「改正男女雇用機会均等法・改正労基法」解説とQ&A
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<目次>

■改正男女雇用機会均等法の解説

1 総則
2 男女の均等な機会・待遇の確保
(1)募集、採用の差別禁止
(2)配置、昇進、教育訓練の差別禁止
(3)福利厚生
(4)定年、退職、解雇
(5)女性労働者に係る措置の特例
(6)指針
3 紛争の救済措置
4 ポジティブ・アクション
5 就業にあたっての配慮措置
(1)セクシュアル・ハラスメントの防止
(2)妊娠中、出産後の健康管理への配慮
6 企業名の公表等

■改正労働基準法のあらまし

(1)女性の時間外・休日労働、深夜業の規制の廃止
(2)多胎妊娠の場合の産前産後休業期間の延長
・女性保護規定の廃止に伴う雇用管理の配慮について













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改正男女雇用機会均等法の解説

■5(2)を除き、平成11年4月1日から施行される
■資料出所/労働省女性局(H9年度版)広報資料




雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律

1 総則

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(目的)
第1条 この法律は、法の下の平等を保障する日本国憲法の理念にのっとり雇用の分野におけ
   る男女の均等な機会及び待遇の確保を図るとともに、女性労働者の就業に関して妊娠中
   及び出産後の健康の確保を図る等の措置を推進することを目的とする。

(基本的理念)
第2条 この法律においては、女性労働者が性別により差別されることなく、かつ、母性を尊
   重されつつ充実した職業生活を営むことができるようにすることをその基本的理念とす
   る。
  2 事業主並びに国及び地方公共団体は、前項に規定する基本的理念に従って、女性労働
   者の職業生活の充実が図られるように努めなければならない。
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■解説

今回の法改正では、男女雇用機会均等法について、
・ 募集・採用、配置・昇進について女性に対する差別を禁止すること。
・ 紛争の当事者の一方からの申請により調停ができるようにすること。
・ 勧告に従わない法違反企業に対する企業名公表制度の創設。
等の改正を行うことにより、雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保を確固たるものとすることを目指すとともに、女性労働者に対する特別の就業援助等の規定を削除することとしています。

このように、法律の中心的内容が、雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保を図ることに変わることから、法律の題名も、このことを端的に示すため、平成11年4月から、「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等女性労働者の福祉の増進に関する法律」から「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律」に変わることになりました。
また、法律の趣旨・内容の変更に伴い、平成11年4月から法律の目的や基本的理念も改正されます。



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2 雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保
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(1)募集、採用に係る女性労働者に対する差別の禁止
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(募集及び採用)
第5条 事業主は、労働者の募集及び採用について、女性に対して男性と均等な機会を与えな
   ければならない。
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■解説

働く女性が性により差別されることなく、充実した職業生活を営むことができるようにするためには、募集・採用という職業生活の入口において男女の均等な機会が確保されることが、大変重要な課題です。
現行法では、「事業主は、労働者の募集及び採用について、女子に対して男子と均等な機会を与えるように努めなければならない」(事業主の努力義務)こととなっており、均等な機会が確保されていない場合には、改善の努力が求められます。
平成11年4月の改正法施行後は、「事業主は、労働者の募集及び採用について、女性に対して男性と均等な機会を与えなければならない」と女性に対する差別を禁止する規定となります。この改正によって、事業主は法違反状態がある場合には、直ちに是正を求められることとなります。
募集及び採用については、禁止される女性に対する差別の内容を明らかにするため、その内容を具体的に示した指針を策定することとしておりますが、現行の指針の内容を十分参考にしつつ策定することとしていますので、現行の指針を参考に、今から募集・採用における男女の均等な機会の確保に向けて見直しを行ってください。



Q1
 例えば大卒技術系について男性のみ募集することは、均等法違反となるのでしょうか。
A1
 募集・採用区分ごとにみて、女性であることを理由として募集や採用の対象から女性を排除することは、平成11年4月の改正法施行後は、改正均等法第5条に違反することとなります。また、形式上男女とも募集し、応募した段階で「女性は採用しない」と断ることも、均等法に違反します。


Q2
 男女ともに募集・採用するが、男性100名、女性50名というように男女別の採用枠を設定することは、均等法違反となるのでしょうか。
A2
 男女別の採用予定人数を明示して募集することは、均等法に違反します。


Q3
 女性については、「自宅通勤に限る」、「年齢22歳まで」等、男性にはない採用条件を付すことは、均等法違反となるのでしょうか。
A3
 募集・採用をするときの条件において女性を不利に扱うことになりますから、均等法に違反します。


Q4
 男性についてのみ会社案内を送付することは、均等法違反となるのでしょうか。
A4
 募集・採用に係る情報の提供について女性に不利な取扱いをすることになりますから、均等法違反となります。また、会社案内を女性に送る時期を男性より遅くすることや、女性に送る資料を男性より少なくすることも均等法に違反します。


Q5
 面接に当たって女性についてのみ選考に直接関係のないことを質問することは、均等法違反となりますか。
A5
 採用面接時に女性に、たとえば「恋人はいますか。」と質問するなど、女性についてのみ選考に直接関係のないことを質問することは、採用試験の際の女性に不利な取扱いとして均等法に違反します。



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(2) 配置、昇進及び教育訓練に係る女性労働者に対する差別の禁止
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(配置、昇進及び教育訓練)
第6条 事業主は、労働者の配置、昇進及び教育訓練について、労働者が女性であることを理
   由として、男性と差別的取扱いをしてはならない。
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■解説

配置・昇進については、現行法では、「事業主は、労働者の配置及び昇進について、女子労働者に対して男子労働者と均等な取扱いをするように努めなければならない」(事業主の努力義務)こととなっていますが、平成11年4月の改正法施行後は、「事業主は、労働者の配置、昇進及び教育訓練について、労働者が女性であることを理由として、男性と差別的取扱いをしてはならない」と女性に対する差別を禁止する規定となります。
また、教育訓練について、現行法においては労働省令で差別が禁止される対象範囲を限定していますが、平成11年4月の改正法施行後は、この限定がなくなります。
募集・採用と同様に、配置・昇進及び教育訓練についても、禁止される差別的取扱いの内容を具体的に示した指針を策定することとしています。
改正法の施行までに、ぜひ配置・昇進及び教育訓練のあり方を見直してください。




Q6
 女性は営業には配属しないとすることは、平成11年4月の改正法施行後は、禁止される差別的取扱いになるのでしょうか。
A6
 一定の職務への配置に当たって、女性であることを理由として、その対象から女性労働者を排除することは、配置に関する差別的取扱いに該当しますので、平成11年4月の改正法施行後は、改正均等法第6条に違反するものとして禁止されることになります。


Q7
 係長登用試験の受験資格を女性に与えないことは、差別的取扱いになるのでしょうか。
A7
 一定の役職に昇進するための試験の受験資格を、女性労働者に対して与えないことは、昇進に関する差別的取扱いに該当することになります。


Q8
 女性労働者についてのみ、勤続年数が10年を超えないと主任に昇進させないことは、差別的取扱いになるのでしょうか。
A8
 昇進に当たって、女性労働者についてのみ、一定の勤続年数あるいは一定の職階を経たことを条件とすることは、昇進に関する差別的取扱いに該当することになります。


Q9
 コース別人事制度は均等法違反になるのでしょうか。
A9
 「コース別雇用管理制度」については、各コースの職務内容、処遇等が明確に定められ、各コースが男女ともに均等に開かれるとともに、各コース内における配置・昇進等の雇用管理も男女公平に実施されている限り、均等法上の問題はありません。
 なお、労働省においては、このようなコース別雇用管理制度が本来の趣旨に沿った運用が行われるよう、「コース別雇用管理の望ましいあり方」に基づき、今後とも引き続き指導に努めていくこととしています。




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(3)福利厚生
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(福利厚生)
第7条 事業主は、住宅資金の貸付けその他これに準ずる福利厚生の措置であって労働省令
   で定めるものについて、労働者が女性であることを理由として、男性と差別的取扱い
   をしてはならない。
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■解説

現行法第10条のとおりです。




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(4)定年、退職、解雇
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(定年、退職及び解雇)
第8条 事業主は、労働者の定年及び解雇について、労働者が女性であることを理由とて男性
   と差別的取扱いをしてはならない。
  2 事業主は、女性労働者が婚姻し、妊娠し、又は出産したことを退職理由として予定す
   る定めをしてはならない。
  3 事業主は、女性労働者が婚姻し、妊娠し、出産し、又は労働基準法(昭和22年法律
   第49号)第65条第1項若しくは第2項の規定による休業をしたことを理由として、
   解雇してはならない。
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■解説

現行法第11条のとおりです。




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(5)女性労働者に係る措置に関する特例の新設
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(女性労働者に係る措置に関する特例)
第9条 第5条から前条までの規定は、事業主が、雇用の分野における男女の均等な機会及び
   待遇の確保の支障となっている事情を改善することを目的として女性労働者に関して行
   う措置を講ずることを妨げるものではない。
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■解説

女性は細かい作業に向いている、女性特有の感性があるなどの先入観に基づき、一定の職務・職種について女性のみを募集・採用することは、かえって、女性の職域を限定したり、女性と男性の仕事を分離してしまうという弊害をもたらすものです。
このように、一定の職種・職務について女性のみを募集、配置する等、女性のみを対象として又は女性を有利に取り扱うものとして実施される措置の中には、女性の職域の固定化や男女の職務分離をもたらすという弊害が認められるものがあります。
そのー方で、「女性のみ」又は「女性優遇」の措置の中には、女性の能力発揮を促進し、男女の均等な機会及び待遇を実質的に確保するために望ましい措置もあります。
今回の改正においては、「女性のみ」又は「女性優遇」の措置は、男女の均等な機会及び待遇を実質的に確保することを目的とした措置については、法に違反しない旨を明記するとともに、それ以外の措置については、女性に対する差別として禁止することとしました。
「女性のみ」又は「女性優遇」の措置にかかる取扱いについては、今後、指針及び解釈通達で示すこととしていますが、ここに掲げた考え方を参考に、各企業において女性の能力が有効に発揮されるよう「女性のみ」又は「女性優遇」の措置の見直しを行ってください。




Q10
 パート労働者や派遣労働者についても女性のみ裏集することは均等法違反となるのでしょうか。
A10
 女性についての先入観等に基づき、一定の職務・職種について女性のみを募集・採用することは、かえって、女性の職域を限定したり、女性と男性の仕事を分離してしまうという弊害をもたらすものです。このため、平成11年4月の改正法施行後は、例えば、
 ・ コース別雇用管理におけるいわゆる一般職、パートタイム労働者、派遣労働者について、女性のみを対象とした募集・採用を行うこと
 ・ 秘書、受付、看護婦等女性が多く就業している職種について、女性のみを対象とした募集・採用を行うこと
 ・ 女性労働者についてのみ、接過訓練を行うこと
等は、女性に対する差別として均等法に違反することになると考えられます。


Q11
 「支障となっている事情」とは何を指すのでしょうか。
A11
 「支障となっている事情」とは、男女の役割分担意識やこれまでの企業における雇用管理等が原因となって、女性労働者の活用が阻害されていることをいうものです。


Q12
 第9条で均等法違反ではないとされる具体的な措置はどのょぅなものがあるのでしょうか。
A12
 具体的な内容は指針及び解釈通達で明らかにしていきたいと考えていますが、現在のところ、例えば、
  ・ 女性がいない、又は少ない職種について、女性の応募を奨励するために求人情報を男性より女性に多く提供すること
  ・ 女性がいない、又は少ない職種への女性の配置のために、女性のみを対象として必要な教育訓練を実施すること
  ・ 女性管理職がいない、又はその比率が低い場合において、女性労働者のみを対象として管理職の登用に向けて教育訓練を実施すること
  等が該当すると考えています。


Q13
 例えば女子更衣室の係員を募集する隅こも、男女とも募集しなければいけないのでしょうか。
A13
 これまで述べてきたように、改正均等法は、事業主に対し、男女の均等な機会及び待遇を確保することを求めるものです。しかしながら、社会通念上男女異なる取扱いをすることに合理的な理由がある場合には、男女異なる取扱いを行っても適用除外に該当し、差別的取扱いとはならないものと考えます。 
 改正均等法における適用除外については、例えば、次のようなものが考えられますが、具体的には、業務内容、社会的意識等を踏まえ確定していくことになります。
 ・ 芸術・芸能の分野における表現の真実性等の要請から一の性に従事させることに合理性がある職業  (例)・モデル、俳優
 ・ 風紀上、宗教上の必要性等から一方の性に従事させることに合理性がある職業 (例)・女子更衣室の係員
 ・ その他業務の性質上一方の性に従事させることに合理性がある職業 (例)・現金輸送車のガードマン・風俗、風習等の違いにより女性の就労に制限がある海外での勤務


Q14
 現行法では「女性のみ募集」は、適法と解釈されているのに、今回の改正によって、女性に対する差別として禁止されることとなるのはどうしてでしようか。
A14
 現行法は「女性福祉法」の色彩が強いのですが、改正法は、題名、目的規定をはじめとする第1章の規定において、「男女の均等な機会及び待遇の確保」を目指すものであることを明確にしています。
 また、改正法では第9条を新設して、男女均等の実質的な確保を目的とした「女性のみ」の措置は均等法違反とならない旨を明らかにし、逆にみれば、それ以外の「女性のみ」の措置は均等法違反となる旨法制上も明らかとなるようにしています。
 これらのことから、今回の改正によって「女性のみ」の措置は、
 ・第9条に規定する特例に該当する場合、又は
 ・社会通念上男女異なる取扱いをすることに合理的な理由がある場合として適用除外に該当する場合以外は、「女性に対する差別」として違法と解されることになります。




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(6)指  針
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(指針)
第10条 労働大臣は、第5条及び第6条に定める事項に関し、事業主が適切に対処するために
    必要な指針(次項において「指針」という。)を定めるものとする。
   2 (略)
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■解説

募集・採用、配置・昇進及び教育訓練について、禁止される女性に対する差別の具体的内容を指針によって明確にすることとしています。




Q15
 指針で定める事項の具体的内容はどのようなものですか。
A15
 指針においては、募集・採用、配置・昇進及び教育訓練について禁止される女性に対する差別の具体的内容を定めることとしています。その際には、「女性のみ」又は「女性優遇」の措置についての取扱いや、社会通念上男女異なる取扱いをする合理的な理由がある場合(適用除外)についても、定める予定です。




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3 紛争が生じた場合の救済措置

(1)苦情の自主的解決
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(苦情の自主的解決)
第11条 事業主は、第6条から第8条までの規定に定める事項に関し、女性労働者から苦情
    の申出を受けたときは、苦情処理機関(事業主を代表する者及び当該事業場の労働者
    を代表する者を構成員とする当該事業場の労働者の苦情を処理するための機関をいう。)
    に対し当該苦情の処理をゆだねる等その自主的な解決を図るように努めなければなら
    ない。
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■解説

現行法第13条のとおりです。




(2)女性少年室長による紛争の解決の援助
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(紛争の解決の援助)
第12条 都道府県女性少年室長は、雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇に関す
    る事業主の措置で労働省令で定めるものについての女性労働者と事業主(以下「関
    係当事者」という。)との間の紛争に関し、関係当事者の双方又は一方からその解
    決につき援助を求められた場合には、当該関係当事者に対し、必要な助言、指導又
    は勧告をすることができる。

   2 事業主は、女性労働者が前項の援助を求めたことを理由として、当該女性労働者
    に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない。
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■解説

女性少年室長による紛争解決の援助については、第1項の規定は現行法第14条のとおりです。援助の対象となる紛争の範囲は、今後、労働省令で定めることとしています。
また、女性労働者が都道府県女性少年室長に紛争の解決の援助を求めたことを理由として、事業主は、当該女性労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない旨の規定が新設されました。




Q16
 改正法は、紛争の解決の援助を求めたことを理由とする「解雇その他不利益な取扱い」を禁止していますが、不利益な取扱いにはどのようなものがあるのでしょうか。
A16
 「不利益な取扱い」の内容としては、配置転換、転勤、降格、減給、昇給停止、出勤停止、雇用契約の更新拒否等が挙げられます。




(3)調停制度の改善
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(調停の委任)
第13条 都道府県女性少年室長は、前条第1項に規定する紛争(第5条に定める事項について
    の紛争を除く。)について、関係当事者の双方又は一方から調停の申請があった場合に
    おいて当該紛争の解決のために必要があると認めるときは、機会均等調停委員会に調停
    を行わせるものとする。
   2 前条第2項の規定は、女性労働者が前項の申請をした場合について準用する。
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■解説

関係当事者の一方から調停の申請があった場合にあっては、他の関係当事者の同意が必要という現行の調停開始要件の存在が、女性労働者の側で調停申請を思いとどまる一因になっているとも考えられます。
そこで、個別紛争の迅速・簡便な解決を図る手段としての調停制度が有効に機能することを促進するため、平成11年4月の改正法施行後においては、紛争の当事者の一方からの申請により調停ができることとしたものです。
また、女性労働者が調停の申請をしたことを理由として、事業主は、当該女性労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない旨の規定が新設されました。




Q17
 調停の開始は、女性少年室長が「必要があると認めるとき」と定められていますが、どのような基準で始められるのでしょうか。
A17
 女性少年室長が、「紛争の解決のために必要がある」かどうかを判断するに当たっては、
 ・ 女性労働者と事業主との間に「紛争」があるか
 ・ 調停対象事項であるか
 ・ 当該紛争に係る事業主の措置が行われた日から1年を経過した紛争など、調停を行うことが適当であると認められないケースでないか
 等を考慮の上決定します。


Q18
 新たに規定されるセクシュアル・ハラスメント、ポジティブ・アクションは、調停の対象となるのでしょうか。
A18
 セクシュアル・ハラスメント及びポジティブ・アクションに関する事案は、均等法上の調停の対象とはなりません。
 セクシュアル・ハラスメントの事案の多くは、その特性として個人間のプライバシーの問題に関わることがあり、事業主と女性労働者の間の紛争を解決するための調停になじみにくいものであり、 むしろ、女性少年室において十分なカウンセリングを行い、事案に即した有効な解決方法を探ることが重要であると考えます。
 また、ポジティブ・アクションについては、事業主が、個々の企業の実態や考え方に応じて自主的に取り組むことを促進していくことが重要であり、労働省では、ポジティブ・アクションの重要性、手法について事業主の理解を深めながら、事業主の積極的取組を援助する事業を強力に推進していくこととしており、調停の対象には含めないこととする考えです。




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4 事業主の講ずる措置(ポジティブ・アクション)に対する国の援助の新設
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第20条 国は、雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇が確保されることを促進するた
    め、事業主が雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保の支障となっている
    事情を改善することを目的とする次に掲げる措置を講じ、又は講じようとする場合には、
    当該事業主に対し、相談その他の援助を行うことができる。

    一 その雇用する女性労働者の配置その他雇用に関する状況の分析
    二 前号の分析に基づき雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保の支
      障となっている事情を改善するに当たって必要となる措置に関する計画の作成
    三 前号の計画で定める措置の実施
    四 前三号の措置を実施するために必要な体制の整備
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■解説

働く女性が性により差別されることなく、その能力を十分に発揮して充実した職業生活を送ることができるようにするためには、企業の制度や方針において、均等法に基づき、男女の均等な取扱いを確保することに加えて、男女労働者の間に事実上生じている差に着目し、このような差の解消を目指して女性の能力発揮の促進について企業が積極的かつ自主的に取り組むことが望ましいものです。
このため、企業がそれぞれの状況に応じて具体的に取り組むことができるように国が援助できる旨の規定を新たに設けたものです。




Q19
 ポジティブ・アクションという言葉は、わかりにくいのですが、どういうことをいうのでしょうか。
A19
 個々の企業において、男女の固定的な役割分担意識や過去の経緯から
 ・ 営業職に女性はほとんど配置されていない
 ・ 課長以上の管理職は男性が大半を占めている
等の差が男女労働者の間に生じていることが多く、このような差は、均等法上の女性労働者に対する差別を禁止した規定を遵守するだけでは解消できません。
 「ポジティブ・アクション」とは、このような差の解消を目指して個々の企業が進める積極的な取組のことであり、男女の均等な機会及び待遇を実質的に確保するために望ましいものです。例えば、女性労働者の状況を分析した結果、勤続年数が長い女性労働者が多数勤務しているにもかかわらず、管理職になっている女性労働者が極めて少数であるというような場合、計画において、「3年間で女性管理職20%増加」という目標を掲げ、女性の管理職候補者を対象とする研修の実施、昇進・昇格試験受験の奨励、昇進・昇格基準の明確化等の取組を行っていくことが考えられます。
 なお、「女性労働者の能力発揮促進に関する研究会」(座長奥山明良成城大学法学部教授)(以下「研究会」という。)においてポジティブ・アクションの促進方策について検討されてきましたが、その結果が「女性労働者の能力発揮促進のための企業の自主的取組のガイドライン」として取りまとめられています。各企業で、ポジティブ・アクションに取り組まれる際に参考にしてください。

■リンク「女性労働者の能力発揮促進に関する研究会」ワークシート

Q20
 女性労働者の配置等の状況の分析は、どのように行ったらいいのでしょうか。
A20
 研究会がとりまとめたワークシートにおいては、部門別の従業員構成、資格等級・役職別の従業員構成を男女別に記入する表が挙げられています。このような表を作成することにより、・ 女性が全くいない、又は女性比率が極端に低い部門がないか ・ 一定の勤続年数以上の女性がいるにもかかわらず、女性の役職者がいない部門がないか 等を分析することができます。
 さらに、ワークシートに盛り込まれているチェック・ポイントを順次回答していくことにより、女性の能力発揮のネックになっている状況の分析が可能となります。例えば、・ 女性が少ない、又は新しく配置される職場などで、ロッカー設備、休憩室、トイレなど日常生活にかかわるものについて配慮をしているか ・ 男性ばかりの作業現場に女性を初めて配置する場合、女性を複数で配置するなど、女性に過度の緊張をさせないよう配慮しているか ・ 社員がどのような仕事をしたいと考えているのか等を把握するため、自己申告制度や、企業内公募制度等を活用しているか等多くの項目を点検することにより、当該企業の配置等における問題点の把握を行うことができます。


Q21
 国の支援とは具体的にはどのようなことでしょうか。
A21
 労働省としては、各地域において経営者団体や各種業界団体と連携を図りながら、まず、ポジティブ・アクションの重要性、手法についての事業主の理解を深めるよう周知を図るとともに、トップセミナーや地域における業種別使用者会議を開催すること等により、企業のポジティブ・アクションの具体的取組を援助していくこととしています。


Q22
 第20条と第9条との関係はどうなるのでしょうか。
A22
 第20条のポジティブ・アクションとして講じられる具体的措置としては、「女性のみ」又は「女性優遇」の措置と男女双方を対象として行う措置の両方がありますが、このうち「女性のみ」又は「女性優遇」の措置については、事業主が講ずることができるのは、第9条により法違反とはならないこととされた措置に限定されます。





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5 女性労働者の就業に関して配慮すべき措置
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(1)職場におけるセクシュアル・ハラスメントの防止
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(職場における性的な言動に起因する問題に関する雇用管理上の配慮)
第21条 事業主は、職場において行われる性的な言動に対するその雇用する女性労働者の対
    応により当該女性労働者がその労働条件につき不利益を受け、又は当該性的な言動に
    より当該女性労働者の就業環境が害されることのないよう雇用管理上必要な配慮をし
    なければならない。

   2 労働大臣は、前項の規定に基づき事業主が配慮すべき事項についての指針(次項に
    おいて「指針」という。)を定めるものとする。
   3 (略)
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■解説

職場におけるセクシュアル・ハラスメントは、女性の能力の有効な発揮を妨げるばかりでなく、企業の社会的評価を著しく低下させることにもなりかねない問題です。この問題の発生を防止することは、女性労働者の均等確保の基礎的条件であることから、女性労働者に対するセクシュアル・ハラスメントを防止することについて、事業主の雇用管理上の配慮義務を新たに規定したものです。




Q23
 職場におけるセクシュアル・ハラスメントとはどのようなものでしょうか。
A23
 第21条におけるセクシュアル・ハラスメントの概念は、性的な言動に対する対応により女性労働者が解雇、配置転換等労働条件上の不利益を受ける「対価型」と性的な言動により女性労働者の就業環境が害される「環境型」の両方を含んでいます。
 ・「対価型」の例
 権限を持つ上司からの性的な要求を拒否したため、解雇や昇進差別等の職業上の不利益が生じた。
 ・「環境型」の例
 性的な噂の流布、目に付くところにヌードポスターを貼る等により、就業環境が著しく不快になり、職業能力の発揮に深刻な悪影響が生じた。
 より具体的な内容については、セクシュアル・ハラスメントの実態、社会的状況等を勘案しながら指針において明らかにすることとしています。


Q24
 事業主が配慮すべきことは、どのようなことでしょうか。
A24
 企業におけるセクシュアル・ハラスメント防止のための雇用管理上の方針の確立、従業員に対する研修の実施、苦情処理機関の設置等が考えられますが、より具体的な内容については、指針において明らかにすることとしています。




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(2)妊娠中及び出産後の健康管理に関する措置
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(妊娠中及び出産後の健康管理に関する措置)
第22条 事業主は、労働省令で定めるところにより、その雇用する女性労働者が母子保健法
    (昭和40年法律第141号)の規定による保健指導又は健康診査を受けるために必
    要な時間を確保することができるようにしなければならない。

第23条 事業主は、その雇用する女性労働者が前条の保健指導又は健康診査に基づく指導
    事項を守ることができるようにするため、勤務時間の変更、勤務の軽減等必要な措置
    を講じなければならない。
   2 労働大臣は、前項の規定に基づき事業主が講ずべき措置に関して、その適切かつ有
   効な実施を図るため必要な指針(次項において「指針」という。)を定めるものとする。
   3 (略)
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■解説

女性の職場進出が進み、妊娠・出産後も働き続ける女性労働者が増加している中で、母性を保護し、女性が働きながら安心して出産できる条件を整備するため、妊娠中及び出産後の女性労働者の健康管理に関する規定を義務化したものです。この規定は、平成10年4月1日から施行されます。




Q25
 「保健指導又は健康診査を受けるために必要な時間」とは、具体的にどの程度必要なのでしょうか。
A25
 今回の改正により、事業主は、女性労働者が母子保健法に基づく妊産婦検診を受診するための通院時間を確保するための休暇を付与することが義務化されます。回数等具体的な基準については、労働省令において定められることになっていますが、その回数等は現行の指導基準とほぼ同じ内容になる予定です。
 (参考)現行の指導基準に定める回数
 回数については、原則として次の基準によること。ただし、医師等が特に必要と認める場合には、その指示された回数によること。
 イ 妊娠23週(第6月末)までは4週間に1回
 ロ 妊娠24週(第7月)から35週(第9月)までは2週間に1回
 ハ 妊娠36週(第10月)以後分娩(出産)までは1週間に1回
 ニ 産後4週間前後に1回(産褥期の終わる6〜8週後までは注意を要する)


Q26
 医師の指導事項を守るために必要な措置とは、具体的にどのような措置をとればうよいのでしょうか。
A26
 女性労働者が医師等から何らかの指導を受けた場合、その指導事項を守ることができるようにするための勤務の軽減、勤務時間の短縮、休業等の適切な措置を講じることが、義務化されることになります。具体的な内容については、指針において定められることになっています。


■母性健康管理に関する法律、省令及び指針
独立のページを設けました!
母性健康管理指導事項連絡カードの様式も掲載




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6 施行のために必要がある場合の行政指導

(1)報告の徴収並びに助言、指導及び勧告
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(報告の徴収並びに助言、指導及び勧告)
第25条 労働大臣は、この法律の施行に関し必要があると認めるときは、事業主に対して、報告
    を求め、又は助言、指導若しくは勧告をすることができる。
   2 前項に定める労働大臣の権限は、労働省令で定めるところにより、そのー部を都道府県
    女性少年室長に委任することができる。
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現行法第33条のとおりです。




(2)公表制度の新設
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(公表)
第26条 労働大臣は、第5条から第8条までの規定に違反している事業主に対し、前条第1項の
    規定による勧告をした場合において、その勧告を受けた者がこれに従わなかったときは、
    その旨を公表することができる。
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■解説

雇用の分野における男女の均等取扱いを確固たるものとするためには、雇用管理の各ステージについて女性に対する差別を禁止するとともに、その実効性を確保するための措置の強化が必要であり、今回の改正法においては、企業名公表制度という社会的制裁措置を新設することにより、法違反の速やかな是正を求める行政指導の効果を高めることとしたものです。





7 公務員に関する適用除外
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(適用除外)
第28条 第2章、第25条及び第26条の規定は、国家公務員及び地方公務員に、第3章の規定
    は、一般職の国家公務員(国営企業労働関係法(昭和23年法律第257号)第2条第2
    号の職員を除く。)、裁判所職員臨時措置法(昭和26年法律第299号)の適用を受け
    る裁判所職員、国会職員法(昭和22年法律第85号)の適用を受ける国会職員及び自衛
    隊法(昭和29年法律第165号)第2条第5項に規定する隊員に関しては適用しない。
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■解説

第2章の雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保に関する規定、第25条の報告の徴収並びに助言、指導及び勧告に関する規定並びに第26条の公表制度に関する規定は、国家公務員法及び地方公務員法において性別を含めて平等取扱いの原則が規定されていること等から、国家公務員及び地方公務員には適用されません。
また、第3章の女性労働者の就業に関して配慮すべき措置に関する規定は、それぞれの公務員法体系の中で既に同様の措置がなされ、又はなされる予定である一般職非現業の国家公務員、裁判所職員、国会職員及び防衛庁職員に関しては適用されません。










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改正労働基準法のあらまし


改正の内容

(1) 女性の時間外及び休日労働並びに深夜業の規制の廃止

   (平成11年4月1日から施行されます。)
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  女性労働者にかかる時間外労働、休日労働及び深夜業の規制が平成11年4月から解消
 されます。
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■解説

男女雇用機会均等法が昭和61年に施行されて以来10年余りが経過し、この間、女性の雇用者数の大幅な増加、勤続年数の伸長、職域の拡大、女性の就業に関する意識や企業の取組も大きく変化するとともに、労働時間短縮への取組が進み、特に平成9年4月からは週40時間労働制が全面的に実施されたところであり、育児休業法の施行や介護休業制度の法制化など職業生活と家庭生活との両立を可能にするための条件整備も進展しています。
このような中で、女性労働者に対する時間外、休日労働及び深夜業の規制については、雇用の分野における男女の均等取扱いと女性の職域の拡大を図る観点から、男女雇用機会均等法の改正と併せて、解消することとしたものです。
なお、この規制の廃止は、平成11年4月1日から施行されるので、それまでの間は現行の規制を遵守することが必要です。




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(2) 多胎妊娠の場合の産前休業期間の延長

   (平成10年4月1日から施行されます。)
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(産前産後)
第65条 使用者は、6週間(多胎妊娠の場合にあっては、14週間)以内に出産する予定の女性
    が休業を請求した場合においては、その者を就業させてはならない。

   2 使用者は、産後8週間を経過しない女性を就業させてはならない。ただし、産後6週間
    を経過した女性が請求した場合において、その者について医師が支障がないと認めた業務
    に就かせることは、差し支えない。

   3 使用者は、妊娠中の女性が請求した場合においては、他の軽易な業務に転換させなけ
    ればならない。
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■解説

多胎妊娠の場合は、単胎の場合に比べ、異常の発生割合及び妊婦の負担が大きいこと、さらに最近の医学的知見においては、多胎妊娠の場合、妊娠26週以降慎重な管理が必要とされていることから、産前休業期間を10週から14週に延長することとしたものです。




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2 女性の時間外及び休日労働並びに深夜業の規制の解消に伴う雇用管理の配慮について

平成11年4月1日から女性の時間外及び休日労働並びに深夜業についての労働基準法の規制が解消されることに伴い、新たに女性労働者が深夜業等を行うことができるようになります。
各企業においては、労働協約や就業規則、36協定の見直しを行う必要があり、また、新たに女性労働者に深夜業等を行わせる場合には、労働条件の変更となりますので、労使間での十分な話し合いが望まれます。
その際には、労働基準法に係る諸手続の適正な実施が必要であるほか、個々の労働者の健康や家族的責任を有する状況への配慮が望まれるとともに、均等法やその趣旨に反することのないようにすることも求められます。
各企業においては、以下のQ&Aも参考にしながら、雇用管理の見直しを進めていただくようお願いします。




Q1
 女子保護規定の解消に当たっては、企業としてどのような配慮が必要でしょうか。
A1
 これまで、時間外・休日労働や深夜業が規制されていた女性労働者について、新たに時間外・休日労働や深夜業をさせる場合には、労働基準法、労働安全衛生法、育児・介護休業法等の規定を遵守しなければならないことはもとより、就業規則や労働協約を変更するに際しては、労使間において十分な話し合いを行うことが望ましいものと考えます。
 事業主が遵守すべき労働基準法等の措置を遵守することはもちろんですが、これら以外にも、例えば、
 ・ 家族的責任を有するなどのため時間外労働を行うことが困難である男女労働者について、36協定において対象となる労働者から除外することや、一般の労働者に比べ短い時間を設定すること等一定の配慮を行うこと。
 ・ 家族的責任を有する男女労働者に対して、時間外労働を命じたり、深夜業に従事させたりするに当たっては、その事情を配慮することなどは、望ましし配慮といえます。
 また、事業主が新たに女性労働者に深夜業をさせようとするときは、業務上の負担の軽減、通勤時の便宜や安全の確保、福利厚生の充実など就業環境の整備に努めることが望まれることから、このような事業主が努めるべき事項については、総合的な指針を定めることとしています。


Q2
 深夜勤を望まない女性労働者を個別契約により、これに配置しないことはできるでしょうか。
A2
 個々の労働者の健康や家族的責任の状況を理由として他の労働者と異なる取扱いをすることは、均等法上の問題となるものではないことから、深夜業を希望しない労働者について就業規則において配慮することや、深夜業を望まない労働者と十分な話し合いをした上で、深夜業のある職場に配置しない旨の労働契約を締結することは可能です。


Q3
 就業規則や労働協約で、女性にのみ深夜業を制限する旨の規定を設けた場合、均等法違反となるのでしょうか。
A3
 均等法では、労働者の配置について、「女性であること」を理由として男性と比べて女性に差別的な取扱いをすることが禁止されます。したがって、就業規則や労働協約において、女性であるが故に、一律に交替制の深夜勤務をさせない旨の定めをすることは、一定の職務から女性を排除することになり、配置に関して均等法に違反することとなります。
 また、就業規則や労働協約において、女性であるが故に、深夜に及ぶ時間外労働をさせない旨の定めをすることは、一定の職務から女性を排除しているとまではいえないものの、均等法の趣旨に反するものと考えます。なお、このような定めを理由として、募集・採用、配置・昇進等について男女異なる取扱いをすることは、合理的な理由がない限り、均等法に違反します。


Q4
 36協定や労働協約において、時間外労働の上限を「男性300時間、女性150時間」というように異なる定めをした場合、その労使協定は労働基準法又は均等法に違反するのでしょうか。
A4
 時間外労働について「男性300時間、女性150時間」というように、女性であることのみを理由として、36協定や労働協約によって男女異なる取扱いをすることは、労働基準法に違反するものではありませんが、均等法の趣旨に反するものと考えます。
 また、このような定めを理由として、募集・採用、配置・昇進等について男女異なる取扱いをすることは、合理的な理由がない限り、均等法に違反します。

























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