派遣労働のいま


2008/06/19 日本人材派遣協会のとりくみ

 日本人材派遣協会の労働者派遣事業の適正な運営に向けて(2008)
 新聞の1頁全面広告なども出て、少々驚き!全文は以下のサイトから
 http://www.jil.go.jp/kokunai/mm/siryo/pdf/20080530.pdf

抜粋
次の2点などは具体的成果を望みたいところ、、。

◎労働・社会保険の適用の徹底
 会員企業は、派遣労働者の雇用主として、労働・社会保険の適用について派遣労働者に充分に周知し、加入要件を満たす派遣労働者については必ず加入させます。・・・、協会は労働・社会保険の加入率が著しく低い会員企業に対して是正を求め、これに応じない場合には企業名を公表するなど加入徹底に向けた措置を講じます。

◎「日雇派遣労働者」への特別な対応
 会員企業は、いわゆる「日雇派遣」にみられた意図的な1 日単位の細切れ契約は行わず、個々の派遣労働者の希望に応じて、可能な限り長期の契約を確保することに努めます。


2008/06/18 舛添厚生労働大臣の「日雇い派遣に関する発言」

(会見H20.06.13(金)09:23〜09:35)

日雇い派遣に関する発言

「私は、やはり基本的に専門的な職種、一番分かりやすいのは、同時通訳さん、この前の新潟のG8労働大臣会合みたいな、ああいう方々は、その度に行かれるので、これはもう派遣されるのが当たり前みたいな職種です。そうではなくて、普通のメーカーさん等でやっている派遣というのは尋常かというと、私は、常用雇用が普通だと思います。そして、常に言うように、恒産なければ恒心なしで、しっかり職をもって。だから結婚できないのです、職が不安定だということで。だから、基本的には、日雇い派遣というのは私はいかがなものかと思っております。決して好ましいと思っていないですけど、日雇い派遣については、議論しないといけないですが、気持ちから言えば、かなり厳しく、原則的にこれはもう止めるような方向でやるべきではないかと思っております。しかし、それは、労使の意見も聞かないといけないです。だから、働き方の柔軟性、例えば、女性で家庭と仕事と両立させるために派遣のような形が良いという方はおられます。しかし、少なくとも日雇い派遣はあまりに問題が多いですから、そこにどうメスを入れるか。そして、派遣でも派遣元企業で常用化されてきちんとそこの正規の労働者としてやっている方はある意味で問題ない。しかし、登録しててその度に日雇いでどこかで働くというのは、やはり考えないといけない。私の姿勢は、労働者の権利を守るべきだと。そして、ワークライフバランスということで男女共同参画ということを言ってる観点から見て、つまり、厚生労働省の基本的な施策から見て、これは相容れませんよというのはあります。考えてみれば、少子化対策やろうと言っているのに、結婚もしないのに子どもつくるどころではないでしょ。そういうところの施策はやはり改めないといけない。一方では、家庭と両立させる、女性がたくさん仕事に行きたいという時に派遣のような形でやる方がいい場合もあるのです。そういうことを考えて、特に日雇い派遣についてはかなり厳しい形で私は考え直すべきだと思っております。労使、皆さん方の意見も聞いた上で秋には法律の形できちんと対応したいと思っております。 」


2008/06/15 流れは日雇い派遣原則禁止へ

厚生労働省は13日、日雇い派遣の原則禁止も視野に法改正の検討に入った。労働者派遣法の国会提出を前倒しし、今秋の臨時国会での成立を目指す。日雇い派遣には「ワーキングプアの温床」との指摘が多く、一部業者の違法行為も目立つ。ただ全面的に禁止すれば雇用機会が減る可能性があり、禁止する職種などを巡って改正案の策定作業は難航する可能性もある。(2008.6.14日本経済新聞朝刊記事)


≪日雇い派遣原則禁止への流れ≫
1 与党では公明党が「日雇い派遣全面禁止」を訴え、これに自民党が同調
2 福田康夫首相も6日の社会保障国民会議で派遣労働者の保護を舛添厚労相に指示。
3 舛添要一厚労相は13日の会見で「日雇い派遣はかなり厳しい形で見直すべきだ」と語り、通訳のような専門的職種を除いて原則禁止したいとの考えを表明。
4 政府・与党全体で規制強化の動きが強まっている。

≪野党・民主党案≫
2か月以下の期間の定めのある派遣雇用契約を一律禁止すると同時に、違法派遣に対する罰則の強化で対応する内容となっている。


≪日雇い派遣原則禁止の理由つけ≫
 一日単位で契約する日雇い派遣は雇用が不安定で、低賃金の労働者を生み出しているとの批判がある。安全教育が十分に行えず、倉庫内の荷卸し作業で派遣社員がケガをするといった問題も多発している。

≪これに対する反対論≫
 研究会での使用者側意見では、「軽作業のみならず同時通訳、月末だけのデータ入力、土日だけのスーパーでの販売促進などで日雇派遣が有効に機能している。日雇派遣を一律に禁止した場合、こうした就労機会を奪ってしまう懸念が生じる。」などの反論がある。


2008/06/10 グッドウィル課長ら逮捕! 二重派遣ほう助の疑い

 日雇い派遣大手、グッドウィルをめぐる二重派遣事件で、警視庁保安課は3日、同社元新宿支店長で現本社課長(37)ら同社社員3人を職業安定法違反(労働者供給事業の禁止)ほう助などの容疑で、派遣先の港湾運送会社、東和リース元常務(47)を同法違反容疑で逮捕した。


「自分がどこに連れて行かれるのか分からず、不安で仕方なかった」(派遣の女性”当時の心境を振り返る”日本経済新聞2008.6.3朝刊記事から)
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この心境はよくわかる!!?だけに、
二重派遣、日雇い派遣の規制強化は已む無し(当然だろう!)


2008/06/09 人材派遣料-料金改定交渉難航-伸び鈍化

 派遣会社は社会保険料の負担増に加え、スタッフを増やすための登録センターの維持費や宣伝費のアップを料金引き上げの理由に価格改定に望んでいるが、今シーズンの改定交渉は1年前に比べ3.4%の上昇で決着し始めた(昨シーズンの14.1%の伸びから大幅に縮小)という。

○ 派遣数が多い首都圏の一般事務職は1時間当たり2100〜2500円(派遣会社請求額ベース)となった。1年前の同時期は2050〜2400円で、前年同期比で3.4%増加。昨秋の2100〜2400円からは、高い方の料金だけが100円上がった。派遣先企業の抵抗が強く、低い料金のままの契約も多く残っている。
○ 経理職は2100〜2600円。1年前の昨年6月は2000〜2500円で、前年同期比4.4%増。昨年秋と比べると、中心値で2.2%上がった。

(以上、日本経済新聞2008.6.7朝刊記事から)
 


2008/06/08 偽装請負対策強化を、首相、社会保障会議で指示

 福田康夫首相は6日の社会保障国民会議で非正規労働者対策の一環として、偽装請負や違法な派遣への取り締まりを強化するよう舛添要一厚生労働相に指示した。
 首相は「派遣労働者を守る制度を空洞化させてはいけない」と指摘。法令順守の徹底やガイドラインの策定などにより、賃金の不払いや労働保険の不適用などの違法行為を撲滅する必要があるとの考えを示した。
 収入が不安定になりがちな派遣労働者らを保護するため、厚労省は4月に労働者派遣法の施行規則などを改正。違法行為の取り締まりを強めた。だが、派遣や請負を巡るトラブルは後を絶たず、一層の対策強化が求められていた。


2008/05/30 機長と全客室乗務員

≪機長と全客室乗務員、別航空会社、可能に-国交省方針国土交通省は、航空機の主任客室乗務員の業務を機長などが所属する運航会社と別の航空会社に委託できるよう、来年度中にもルールを見直す方針を決めた。
 現在の規則では、機長や副操縦士などの運航乗務員とチーフパーサーなどの客室責任者は同じ航空会社に所属するという決まりがある。一方、一般の客室乗務員は運航会社以外の航空会社への委託ができる。これまでは安全管理の問題から運航乗務員と客室責任者を同一会社に統一してきたが、人員を効果的に配置できるよう、この要件を見直すことにした。主に系列航空会社の従業員の活用を想定している。
 国交省はすべての客室業務をほかの航空会社に委託した場合でも安全面に問題が生じないよう、避難誘導、機内持ち込み手荷物の適切な収納などの業務指導を徹底するよう各社に指示する。≫ (以上は2008.2.5日本経済新聞夕刊記事)


後日、これが偽装請負を助長するものとして問題化した。(2008.3.27参議院厚生労働委員会)


2008/05/28 新年度(2008年度)東京労働局の派遣業に対する監督

 東京労働局は新年度(2008年度)派遣元・派遣先事業者約2000社の立ち入り調査を行う計画を明らかにした。
 手法は、立ち入り調査のほか、呼び出し、集団指導も併用する。また、2008年度は効率化の観点から、全国展開企業の本社指導に力を入れる予定-支店、営業所への波及効果に期待するとしている。
 指導監督は、需給調整部と労働基準部が定期連絡会を持ち連携して行う。
 これとは別に、労働基準部は、派遣元事業者のデータ装備費や業務管理費名目の労働者からの賃金控除問題その他労働基準法の履行状況の臨検監督を行う。


2008/05/27 派遣事業者の利益率と経費

 (社)日本人材派遣協会が厚生労働省「今後の労働者派遣制度の在り方に関する研究会」に提出した意見書。から。
(1) 派遣スタッフの賃金水準は生活保護の平均年収195万円より約100万円多い。(不当に安くない。」
(2) 派遣事業者の利益率は3〜4%で決して高いとはいえない。
(3) 派遣料金とスタッフ賃金の差は30%あるが、その中には、社会保険料、募集経費、内勤社員の給与などが含まれている。


2008/05/26 派遣元から見た人材育成のコスト回収

 しかしながら、解せないのは派遣労働者の能力開発の負担が派遣元業者の責任で行われる仕組みだ。
 教育訓練コストの回収の仕組みがきちんと確立しているようにも思えないし、
 教育後に一定期間派遣して、派遣先に直接採用されるケースはまだしも、
 教育訓練後に同業者に登録替えを行うケースには、どう対処するのだろうか??

 そもそも、派遣法の世界を理屈で理解せよというのが無理なのだろうか
派遣先に奉仕するために派遣元業者があり、
その派遣業者すら、十分利益を計上できる現状である限り、
冒頭のような理不尽など、小さいこととして「飲み込め!」と言われれば、これが一番納得できるようでもある。
≪2008.5.某日≫


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