中小企業の賃金制度
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中小企業の賃金制度の実態 (労働省労働基準局賃金時間部編「中小企業の賃金制度の改善をめざして」より要約) 賃金決定方法の特徴 目次に戻ります 基本給 ■規模が小さいほど、賃金表のない企業の割合が高い。 (30〜99人43.5%、100〜299人57.6%、300〜999人73.2%、100 0人〜77%「賃金労働時間制度等総合調査:平成6年による) ■賃金表を採用している企業では、規模が小さいほど、「職務遂行能力」のウエイトが低く「経験年 数」のウエイトが高い。格差のつかない自動的な昇給を行っているものが多くなる。 ■中小企業の賃金は「総合給」である。仕事的要素、属人的要素が勘案されるが、賃金制度は未整備 であるため何を決定基準としているのか不明確なところがある。単に、年功的な処遇になっている ことも多い。 ■100人未満の小企業では、45〜49歳で賃金がピークを迎える。これは100人以上の企業よ り5歳位、ピークが早い。また、総じて賃金カーブがフラットである。 手当 ■平成2年の手当の割合は、平均18.8%。(30〜99人20%、100〜999人18.8%、 1000人〜18.3%「賃金労働時間制度等総合調査」 ■規模が小さくなるほど、能率手当、生産手当、精皆勤手当の採用比率が高い。逆に、生活関連手当 は手薄である。 賞与 ■規模間格差が顕著。(平成5年の支給月数は、5〜29人2.66月分、30〜99人3.34月 分、100〜499人3.89月分、500人〜5.07月分「毎月勤労統計調査」)規模が小さ いほど、年収に占める賞与の割合も低い。 退職金 ■退職金制度の導入は30〜99人規模でも、90.1%と9割を越えている。 ■規模間格差が顕著。規模が小さいほど、退職一時金のみの割合が高い。また、退職時の基本給全額 を計算ベースにする企業が多い。 賃金制度運用の特徴 目次に戻ります ■中小企業でも、100人以上になると90%程度が雇用管理を行う組織があるのに対し、30〜4 9人の企業では53.3%、29人以下の企業では45%となっている。(雇用職業総合研究所昭 和63年調査) 50人未満の企業は、半数近くが賃金・人事・処遇管理が事業主によって一元的に行われているか 他の業務を行う組織で兼務されている。「事業主が一元的に行っている」のは、30〜49人で4 0.7%、29人以下で45.5%となっている。 ■人事・賃金管理組織を置かない理由として、「必要は感じるが置く余裕がない」26.3%、「外 部に委ねているので必要がない」7.9%があるが、「社長がすべて行うので必要がない」が57 .9%で圧倒的な理由となっている。(雇用情報センター平成6年調査) 最も、人事・賃金管理セクションのある企業でも、その権限は「社長がすべて行うので必要がない」 とするものが30〜99人の企業では47.6%になっている。 ■この背景には、 (1)規模が小さいため社長が人事・賃金管理を他の業務と併せて行うことができる。 (2)規模の小さいほど、社長の権限が強いほか、人事・賃金管理が経営の根幹に関わる重要事項 となっている。 (3)規模の小さいほど、企業内の配置転換の余地が小さい。 ■賃金制度を「明示すべきでない」とする企業が、規模の小さい企業ほど高い。 (30〜99人で45.2%、100〜299人40.2%、300〜999人33.6%「雇用 情報センター調査」) ■人事考課基準を「明示すべきでない」とする企業が、規模の小さいほど高い。 (30〜99人で42.7%、100〜299人29.2%、300〜999人21.6%「雇用 情報センター調査」) ■中小企業では、労働者の評価を明確に行わない傾向が強い。 大企業と比べて「評価を明確に行わず、むしろ人間関係を重視する」傾向が強い。 昇進も大企業に比べると「採用時は同一ランク、その後の働きぶりで格差をつけていく」とする比 率は小さい。