ストックオプションって何だろう
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ストックオプションは隠れ債務−−必読 |
目次に戻ります ストックオプション(日経新聞5月16,17日解説より) 会社が役員や従業員に対して、あらかじめ決めた価格で株式を買う権利を与える報酬制度。 経営者などが業績を向上させて、株価が権利を行使できる価格を上回れば上回るほど利益が 膨らむ。株価が下がった場合は役員などの損失は発生しない。今回、導入が決まったスット ックオプションは自己株式方式と新株引受権方式の2種類がある。 自己株式方式 ストックオプションを与えると同時に、会社が市場から自社株を買い、権利行使に応じて株 式を交付する。配当可能利益(株式資本から資本金と法定準備金を引いた額)の範囲内で、 発行済み株式数の10%まで買える。定時総会での決議が必要。 新株引受権(ワラント)方式 ワラントを発行し、役員や従業員に付与する。このワラントは譲渡できない。ワラントの権 利行使に応じて新たに株式を発行する。総会で定款を変更する特別決議が必要。 疑似ストックオプション ワラント債(新株引受権付社債)の社債部分を機関投資家などに売却、ワラント部分のみを 役員などに付与、ストックオプションと同等の効果を持たせた(もの)。 (例) 同日付けの日経新聞は、制度導入の第1号として宇部興産の取締役会の決定を報じている。 宇部興産のストックオプションの実施例はつぎのとおり。 (1)自己株式取得の限度 224万株、総額10億円 (2)株式譲渡の対象、上限 取締役28人に合計168万株、幹部社員56人に合計56万株 (3)1株当たりの譲渡価格 権利付与日の月の前月のおける各日の株価終値の平均値に1.05をかけた価格 (4)権利行使期間 98年4月1日あkら2000年3月31日まで ストックオプション制度は、企業が取締役、従業員に対して将来においてあらかじめ定めら れた価格で自社の株式を購入することができる権利を付与する。 例えば、企業は1株の時価が500円のときに、一定期間内に600円で株式を購入できる 権利を取締役等に付与する。 取締役等は1株600円で1万株を購入。株価が1000円になった時点で権利を行使し、 自社株を受け取ると同時に市場で売却すると、手数料や税金を考慮しなければ、値上がり分 の400万円の利益を手にする。 業績が向上せず、株価の低迷が続けば、報酬は得られない。 (権利行使と同時に600円を払い込み、自社株を受け取って保有し続けることもできる) 目次に戻ります ストックオプション関連、改正商法の骨子(平成9年5月16日成立) 6月1日から制度解禁 自己株式方式 1 会社は取締役、従業員に対して株式を譲渡するため、自己株式を取得することができる。 2 取締役、従業員に譲渡する目的で自己株式を取得するには定時総会の決議が必要。 3 取得することができる株式の総数は、発行済み株式総数の10%以内とする。 4 株式の取得価格の総額は、配当可能利益の範囲内とする。 5 取得方法は市場買い付けまたは、公開買い付けとする。 6 取締役、従業員が株式を購入する権利を行使できる期間は10年内とする。 7 会社は取締役、従業員に、その権利を行使できる期間内に株式を譲渡しなかったときは 、相当の時期に株式の処分をしなければならない。 企業があらかじめ買っておいた自社株を交付する方式 ワラント(新株引受権)方式 1 会社は定款の定めがあり、正当の理由があるときには、取締役、従業員に新株引受権を 与えることができる。 2 取締役、従業員に新株引受権を与えるには株主総会の特別決議が必要。 3 新株引受権の目的である株式の総数と行使期間は自己株式と同じ。 4 新株引受権は譲渡することができない。 5 新規引受権は登記することを要する。 企業があらかじめ買っておいた自社株を交付するのではなく、新株を発行する制度で、この部分は10月1日解禁 その他 1 自己株式方式と新株引受権方式を併用することはできない。 2 いずれの方式についても、株主総会の決議後、1年以内に権利を与えることを要する。 (以上、5月16日付日経新聞夕刊) 旧商法規定(第210条) 使用人に譲渡するための発行済み株式総数の3%を上限に6ヶ月の自社株の保有を認める。 今回、 ・従業員だけでなく役員に譲渡するためにも自社株を持てるようにする。 ・保有期間を10年に延長 ・取得株式の上限を3%から10%に引き上げ。 が図られたもの。 目次に戻ります 日本電気株式会社の常務取締役秋山裕和氏が、昨年12月の賃金問題研究会で「日米人事管 理」〜変わるもの・変わらざるもの〜と題してアメリカ視察の帰国講演をなさっています。 その中に、アメリカの報酬はどうやって決められるかとしてストップオプションの実情をお 話になっていますので紹介させて頂きます。(賃金レポート97年3月号参照。) 該当個所をさらに要約したものであることをご承知ください。 アメリカの新しい仕組 ストック・オプション アメリカの報酬はどうやって決められるか ゼネラル・エレクトリックは22万人いるが、その中で幹部社員という表現がいいのかどう か会社を動かしている基幹社員となる人が7万7000人くらいいるらしい。 それは、 ●オフィサーズ100人(日本で言う関連会社の社長クラス) ●シニア・エグゼクティブ・バンド340、50人(本部長クラス) ●エグゼクティブ・バンド2000人強(部長クラス) この3つの層のほかに7万人くらいが入っている層があってそのほかに工場で働く人などを いれて22万人。 上に行くほどインセンティブ給が多い。 給料を100とすると、 ●オフィサーズで、サラリー25%・ボーナス25%・ストックオプション50% ●シニア・エグゼクティブ・バンドで、35%,20%,45% ●エグゼクティブ・バンド60%,15%,20% (最近)ストックオプションの枠を20,000人くらいに広げているが、実際に与えられ ているのは450〜500人くらいである。 GEの20,000人位の人が1000株貰って、仮に1株10ドル上がったとして100 万円だから日本のボーナスみたいなもの。俗に言われているほど一攫千金の手段とは違うわ け(だが、) 従って、上の層にドーンと株を渡すわけだ。会社が、(株の)安いときに市場から買った株 を渡して、これが上がればその差額はあなたのもの。(という制度) ストックオプションがボーナスと違うのは、払うのは会社ではないということ。その株が上 がって市場で売れば差額で利益が出るということだから払うのは市場。 (GE,AT&T,HPのように伝統ある会社というのは株が上がるといっても、その時の 状況で上がるとしても一遍に何倍にもあがるわけではない。・・・ゼロから上場するときの 意味が非常に強いものである。そうは言っても、アメリカ全体がストックオプションという ことでやるものだから伝統的な会社もストックオプションの枠を下にだんだん広げているの が現状。) サン・マイクロシステムズのような新しい会社に、何かユニークにやる方法はないかと言っ たら、やはり上の人中心に与えるそうだ。しかし、下にいる人たちにも一部与えることがあ って、例えば1年間働いて非常に成績のいい人は社長賞で表彰する。社長賞で表彰する25 人には賞のほかに株もあげる。チームワーク賞というのもあって、毎年3,4人出すと言っ ていたがこういう人にもストックオプションを出す。日本で記念品をあげるとか、お金をあ げるかわりに株を渡す。 アメリカの知恵だと思う。社員に報いるのを市場で報いる。自分の会社が払うわけではない。 もちろん、色々変形があるから、すべてがそうとは言い切れないが、原則論的に言うと、会 社がよくなって会社に利益が出たから、そこから払うというよりも、上がった株を売らせて マーケットから払うというのがストックオプションの本質的なところだと思う。