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[資料番号] 00210
[題  名] 労働時間等設定改善指針−H18.4.1施行
[区  分] 労働基準

[内  容]
 
 
リンク 労働時間等設定改善法と施行通達〔解釈〕
 
○厚生労働省告示第197号
 労働時間等の設定の改善に関する特別措置法(平成4年法律第90号)第4条第1項の規定に基づき、労働時間等設定改善指針を次のように定め、平成18年4月1日から適用することとしたので、同条第3項の規定に基づき、告示する。
 平成18年3月31日
 厚生労働大臣  
 

労働時間等設定改善指針





 我が国は、経済的地位においては世界有数の水準に達したが、その経済的地位にふさわしい豊かでゆとりある労働者生活の実現については、多くの課題を抱えてきた。
 このため、昭和62年には労働基準法(昭和22年法律第49号)が改正され、本則に週40時間労働制を明記することにより、週40時間労働制に向けて法定労働時間を段階的に短縮していくことが明確にされた。また、昭和63年に閣議決定された経済運営5ヵ年計画「世界とともに生きる日本」以降、累次の経済計画において、労働時間短縮の目標として年間総実労働時間1,800時間が掲げられてきた。さらに、平成4年9月には、労働時間の短縮の促進に関する臨時措置法(平成4年法律第90号。以下「旧時短促進法」という。)が施行され、同法に基づく労使の自主的取組を促進することにより、労働時間の短縮が推進されてきた。
 このような労使の真しな取組により労働時間の短縮は着実に進み、旧時短促進法が施行される直前の平成3年度には2,008時間であった年間総実労働時間は、平成16年度には1,834時間となり、所期の目標をおおむね達成することができた。
 しかし、その内実を見ると、全労働者平均の労働時間が短縮した原因は、主に、労働時間が短い者の割合が増加した結果であり、いわゆる正社員等については、依然として労働時間は短縮していない。一方、労働時間が長い者と短い者の割合が共に増加し、いわゆる「労働時間分布の長短二極化」が進展している。また、年次有給休暇の取得率は低下傾向にある。さらに、長い労働時間等の業務に起因した脳・心臓疾患に係る労災認定件数は高水準で推移している。そして、急速な少子高齢化、労働者の意識や抱える事情の多様化等が進んでいる。
 このような情勢の中、今後とも労働時間の短縮が重要であることは言うまでもないが、全労働者を平均しての年間総実労働時間1,800時間という目標を用いることは時宜に合わなくなってきた。むしろ、経済社会を持続可能なものとしていくためには、その担い手である労働者が、心身の健康を保持できることはもとより、職業生活の各段階において、家庭生活、自発的な職業能力開発、地域活動等に必要とされる時間と労働時間を柔軟に組み合わせ、心身共に充実した状態で意欲と能力を十分に発揮できる環境を整備していくことが必要となっている。
 このような趣旨の下、この指針は、旧時短促進法の改正により平成18年4月1日より施行される労働時間等の設定の改善に関する特別措置法(平成4年法律第90号。以下「法」という。)第4条第1項の規定に基づき、事業主及びその団体(以下「事業主等」という。)が、労働時間等の設定の改善について適切に対処するために必要な事項について定めるものである。




1  労働時間等の設定の改善に関する基本的考え方

(1)  労働時間等の設定の改善を図る趣旨

 労働時間、休日数、年次有給休暇を与える時季その他の労働時間等に関する事項について労働者の健康と生活に配慮するとともに多様な働き方に対応したものへ改善することが重要である。このことは、労働者にとって好ましいのみならず企業活動の担い手である労働者が心身共に充実した状態で意欲と能力を十分に発揮できるようにし、企業経営の効率化と活性化、国民経済の健全な発展にも資するものである。


(2)  労働時間の短縮の推進

 労働者が健康で充実した生活を送るための基盤の一つとして、生活時間の十分な確保が重要であり、事業主が労働時間等の設定の改善を図るに当たっては、労働時間の短縮が欠かせない。このため、事業主は、今後とも、週40時間労働制の導入、年次有給休暇の取得促進及び所定外労働の削減に努めることが重要である。


(3)  多様な事情への配慮と自主的な取組の推進

 事業主が労働時間等の設定の改善を図るに当たっては、個々の労使の話合いが十分に行われる体制の整備が重要である。そして、労働者の健康と生活に係る多様な事情を踏まえつつ、個々の労使による自主的な取組を進めていくことが基本となる。


(4)  他の法令、計画等との連携

 この指針は、労働時間等の設定に係る他の法令、計画、指針等と矛盾するものではなく、それらを前提に、事業主等が留意すべき事項について定めるものである。
 したがって、事業主が労働時間等の設定の改善を図るに当たっては、次世代育成支援対策推進法(平成15年法律第120号)第7条第1項に規定する行動計画策定指針(平成15年国家公安委員会・文部科学省・厚生労働省・農林水産省・経済産業省・国土交通省・環境省告示第1号)、「少子化社会対策大綱」(平成16年6月4日閣議決定)及び「少子化社会対策大綱に基づく重点施策の具体的実施計画について」(平成16年12月24日少子化社会対策会議決定)等を踏まえた少子化対策等にも取り組むことが必要である。



2  事業主等が講ずべき労働時間等の設定の改善のための措置


 事業主等は、労働時間等の設定の改善を図るに当たり、1の基本的考え方を踏まえつつ、労働者と十分に話し合い、以下に掲げる措置その他の労働者の健康と生活に配慮した措置を講ずるよう努めなければならない。



(1)  事業主が講ずべき一般的な措置

イ  実施体制の整備


(イ)  実態の把握


 事業主が労働時間等の設定の改善を図るためには、まず、自己の雇用する労働者の労働時間等の実態について適正に把握していることが前提となる。したがって、事業主は、その雇用する労働者の始業・終業時刻、年次有給休暇の取得、時間当たりの業務負担の度合い等労働時間等の実態を適正に把握すること。

(ロ)  労使間の話合いの機会の整備

 労働時間等の設定の改善は、それぞれの労働者の抱える事情や企業経営の実態を踏まえ、企業内における労使の自主的な話合いに基づいて行われるべきものである。また、それぞれの企業の実情に通じた労使自身の主体的な関与がなければ、適切な労働時間等の設定の改善はなしえない。したがって、労働時間等の設定の改善に関して、企業内において労使間の十分な話合いが行われることが必要である。
 こうした趣旨に基づき、法において企業内の労働時間等の設定の改善に係る実施体制の整備について事業主の努力義務が定められていることを踏まえ、事業主は、労働時間等設定改善委員会をはじめとする労使間の話合いの機会を整備すること。
 なお、一定の要件を満たすことを条件に、衛生委員会を労働時間等設定改善委員会とみなすことができるので、その活用を図ること。
 また、このような労使間の話合いの機会を設けるに当たっては、委員会等の構成員について、労働者の抱える多様な事情が反映されるよう、性別、年齢、家族構成等並びに育児・介護、自発的な職業能力開発等の経験及び知見に配慮することが望ましい。

(ハ)  個別の要望・苦情の処理

 労働時間等の設定の改善を図るためには、事業主が、労働者各人からの労働時間等に係る個別の要望・苦情に誠意をもって耳を傾け、善後策を講じることが必要である。このため、事業主は、このような要望・苦情に応じるための担当者の配置や処理制度の導入を図ること。

(ニ)  業務の見直し

 労働時間等の設定の改善を図るに当たっては、業務内容や業務体制の見直し、生産性の向上等により、より効率的に業務を処理できるようにすることが必要である。このため、事業主は、必要に応じて、業務計画や要員計画の策定等により業務の見直しを図ること。


(ホ)  労働時間等の設定の改善に係る措置に関する計画

 労働時間等の設定の改善をより確実にするには、計画的な取組が望ましい。このため、事業主は、具体的な措置の内容、導入・実施の予定等に係る計画を作成し、これに基づいて、労働時間等の設定の改善を推進すること。この場合、労働時間等の設定の改善に係る措置についての具体的な目標を、それぞれの事情を踏まえつつ、自主的に設定することが望ましい。また、策定された計画については、随時、その効果を検証し、必要に応じて見直しを行うこと。



ロ  労働者の抱える多様な事情及び業務の態様に対応した労働時間等の設定

 業務の閑散期においても繁忙期と同様の労働時間等の設定を行うことは、事業主にとっても、労働者にとっても得るものが少ない。このため、時季や日に応じて業務量に変動がある事業場については、変形労働時間制、フレックスタイム制を活用すること。特に、年間を通しての業務の繁閑が見通せる業務については、1年単位の変形労働時間制を活用して、労働時間の効率的な配分を行うこと。また、フレックスタイム制の活用に当たっては、労働者各人が抱える多様な事情を踏まえ、生活時間の確保にも十分な配慮をすること。
 また、業務の進め方について労働者の創造性や主体性が必要な業務については、労働時間等の設定についても、労働者の裁量にゆだねることが業務の効率的な遂行につながり、労働者の生活時間の確保にも資する場合がある。このため、事業主は、そのような業務に携わる労働者については、専門業務型裁量労働制、企画業務型裁量労働制の活用も検討すること。裁量労働制を活用する場合には、労働者が抱える多様な事情に配慮するとともに、自己の雇用する労働者の労働実態を適切に把握し、必要に応じて、年次有給休暇の取得奨励や労働者の健康に十分配慮した措置を講ずること


ハ  年次有給休暇を取得しやすい環境の整備


 労働者が心身の疲労を回復させ、健康で充実した生活を送るためには、原則として労働者がその取得時季を自由に設定できる年次有給休暇の取得が必要不可欠である。また、育児・介護等に必要な時間の確保にも資すると考えられる。特に、労働者が仕事を重視した生活設計をすることにより、労働が長時間に及ぶ場合においては、年次有給休暇の取得が健康の保持のために重要である。このため、事業主は、年次有給休暇の完全消化を目指して、取得の呼びかけ等による取得しやすい雰囲気づくりや、労使の年次有給休暇に対する意識の改革を図ること。
 また、計画的な年次有給休暇の取得は、年次有給休暇取得の確実性が高まり、労働者にとっては予定通りの活動を行いやすく、事業主にとっては計画的な業務運営を可能にする等効用が高い。したがって、年次有給休暇の取得促進を図るためには、特に、計画的な年次有給休暇取得の一層の推進を図ることが重要である。計画的な年次有給休暇の取得には、労使間で1年間の仕事の繁閑や段取りを話し合うことが必要であり、労使双方にとって合理的な仕事の進め方を理解し合うためにも有益な手段であると考えられる。事業主は、年次有給休暇の取得促進を図るため、業務量を正確に把握し、個人別年次有給休暇取得計画表の作成、年次有給休暇の取得促進を目指した業務体制の整備、取得状況の把握を行うこと。また、労働基準法第39条第5項に基づく年次有給休暇の計画的付与制度の活用を図ること。
 さらに、週休日と年次有給休暇とを組み合わせた2週間程度の連続した長期休暇の取得促進を図ること。その際、取得時期については、休暇中の渋滞、混雑を緩和するため分散化を図り、より寛げる休暇となるよう配慮すること。
 なお、半日単位での年次有給休暇の利用について、連続休暇取得及び1日単位の取得の阻害とならない範囲で、労働者の希望によるものであることを前提としつつ、年次有給休暇取得促進の観点からその導入を検討すること。


ニ  所定外労働の削減

 所定外労働は臨時、緊急の時にのみ行うものである。事業主は、その雇用する労働者の健康で充実した生活のため、労働時間に関する意識の改革、「ノー残業デー」、「ノー残業ウィーク」の導入・拡充等により、今後とも所定外労働の削減を図ること。特に、休日労働を避けること。また、所定外労働を行わせた場合には、代休の付与等により総実労働時間の短縮を図ること。労働者が私生活を重視した生活設計をし、所定外労働を望まない場合は、所定外労働の削減について一層の配慮をすること。
 なお、労働時間を延長する場合であっても、労働基準法第三十六条第一項の協定で定める労働時間の延長の限度等に関する基準(平成10年労働省告示第154号)を遵守すること。また、同基準第3条ただし書に規定する特別条項付き協定を結ぶ場合は、同基準の例外が認められる特別の事情とは臨時的なものに限ることを、その協定において明確にすること。


ホ  労働時間の管理の適正化

 近年、業務の困難度の高さとあいまって、時間的に過密な業務の運用により、労働者に疲労の蓄積や作業の誤りが生じ、健康障害や重大な事故につながることが懸念されている。また、時間的に過密な業務の運用は、生産性の向上を阻害しかねない。このため、事業主は、時間的に過密とならない業務の運用を図ること。


ヘ  ワークシェアリング、在宅勤務等の活用

 事業主は、多様な働き方の選択肢を拡大するワークシェアリングの導入に努めること。また、通勤負担の軽減となる在宅勤務等の活用を図ること。


ト  国の支援の活用

 事業主が以上の取組を進めるに当たっては、事業主の労働時間等の設定の改善を促進するため国が行う支援制度を積極的に活用すること。
 また、労働時間等の設定の改善に係る措置に関する計画については、同業他社と歩調をそろえてこのような計画を作成し、実施することが効果的と考えられる。このため、同一の業種に属する複数の事業主が共同して労働時間等設定改善実施計画を作成する場合には、法により国の支援が行われるので、そうした支援制度を積極的に活用すること。



(2)  特に配慮を必要とする労働者について事業主が講ずべき措置

 労働者各人の健康と生活に配慮するには、その前提として、事業主が、2(1)イ(イ)に記した労働時間等の実態を把握することに加え、個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第57号)、雇用管理に関する個人情報の適正な取扱いを確保するために事業者が講ずべき措置に関する指針(平成16年厚生労働省告示第259号)等を遵守しつつ、労働者各人について配慮すべき事情を、必要に応じて、把握することが望ましい。なお、このような労働者各人の事情を理由として、その労働者に対して不利益な取扱いをしないこと。



イ  特に健康の保持に努める必要があると認められる労働者

 事業主は、特に健康の保持に努める必要があると認められる労働者についても、労働安全衛生法(昭和47年法律第57号)に基づいて、健康診断の結果を踏まえた医師等の意見又は面接指導の結果を踏まえた医師の意見を勘案し、必要があると認めるときは、労働時間の短縮、深夜業の回数の減少その他の労働時間等に係る措置も適切に講じること。また、病気休暇から復帰する労働者については、短時間勤務から始め、徐々に通常の勤務時間に戻すこと等円滑な職場復帰を支援するような労働時間等の設定を行うこと。
 そして、労働者の健康を守る予防策として、疲労を蓄積させない又は疲労を軽減させるような労働時間等の設定を行うこと。特に、所定外労働の削減に努めること。所定外労働が多い労働者については、代休やまとまった休暇の付与等を行い、疲労の回復を図らせること。恒常的に所定外労働が多い部署については、業務の見直しを行う他、配置転換を行う等により、労働者各人ごとの労働時間の削減を行うこと。



ロ  子の養育又は家族の介護を行う労働者

 事業主は、育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(平成3年法律第76号)等を遵守し、育児休業、介護休業、子の看護休暇、時間外労働の制限、深夜業の制限、勤務時間の短縮等の措置等(短時間勤務の制度、始業・終業時刻の繰り上げ・繰り下げ、所定外労働をさせない制度等)の労働時間等の設定の改善を行うとともに、その内容を労働者に積極的に周知する等制度を利用しやすい環境の整備を図ること。
 また、行動計画策定指針六の1に掲げられた事項にも留意し、子どもの出生時における父親の休暇制度の整備、より利用しやすい育児休業制度の実施(法定の期間、回数等を上回る措置を実施すること、休業期間中の経済的援助を行うこと等)等にも努めること。
 さらに、年次有給休暇の取得促進、所定外労働の削減等により、子の養育又は家族の介護に必要な時間の確保を図ること。
 これらの子の養育又は家族の介護を行う労働者に配慮した労働時間等の設定の改善に当たっては、各企業において労働者の職業生活と家庭生活との両立が図られるようにするための雇用環境の整備に関する取組の状況や課題を把握し、各企業の実情に応じ、必要な対策を実施していくことが重要であるが、その際、厚生労働省雇用均等・児童家庭局長が定めた「両立指標に関する指針」を活用することも効果的である。



ハ  妊娠中及び出産後の女性労働者

 事業主は、労働基準法を遵守し、産前産後の女性労働者に休業を取得させるとともに、妊娠中及び産後1年を経過しない女性が請求した場合においては、時間外労働、休日労働、深夜業等をさせないこと。
 また、雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律(昭和47年法律第113号)等を遵守し、その雇用する女性労働者が、母子保健法(昭和40年法律第141号)の規定による保健指導又は健康診査を受けるために必要な時間を確保することができるようにするとともに、当該保健指導又は健康診査に基づく指導事項を守ることができるようにするために勤務時間の短縮、休業等の措置を講じること。



ニ  単身赴任者

 単身赴任者については、心身の健康保持、家族の絆の維持、子の健全な育成等のため、休日は家族の元に戻って、共に過ごすことが極めて重要である。このため、事業主は、休日の前日の終業時刻の繰り上げ及び休日の翌日の始業時刻の繰り下げ等を行うこと。また、労働者の希望を前提とした休日前後の年次有給休暇の半日単位の付与について検討すること。さらに、家族の誕生日、記念日等家族にとって特別な日については、休暇を付与すること。



ホ  自発的な職業能力開発を図る労働者

 企業による労働者の職業能力開発は今後とも重要であるが、サービス経済化、知識社会化が進むとともに、労働者の職業生活が長期化する中で、大学、大学院等への通学等労働者が主体的に行う職業能力開発を支援することの重要性も増してきている。このため、事業主は、有給教育訓練休暇、長期教育訓練休暇その他の特別な休暇の付与、始業・終業時刻の変更、時間外労働の制限等労働者が自発的な職業能力開発を図ることができるような労働時間等の設定を行うこと。



ヘ  地域活動等を行う労働者

 事業主は、地域活動、ボランティア活動等へ参加する労働者に対して、その参加を可能とするよう、特別な休暇の付与、労働者の希望を前提とした年次有給休暇の半日単位の付与等について検討すること。



ト  その他特に配慮を必要とする労働者


 事業主は、労働者の意見を聞きつつ、その他特に配慮を必要とする労働者がいる場合、その者に係る労働時間等の設定に配慮すること。



(3)  事業主の団体が行うべき援助

 同一業種、同一地域にある企業の間では、労働時間等の設定についてお互いに影響を及ぼし合うものと見込まれる。ついては、事業主による労働時間等の設定の改善を促進するためには、業種ごと、地域ごとの取組を進めていくことが効果的である。このような取組を進めるに当たっては、業界及び地域の実情に通じた事業主の団体の関与が欠かせない。このため、事業主の団体は、傘下の事業主に対して、労働時間等の設定の改善に関する、専門家による指導・助言、情報の提供、啓発資料の作成・配布その他の援助を行うこと。
 なお、事業主の団体がこのような援助を行うに当たっては、一定の条件を満たす場合、事業主団体に対して国が行う支援制度を利用できるので、積極的に活用すること。



(4)  事業主が他の事業主との取引上配慮すべき事項

 個々の事業主が労働時間等の設定の改善に関する措置を講じても、親企業からの発注等取引上の都合により、その措置の円滑な実施が阻害されることとなりかねない。このため、事業主は、他の事業主との取引を行うに当たっては、例えば、次のような事項について配慮をすること。

 イ  週末発注・週初納入、終業後発注・翌朝納入等の短納期発注を抑制し、納期の適正化を図ること。
 ロ  発注内容の頻繁な変更を抑制すること。
 ハ  発注の平準化、発注内容の明確化その他の発注方法の改善を図ること。