また、下水道で硫化水素中毒事故(5名死亡)
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愛知県半田市の下水道清掃作業で硫化水素中毒
救助のための二次災害で多数の死亡者




愛知県半田市の下水道清掃作業における硫化水素中毒災害

1.発生日時  平成14年3月11日午後2時40分頃

2.発生場所  愛知県半田市本町1丁目下水道清掃現場

3.作業名   雨水幹線管渠付帯工事その21
  発注者   半田市
  元請    (株)東利(トウリ)
  下請    (株)吾連商(ゴレンショウ)

4.被災労働者
  元請(現場責任者男性59歳=死亡)
  元請(男性55歳=死亡)
  下請(男性61歳=死亡)
  下請(男性54歳=死亡)
  下請(男性54歳=死亡)

5.災害発生状況

 下水道(雨水管、直径1.65メートル)のマンホール底部及び管路内に堆積している汚泥等を除去するため、バキュームカーからのホースをマンホール内に入れ、ホースで泥を吸い取る作業を行っていたところ、内部で作業をしていた1名がマンホールからフラフラした状態で上半身を出したが、直後にマンホール内に墜落したため、地上にいた作業員がこれを救助しようとマンホール内に入り、そのまま、マンホールから出てこなくなった。

 異常に気づいたガードマンが消防署に救助を要請。
 マンホール内部にいた5名を救助したが、5名とも死亡した。

6.推定原因

 下水道マンホール内の汚泥(の攪拌等)により発生した硫化水素ガスを吸引した作業員が次々倒れたものと推定される。

7.再発防止対策

 下水道の汚泥清掃作業は、「酸素欠乏症等防止規則」に規定される第2種酸欠危険作業場所であることから、法令遵守の徹底を図るべきであろう。

 具体的には、(イ)作業開始前のマンホール内の酸素(酸欠定義=18%以下)及び硫化水素(管理濃度10PPM以下)の濃度測定の徹底。この際、硫化水素は汚泥の攪拌等によって多量に発生することが、考慮されなければならない。
(ロ)換気の実施(ハ)空気呼吸器、送気マスクの備え付け(ニ)技能講習修了者からの作業主任者の選任・職務励行、などを徹底することが必要だ。作業者一人ひとりの安全意識のありようも重要であり、酸欠等特別教育の実施も欠かせない。
 さらには、事業場の安全衛生担当者の世代交代もある昨今では、過去に多数発生している「下水道硫化水素事故」の事例から、教訓を引き出す取組を意識的に進めるべきであろう。

*
発生状況等は、厚生労働省安全衛生部発表を参照した。再発防止対策部分は労務安全情報センターでまとめてみた。












図(事故発生時の現場の状況=イメージ図)

道路
                   
・・
               
・・
               
 
約3メートル
             
               
                 
               
                 
○↓
               
 
             
               
 
               
               
 
1.65メートル
               
               
 
           
               
                 
               
                                     
                                     
                                     
    ○死亡者
    はしご
    (イメージ図であって実寸描写ではないことに注意)