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[資料番号] 00117
[題  名] 個別的労使紛争処理システムの在り方について(公益委員案)
[区  分] 労働基準

[内  容]

個別的労使紛争処理システムの在り方について
(報告)(公益委員案)


【資料のワンポイント解説】

■日本の未組織労働者が、いかに自らを代弁できる組織に恵まれていないか如実に物語る方針が出そうだ。


たとえば、
問題を抱える労働者が、ここにいる。
何を求めるか。
自らの主張が認められるものか、否か。
かりに、法令・判例に照らして正当性が認められるものとしよう!
(主張に正当性がない場合は自ずと取扱に違いがある)
あと、何が必要か。
強制的解決力である。
このように単純な図式を単純に解決してやる。
これがいま、争点の個別労使紛争解決システムに求められるものである。


未組織労働者が、求めているものが、

(1)両当事者から求められた場合には解決案を提示する(労働者の主張に正当性が認められる場合でも、使用者の「ノー」の一言で処理の打ち切りとなる制度だろうか!
(2)当事者間に合意が成立する見込みがないと認めるときには、処理を打ち切ること(だろうか!
(3)事務局についても、労働局内部でも監督、指導を担当する部署ではない部署に置くとともに、担当者も監督、指導を担当する者とは区別することによって、専門性と紛争処理ノウハウをはぎ取ることだろうか!総素人によってゼロから構築する制度だろうか
(4)企業・労組の内外で労使関係の実務に携わってきた者で適当な者がいる場合には、これらの者を労働関係の専門家として活用すること(否定するものはいまいが、未組織労働者には、紛争を抱えた「今」を解決してくれる専門家が必要だろう。)

 もっとも、監督機関も諸手をあげて、労使紛争解決システムへの積極的関与を求めている訳ではないようだ。
 いま、監督機関には労働相談が殺到し、それへの対応に忙殺され、戦略的な「企業臨検」の実施が大幅に制約を受けている。
 考えようによっては、監督機関が個別労使紛争に忙殺され、本来の使命である「臨検監督」や「刑事処分」が手薄になる事態は避けなければならない、という意味で、今回の方針は功罪相半ばといったところのようだ。

かくして、泣きを見たのは、未組織の労働者だけということになる。

 それにしても、

■使用者団体が、公的機関の介入を嫌う理由は生理的なものだが、労働団体(連合)の動きは何だったのだろうか。「労働委員会活用方式に固執することによって、何を得たのか。労働委員会は連合等の組織には身近なものだろうが、未組織労働者にとってはその存在さえ知らない者が多数である。また、「地域の実情に応じて、地方自治に基づき個別的労使紛争解決の行政サービスに地方労働委員会を活用すること」は結構だが、”地域の実情に応じてやる”ような制度は、いわゆる「本来の制度」ではない。現実的な処理システム確立の千載一遇の機会を逃し、ましてや、低組織率の下自らが責任も持てない未組織労働者になにを与えることが出来たのか。」


リンク 事業主や労働者は個別的労使紛争の処理にあたって何を望んでいるか




個別的労使紛争処理システムの在り方について
(報告)(公益委員案)


2000.12.7



 近年、労働者と事業主との間の個別的労使紛争が増加している状況を踏まえ、「第9次雇用対策基本計画」、「規制緩和推進3か年計画(再改定)」において、総合的な個別的労使紛争処理制度の在り方について検討を進めることとされたほか、第147回通常国会における会社の分割に伴う労働契約の承継等に関する法律案に対する附帯決議においても、紛争の迅速な解決のための制度の充実が強く求められているところである。
 このような状況を踏まえ、今後より一層の増加が懸念される個別的労使紛争について、簡易・迅速に処理するために必要なシステムの機能、紛争処理を行う機関及びこれに関係する諸問題について専門的な検討を行うため、労働大臣が学識経験者及ぴ労使関係者の参集を求め、個別的労使紛争処理問題検討会議を開催してきた。
 本検討会議においては、本年9月から○回にわたり議論を重ねてきたが、今般、下記のとおり、これまでの議論の集約を行った。


第1 個別的労使紛争処理システムの必要性

 労働省「労使ニミュニケーション調査」(平成11年)によれば、個人的処遇に関し「不平・不満を述べたことがある」労働者の割合は三分の一を超えており、さらに「不平・不満を述べたことがない」労働者のうち半数以上が「不平・不満がある」としている。不平・不満の内容としては、「日常業務の運営等に関するもの」、「作業環境等に関するもの」、「賃金労働時間等劣働条件に関するもの」など多様である。

 労働基準監督署・公共職業安定所等の都道府県労働局の出先機関への相談は年間100万件を超えているほか、都道府県の労政主管事務所への相談も年間12万件に上るなど、労働関係の行政機関に労使双方から多くの相談が持ち込まれている。また、平成10年10月に開始された都道府県労働局長による紛争解決援助制度の運用状況をみると、労働条件に係る紛争であって、法令違反が認められないものの何らかの具体的な処理を求めている事案は平成11年度は24,000件にのぼり、制度開始から増加が続いている。この他、労働委員会においても、実質的には個別的労使紛争であるものが集団的労使紛争の形態をとって持ち込まれる事案が増えている。

 このように、近年、労働者の不平・不満や個別的労使紛争が増加してきているが、今後、企業組織の再編、個別的な労務管理への移行、労働者の職業に対する意識の変化や就業形態の多様化などに伴い、個別的労使紛争の増加便向が続き、企業内部では解決できないものも増加して行くものと見込まれる。
 他方、これらの個別的労使紛争に対しては、裁判制度を含めた既存の紛争処理制度のみでは必ずしも十分な対応ができていない現状にある。したがって、これらの個別的労使紛争に関して、労働分野におけるセイフティ・ネットの一環として、より簡易・迅速に処理するためのシステムの整備が必要である。

(注) ここで「個別的労使紛争」とは、個々の労働者と事業主との間の労働関係に関する紛争であって、労働組合と事業主との間の集団的労使紛争を除いたものを対象としている。



第2 企業内での自主的解決について
 
 個別的労使紛争については、企業内において、不満・苦情の段階でこれを未然に防止するとともに、早期に企業内の労使で自主的に解決されることが基本である。
 しかしながら、現状においては、企業内で不満・苦情を解決する仕組みは十分に整備されておらず、また、苦情処理機関等の制度があっても必ずしも有効に機能しているとは言えない。このため、例えば、不満・苦情を受け付ける体制の整備や苦情処理機関の設置等、労使の創意工夫により、企業内での紛争の未然の防止や紛争の自主的解決に努めることが必要である。
 また、不満・苦情は、法制度の不知から生じている場合も多いことから、法制度の周知徹底、法違反への指導監督という行政本来の役割を果たすことによる紛争の未然防止が必要である。また、企業内での自主的解決についての啓発を進めるとともに、その円滑な実施に資するため判例等の情報提供などの支援を行うことが適当である。


第3企業外での紛争処理について

1 企業外での紛争処理システムの在り方

(1〉ADRの必要性

 企業によっては企業内での自主的解決が十分に行えない場合があること、就業形態の多様化や労働契約の個別化の進展により企業内で解決することが困難な種類の紛争が増えていること等にかんがみ、企業外での紛争処理が求められている。企業外における紛争の最終的解決手段として裁判制度があるが、少額訴訟制度を除けば裁判にはなお時間や費用がかかることに加え、継続的な労働関係を前提とする事案など一刀両断の判定的な処理がなじまない場合があること、当事者主義により事実の立証に係る負担が大きい等の問題がある。また、近年の労働事件に関する裁判例を見ると、事件発生の背景となった労使関係等を踏まえたものとなっていない場合もあることが指摘されている。これらにかんがみると、個別的労使紛争の処理システムとしては裁判制度のみでは不十分である。

 このため、より簡易・迅速に処理するシステムとして個別的労使紛争に関する裁判外紛争処理制度くAltemative Dispute Resolution:ADR)を整備することが必要である。このようなADRについては、現在検討が行われている司法制度改革審議会の中問報告においても、国民がより利用しやすい司法を実現するために、裁判機能の拡充に加えて「ADRが、国民にとって裁判と並ぶ魅力的な選択肢となるよう、その拡充、活性化を図っていくべきである」としているものである。


(2) 個別的労使紛争に関するADRの在り方

ADRは、簡易・迅速に、高度の専門性を活かした解決、当事者の自主性を活かした円満な解決が図られるとともに、廉価であること、手続を柔軟にできること、非公開でプライバシーが保護されること等が利点であると言われている。個別的労使紛争に関しては、継続的な関係を前提とした円満な解決のためには労使慣行等を踏まえた解決が必要であること、特に労働者にとっては労働という生活維持に関わる問題であり迅速かつ廉価な解決への要請が高いこと、個人と事業主との個別の紛争でありプライバシーの保養が求められること、といった特徴があるため、システムの整備に当たっては、これらの特徴を踏まえ、ADRの利点を活かしたものとすることが必要である。

 個別的労使紛争には、様々な性質の紛争が含まれるとともに、紛争当事者がどのような方法で紛争を解決したいかという考え方も一様ではないので、特定の機関のみがすぺての紛争を一元的に処理するというような単一のシステムを構想することは適当ではなく、複数の機関がそれぞれの機関の性格に合った機能を持ち、いずれの機関を利用するかについては当事者が期待する解決方法に即して選択できる複線的なシステムとすることが適当である。

 また、当事者の利便性、処理の効率性という観点からは、個別的労使紛争処理システムにおいて、紛争の未然防止のための情報提供、労働相談から、あっせん、調停等に至る多段階の機能が求められるが、.これらの機能が一つの機関に備わっており、当事者が身近なところで必要に応じこれらの機能を連続的に利用できる体制となっていることが望ましい。しかし、それぞれの機関の性格等による制約から、すべての機関にすべての機能を持たせることはできないため、欠けている機能についてはこれを持つ他機関を紹介し、手続を引き継ぐなど、各機関が連携を図ることが必要である。


2 紛争処理の機能の在り方

 上記1のような基本的考え方に基づいた紛争処理の各機能の具件的な在り方は、以下のとおりである。

(1) 情報提供、労働相談について

 相当数の紛争が、情報提供、労働相談によって当事者の不満・苦情の段階で未然に防止され、また、早期の解決が図られるものであることから、情報提供、労働相談は、企業外での紛争処理の第一段階として重要な機能である。

 情報提供や労働相談に当たっては、利用者の利便のため多くの窓口が整備されることが望ましい。また、それぞれの窓口においてその特徴を活かしたサービスの充実を図るとともに、できる限り1カ所であらゆる分野の相談に応じることができるよう相談窓口のワンストップ化を図ることが適当である。


(2) 助言・指導、簡易なあっせんについて

 個別的労使紛争には、都道府県労働局、労政主管事務所、労使団体、弁護士会等で行われているような、早い段階での第三者による適切な助言・指導や簡易なあっせんにより、比較的容易に解決されるものが多い。

 個別的労使紛争を企業外で処理する場合においても、地域の労使団体等の関係労使が紛争の当事者の間に立ち、解決を図っていくことが望ましいものである。しかし、そのような解決の仕組みが整っていない現状においては、助言・指導や簡易なあっせんについて、上記のような幅広い機関、団体でそれぞれの特徴を活かしたサービスが充実されることが望ましい。


(3)調停当解決案の提示までを行う形式の紛争処理システムについて

イ 司法機関によるシステムについて

 日経連は、個別的労使紛争を調整的手段で解決する場合には民事調停が積極的に活用されるべきであるとの提言を行っている。
 民事調停制度は、中立性、信頼性の高い司法機関によるADRであり、出頭要請、証拠調ぺ等の強制権限、時効の中断、受諾された調停案への執行力の付与等実効性確保のための制度が設けられており、裁判との連携が図れるという特徴がある。
 一方、民事調停制度については、労使双方にとって裁判所はなじみがうすく、敷居が高いこと、裁判所が行うため一般性を帯びた制度となっており、労働関係のような独特な専門性を持つ領域に十分に対応できる仕組みになっていないこと、専門性を持たせるためには相当大きな司法制度改革を行う必要がありコストがかかること、司法機関の性格上、個別的労使紛争について当事者からの相談に専門的に対応することは困難であり、窓口における相談は一般的な手続相談にとどまらIざるを得ないこと等の意見が出された。

 .民事調停制度は、現状においては個別的労使紛争の解決手段としては必ずしも活用されていないが、今後増加が見込まれる個別的労使紛争の処理に当たっては、制度利用のPRを行い、司法機関による解決を図りたいと考える当事者のニーズに応じて、本制度の活用を図ることが必要である。このため、労働相談の窓口において、民事調停について説明を行い、当事者の意向に応じてその活用を図ることが考えられる。

 この場合、現行の民事調停のままでは個別的労使紛争に活用しづらい面があるので、現在行われている司法制度改革審議会における議論の中で、民事調停制度が個別的労使紛争においてもより使いやすくなるよう、雇用関係調停部の創設、裁判官の増員、専門性のある調停員の確保等について検討が行われることが望まれる。


ロ 行政機関によるシステムについて

 個別的労使紛争処理においては、紛争の早い段階での相談や簡易なあっせんによる迅速な解決が特に重要であることにかんがみると、民事調停制度の改革の他に、専門性を活かし、情報提供、相談を含めた段階的なサービスを提供することができる行政機関によるシステムの整備が必要である。

 この際に、行政機関によるADRに不十分とされる中立性をできるだけ確保し、信頼性を高めるようなシステムとすることが重要である。また、処理
期間の目安を設けるなどにより簡易・迅速性を確保することが必要である。

 本検討会議においては、都道府県労働局におけるシステム及び労働委員会におけるシステムについて検討を行ったところであるが、これらについては次のとおりである。


(イ) 都道府県労働局におけるシステム

 労働省は、都道府県労働局における個別的労使紛争処理機能を充実するため、機会均等調停委員会を改組して学識経験者による紛争調停委員会とし、この調停委員会が調停案の作成、受諾勧告を行う制度を設けることを提案している。

 これに関しては、労働局は労働基準法等に基づく監督・指導権限を持っ下いるので、労働局におかれる調停委員会が調停案の受諾勧告を行うと当事者が実質的に受諾を強制されるという懸念がある、個別的労使紛争処理も基本的には労使関係システムの延長であり、労使が関与するシステムとすることが必要ではないかとの意見が出された。

 都道府県労働局に多くの個別的労使紛争の相談や紛争廃決を求める事案が持ち込まれており、都道府県労働局長による判例等に基づく一般的な助言・指導では解決に至らないが、具体的な事案に即した援助を行えば比較的容易に解決できる事案があるという状況を踏まえ、労働局長の持つその他の権限との関係を考慮すれば、労働省の当初の案ではなく、次のようなシステムを設けることが適当である。



a 指導・監督権限を持つ行政機関に付随した委員会としての性格にかんがみ、委員会による一方的な解決とならないよう、当事者からの事情聴取や資料提供を受けた上で、当事者間の話し合いにより解決することを基本とし、両当事者から求められた場合には解決案を提示することができる制度とすることが適当である。また、当事者間に合意が成立する見込みがないと認めるときには、処理を打ち切ることができるようにすることが適当である。

b 都道府県労働局は、労働基準法等の労働関係法令の監督、指導機関でもあり、解決案の受諾を強制されるのではないかとの懸念に対応するため、委員会は労働局長の指揮命令を受けず、中立的な立場から主体的に紛争の解決を図る仕組みとする。また、その事務局についても、労働局内部でも監督、指導を担当する部署ではない部署に置くとともに、担当者も監督、指導を担当する者とは区別することが必要である。さらに、制度の信頼性・透明性を高めるために、運用状況の公表などの措置が求められる。

c 労働債権については、短期の消滅時効が定められていることにかんがみ、当事者が時効に心配することがなく制度を利用できるようにするための機能を設けることが必要である。

d 個人の権利義務に関わる問題であり秘密性が求められること、労働者の生活に関わるため簡易・迅速な解決が強く求められることといった個別的労使紛争の性格にかんがみ、委員会の委員は学識経験者とすることが適当である。他方、事案によっては、労使が関与することにより解決しやすくなる場合も考えられることから、当事者からの申立て、事案の性格にかんがみ、必要があると認める場合には、個別の事案の内容について労使代表から意見を求めることができるようなシステムとすることが適当である。

e 現在男女雇用機会均等法に基づ辛行われている紛争解決援助制度については、差別を禁止する実体法の担保措置として設けられているという性格にかんがみ、現行どおりの取扱いとすることが適当である。


(ロ) 労働委員会におけるシステム

 連合は、労働委員会において、全国一律に個別的労使紛争の調停、仲裁を行うべきであるとの提案をしている。
 労働委員会は、公労使三者構成の機関として、50年あまりにわたって、集団的労使紛争の解決に当たってきた実績がある。最近では、労働組合が当事者となっている個別の労働者に関する紛争の調整にも実績を持っている。労働委員会は、労使の実務に詳しい労使委員の参加による労使慣行の実情を踏まえた調整が行えるという特徴がある。

 これに対し、労働委員会については、都道府県ごとに集団的労使紛争に関する事件の取扱件数に大きな格差があり、新たに個別的労使紛争処理の業務を付加することに積極的な都道府県がある一方で、現在の取扱件数が多い都道府県では、業務の付加に消極的であるなど、都道府県ごとの考え方も一様ではないこと、集団的労使紛争解決のノウハウが個別的労使紛争でどの程度利用できるのか疑問であることといった意見が出された。

 全国労働委員会連絡協議会は、各地方労働委員会に対して、個別的労使'紛争処理への対応についての検討を促しているが、地方労働委員会に係る事務が自治事務化されたこと、個別的労使紛争に関する地方行政のニーズと現状が都道府県毎に大きく異なること等から、全国一律に行うのではなく、各都道府県が、地域の実情に応じて、地方自治に基づき個別的労使紛争解決の行政サービスに地方労働委員会を活用することとし、その場合のサービスわ在り方の一方策を示している。

 このような状況を踏まえると、地方労働委員会で個別的労使紛争の調停等を行うことについては、今後、各都道府県において、地方労働委員会のみならず、知事部局を含めて、労政主管事務所等の活用も併せ、積極的に検討が行われることが望まれる。



3 その他

(1) 国と都道府県との連携

 各都道府県においては、地域の実情に応じて、労政主管事務所を中心に個別的労使紛争に関する相談、あっせん等が行われているところであり、これに加えて労働委員会を活用した個別的労使紛争処理を行う場合も含め、国は、情報の提供、関係職員の研修等の協力を行い、連絡会議の開催等により連携を図るとともに、他の紛争処理機関の紹介、事件の引継ぎ等により地方公共団体と相互に協力しながら事件の処理にあたっていくことが必要である。

(2) 人材確保の方策

 以上のような個別的労使紛争処理システムを担う各機関の人材については、労働関係の法律、実務に関し専門的な知識を有する学者や、弁護士、社会保険労務士等の有資格者に加えて、企業・労組の内外で労使関係の実務に携わってきた者で適当な者がいる場合には、これらの者を労働関係の専門家として活用することも考えられる。

 このうち、紛争の早期解決のために重要な相談にあたる相談員については、特に民間の人材を中心に、労働問題に関する知識を有する者の確保に努めるとともに、ワンストップ化に対応できるよう研修を通じてその資質の向上を図ることが必要である。