平成13年−熱中症による災害事例
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熱中症

7・8月(全体の9割がこの2ヶ月に発生!)

平成13年に把握された熱中症は194件であるが、この内、以下死亡災害事例を掲載する。(厚生労働省労働基準局安全衛生部調べ)

平成13年 熱中症死亡災害発生状況

番号
都道
府県
業種
気温
(℃)
相対
湿度
(%)
 
発 生 状 況
原因(推定も含む)
1 5 15 岩手 林業 27 26  午前8時40分から、日射の強い中、送電線に近接する支障木の伐木をチェーンソーを使用して行っていが、午後3時30分頃、現場で身体の異常を訴えて倒れ、同日午後4時35分に死亡した。 @高温下での作業
A熱中症に関する教育が未実施
B水分補給不十分
C雇い入れ時の健康診断未実施
2 7 3 山口 林業 34 65  午前8時から、造林地において下刈作業を行っていた。1時間ごとに休憩をとっていたが、午後2時15分頃の休憩時間に体調不良を訴えた。その後、呼びかけても返事が無い状態となったため、頭部を濡れたタオルで冷やすとともに救急車を呼び病院へ搬送したが、翌日死亡した。 @高温、高湿下での作業
A熱中症に関する教育が未実施
B休憩時間が不十分
C補給用の水分及び塩分の備えなし
D雇い入れ時の健康診断未実施
3 7 4 兵庫 建設業 31.7 50  午前9時から、既設店舗の改修工事現場において店舗内部壁の間仕切りボードばらしと残材搬出作業を行っていた。午後2時30分に気分が悪いと訴えて倒れ、直ちに病院へ搬送したが、12日後に死亡した。 @高温下での作業
A健康状況把握なし
B熱中症に関する事項を含め、
労働衛生教育未実施
4 7 4 大阪 建設業 33 56  午前8時50分から、化学工場の屋外にあるプラントの整備工事に使用する足場組み立て作業に従事していた。午後4時20分頃、場内をふらつきながら歩いているところを発見され、その場で休養させたが、その後さらに体調が悪化したため病院へ搬送され、翌日の午後1時39分に死亡した。 @高温下での作業
A不適切な救急措置
5 7 4 千葉 建設業 34.6 62  午前9時から、道路に沿った法面の除草作業に従事していた。途中で30分間の休憩をとり、正午まで午前中の作業を行った。午後1時から作業を再開し、午後3時から再び休憩をとり、午後3時30分から作業を行っていた。午後4時頃座り込んでいるところを発見され病院へ搬送されたが、同日午後6時35分に死亡した。 @高温下での作業
A健康状況把握なし
B熱中症に関する事項を含め、
労働衛生教育未実施
6 7 6 鹿児島 建設業 33 64 午前8時から、木造家屋の建築現場で基礎工事作業を行っていた。午後1時15分頃にぐったりしているところを発見され、病院へ搬送されたが同日午後2時20分頃に死亡した。 高温下での作業
7 7 9 愛媛 建設業 27 65  午前9時から、アスファルト舗装工事現場において、転圧ローラーの後方で清掃等の作業を行っていた。午後5時頃に作業を終え、自宅近くから徒歩で帰宅する途中に倒れ、午後6時50頃に死亡した状態で発見された。 @高温下での作業
(アスファルトの輻射熱の影響あり)
A補給用塩分の備えなし
B労働衛生教育不十分
8 7 14 兵庫 建設業 34 62  午前8時から、宅地造成工事現場において掘削箇所をスコップで均す作業を行っていた。午前10時30分まで作業を行った後、引き続き埋め戻し土の転圧作業を行っていたところ、午後3時の休憩時に体調不良を訴え、その後、意識が無くなったため病院へ搬送されたが、翌日の午前2時に死亡した。 @高温下での長時間作業
A健康状態未確認
9 7 19 岡山 林業 28.3 55  午前6時頃から、山林において刈払い機を用いて下刈り作業を行っていた。予定されていた休憩時間である午前10時30分になっても被災者が休憩場所に現れないため、別の場所で作業を行っていた作業者が様子を見に行ったところ、作業を行っていた場所で倒れていた。ヘリコプターで病院へ搬送されたが、午後1時45分に死亡した。 @定期健康診断未実施
A炎天下での単独作業
B塩分補給未実施
C安全衛生教育不十分
10 7 21 奈良 建設業 33 70  午前8時30分から、木造住宅建築工事現場において建物外装材の取付作業を行っていた。正午まで作業を行い1時間の昼食休憩後作業を再開した。午後4時30分頃に体調不良を訴え、その後、意識が無くなったため病院へ搬送されたが、死亡した。 @高温多湿下での長時間作業
A労働衛生教育不十分
11 7 21 大阪 清掃業 36.4 38  午前9時から、片側3車線道路の路側帯の清掃等を行っていた。正午から1時間昼食休憩をとった後に作業を再開したが、午後2時頃に体調不良を訴え一人で休憩を取っていた。しばらくして休憩していた場所に倒れているところを発見され救急車で病院へ搬送されたが翌日の午前5時30分に死亡した。 @高温下での長時間作業
A健康診断未実施
B労働衛生教育不十分
C補給用の水分及び塩分の備えなし
12 7 24 大阪 建設業 35.2 51  午前9時から、建築物解体工事現場において防護ネットを貼るための丸太材の組立作業を行っていた。正午まで作業を行い休憩した後、午後1時から作業を再開した。午後2時に体調不良を訴え休憩を取っていたが、痙攣を起こし苦しみだした。病院へ搬送されたが、死亡した。 @補給用の塩分の備えなし
A労働衛生教育未実施
13 7 24 奈良 機械器具製造業 33.7 55  午前8時15分から、ボイラー製造工場において、空気が充填されたボイラータンクを機械で運搬して水槽に据え付けることにより、ボイラータンクに漏れがないかどうかを確認する作業を行っていた。午後5時に体調不良を訴え、意識が混濁した状態となった。救急車で病院へ搬送されたが、17日後に死亡した。 @補給用の塩分の備えなし
A労働衛生教育未実施
14 7 24 佐賀 建設業 33.5 55  午前8時から、河川工事現場において、護岸のブロック積み作業を途中20分間の休憩をはさんで行っていた。正午から1時間の休憩後、作業場所へ向かっていたところ、急に体調不良を訴え嘔吐した。病院へ搬送されたが、午後2時に死亡した。 @高温下での屋外作業
A塩分補給不十分
15 7 25 愛知 金属製品
製造業
43.8 68  午前8時20分から、金属製品製造工場において、高温の炉から出てきた金属製品の検査作業を行っていた。午後2時35分に作業場所で倒れている所を発見され、病院へ搬送されたが、午後5時25分に死亡した。 @高温下での作業
A労働衛生教育不十分
B健康管理不十分
 (前日から体調不良の兆候あり)
16 7 30 大阪 建設業 32 53  午前8時25分から、建築現場においてボード類等残材の荷下ろし作業を行っていた。午前10時10分まで連続で作業を行った後、休憩をとった。一緒に作業を行っていた労働者が飲料を購入して休憩場所へ戻ったところ、被災者が意識のない状態で倒れていた。病院へ搬送されたが、午前11時15分に死亡した。 @高温下での長時間連続作業
A健康診断未実施
B労働衛生教育未実施
17 7 31 静岡 建設業 29 73  午前8時から、スコップ等を使用して土砂の埋め戻し作業を行っていた。午前11時30分頃体調の不調を訴えてトラックの運転室でクーラーにあたりながら休憩していたが、復調しないためにそのままトラックを運転して帰宅した。午後4時30分頃、自宅の寝室のベット上で死亡しているところを家族により発見された。 @高温下での作業
A不適切な救急処置
18 8 1 富山 建設業 30 67  午前8時30分から、道路舗装工事において、スコップを持ち、土砂やアスファルトの均し作業を行っていた。午後4時35分頃体調不良を訴えて倒れ、病院へ搬送されたが、24日後に死亡した。 高温下での作業
19 8 2 兵庫 建設業 35.3 78  午前8時45分から、排水処理施設の建物建設現場において足場の解体作業を行っていたが、午後3時頃体調不良を訴え休息していた。午後7時頃意識不明になったため病院へ搬送されたが、午後8時45分に死亡した。 @高温下での作業
A労働衛生教育不十分
20 8 6 宮崎 建設業 38 52  午前8時45分から、道路整備工事の現場においてスコップを使用して整地作業を行っていた。午前10時から45分間休憩した後、作業を再開したが、正午近くに倒れている所を発見された。応急処置を施した後、病院へ搬送されたが、午前11時45分に死亡した。 @高温下での作業
B塩分の補給不十分
21 8 7 大阪 建設業 33.3 54  午前7時40分から、マンション建設現場において型枠解体作業を行っていたが、昼食休憩時に体調不良を訴えたため、休憩していた。1時間後体調が急変したため病院へ搬送されたが、翌日の午前8時13分に死亡した。 @雇入時健康診断未実施
A労働衛生教育未実施
B水分及び塩分の補給不十分
22 8 10 東京 建設業 30 75  マンション建設現場で午前8時に朝礼を受け、その後、現場の新規入場者教育を受けた後に、午前8時30分から足場材の片付け作業を行っていたところ、午前9時30分頃に体調不良を訴え出し、午前10時45分に病院に搬送したが、正午過ぎに死亡した。被災者は、雇い入れ3日目であったが、被災前の2日間は作業には従事していなかった。) @体調確認不十分
A高温下での作業
23 8 18 長崎 食品
製造業
35.7 75  焼菓子製造工場の屋内において、午前8時25分頃から用具の運搬やオーブンの前での用具洗浄作業を行っていた。昼食休憩等は平素と同様にとり、午後4時20分に作業を終了したところで水を飲みつつ10分程度休憩した後に更衣室に行くために階段を上っていたところ、突然苦しみだしたため病院へ搬送したが、約1時間30分後に死亡した。 高温多湿下での長時間作業
24 9 18 宮城 漁業 25.1 71  午前3時30分頃から定置網漁船に乗り、水揚げ作業等を行っていた。途中から単独で作業を行っていたが、午後12時20分頃から無線連絡が途絶えたため、別の船で作業を行っていた労働者が被災者の乗っていた船内を捜索したところ、機関室内で意識がない状態の被災者を発見した。病院へ搬送されたが、午後4時30分に死亡した。機関室内に落としたラジエーターキャップを探すため、高温の機関室に立ち入ったため被災したものと推測される。 @他の作業者との連絡が取り難い
 状態での船内の単独作業
A機械設備の安全上の不備