インターネットによる求人・就職活動
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<目次> ■インターネット求人と採用活動の現状 ■新規学卒者採用・選考に関する企業の倫理憲章(平成8年12月) ■就職協定の廃止/企業の採用活動は「前倒し」傾向 ■採用内定取消の法律問題早過ぎる内定は、不透明な景気のなかで内定取り消しの多発につながらないか 目次に戻ります インターネット求人・採用活動の現状(96年を振り返って) 活用の多くは「求人情報の提供型」 企業は1996年、インターネット求人・採用に突入した。96年にネット上の求人を 行った企業数は15000社にのぼると云われる程の活況である。 ご承知のようにインターネットには、「情報提供の機能」と「双方向制を生かした機能」 があるが、96年は前者「求人情報の提供型」での活用が大勢というところ。提供され る情報も、従来の就職ガイダンスの1ページ相当程度の情報量の企業が多い。 インターネットの双方向性を生かしたホームページは、まだ少ないようだ。 注目の「双方向性を生かしたホームページ」 その中で、旭化成工業のホームページは異彩をはなった。 http://www.asahi-kasei.co.jp/jobs まず、ページ数に圧倒される。中に、新入社員研修で100人全員が作成した個人ホー ムページがあるが、これを、インターネットの双方向性の特徴を生かすためにうまく活 用している。 「バーチャル会社訪問」がそれである。学生(応募者)は、旭化成工業の100人の新 入社員のホームページを見て(あるいは大学のOBだから等で)質問などを電子メール で送信。当人から質問者に又、電子メールで返事が届く仕組みだ。 実のところ、電子メールのやり取りは実際の面接に近い効果を発揮することがある。経 験者は実感するところだが、例の「初対面でも初めて会った気がしない」効果だ。まさ に、バーチャル会社訪問・OB訪問の実現だろう。 学生も「面接情報の公開」のページ/内定取消し企業の実態公開も時間の問題か あと、目を引いたのが「面接情報を公開する」ホームページの登場だ。その日の面接内 容を直ちにネットに公開する訳だが、これなど、今後の企業と学生の就職戦線の有様を 暗示しているようだ。就職戦線に臨む学生も又、インターネットと云う簡便にして、強 力な情報公開ツールを獲得したのである。 今後、「採用内定取消し」などの理不尽な仕打ちを、企業名入りで集中公開するホーム ページも登場するだろう。インターネットは、企業優位で推移していた就職戦線に一石 を投じる可能性がある。 就職協定廃止/企業の採用活動は「前倒し」傾向 目次に戻ります 就職協定の廃止が決まったが、(平成9年)1月31日マスコミ各紙は企業の採用活動 の「前倒し」を報じている。 (日経新聞による大手企業77社調査によれば、6割が前倒しを予定=ただし、これは 7月1日の前年就職協定の建前日を基準としたもので、就職協定は形骸化もあって、昨 年は事実上5月スタートの状況であったから、日経の調査で採用活動を4月から始める としている25%の企業が実質的な「前倒し」を言えよう。従って、昨年との比較では 約1ヵ月スケジュールが早まっていると理解するのが妥当か。)
97年1月31日読売新聞「就職協定廃止に伴う企業の採用活動方針」の記事 から
企業名 | 採用活動に関する対応 |
三菱自動車工業 | 採用計画の決定を3月中旬に前倒しへ |
キリンビール | 協定を順守してきたが、時期見直しは不可避 |
資生堂 | 3月下旬に筆記・面接試験を開始 |
日興証券 | 時期は未定だが、採用活動は早まる |
A都市銀行 | 水面下の採用活動が比重を増しそう |
トヨタ自動車 | 他社の動き次第では思い切った動きも |
西武百貨店 | 会社説明会を従来の7月から4月に前倒し |
イトーヨーカ堂 | まだ動かず。早まるメリットが読み切れない |
西友 | 採用人数の決定は1−2か月早める |
アサヒビール | 会社説明会などを若干早める |
B百貨店 | リクルーターが動き始めている |
野村証券 | 採用情報をできるだけ早く公開したい |
三菱商事 | 銀行、保険の動きを横目で見ながら日程を決定 |
KDD | 4月から学生向けホームページを双方向性に |
住友火災海上保険 | ホームページで若手社員が本音を語る |
ダイエー | 多用な人材確保のため通年採用を実施中 |
味の素 | 臨時社員を対象に4月以降通年採用を開始 |
活動期間の長期化は、企業・学生の双方に負担をもたらすとの見方が有力だが、企業サ イドからはコスト軽減の理由からも97年は、96年にも増してインターネットの活用 が浸透することになりそうだ。 インターネット求人の利点として考えられるのは、つぎのような諸点。 ○セミナー受付の効率化(24時間対応など) ○電話問い合せの減少、電話応対の短時間化 ○必要とする者に必要な情報を発信(無駄情報の減少) ○追加・フォロー情報のスピ−ディな掲載が可能 ○連絡方法の効率化(Eメール) ○企業イメージの向上 この内、多くはコスト軽減からも利点となろう。 しかし、これだけ多数の企業がネット上の求人・採用活動を展開するようになると、学 生から、ネット求人の取り組み方(ページの内容)を比較吟味されると考えなければな らない。 ホームページを持つだけで、あるいは、ネット求人を行うだけで、企業イメージが向上 する時は過ぎ去った。この点が96/97両年の違いであろう。 97年のインターネット就職戦線がまもなく、スタートする。 目次に戻ります ■新規学卒者採用・選考に関する企業の倫理憲章 (96年12月世話人代表根本二郎) 企業は、自己の責任において自主的に行う97年度大学等新卒者の採用に当り、下記の点 を考慮して行動する。 記 1、情報の公開 学生の不安を取り除くため、企業情報ならびに採用人数、説明会日程、選考期日、場 所等に関する採用情報を、可能な限り早く的確に公開する。 2、採用内定開始 正式内定日は10月1日以降とする。 3、公平公正な採用 学生の自由な就職活動を妨げる拘束や、男女雇用機会均等法の精神に反する不公正な 採用活動を行わない。 4、学事日程の尊重 採用活動に当っては、大学側の学事日程を尊重し、学生が学業に専念でき、より教育 効果が上がるような教育環境の確保に努める。 5、その他 高校卒業者については、教育上の配慮を最優先し、安定的な採用の確保に努める。