有期労働契約の締結・更新・雇止めに関する指針
■HOMEPAGE

■640/480 
■パートタイム労働情報




有期労働契約の締結及び更新・雇止めに関する指針

 
(参考)労働省・有期労働契約の反復更新に関する調査研究会報告(平成12年9月)


有期労働契約の締結及び更新・雇止めに関する指針(平成12年12月28日)


1 趣旨

 有期労働契約については、締結(更新の場合を除く。以下同じ。)及び更新・雇止めの際の説明やその手続などの実態を見ると、更新・雇止めに関して労働者の保護に欠けるものと考えられる問題点も見られるところである。また、雇止めに関する裁判例を見ると、結果として雇止めが認められなかった事案も少なくなく、有期労働契約の締結及び更新・雇止めに関しては、当該有期労働契約に係る労働者の適正な労働条件を確保するための対策が求められている。
 この指針は、有期労働契約の更新・雇止めをめぐるトラブルを未然に防止し、有期労働契約の適正な運用を確保するため、有期労働契約の締結及び更新・雇止めに当たり、手続及び契約期間に関して使用者が考慮すべき事項を定めたものである。


2 有期労働契約の範囲

 この指針にいう有期労働契約とは、パートタイマー、契約社員、嘱託、臨時社員、アルバイト等当該労働契約に係る労働者の事業場における呼称を問わず、期間を定めて締結されている労働契約をいう。


3 有期労働契約の締結及び更新・雇止めに当たり、手続及び契約期間に関して使用者が考慮すべき事項

使用者は、

<1> 労働契約の期間の定めの有無にかかわらず適用される労働基準法等の労働関係法令を遵守するとともに、

<2> 雇止めに関する裁判例を見ると、契約の形式が有期労働契約であっても、

  ・反復更新の実態や契約締結時の経緯等により、実質的には期間の定めのない契約と認められた事案

  ・実質的に期間の定めのない契約とは認められないものの契約更新についての労働者の期待が合理的なものと認められた事案

  ・格別の意思表示や特段の支障がない限り当然更新されることを前提として契約が締結されていると認められ、実質上雇用継続の特約が存在すると言い得る事案

があり、こうした事案では後述する解雇に関する法理の類推適用等により雇止めが認められなかった事案も少なくないことに留意しながら、有期労働契約の締結及び更新・雇止めに当たり、手続及び契約期間に関しては、特に次の点について適切な措置を講ずるべきである。


(1) 更新・雇止めに関する説明

 使用者は、有期労働契約の締結に際しては、当該有期労働契約の更新の有無及びその考え方並びに更新及び雇止めを行う場合の判断基準を、当該労働契約に係る労働者に対し説明するよう努めるものとする。
 また、使用者は、有期労働契約の締結に際して説明した内容について変更を行った場合には、速やかに当該労働者に説明するよう努めるものとする。

(2) 契約期間

 使用者は、有期労働契約の更新により1年を超えて引き続き使用するに至った労働者について、労働契約の期間を定める場合には、当該期間を不必要に短くすることなく、労働基準法の規定の範囲内で、当該労働契約の実態や当該労働契約に係る労働者の希望に応じ、できるだけ長くするよう努めるものとする。

(3) 雇止めの予告

 使用者は、有期労働契約の更新により1年を超えて引き続き労働者を使用するに至った場合であって当該労働契約を更新しないときは、少なくとも30日前に更新しない旨を予告するよう努めるものとする。

(4) 雇止めの理由の告知

 使用者は、有期労働契約の更新により1年を超えて引き続き労働者を使用するに至った場合であって当該労働契約を更新しないときは、労働基準法第22条の退職時の証明における解雇の理由の証明に準じて、「契約期間の満了」という理由とは別に、当該労働契約に係る労働者が望んだ場合には更新をしない理由を告知するよう努めるものとする。

 なお、期間の定めのない労働契約に係る労働者の解雇については、使用者の解雇権の行使が客観的に合理的な理由を欠き社会通念上相当として是認することができない場合には、権利の濫用として無効となる(「解雇に関する法理」)との裁判例があることに留意する必要がある。