派遣労働のいま


2009/04/18 派遣労働者の大半は、「自分だけの稼ぎで生活している」

 厚生労働省の平成19年就業形態の多様化に関する総合実態調査は、就業形態別に「生活をまかなう主な収入源」の調査を行っている。

 この間、「派遣切り」が社会的にも問題となったが、
 前記調査結果からも、派遣労働者は「自分だけの稼ぎで生活している」割合が高い。
 「派遣切り」にあった時の「傷み」が大きいのは、
 このような点からも推察ができるのである。

○自分自身の収入で生活している割合(図も参照)
 正社員          84.9%
 派遣労働者        70.5%
 臨時労働者(期間工等)  53.3%
 パートタイム労働者    28.6%


2009/04/18 派遣労働者の労働条件及び安全衛生の確保について

派遣労働者の労働条件及び安全衛生の確保について(2009.3.31基発第0331010号通達)

 派遣労働者の2007年、休業4日以上の労働災害は、5,885人(うち死者36人)。2004年から3年間で9倍に増加している(下記URL参照)
⇒ http://www.jil.go.jp/kokunai/mm/siryo/pdf/20080822.pdf
 一向に減少しない派遣「労災」を見て、
 厚生労働省は2009.3.31基発第0331010号として、標題の通達を発出しました。
 通達は、労働基準全般(労働基準法+安全衛生法)に渡り、派遣元事業主及び派遣先事業主が各自、又は連携して実施すべき重点事項等について取りまとめ、改めて確認的に発出したものとなっています。
http://www.mhlw.go.jp/topics/2009/04/tp0401-1.html
 ところで、わが国の労働災害全体が減少に向かう中で、派遣就労者の割合に換算してみても(派遣労災の)増加が確認されるのは、そこに、構造問題があるか、現在の対策が上辷りしているかだ。
 本件通達の発出を期に、派遣労働職場の「安全衛生管理」について、関係者がしっかり向き合っていくことが大切だろう。


2009/04/01 労働者派遣の中途解約-休業手当相当額の損害賠償を規定へ

 2009.3.26労働政策審議会[部会]は、労働者派遣に関する指針改定案を了承しました。
 改定ポイントは、「派遣契約の中途解約」
1) 中途解約した派遣先に対して、残存契約期間の休業手当相当額を損害賠償するよう明記する(派遣先が新たな就業先を確保する場合を除く。)
2) 派遣業者に対しては、派遣先から契約を中途解除された場合でも、安易に解雇せず休業手当を労働者に支払うことなどを明記する。
改定指針の施行日は、2009.3.31


2009/03/17 製造業派遣-原則ゼロへ

 (再掲)
 リコー
 トヨタ系
 キャノン
 主要企業が製造業派遣、原則ゼロへ
 (2009.3.17日本経済新聞朝刊一面記事見出し)

 (編注)

 グローバルな競争に勝ちぬくためとして、労働コスト削減に傾斜した生産現場が、やっと、本来の姿を模索し始めたようだ。
 派遣労働は、それが非直接雇用であるが故に、派遣労働者を「人」としてより、工務、資材、費用として捉えてしまう危うさがある。末端に行くほど、派遣労働者が「人」であることは(それは分かっているのだが)分かっていても、直接雇用でないが故に、雇用責任が実感できない。時として、担当者の一時の感情が、派遣の入換え要求という理不尽な言動につながって、自分自身をさえコントロールすることが難しくなる。
 
 臨時工、期間工の身分の不安定さは、派遣労働者とそれほど違わないとも云われるが、今、製造現場に必要なのは「直接雇用による」、「雇用責任の実感」を通じて、物でなく人を相手にする本来感覚を取りもどすこと、これが大切だろう。
 それが、現場力の強化に通じる道でもある。


2009/03/06 派遣スタッフアンケート

派遣労働ネットワークは2009.3.4
「派遣スタッフアンケート2008集計結果」を発表。

これによると
平均年収(首都圏)は、男性が332万円、女性が224万円。正社員希望は69.5%と高い。
詳細は、下記URLを参照してください。
⇒ http://haken-net.or.jp/modules/tinyd4/content/hsen_2008.pdf


2009/03/05 トヨタ九州、派遣1000人を直接雇用(減産緩和に備え)

(日本経済新聞2009.3.3夕刊記事から)
 「 トヨタ自動車九州(福岡県宮若市)は生産部門にいる約千人の派遣従業員全員を、正社員や期間従業員として直接雇用する方針だ。契約期間の満了時に順次移行する。トヨタ自動車九州は四月以降に減産を緩和する見通しで、雇用を維持して生産台数の増加に備える。また直接雇用に切り替えて従業員の意欲向上につなげる。
 生産部門にいる約千人の派遣従業員の多くは今夏までに派遣期間を終える。派遣従業員の意向や適性を確認したうえで、正社員や期間従業員に切り替える。このうち正社員を何人にするかは未定だ。」

[編注]
新しい流れとして定着や如何?注目。


2009/03/04 2009年1月の派遣料金

三大都市圏平均1484円(リクルート調べ)
関東 1554円
東海 1334円
関西 1376円
これは対前月比7ヵ月連続マイナス
職種別にも5業種のすべてで前年割れ。なかでもオフィスワーク系の落ち込みが大きい。


2009/03/01 派遣料金厳しく、値上げ要請見送り続々

 表記は2009.2.26日本経済新聞夕刊の見出し。
 背景には、景気悪化に伴う派遣需要の急減がある。
記事によると「派遣各社は来年度の派遣人員数の維持を最大目標としており「料金引き上げを要求できない状況にある」という。
 また、同記事は
「首都圏の一般事務職は現在、一時間当たり2100―2500円程度(派遣会社の請求額)だが、
(1)事務系の派遣需要は昨年後半から後退した。不動産・建設や証券業に加え「製造業の事務職の求人も年明け以降に大幅に減った」
(2)「既存スタッフの雇用を維持するため、新規募集の派遣社員は前年比五割減」
といった状況を紹介している。


2009/01/22 日本人材派遣協会は、派遣の規制強化に反対

 2009.1.21の日本経済新聞朝刊は、日本人材派遣協会は20日、年頭の記者会見を開き、製造業派遣の禁止など人材派遣への規制を強化すべきだとする動きに反対の姿勢を表明したとして、次のように報じている。

 「(略)
 同協会は製造業派遣に関して、企業が国際競争に対応するには人件費の流動化は避けられないうえ、派遣を積極的に選択する人も増えており、多様な働き方を認めるべきだと指摘。規制強化は企業の競争力を弱め、結果的に雇用状況が悪化するとして、雇用問題解決には社会保障や職業訓練などのセーフティーネットが必要との考えを示した。(略)」(1月21日記事から)


2009/01/16 日本経済新聞平成21年1月8日朝刊「社説」

 『今のようなときこそ一日単位で仕事を見つけられる日雇い派遣はありがたいものではないか。』
 (現在国会で審議されてている「日雇い派遣原則禁止法案」も問題が多い、として)

 編注/こういう捉え方もあり、ですか。しかし、「あまりいい気分ではない。」


前ページ 次ページ

- Topics Board -