極力短期間とする。
2 感染性廃棄物の保管場所は、関係者以外立ち入れないように配慮し、感染性廃棄物は他の廃棄物と区別して保管する。
3 感染性廃棄物の保管堤所には、関係者の見やすい箇所に感染性廃棄物の存在を表示するとともに取扱いの注意事項を記載するものとする。

(参)省令第8条の13
(参)政令第6条の4第1項第1号ニ

【解説】
1感染性廃棄物の保管は、施設内で感染性を失わせる処分を行わない場合は省令第8条の13に、行う場合は政令第6条の4第1項第1号ニの規定によること。

2 腐敗するおそれのある感染性廃棄物をやむを得ず長期間保管する場合は、容器に入れ密閉すること、冷蔵庫に入れること等当該感染性廃棄物が腐敗しないように必要な措置を講ずること。

3 感染性廃棄物の保管は、保管施設により行い、当該感染性廃棄物が飛散し、流出し及び地下た浸透し、並びに悪臭が発散しないように、汚水が生ずるおそれがある場合には公共水域等の汚染を防止するために必要な排水溝その他の設備を設けるとともに底面を不浸透性の材料で覆うことその他必要な措置を講ずること。

4 保管施設には、周囲に囲いが設けられ、かつ、見やすい箇所に、次の例を参考にして取り扱い注意の表示を行う。表示は縦横それぞれ60cm以上とする。

表示の例

注意
○ 感染性廃棄物保管場所につき関係者以外立ち入り禁止
○ 許可なくして梱包容器等の持出し禁止
○ 梱包容器等は破損しないよう慎重に取扱うこと
○ 梱包容器等の破損等を見つけた場合は下記へ連絡してください。

管理責任者
連絡先TEL

5 スペースの関係上専用の保管施設が設けられない場合は、関係者以外がみだりに立ち入ることができない所で感染性廃棄物の保管を行うこと。

6 感染性廃棄物の保管場所にねずみが生息し、及び蚊、はえその他の害虫が発生しないようにすること。


7 感染性産業廃棄物と感染性一般廃棄物が混合している場合であって、当該感染性廃棄物以外の物が混入するおそれのない場合以外は、感染性廃棄物に他の物が混入するおそれのないように仕切り等を設けることその他必要な措置を講ずること。また、感染性一般廃棄物と感染性産業廃棄物の各々について別の形態、方式で処理を行う場合は、これらも必ず区分して保管しなければならない。


4.4 梱包

 感染性廃棄物の収集又は運搬を行う場合はく 必ず運搬容器に収納して収集し、又は運搬することになっているため、収集又は運搬に先立ち、あらかじめ、次のような運搬容器に入れて、密閉するものとする。
(1) 密閉できる容器を使用すること。
(2) 収納しやすい容器を使用すること。
(3) 損傷しにくい容器を使用すること。

(参)省令第1条の11

【解説】

1 梱包は、「鋭利なもの」、「固形状のもの」、「液状又は泥状のもの」の3種類に区分して、次のように行うことを原則とするが、同一の処理施設で処理される場合には、必要に応じ、一括梱包することができるものとする。ただし、一括梱包する場合には、廃棄物の性状に応じた遅搬容器の材質等を併せ持つものでなければならない。
 (1)注射針、メス等の鋭利なものは、危険を防止するために耐貫通性のある堅牢な容器を使用する。
 (2)固形状のものは、丈夫なプラスチック袋を二重にして使用する。
 (3)液状又は泥状のものは、廃液等が漏洩しない密閉容器を使用する。


2 鋭利なものを梱包する運搬容器は、金属製、丈夫なプラスチック製、重ダンボール紙製等で耐貫通性のある丈夫な材質のものとする。


3 固形状のものは、丈夫なプラスチック等の袋を二重にして使用するか、堅牢な容器を使用すること。


4 容器の形状及び大きさ並びに容器を設置する場所は、発生場所や発生量、投入のし易さを勘案して選択するものとする。


5 容器に入った感染性廃棄物を他の容器に移し換えることは、飛散・流出の防止の観点から好ましくないので、できるだけ行わないものとする。


6 感染性廃棄物は、運搬容器に入れた後密閉する。


4.5 表示


 感染性廃棄物を収納した運搬容器には、感染性廃棄物である旨及び取り扱う際に注意すべき事項を表示するものとする。

(参)省令第1条の10

【解説】

1 関係者が感染性廃棄物であることを識別できるよう、運搬容器にはマーク等を付けるものとする。マークは全国共通のものが望ましいため、次のバイオハザードマークを推奨する。マークを付けない場合には、感染性廃棄物(感染性一般廃棄物又は感染性産業廃棄物のみが収納されている場合は、各々の名称)と明記すること。

バイオハザードマーク(略)


2 廃棄物の取扱者に廃棄物の種類が判別できるようにするため、性状に応じてマークの色を分けることが望ましい。
(1) 液状又は泥状のもの(血液等) 赤色
(2) 固形状のもの(血液等が付着したガーゼ等) 橙色
(3) 鋭利なもの(注射針等) 黄色
 このような色のバイオハザードマークを用いない場合には、「液状又は泥状」、「固形状」、「鋭利なもの」のように、廃棄物の取扱者が取り扱う際に注意すべき事項を表示すること。


4.6 施設内処理

 感染性廃棄物は、原則として、医療関係機関等の施設内の焼却施設で焼却、溶融設備で溶融、滅菌装置で滅菌又は肝炎ウイルスに有効な薬剤又は加熱による方法で消毒(感染症新法その他の法律に規定されている疾患にあっては、当該法律に基づく消毒)するものとする。

(参)特別管理一般廃棄物及び特別管理産業廃棄物の処分又は再生の方法として厚生大臣が定める方法

【解説】

1 感染性廃棄物は、施設内の焼却施設で焼却、熔融設備で溶融、滅菌装置で滅菌又ほ肝炎ウイルスに有効な薬剤又は加熱による方法で消毒すれば感染性廃棄物ではなくなる。従って、その処理残渣は非感染性廃棄物である一般廃棄物又は産業廃棄物として処理できることとなる。一方、焼却施設若しくは溶融設備又は滅菌装置を有していない場合、消毒を行えない場合、あるいは焼却施設を有していても、焼却炉の性能等からみて効果的な処望が期待できないような場合や周辺の生活環境の保全上、焼却施設を稼働することが好ましくないと判断される場合には、処分業者に委託して処理するか、若しくは感染性廃棄物をその事務として行っている市町村に処理を委ねるものとする。


2 医療関係機関等の施設内で行う処分の方法は、次によるものとする(参考3参照)。
 (1) 焼却設備を用いて十分に焼却する方払
 (2) 溶融設備を用いて十分に溶融する方法
 (3) 高圧蒸気滅菌(オートクレープ)装置を用いて滅菌する方法
 (4) 乾熱滅菌装置を用いて滅菌する方法
 (5) 煮沸(15分以上)
 (6) 消毒(肝炎ウイルスに有効な薬剤又は加熱による方法であること。ウイルス肝炎感染対策ガイドライン又は参考4参照。ただし、感染症新法、結核予防法、性病予防法及び家畜伝染病予防法に規定する疾患に係る感染性廃棄物にあっては、当該法律に基づく消毒)


3 消毒は肝炎ウイルスに効果のある方法としたのは、肝炎ウイルスの1つのB型肝炎ウイルスが最も消毒薬に対して抵抗性の強い病原微生物微生物のひとつであることから、肝炎ウイルスに効果のある方法により消毒すれば、ほとんどすべての病原微生物は不活化されると考えられるためである。


4 2の(1)から(6)のほか、感染性廃棄物の処分方法として適切であると認められるものについては、順次追加することとしている。

(後略)


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病院清掃の基本と実務
(厚生省健康政策局経済課医療関連サービス室監修)(抄)
(社)全国ビルメンテナンス協会発行


第2編 病院清掃における実際の業務

第3章 作業の実務知識


3・2・3 施設内における感染性廃棄物の処理

 病院のごみほどその種類や量が多く、中身も複雑かつ不潔で危険なものはなく、その処理の仕方によっては病院感染や公害のもとにもなりかねない。廃棄物の処理は病院環境整備のうえで重要な仕事であるから、その処理にあっては細心の注意をはらわなければならない。


 ごみ処理で留意すべき点は、

(1)ごみを廃棄する時、捨てる物の可否、汚染したものが他へ飛散するのを防ぐ梱包方法の良否、消毒や焼却の要否などについて、現場の医師、看護婦、職員らと密接な連絡をとり、判断と注意を十分に促しておくこと。


(2)ごみの性質や最終処分を考えると、ごみの廃棄はごみの発生の時点、捨てる段階で種類別、性質別に分類して廃棄することが望ましく、職員や患者らの協力を得ることが大切である。


(3)ごみの容器は、病院全体を種類別、性質別に同一規格にして区分し、各容器にくず入れ、ガラス入れ、残飯入れ等々と明記しておくか、容器を色別にしておくとその内容物が誰にでも分かって、捨てる場合も収集の場合も大変便利である。また容器は洗浄が容易で変形しない物、運搬に便利で蓋つきのものであること。


(4)特に漏れのおそれのあるものや非衛生的なごみは、必ず排出時点でビニール袋に入れるなど、排出者の協力が不可欠であり、収集、運搬にあたっては安全かつ衛生的に取り扱わなければならない。


(5)煙草の吸殻は、火災予防の面から他のごみとは別に収集し、水処理の後、集積処理するなどの注意をしなければならない。

(6)紙屑、その他一般のごみの中にアンプル、注射針、ガラス片などが混入していると大変危険であり、絶対にあってはならないことであるが、万一のこともありうるので、作業には十分注意が必要である。医師、看護部門にも分別廃棄の協力を求めることが大切である。作業上の留意点を示すと次の通りである。


1 分 別

 医療関係機関等から発生する廃棄物は、一般に感染性廃棄物・非感染性廃棄物・非医療廃棄物に区分できるが、感染事故等の防止の観点から感染性廃棄物は、発生時点において他の廃棄物と分別する。感染性廃棄物はさらに梱包が容易にできるよう、次のように分別する。


(1)液状または泥状のものと固形状のものを分別する。
(2)鋭利なものは他の廃棄物と分別する。

2 梱 包

(1)液状または泥状のものは、廃液等漏洩しない密閉容器を使用する。
(2)固形状のものは、丈夫なプラスチック等の袋を二重にして使用するか、堅牢な容器を使用する。
(3)鋭利なものは、金属製・丈夫なプラスチック製、重ダンボール紙製等で耐貫通性のある丈夫な材質を使用する。
(4)容器に入った感染性廃棄物を他の容器に移し換えることは、飛散・流失のおそれがあるので行わない。
(5)容器に入れた後は密閉する。


3 表 示

 感染性廃棄物を収納した容器には、感染性廃棄物である旨、及び取り扱う際に注意すべき事項を表示する。関係者が感染牲廃棄物であることを識別できるよう容器にバイオハザードマークの色で分けるか、「液状または泥状」「鋭利なもの」のように明記する。
 なおバイオハザードマークの色は、次のように指導されている。

(1)液状または泥状のもの(血液等) 赤色
(2)固形状のもの(血液等が付着したガーゼ等)橙色
(3)鋭利なもの(注射針等)黄色

4 施設内における収集・運搬

 感染性廃棄物の施設内における収集・運搬は、途中で内容物が飛散・流失するおそれのないようにし、カート等で収集・運搬する。


(1)収集・運搬は梱包・表示されているか確認してから行う。
(2)カート等収集運搬用具はこ悪臭など発生しないよう清潔にしておく。
(3)収集・運搬にあたっては、耐貫通性の保護手袋を着用する。
(4)梱包・表示されたものの内容物を、他の容器に移し換えることは危険なので行わない(特に注射針、メス等の鋭利なもの)。


5 保 管

(1)感染性廃棄物の保管は極力短期間とする。
(2)保管場所は関係者以外立ち入れないように配慮し、感染性廃棄物は他の廃棄物と区別して保管する。
(3)保管場所には、関係者の見やすい箇所に感染性廃棄物の存在を表示するとともに、取扱いの注意事項を記載する。


6 施設内処理

 医療関係機関等の施設内で行う処分の方法は次によるものとされている。


(1)焼却設備を用いて十分に焼却する方法
(2)溶融設備を用いて十分に溶融する方法
(3)高圧蒸気滅菌(オナトクレープ)装置を用いて滅菌する方法
(4)乾熱滅菌装置を用いて滅菌する方法
(5)煮沸(15分以上)
(6)消毒(B型肝炎ウイルスに有効な薬剤による方法であること)



≪文献≫
1)「廃棄物処理法に基づく感染性廃棄物処理マニ ュアル」厚生省生活衛生局水道環境部産発廃棄物対策室監修