土止め先行工法による土止め支保工等の種類と特徴
■HOMEPAGE
■640/480
■安全衛生管理へ
土止め先行工法に関する指針 (別紙)
|
1 土止め支保工等の種類
土止め先行工法による土止め支保工等とは、労働者が溝内に立ち入る前に先行して設置する土止め支保工等のことであり、様々な工法があり現在もなお新たな工法の考案、既存の工法の改良が盛んに行われているところであるが、現在時点で比較的多く採用されており小規模な溝掘削作業に適していると考えられる代表的な工法を挙げると、次の通りである。
(1)建込み方式軽量鋼矢板工法
掘削した地山が自立することを前提とした工法であり、その手順は、一定の深さまで掘削機械こより溝掘削を行い、軽量鋼矢板を建て込んだ後、所定の深さまで押し込み、地上から専用の治具を使用して最上段の腹おこし及び切りばりを設置して土止め支保工を組み立てる方式である。2段目以降の腹おこし及び切りばりの設置は、専用の作業台を使用して行う。
(2)打込み方式軽量鋼矢板工法
砂質土や浄水等のある軟弱な地盤の掘削に使用されることが多い工法であり、その手順ま、溝の幅に合わせてあらかじめ軽量鋼やあ板をくい打機等により打ち込んだ後、最上段の切りばりを設置する探さまで掘削を行い、地上から専用の治具を使用して腹おこし及び切りばりを設置して土止め支保工を組み立てる方式である。2段目以降の腹おこし及び切りばりの設置は、必要に応じ専用の作業台を使用して行う。
(3)スライドレール方式建込み簡易土止め工法
土止め支保工を設置する箇所の地質、据削深さに応じた数の切りばりをあらかじめ取り付けたスライドレールと呼ばれる柱状の部材を建て込んだ後、これに土止めパネルと呼ばれる板状の矢板を挿入し、一定の探さの溝を掘削しながらパネル及びスライドレールの圧入を繰り返して、土止め支保工を組み立てる方式である。
(4)縦ばりプレート方式建込み簡易土止め工法
(3)と同様に、土止め支保工を設置する箇所の地質、掘削深さに応じた数の切りばりをあらかじめ取り付けた縦ばりプレートと呼ばれる板状の矢板を建て込んだ後、一定の探さまで溝を掘削しながらその縦ばりプレートの圧入を繰り返して、土止め支保工を阻み立てる方式である。
(5)その他の工法
土止め先行工法による土止め支保工等としては、上記4つの方式以外にも、規模は比較的大きくなるが、ブレードシールド工法などと呼ばれていたオープンシールドによる工法などもある。また、鋼矢板工法のように、腹おこしや切りばり等の支保を有さず、かつ、十分な根入れ深さがあり自立した土止め壁を設けることができる矢板工法も、労働音が掘削した溝に立ち入る前に先行して設置する限りにおいて、土止め先行工法である。
2 土止め支保工等の選定
土止め先行工法による土止め支保工等の選定に当たっては、次の施工条件等を勘案し選定する。
なお、一般的な選定の目安としては下表のとおりである。
@ 工事の種類
A 土質、埋め戻し土の有無等の土質状況
B 地下水の状況
C 掘削の規模及び形状
D 地下埋設物の有無、種類、深さ、状況等
E 道路、建築物、架空電線等の周囲の状況
F 作業用地の広さ
G 交通量、交通規制等
H 騒音、振動対策の必要性
I 工期等の契約条件
小規模溝掘削における土止め支保工等の一般的な選定の目安
比較項目→
|
|
|
|
|
土止め先行工法の適否 | ||||||||
土止め工法の種類↓ | 軟弱 | 砂質土 | 粘性土 | 砂礫土 | 高い | 低い | 騒音振動(※1) | 周辺地盤の沈下 | 壁の曲がり剛性 | 浅い | 深い | 広い | |
軽量矢板工法(水圧ジャッキ使用) | |||||||||||||
(建込み方式) | × | △ | ◎ | × | × | ◎ | ◎ | × | ○ | ◎ | × | ○ | 適 |
(打込み方式) | ○ | ○ | ◎ | × | ○ | ◎ | × | △ | ○ | ◎ | ○ | ○ | 適 |
建込み簡易土止め工法 | |||||||||||||
(スライドレール方式) | ◎ | ◎ | ◎ | ○ | ○ | ◎ | ◎ | △ | ○ | ◎ | ◎ | ○ | 適 |
(縦ばりプレート方式) | ◎ | ◎ | ◎ | ○ | ○ | ◎ | ◎ | △ | ○ | ◎ | △ | ○ | 適 |
木矢板工法 | × | × | ◎ | × | × | ◎ | ◎ | × | × | ○ | × | × | 否 |
鋼矢板工法 | ◎ | ◎ | ◎ | △ | ◎ | ◎ | × | ○ | ○ | ○ | ◎ | ○ | 適 |
親杭横矢板工法 | × | ◎ | ◎ | ◎ | × | ◎ | × | × | ○ | ○ | ○ | ○ | 否 |
注:◎=最良、○=良、△=可能、×=不適
※1:この項目の判定は、採用する工法によって異なる。