労働時間管理のいま

労働時間のはあくから、管理職の範囲まで労働時間管理のいまを「追う」
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2009/08/10 すかいらーく「名ばかり管理職」是正、3300人に残業代支給

 すかいらーくが店長など約3300人を管理職から外し、残業代の支給を始めたことが明らかになった。

 今回、是正の対象となったのは、すかいらーくと、グループ会社のジョナサン、ニラックスを合わせた約2800店の店長と、本部の一部社員。
 (この結果)すかいらーく(グループ会社除く)の社員に占める管理職の割合は73%から6%に下がる。


(そこが知りたい)日本経済新聞 朝刊 から

すかいらーく社長谷真氏
――店長の給与制度をどう変えたのか
 「40時間の見なし残業代を含む業務手当を導入し、残業が40時間を超えた分について上乗せするようにした。従来、店長の給与は基本給のみだった」
 ――残業代支給は業績に悪影響とならないか。
 「昨年9月から今年5月までの残業についてさかのぼって支払う額は15億円の見込みで、09年12月期の特別損失として計上する。今後の残業代支給額は月間1000万円弱程度と業績に与える影響は少ない」
 ――外食業界は残業が多いイメージが強い。
 「かつての店長の過労死事故への反省から、労務管理の改善が必要だと考えてきた。社長に就任した昨年8月以降、食材をできるだけ自社工場で加工してから店に運ぶことで、店舗での調理作業数を減らすなど、労働時間の短縮を進めてきた。昨年は1人あたり月平均36時間程度だった店長の残業が、今年6、7月は平均17時間まで減少した」
 「従来は店長が手書きで出退勤時間を申告していたため、サービス残業を招いていた側面がある。今年からは社員証をパソコンに読み込ませて出退勤時間を管理するシステムを導入し、本部で労務管理ができるようになった。店で良いサービスを提供するには従業員への配慮が必要だ」


2009/07/21 連合-改正労働基準法への対応方針「代替の有休休暇制度は導入せず」

 連合は、22009.7.16中央執行委員会で、改正労働基準法施行に伴う労働協約整備の対応方針を確認した。
(1)改正法の規定を上回り、月45時間超の時間外労働と休日労働の割増率で50%以上に引き上げることをめざす。
 一方
(2)代替の有休休暇制度は導入しない
 月60時間超の時間外労働に関し、代替有休休暇を付与できる制度については、
 ○労働の対価は本来、賃金で支払うことが原則である
 ○職場は要員確保の関係から有給休暇が取りにくく、取得率が下振れしている現状にある○不払い残業も未だに残されている----などの解決すべき課題が多く残されていることから「代替休暇制度の導入をしないことを基本に対応を進める」とした。


2009/06/22 やはり難しいワークシェア

○ワークシェアを導入しないと答えた企業に、今後導入する予定があるかどうかを聞いたところ92%が今後も「導入しない」と答えた。
○ワークシェアの問題点をたずねると「業務分担や引き継ぎが難しい」「生産性が低下する」などの回答が上位を占めた。」

 ([編注]以上のニュースソースは、2009.6.22日経新聞朝刊記事-「新日本監査法人と国際会計事務所のアーンスト・アンド・ヤングがまとめた上場企業171社の労働時間についての調査」)


2009/06/09 平成20年度過労死認定にみる長時間労働(過重労働)

 厚生労働省が、平成20年度に業務上と認定した脳・心臓疾患(いわゆる「過労死」)377件のうち、「長期間の過重業務」により支給決定された360事案についての発症前1か月平均の時間外労働時間数の内訳が明らかにされた。

 それによると、
 1か月100時間を超える時間外労働が認められた事案が、「207件」57.3%。
 1か月平均80時間から100時間未満の時間外労働が認められた事案が、「131件」36.3%。
 合わせた「338件」93.6%が、発症前1か月平均の時間外労働時間数において、過労死認定基準を上まわっていたことが分かった。(60時間未満で業務上認定になった2件は、特別な状況があったものと推定される)

[参考]
 平成20年度の過労死等認定の総件数は、377件だが、前記「長期間の過重業務」の361件を除いた16件は、「異常な出来事」又は「短期間の過重業務」をとらえて業務上認定がなされたものです。


2009/06/01 「24 時間営業」は長時間労働や働き方に悪影響があるか

 (再掲)
 仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)と顧客ニーズに関する意識調査
 内閣府の調査結果が公表されている
 詳細は下記URLで確認できる。
 http://www8.cao.go.jp/wlb/research/pdf/needs.pdf

設問10)
わが国では、年中無休の24 時間営業やそれを支える物流サービスなど、便利で多様なサービスが提供されていますが、顧客ニーズに対応するために、長時間労働など、働き方に悪影響が出ているといった指摘もあります。あなたは働いていて、そのようなことを感じることがありますか。もしくは、働いていたら、そのようなことを感じると思いま すか。

回答の傾向)

○ 指摘について、「そう感じる」(「非常に感じる」、「時々感じる」の合計)人は約6割を占める。
- 週49 時間以上労働している人は、「そう感じる」割合が高い。
○ 指摘に関して「そう感じる」と答えた人のうち、「働き方に悪影響が及ぶようなサービスの是正」についてきいたところ、8 割近くの人が「是正の必要がある」と考えている。しかし、「長時間労働は仕方がない」と考える人も13%いる。
- 60 時間以上の週労働時間をしている人で、「仕方がない」と考える比率が約2 割と最も多い。
- 20 代、30 代の方が、「仕方がない」と長時間労働を容認する傾向にある。
- 22 時以降に小売店(スーパー、コンビニ等)を利用する頻度が高いほど、「仕方がない」と長時間労働を容認する傾向にある。


2009/06/01 東京都の「中小企業-労働時間管理等調査」

 東京都産業労働局が平成20年度中小企業等労働条件実態調査「労働時間管理等に関する実態調査」の結果を公表している。
 詳細は下記URLから確認できる。
 http://www.metro.tokyo.jp/INET/CHOUSA/2009/05/60j5q200.htm
(概要)
■有給休暇の取得率は調査計で29.9%と低い
■労働時間管理の方法は「タイムカード・ICカード等」が多い
 労働時間管理の方法は、すべての職種で「タイムカード・ICカード等」が5〜6割。「自己申告」「上司が確認・記録」といった方法をとっている職種が3〜4割を占めている。
■サービス残業は4割近く存在
 事業所調査では、37.6%の事業所がサービス残業があると考えている。持ち帰り残業に関しても、23.3%の事業所が「ある」と考えている。従業員調査でも回答者の21.2%が、自宅に持ち帰って仕事をすることがあるとしている。
■そうした中で、長時間労働に関する健康管理は多くの事業所で実施されている。




2009/05/15 部下の残業・休日出勤削減、部長職の評価基準に

 2009.5.4日本経済新聞朝刊に、Jパワー(電源開発)が社員の残業時間と休日出勤日数を減らす「ワークライフバランス」実現に向けた取り組みを強化、として、つぎの記事を掲載している。

 「部長クラスの評価基準に部下の労働時間短縮を加えたほか、残業時間や休日出勤日数を役員会で報告する。ワークライフバランスを全社的な経営課題との認識を持たせる狙い。
 部長の評価基準に労働時間削減の達成率を加えることで、部単位で労働時間削減を進める。労働時間削減が進まなければ、社長が面談の場で部長を問いただすこともある。
 毎月第2・第4金曜日は原則午後7時で退社させる「カエルデー」、翌土日を「ノー休日出勤日」に設定し、今春から半年間試行する。特に休日出勤については事前に部長の許可が必要。届け出なしに休日出勤した社員は理由書を部長に提出する義務がある。部長は毎月の役員会に部門の残業時間と休日出勤日数を報告する必要がある。」
 「ワークライフバランスの取り組みは上司の理解が不足していればかけ声倒れに終わるケースが多い。Jパワーは昨年から管理職を対象に「タイムマネジメント研修」を導入するなど、上司の意識改革に乗り出した。組織の要となる部長職の評価基準にワークライフバランスを設定することで、全社的な取り組みに発展させる思惑がある。」

[編注] 効率よく働く(働かせる)のも、部課長の能力の一つ。投入労働時間量を意識したマネジメントを心がければ、自ずと単位時間当たりの労働生産性を意識せざると得ないから、Jパワーの取組は「ワークライフバランス実現にむけた取組み」と云いつつ、業務の効率性と意識した取組としても結実するのだろう。


2009/05/10 産科医割増賃金訴訟 奈良県が控訴

 2009.5.1読売新聞記事によると、
 「奈良県立奈良病院(奈良市)の産婦人科医2人が当直勤務などに時間外割増賃金の支払いを求めた訴訟で、県は1日、当直は時間外労働にあたり、計1,540万円の支払いを命じた奈良地裁の判決を不服として、控訴すると発表した。

 県は「当直勤務すべてを時間外労働の対象にするべきではない」などとしている。
 (編注/その趣旨は、宿日直勤務時間のうち24%が通常業務、その余は診療をしていない待機時間。待機時間は労働時間から外すべきだ、とのことのようだ)
 荒井正吾知事は「勤務医の当直勤務が、労働基準法に抵触するかどうかという、全国の病院に共通の課題を突きつけられた判決。さらに上級審の判断を求めたい」と話した。

[comment]
いつも思うのだが、このような方針は誰が主導権をとって決めるのだろう?


2009/05/01 社団法人日本看護協会が「看護職の交代制勤務の実態調査」

社団法人日本看護協会が「看護職の交代制勤務の実態調査」2009.4.24発表

 調査結果によると、調査回答者3,010 人のうち、交代制勤務(2 交代・変則2 交代、3 交代・変則3 交代)をしているのは1,728人。その交代制勤務者のうち74 人(約4.3%)、約23人に1 人が、月60 時間を超える時間外勤務をしている(2008 年10 月実績)【グラフ参照】)

その他、勤務間隔、仮眠、当直中の勤務実態に関しては、
(1) 3交代勤務者の約3分の2が勤務と勤務の間隔が6時間以下となることがあったと回答
(2) 2交代勤務者のうち、勤務中の仮眠が「とれないことが多かった」(18.0%)、「取れないことがたまにあった」(26.2%)、「仮眠の時間は設けられていない」(11.1%)と、必ずしも十分に取れているとはいえない
(3) 当直勤務者の4 分の3 は、実際には当直中も断続的に業務が続き、労働基準監督署が示す「当直」には当てはまらない実態があると回答した【以上、いずれも看護職員調査】。
といった状況が認められるとしている。
詳細は、以下のURLで確認できます。
⇒ http://www.nurse.or.jp/home/opinion/press/2009pdf/0424-1.pdf


2009/04/25 産科医当直は「労働時間」

 県立奈良病院産科医の当直勤務について、2009.4.22奈良地裁は、当直を労働時間(時間外労働)と認める判決を言い渡した。
 以下、共同通信配信記事から
 
 『判決は「産科医は待機時間も労働から離れていたとは言えず、当直開始から終了まで病院の指揮下にあった」と指摘。当直は労働基準法上の時間外労働に当たり、割増賃金支払いの対象になるとして「現実に診療をした時間だけが労働時間」とする県側主張を退けた。
 判決によると、産科医2人は04〜05年にかけてそれぞれ約200回、夜間、休日に当直勤務をした。その際、分娩に立ち会うことも多く、異常分娩の時に診療行為をすることもあった。さらに病院での宿直時は睡眠時間を十分取ることは難しく、当直中はポケベルを携帯し、呼び出しに速やかに応じることを義務付けられていた。
 判決は時効となった04年10月以前を除いた分について、手当を支払うよう命じた。

 一方、休日も自宅で呼び出しに備える「宅直勤務」について、判決は「医師が自主的に設けたもので病院の指示ではない」として労働時間と認めなかった。』


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