派遣労働のいま


2008/09/03 派遣法改正案の詳細〜示された「たたき台」

(再掲)
 労政審分科会8月28日開かれ、今後の労働者派遣制度の在り方の論点(たたき台)が事務局から示された。
 同「たたき台」全文は以下のURLで確認できます。

http://www.mhlw.go.jp/shingi/2008/08/dl/s0828-5a.pdf


2008/08/29 派遣労働法改正の骨子案

(再掲)
 2008.8.28開催の労働政策審議会部会において、厚生労働省はに労働者派遣法改正案の骨子を提示したとして、8月29日日本経済新聞朝刊は、その内容を次のように報じている。

(1)雇用期間30日以内の「日雇い派遣」を原則禁止。
(2)グループ企業内への派遣を派遣元の派遣スタッフ全体の8割以下に規制
(3)1年以上勤務している登録型派遣[※]の社員を派遣元の正社員にするなどの努力義務
(4)派遣料金の中の派遣会社の収入の公開を義務化
(5)違法派遣や偽装請負の派遣先に対し、派遣社員を直接雇い入れるよう行政が勧告できる制度を新設

 なお、前記(1)の原則について、専門職には例外を設ける方針。具体的には、
 「現在は通訳、アナウンサーなど二十六業種について、専門性が高いとして短期を含め派遣期間に関する制限を設けていない。同日の会議で厚労省はこのうち清掃、ビルメンテナンス、駐車場管理、テレマーケティングの四業種は短期派遣を認める例外対象からは除外する方針を示した。
 そのうえで厚労省は、新たに禁止の例外とする業種を選定する考え(だが、)「日雇い派遣が幅広く活用されている引っ越しやイベント設営、街頭でのティッシュ配布なども認めてほしい」といった声が出たが、厚労省は専門性のない業務は認めない方針だ」とした記事内容である。

[※]現在、派遣労働者の約7割230万人が登録型となっている。


2008/08/26 派遣労働者の労働災害が急増

(再掲)
 派遣労働者の労働災害が増加している。
 先に(2008.8)厚生労働省が発表した「派遣労働者の労働災害の発生状況について」によると、ここ数年、派遣労働者の労働災害が急増している。
 厚生労働省の分析では、平成19年の休業4日以上の死傷災害のうち製造業の割合が68.3%を占めているなど突出していることから、
 派遣労働の製造業への解禁が労働災害急増の背景にあると見ている。
   http://www.jil.go.jp/kokunai/mm/siryo/pdf/20080822.pdf


2008/08/20 偽造請負に組織的犯罪処罰法違反(犯罪収益隠匿)を適用

(8月13日共同通信が次のように報じている)

[ 愛知県警は13日、不法滞在の中国人を偽装請負で働かせて収益を上げたとして、組織的犯罪処罰法違反(犯罪収益隠匿)の疑いで、同県一宮市の人材派遣会社社長の男(68)を書類送検した。
 県警によると、偽装請負に同容疑を適用するのは全国初という。

 調べによると、男は2006年4月から07年4月にかけ、一宮市と岐阜県関ケ原町のプラスチック加工会社と請負契約を結びながら、20〜40代の不法滞在の中国人男女11人を派遣の形態で働かせて約2,400万円を売り上げた疑い。県警によると、男は偽造パスポートを作成し、中国人を派遣先の面接に行かせていた。「中国人を使う方がマージンを多く取れた。中国人の仲介者に紹介され、延べ60人くらい派遣した」と供述したという。1991年に派遣会社を設立したが、労働者派遣事業の届け出もしていなかった。]


2008/07/29 パソナが派遣社員の再評価と囲い込みへ

 2008.7.26日経新聞記事によると、パソナグループが「事務経験が10年以上ある人を基本に、約9000人を対象に、筆記テストや面接に加え派遣先企業の意見も聞いて、職種ごとに3段階で評価する。
 高評価のスタッフは給与面で優遇する(給与の上昇分は派遣先企業に負担を要請。評価は毎年実施し、企業が受け入れてくれなければ、別の派遣先を探すことも検討。)現在平均で1600円台の一般事務の場合、最も高い評価だと2200円程度となる予定。」

 背景には、人手不足が深刻化するなか、低所得のイメージが強い派遣社員の待遇を改善し、囲い込みを図るねらいがあるという。


2008/07/29 日雇い派遣から短期アルバイトへ

 日雇い派遣の規制強化を睨んで、人材サービス各社が、中小企業向けアルバイトの採用支援を充実させる動きを示していることを20087.7.24日経朝刊が記事にしている。

 記事の例は、次のとおり。
(1) リクルートは二十八日、短期バイトに特化した求人情報サイトを開設。
(2) ディップは求人企業のホームページ制作を請け負うサービスを始めた。
 
 例えば、この中で(1)のリクルートの短期バイト求人サイトの例は、次のように紹介されている。
 「リクルートの新サイト「フロム・エー短期ナビ」に掲載するのは期間が1〜30日以内の短期バイト。「翌日」など急な求人情報を、事前登録者に携帯メールで配信する。求人情報サービスを手がけるロケーションバリュー(東京・千代田)と提携。全地球測位システム(GPS)の位置情報を利用し、求人企業の近くにいる登録者だけに携帯メールで情報を配信する仕組みも導入する。
(新サイトの掲載料金は、応募人数の上限五十人、掲載期間十二週間の場合で三十万円。)」という。


2008/07/29 不安定な若者の姿は社会も歓迎していない

 2008.7.28厚生労働省有識者研究会が派遣労働について報告書をまとめた。「派遣制度を社会的に許容されるよう見直す」(研究会座長)として、これまでの経済効率性一辺倒からの転換を示唆した。
 具体的な規制強化項目は
○30日以内の派遣は原則禁止(日雇い派遣を含む)
○派遣会社のマージンの公開
○直接雇用の回避ねらいのグループ内派遣を規制(8割以下に)
○偽装請負等違法行為の発覚時に、直接雇用の勧告制度
○派遣先での労災事故に派遣先企業の費用負担を課す
など。
 今後、厚労省は労政審の議論も踏まえ派遣法の改正案をまとめる。


2008/07/11 与党プロジェクトチームの労働者派遣制度見直しの提言

 2008.7.8与党プロジェクトチーム(座長・川崎二郎衆議院議員)による表記の提言内容は、以下のとおり。
 (編注)現状では、見直しの方向性に関して相当程度の影響するものと思われます。(全項目を以下に紹介します)

労働者派遣法改正の基本的考え方について
1 派遣労働者の雇用の安定、待遇の確保について
(1)日雇派遣について
  日雇派遣は、派遣の中でも特に雇用が不安定であることから、原則禁止とすること。ただし、日雇派遣が常態であり、かつ、労働者の保護に問題がない業務等については、ポジティブ・リスト化して例外的に認めるものとすること。
  また、日雇派遣事業の日雇職業紹介事業への切り替えの促進を図るとともに、併せてハローワークの機能強化により日雇派遣労働者の安定就職の促進を図ること。
(2)登録型派遣について
  登録型派遣の労働者のうち希望する者には、常用型派遣を含む常用雇用へ切り替えることを促進するための仕組みを設けるなどの雇用の安定化につながる措置をとること。
(3)待遇の改善について
  派遣労働者の職務内容に相応しい待遇が確保されるために必要な措置をとること。
(4)労災保険について
  派遣先の法律上の災害防止責任が反映されるよう必要な措置をとること

2 労働者派遣事業の適正化について
 派遣会社における事業の透明化、適正化を図るため、以下について措置すべきである。
(1)マージン率について
  労働者派遣事業に係る情報公開については、マージン率の公開を含め、法律上の義務とし、その徹底を図ること。
(2)専ら派遣について
  労働者の処遇の切り下げに用いられやすいことから、グループ企業内において労働者派遣事業を行うことについて一定の規制を行い、適正な事業運営が行われるようにすること。
3 偽装請負、違法派遣への対処について
(1)偽装請負について
  派遣先が偽装請負等を繰り返すような場合に、より強い行政措置が発動されるようにすること。
(2)違法派遣について
  違法派遣を行った派遣会社に対して処分の実効性を高めるようにするなど、指導監督強化のための措置をとること。


2008/07/05 新しい厚生労働省の「派遣労働パンフレット」

 厚生労働省は、労働者派遣に関わる制度の内容を解説した新版のパンフレットを配布している。
 同ぱんふは次の3種類。
(リンクを張っておきました。ダウンロード利用をお勧めします)


1 派遣労働者の皆様へ
2 派遣先の皆様へ
3 派遣会社の事業所の皆様へ


2008/06/26 株式会社グッドウィル-派遣事業等を廃止!

 株式会社グッドウィル(代表取締役社長中元一彰 本社:東京都港区六本木6-10-1)は、平成20年6月25日に、有料職業紹介事業及び一般労働者派遣事業について事業廃止を発表した。

最近のグッドウィルの派遣労働者の状況
○1日当たり平均派遣労働者数約7,000人
○(5月中に1日でも稼働した者約2.5万人)

◎従業員の状況
正社員約1,500人
契約社員約600人
内勤アルバイト約2,100人


前ページ 次ページ

- Topics Board -