平成15年酸素欠乏症・硫化水素中毒災害事例

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平成15年酸素欠乏症硫化水素中毒災害事例








(平成16年6月14日基安労発第0614001号厚生労働省調べ)

平成15年 酸素欠乏症 発生事例


 
業種
被災者数
発生状況 主な原因
死亡
そ生
1
電気機械器具製造業
1
1
 
 
 電池製造ラインにおいて、製造ライン上にある真空乾燥装置内に入っていた製品(電池)を載せたパレットの山がラインから外れてて引っ掛かったため、作業員が真空乾燥装置内に身体を入れ、これを修正しようとしたところ、真空乾燥装置に接続する注液ラインは窒素が充填してあり、真空乾燥装置の窒素充填側の扉を開けた状態でこれを行ったため、真空乾燥装置内に流入した窒素を吸引し、酸素欠乏症により死亡した。

1)酸素濃度測定の未実施
2)換気の未実施
3)作業主任者の未選任
4)特別教育の未実施
5)作業標準の不徹底

2
清掃業
1
1
 
 
 被災者は地下駐車場において、二酸化炭素消火設備の点検を単独で行っていたところ、点検作業中に煙感知器と熱感知器の両方の信号を発生させたことにより、消火設備の起動装置が自動的に作動して、二酸化炭素が噴出し、これを吸入し、酸素欠乏症により死亡した。

1)作業標準の不徹底
2)安全衛生管理体制不十分
3)連絡調整体制の不備

3
化学工業
1
 
1

 工場内において、原料中間体を濾過器より取り出す作業を行うための準備として、ポリエステル製の袋を使用した自作のマスクを装着した際、マスクのエアラインを空気配管に接続すべきところ、アルゴンガス配管に接続したため、アルゴンガスを吸入し、酸素欠乏症に被災(休業6ヵ月)した。

1)安全衛生教育不十分
2)作業標準の不徹底
3)配管区別不十分
4)作業主任者の職務不徹底

4
化学工業
10
1
 

 工場内にあるトルエン貯蔵タンクのタンク内清掃を行うため、その準備として、エアラインマスクを装着した際、マスクのエアラインを空気配管に接続すべきところ、窒素配管に接続したため、窒素を吸入し、酸素欠乏症により死亡した。

1)安全衛生教育不十分
2)作業標準の不徹底
3)配管区別不十分
4)監視人の未配置
5)作業主任者の職務不徹底

5
飲食店
11
 
1

 冷凍庫の冷凍冷却器が故障し、使用できない状態になったため、50kg分のドライアイスを冷凍庫内に運び込み、扉を閉鎖し冷却していたところ、冷凍庫内に段ボール箱を運搬するために入った作業員が、ドライアイスの昇華により冷凍庫内に充満していた二酸化炭素を吸入し、酸素欠乏症に被災(休業5日)した。

1)酸素濃度測定の未実施
2)換気の未実施
3)作業主任者の未選任
4)特別教育の未実施





  平成15年 硫化水素中毒 発生事例


 
  業種 被災者数 発生状況 原因
(推定も含む)
  死亡 そ生
1
清掃業
3
 
1

 硫化水素を含む廃液をタンクローリーで運搬し、受け入れ先の事業場において、ポンプを使用して廃液をタンクから事業場内の処理タンクに移す作業と並行して、タンクローリーの上部のハッチを開放して、この周りの清掃作業も行っていた作業員が、硫化水素を含む廃液の蒸気を吸入し、タンクローリーの上(地上3.2m)から墜落し、被災(休業5日)した。

1)空気呼吸器、安全帯等保護具の未使用
2)安全衛生教育不十分
3)作業標準の不徹底
2
建設業
3
 
1

ボイラーの定期検査に伴う臭気ガス(硫化水素を含む)予熱器エレメント交換作業において、臭気ガス予熱器のマンホールの蓋を取り外し、蓋内面及びフランジ面の整備作業を行っていたところ、臭気ガスが予熱器内に入らないよう、事前に臭気ガス配管の切り換え、閉止板の取り付け等は行っていたが、バイパス配管の存在を把握をしていなかったため、臭気ガスが同バイパス配管を通じて臭気ガス予熱器内へ入り、開放されていたマンホールから噴き出し、当該作業員が臭気ガスを吸入し、被災(休業21日)した。

1)酸素濃度及び硫化水素濃度測定の未実施

2)換気不十分
3)空気呼吸器等保護具の未使用
4) 作業主任者の職務不徹底
5)作業標準の不徹底
6) バイパス配管の未把握