派遣労働のいま


2009/01/16 与党PTの製造業派遣問題への方針

 与党新雇用対策プロジェクトチーム(川崎二郎座長)は2009.1.15、製造業派遣の全面禁止は当面見送る一方、
(1) 派遣打ち切りの対象者に対し「派遣元会社が再就職あっせんをするよう義務付ける」
(2) 「派遣先会社が支払う損害賠償制度を法制化する」
などを具体化していく方針を確認した。
民主党等野党の出方が焦点になる。


2009/01/14 登録型派遣における派遣労働者の平均賃金は9,534円

 登録型派遣における派遣労働者の平均賃金は9,534円と、前年の10,571円より9.8%減。
 政令で定める26業務について業務の種類別にみると、事業の実施体制の企画、立案が16,386円(同15,296円)で最も高く、次いでソフトウェア開発(15,874円)(同15,118円)、通訳、翻訳、速記(14,348円)(同14,446円)、アナウンサー(14,256円)(同14,338円)の順で高くなっている。
 平成18年度と比較して上昇したものは、建築物清掃(12.4%増)、ファイリング(9.1%増)等であり、逆に低下したものは、広告デザイン(3.5%減)、放送番組等演出(2.0%減)等。

⇒労働者派遣事業(平成19年度事業報告)より
 http://www.mhlw.go.jp/houdou/2008/12/h1226-3.html


2009/01/07 製造業への労働者派遣をめぐる経済3団体及び首相の1月6日の発言

○経団連の御手洗会長
 「経済構造の変化に対応しながら段階的に制度をつくってきた。環境変化に対応するために政労使で法制の見直しをすればよいと思う」
○同友会桜井代表幹事
 「(禁止は)行きすぎた話で、仕組みの中で不足しているなら手直しする必要がある」
○日商岡村会頭
 「どうしたらうまくいくか議論すべきだ」
(以上は、2009.1.6経済3団体共同記者会見において)
○麻生首相
 「派遣を廃止すればかえって労働者の不利益になる。政府も労働者保護強化の観点で見直しが必要と考え、日雇い派遣の原則禁止などを内容とする改正案を提出した。対策に万全を期す。」(2009.1.6国会答弁)

○舛添厚生労働大臣は、前日の2009.1.5に製造業への労働者派遣の疑問を提起している。


2009/01/06 製造業にまで派遣労労働を適用するのはいかがなものか

○舛添厚生労働大臣-製造業派遣をめぐる2009.1.5の発言
「製造業にまで派遣労労働を適用するのはいかがなものか。それを含めて考えなければならない。」


2008/10/21 第一生命-派遣社員3200名を直接雇用へ移行

 第一生命は、10月20日、新たに「スタッフ社員」制度を創設して
 現在の
(1) 派遣社員約3,200名を直接雇用に移行
(2)「契約社員」約800名をそのまま移行
すると発表した。
 新設「スタッフ社員」は、勤務成績等に応じて最長で60歳まで(条件により65歳まで)雇用契約を更新できる。(なお、長期雇用を想定した制度だが、期間の定めのある労働契約であることには相違ない-原則1年間または6ヶ月間--)
 
 第一生命は、そのねらいを、「お客さま向け事務・サービスの品質を向上させ、さらには当社全体の生産性の向上を図っていく」ためとしている。


2008/10/03 フルキャストの末端統制力?

 日雇い派遣大手の「フルキャスト」が処分期間中に労働者の派遣業務を継続していたとして、厚生労働省は2008.10.3同社に2度目の事業停止命令を出した。
 しかし、フルキャストにかぎらず、派遣会社には、末端現場までの「統制力」が維持できているのだろうか??!(人治を超える規模に達し、自壊作用を起こしている、そのような気もする”フルキャストのお粗末ぶり”ではある。

なお、フルキャストは10/3、明年9月末までに日雇い派遣から完全撤退する方針を発表した。


2008/09/26 労働者派遣制度の改正へ労働政策審議会が建議!

厚生労働省・労働政策審議会は
2008.9.24、労働者派遣制度の改正について建議を行った。
1 日雇派遣の原則禁止
2 登録型派遣の常用化
3 派遣労働者の待遇の確保
4 雇用契約申込義務
5 需給調整機能
6 関係法制度の必要な整備について
7 法令違反等に対処するための仕組みの強化

の7項目について具体的措置を盛り込んでいる。これを受けて厚生労働省は今後、法案要綱作成に入る。
審議会答申内容等は以下のURLから、詳細を確認できる。

http://www.mhlw.go.jp/houdou/2008/09/h0924-3.html


2008/09/13 日雇派遣禁止の例外業種をどうするか

 (再掲)

 厚生労働省は2008.9.12開催の審議会(部会)で派遣労働法の改正に向けた審議を行った。
 この中で、30日以内の日雇い派遣を原則禁止とするものの、「例外業種」をどうするか審議され、昨日の審議会では、現行制度で派遣期間に制限のない26業種のうち、通訳、秘書など専門性の高い18業種を例外業種とする案が示された。
 今後労使の意見を確認して、今月中に最終決定の運び。

(具体的には次のとおり。)

1号 ソフトウェア開発の業務
2号 機械設計の業務
×3号 放送機器等操作の業務
×4号 放送番組等演出の業務
5号 事務用機器操作の業務
6号 通訳・翻訳・速記の業務
7号 秘書の業務
8号 ファイリングの業務
9号 調査の業務
10号 財務処理の業務
11号 取引文書作成の業務
12号 デモンストレーションの業務
13号 添乗の業務
×14号 建築物清掃の業務
×15号 建築設備運転、点検、整備の業務
16号 案内・受付、(×)駐車場管理等の業務
17号 研究開発の業務
18号 事業の実施体制の企画、立案の業務
19号 書籍等の製作・編集の業務
20号 広告デザインの業務
×21号 インテリアコーディネーターの業務
×22号 アナウンサーの業務
23号 OAインストラクションの業務
×24号 テレマーケティングの営業の業務
25号 セールスエンジニアの営業、金融商品の営業関係の業務
×26号 放送番組等における大道具・小道具の業務


2008/09/12 刑務所等の施設での民間請負の9割に「偽装請負」等の問題

 2008.9.10共同通信は、
 「刑務所など全国72の刑事施設が、2007年度に経費削減のため経理部門の仕事や刑務所の外の巡回などを民間会社に請け負わせた計510の業務のうち、施設側が請負会社の従業員を直接指揮したり、勤務時間を決めたりしていたケースが9割以上の469業務であったことが法務省の調査で10日、分かった。」ことを記事にしている。

 同記事によると問題と判断したのは、(1)施設の職員が従業員を直接指揮していた例の241、(2)勤務時間を決めていた例の434、(3)請負会社の管理者が週に数回しか施設を訪れない例の124など。
 雇用していない請負会社従業員を直接、労務管理することは労働者派遣法が禁じる「偽装請負」に当たる。
 法務省は、昨年12月、神戸刑務所が請負会社の従業員の労務管理をしていたとして兵庫労働局から是正指導されたことをきっかけに、全国の施設を一斉調査していた。


2008/09/06 派遣先に対しても「費用徴収」を適用か?

 労災給付の元となった労働災害の発生に関して事業主に故意や過失があった場合には、保険給付に要した費用の全部又は一部を事業主から徴収できる制度、いわゆる「費用徴収の制度」がある。
 ただ、この費用徴収の制度は、派遣労働に関しては現在、「派遣元」にしかこれを適用できない。
 9月8日付労働新聞第2696号の記事は、
 「これを改め、『派遣先からも費用徴収ができるようにする』こととし、そのための法改正の作業に厚労省が着手した旨」、報じている。


(編注)(派遣に限らず、全体の)「費用徴収」の制度自体がもう少し、厳格厳正に運用されるのでなければ、実効はあがらないだろう。


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