労働時間管理のいま

労働時間のはあくから、管理職の範囲まで労働時間管理のいまを「追う」
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2010/03/20 労働時間等見直しガイドライン(労働時間等設定改善指針)

労働時間等見直しガイドライン(労働時間等設定改善指針)
平成22.4.1実施

年次有給休暇について
○労使の話し合いの機会において年次有給休暇の取得状況を確認する制度を導入するとともに、取得率向上に向けた具体的な方策を検討。
○取得率の目標設定を検討
○計画的付与制度の活用を図る際、連続した休暇の取得促進に配慮
○2週間程度の連続した休暇の取得促進を図るに当たっては、当該事業場の全労働者が長期休暇を取得できるような制度の導入に向けて検討

関連情報→ http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000004wti.html
(グラフは厚生労働省発表資料から)


2009/10/31 厚生労働省が11月に「労働時間適正化キャンペーン」

 厚生労働省では、長時間労働や、これに伴う問題の解消を図るため、11月を「労働時間適正化キャンペーン」期間とし、全国一斉の電話相談の実施(11月21日(土))、文書要請、周知啓発等の取組を集中的に実施する

労働時間適正化キャンペーンの重点事項は次のとおり。

(1) 時間外・休日労働協定の適正化等による時間外・休日労働の削減
○時間外・休日労働協定(36協定)は、「時間外労働の限度に関する基準」に適合したものとすること
○特別条項付き36協定等により月45時間を超える時間外労働を行わせることが可能な場合でも、実際の時間外労働については月45時間以下とするよう努めること等

(2) 長時間労働者への医師による面接指導等労働者の健康管理に係る措置の徹底
○長時間にわたる時間外・休日労働を行った労働者に対し、医師による面接指導等を実施すること
○産業医の選任や衛生委員会の設置など健康管理に関する体制を整備し、また、健康診断等を確実に実施すること等
(3) 労働時間の適正な把握の徹底
○賃金不払残業を起こすことのないようにするため、労働時間適正把握基準を遵守すること等

グラフ
週労働時間が60時間以上の労働者の割合の推移
中でも、子育て世代に当たる30歳代男性の割合は高い水準で推移している。「労働力調査」(総務省統計局)


2009/10/21 神奈川県庁の残業ゼロ宣言-松沢知事

(以下、2009.10.14日経新聞から抜粋)

≪ 神奈川県の松沢成文知事は13日、県庁職員の時間外勤務を原則なくす「残業ゼロ宣言」を表明した。部局長は年間の残業削減計画を毎年策定し、知事などが計画進ちょく状況を管理する。2009年度中に一部の部局で先行して始め、10年4月から全庁で実施する考え。都道府県レベルでの「残業ゼロ目標」は異例。
 現在、神奈川県職員は約7500人(警察や教職員を除く)で、1カ月の時間外勤務時間は平均15時間。だが100時間を超える部局もあるという。「残業ゼロに向けて県庁全体で仕事の仕方を抜本的に見直し」(松沢知事)、職員の総労働時間の短縮につなげたいとしている。
 時間外勤務する場合は所属長に事前申請して、専用バッジを着用させる計画。各部局に推進の責任者を置くほか、部下の残業度合いを管理職の昇進の判断材料にする。県では労働時間を減らすため、フレックスタイム制の導入なども検討している。 ≫

[編注]成果は未知数だろうが、時短は「トップが動く」が必須である。要注目!


2009/10/20 徹夜勤務と直後の交通事故

 鳥取大医学部の大学院生で医師だった男性=当時(33)=が同病院の外科で「演習」として恒常的な長時間勤務を強いられ、2003年3月、鳥取大病院でほぼ24時間徹夜で勤務した後、そのまま派遣先の病院へ乗用車で出勤中にトラックと衝突、死亡したのは、睡眠不足や過労を生じさせた大学側の責任だとして、両親が鳥取大に損害賠償を求めた訴訟の判決で鳥取地裁は16日、約2千万円の支払いを命じた。

 裁判長は判決理由で「大学院生として在学し、診療もしていたのだから安全配慮義務があったのは明らか」,「業務内容は勤務医と大きく変わらず、精神的負荷が高いものだ」とした上で「大学は、大学院生がいずれ極度の疲労などから事故を起こしかねないことが十分予測可能だったのに、漫然と放置した」として安全配慮義務違反を認めた。
(以上、共同通信配信記事をもとに構成)


[参考]安全配慮義務は現在「労働契約法第5条」に次の規定がある。
第五条 使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。

*コメント* 徹夜勤務をすれば必ず交通事故を起こすというものでもないだろうが、何らかの事情で交通事故と勤務に相当因果関係を認めるべき事情があったのだろう。


2009/10/09 居酒屋「庄や」の大庄も店長らに残業代

 2009.10.8 日本経済新聞 朝刊は要旨、次の記事を掲載している。
 「居酒屋「庄や」を展開する大庄は7日、店長など約2000人を管理職から外し、12月から残業代を支払うと発表した。」
 「11月1日から新しい給与制度を導入する。支給の対象は約670店の店長や調理長、店長代行の主任など。過去の未払い分として2007年9月1日〜09年8月31日の残業代も今月末までに支払う。対象者は約1200人で、総額は5億5000万円を見込む。」


2009/09/20 勤務の合間にたばこを吸う時間は「休憩時間」か「労働時間」か

朝日新聞2009.9.19に大阪高裁で「勤務の合間の「喫煙タイム」も労働時間」との判決があったの記事が掲載されていた。
記事はつぎのとおり。
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 勤務の合間にたばこを吸う時間は「休憩時間」か「労働時間」か――。居酒屋チェーンの元店長が心臓病で倒れたのは過労による労災と認めた行政訴訟の判決で、大阪高裁は「喫煙時間は労働時間にあたる」との判断を示した。

 原告は大手居酒屋チェーン元店長の男性(44)。大阪府枚方市の店舗に勤めていた2001年3月、急性心筋梗塞(こうそく)で倒れ、約3週間入院した。労災認定されなかったため、男性側は退職後の2007年、「発症前1カ月の時間外労働が100時間以上」などとする国の過労死認定基準を超えて働いたと主張し、国を相手に認定を求めて提訴。
 一審は、男性が1日20〜40本のたばこを吸っていたとして、これらの時間を休憩時間とみて労働時間から差し引き、発症前1カ月の時間外労働は基準以下の78時間余りにとどまると判断した。

 しかし、大阪高裁の渡辺安一裁判長は、8月25日の判決で、「店舗内で喫煙していたとしても、何かあればすぐ対応できる状態だったから、労働から完全に解放されているとはいえない」との原告側主張を容認。喫煙時間などを労働時間に算入した結果、1カ月の時間外労働は100時間を超すとして、男性の発病を労災と認めた。国は上告せず、判決は確定した。
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[編注]
勤務時間中の生理現象(トイレ)等を一々、休憩時間乃至不就労時間をしてカウントしないのと同様、喫煙時間の労働時間性を認めたのは、現状ではやむを得ない判断だろう。


2009/09/19 入社3年未満の3分の2(66.7%)は残業しないかしても月20時間未満

 「DODA(デューダ)」(インテリジェンス)が22歳〜39歳のビジネスパーソン1,218人を対象に、実施した残業時間の実態調査。

2009年
「残業なし」(12.1%)
「20時間未満」(36.0%)
「20〜40時間未満」(28.3%)
「40〜60時間未満」(15.4%)
「60〜80時間未満」(5.1%)
「80時間以上」(3.2%)
これは、2007年調査と比較して、減少を示しているという。
発表資料には、このほか、男女別、年代別の調査結果が明らかにされており、下記URLから直接確認できる。
 ⇒ http://www.inte.co.jp/corporate/library/survey/20090915.html
(参照方、お奨めします)


2009/09/10 都道府県別の平均帰宅時刻、マップにするとわかりやすい

 2009.9.9日本経済新聞夕刊が
 総務省の社会生活基本調査(5年1回実施、前回は2006年)をもとに地域別の帰宅時間を日本地図「マップ」資料に仕立てている。
 なるほど、マップにするとわかりやすい。
 さて、記事は、帰宅時間は「通勤時間」と相関関係があるとしている。
 「帰りが遅い地域は総じて通勤時間が長いことだ。男性の場合、関東大都市圏は1時間32分、関西は1時間16分を通勤・通学に費やしている。」と。
 ところで、帰宅時間が一番早いのは高知県で午後6時15分。
 [編注]子供のころ、わが家の夕食は家族そろって午後6時半だったのを思い出す(個人的な感傷ですが)


2009/08/27 運転手に超過勤務で、タクシー事業許可取り消しへ

2009.8.26日本経済新聞朝刊につぎのような興味深い記事を目にした。

 『国土交通省は25日、大手タクシー会社の国際自動車(東京・港)が運転手に超過勤務をさせるなどしたとして、同社の事業許可を取り消す方針を固めた。週内にも行政処分を出す。大手タクシー会社の許可取り消しは初めてで、国際自動車は東京都心部で運営するタクシー321台が2年間営業できなくなる。
 国際自動車は4月に分社化しており、今回の処分の対象はグループのタクシー事業の一部とハイヤー事業。全額出資子会社や提携会社が運営する2425台は営業を続け、同社のブランド「km」も維持する。国際自動車は廃車になる321台を使っていた運転手約700人のうち、希望者はグループ会社へ転籍させる方針だ。
 ハイヤー589台も営業できなくなるが、増車制限がないハイヤーはタクシーと異なり、事業をグループ会社に移管できるため、大きな影響はないとみられる。
 国交省関東運輸局が今年2月に国際自動車を監査したところ、運転手の拘束時間、乗務時間、乗務距離などで道路運送法の違反がみつかった。運転手に十分な休憩も与えなかった。これらの違反行為は点数化されるが、同社は増車後に違反がみつかったため点数が加算された。』

 ------ 昔では想定できなかった処分
 これも、行政指導はやめて、事後監督の強化方針の帰結するとことか(編注)


2009/08/15 配送トラックの行列問題

 -----以下は2009.8.14, 日本経済新聞朝刊から------
「国交省など対策会議
 全国の工場や配送センターなどで、多くのトラックが周辺で長時間待たされることが問題になっている。違法駐車で地域住民に迷惑がかかるほか、運転手の過労にもつながるためだ。工場など荷主側がトラックを呼ぶ時間をきちんと指定しないことが主な要因。国土交通省が音頭を取り、トラック業者、荷主が改善策を話し合う会議を今年初めて開き、荷主側に改善を求める検討を始めた。

 配送トラックは、時間指定を受けて工場、配送センター、百貨店等に向かう。先に着いたトラックが積み下ろしを終えるまで敷地内や外の道路で待たなければならない。待ち時間は季節や時間によって変わるが、込み合っている場合は半日以上も待つことがある。東京都内のある飲料工場は、需要が増える7、8月に長くなり、1日の中では朝と昼過ぎの2回のピークがあるという。
 問題の1つは違法駐車だ。敷地内に入りきれない多数の車は工場側に携帯電話の番号を伝え、「違法駐車と知りつつ、作業が可能になる連絡を待つ」(都内の業者)。住宅地での違法駐車は事故も招きかねない。
 早く並ぶために始業時間を繰り上げる現象も生み、運転手の過労につながっている。配送業者の運転手は都内のある工場について、「午前3時に起き、同4時半から列を作る。積み荷を下ろせるのは5〜8時間後。人間扱いされていないと感じる」と証言する。待ち時間にエンジンを止めなければならない工場もあり、真夏は40度にもなる車内で耐えることもある。

 こうした業界全体で長年続く「悪習」を改善するため、トラック事業者と荷主が改善策を話し合う初の会議を6月に開催、待ち時間の短縮策を議論した。
 国土交通省などによると、「長い待ち時間」は荷主が積み下ろしの処理能力を計算せず、「この日の午前」などおおざっぱな指定でトラックを呼ぶのが原因。午前と指定されれば早く終わらせるため早朝に車が殺到するなど、込みすぎる時間ができている。
 敷地で待たせてもトラック業者に払う委託料は変わらない場合が多く、時間管理のコストをかける必要はないという意識が荷主側にあるとみられる。法規制も無く、同省も対応していなかった。
 秋以降も会議を重ね、積み下ろし場の処理能力を計算し、トラックを呼ぶ時間を細かく指定して待ち時間を減らす改善策を話し合う見通し。海外では、同方式で成功した国も多いという。年度末にも荷主に事業改善を求めることを検討する。」
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 [編注]
 まったく同意見です、改善対策の進展をのぞむものです。


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