労働時間管理のいま

労働時間のはあくから、管理職の範囲まで労働時間管理のいまを「追う」
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2008/07/04 週60時間以上勤務者は-男性は18.8%,女性は8.0%

 2008.7.3総務省が公表した2007年「就業構造基本調査」によると、週60時間以上勤務者に関するデータは、つぎのような特徴がある。

1)「正規の職員・従業員」について,男女別に週間就業時間が60 時間以上の割合をみると,男性は18.8%,女性は8.0%。

2)男性について,週間就業時間が60 時間以上の割合を年齢階級別にみると,「30〜34歳」が22.9%と最も高く,次いで「35〜39 歳」(22.5%)となっている。また,「25〜29 歳」及び「40〜44 歳」も20%以上となっており,25 歳から44 歳の「正規の職員・従業員」の2割以上が1週間に60 時間以上就業している。

 さらに、これを平成14 年と比べると,「50〜54 歳」及び「60〜64 歳」が3.2 ポイント,「45〜49 歳」が3.1 ポイント,「55〜59 歳」が2.5 ポイントそれぞれ上昇しており,45 歳以上の年齢階級で大幅に上昇している。。(右グラフ参照)

 なお、2007年就業構造基本調査の概要はつぎのURLで参照できる
 http://www.stat.go.jp/data/shugyou/2007/gaiyou.htm


2008/06/26 QC,小集団活動に従事する時間は「労働時間」か?

 トヨタ自動車が、国内生産現場の従業員約4万人のほぼ全員が参加している「QCサークル活動」を業務と認めて、(通常、時間外に行われているため)残業代を支払うことになったと報じられている(5月22日,6月21日共同通信)
 共同通信記事によると、トヨタ自動車ではQCサークル活動は従業員の自主的な活動だから最大月2時間分しか残業時間とは見ない取扱が行われていたという。

 法解釈上は従来から
 ≪小集団活動の労働時間取扱いに関しては、任意参加であることが明確である場合以外については、当該小集団活動と労働者の通常業務の内容に照らして業務関連性の程度〔業務関連性が強いか、希薄であるか〕によって判断すべきものである。≫とした取扱いを行ってきた。

 トヨタ自動車の場合、QCは現代経営の生命線たる「品質管理」のバックボーンともなる活動としての意味づけが与えられており、業務関連性が高いと看做される可能性は「常に」あった。
 結局、無理を廃して穏当・バランスある着地を求めたということだろう。


2008/06/20 労働時間を細かく把握

 ≪「退社時間が遅れた理由を回答して下さい」。キヤノンの社員はこんな内容の通知を社内ネット経由で受け取ることがある。同社は昨年、入退館ゲートを使って社員の在社時間を管理するシステムを稼働させた。事前申請した退社時間より30分以上遅くなると、翌日連絡が行く仕組みだ。
 ポイントは上司にも知らせること。原一郎人事部長は「部下の労働状況をきめ細かく把握するきっかけになった」と説明する。上司が目の色を変えて社員の負荷分散に取り組み、午後十時以降の深夜に退社する社員は5分の1に減った。≫
(以上は、2008.6.3日経新聞朝刊記事から)

 (編注)
 --キヤノンは別個、持ち帰り残業の問題を指摘されていたりして、労働時間管理の難しさを改めて実感したが、前記、キヤノンの「労働時間を細かく把握」の方法や「上司が部下の労働状況をきめ細かく把握する」意義は、正攻法の取組である。好事例として紹介します。


2008/06/19 店長に残業代-流通業に広がる

 2008.6.14までに日本経済新聞社の調査によると、「名ばかり管理職」の問題を受け、これまで処遇改善に着手した大手は16社とし、その取り組み状況を記事にしてる。


2008/06/18 マック店長の平均残業時間は月18時間!!?

 一転、店長に残業代と支払うとした日本マクドナルドだが、
 新方針/新報酬制度の導入、及び労務管理体制の整備に関するお知らせ(2008.5.20)(日本マクドナルドの発表文)

 (1) マクドナルドの現場は、人員が増えていない。
 (2) 「同社が発表した店長の平均残業時間は4月で18時間。「サービス残業がないとしたら、驚くほど少ない」(外食大手)水準で実態を懐疑的に見る業界関係者もいる。」(日経流通新聞5月23日記事)
というが、どうか。
 適正な実態把握からスタートしない労務問題の解決はあり得ないのだが、、。果たして!!?


2008/06/18 「自分は『名ばかり管理職』だと思う」49%(ネット調査)

 日経新聞が調査会社マクロミルを通じ4月4-5日にインターネットで調査。全国の20歳以上の1,032人が回答。

 同調査では、幅広い業種の管理職が、自分を「名ばかり管理職」だと思うか、に対して「そう思う」と「どちらかといえばそう思う」の合計が49%に達した。その理由は「管理職と言えるような待遇ではない」が最も多く、「労務管理について経営者と一体的な立場にない」が続いた。
 日経新聞6/13朝刊記事は、
 (1)この問題が、外食など特定の業種に限られた問題ではなさそうだ、こと
 (2)会社が残業代削減のため、管理職の肩書を乱発しているのではないか。そんな不信感がうかがえる。
としている。


2008/06/17 なぜ労働時間が短くならないのか

「管理職が部下を評価する基準に効率性が含まれていないからだ」


2008/06/17 二つの課題その二は「長時間労働の弊害」

 二つの課題その二は
 長時間労働の弊害の問題です。
 このことに関して、当方(レーバー・スタンダード研究所)は、下記PPスライドに示すような問題認識を有しています。


2008/06/17 店長は管理職に当たらず

 前記の「労働時間の適正管理」の第3は「管理監督者の範囲」の問題だ。
 下記のPPスライドは「マクドナルド店長残業代未払い事件」の東京地裁2008.1.28判決。

 今、外食・小売等の出先店舗の「店長」を抱かえる企業において管理監督者の見直しがキューピッチで進んでいる。
 これ自体は、正常化の流れと捉えて差し支えない現状だろう。
 その位、企業の管理監督者の範囲の取扱いはやり放題の構図が蔓延し、歯止めがかからない状況が認められた一方で、「裁判」で争われた途端、ここ数年では、使用者側勝訴の事案を探し出すのが困難なくらいに、連戦連敗を重ねていたのだ。
 ≪その意味で、2008.1.28の「マクドナルド店長残業代未払い事件」判決は、特別なものではないのだが、-マクドナルドの名前は、さすがにビッグネームだ。≫

 さて、使用者敗訴事件は山ほどあるが、ここでは参考裁判例として、次の2つを紹介しておこう!

(1) 「工場課長として決定権限を有する工場長代理を補佐しているが、自ら重要事項を決定することはなく、役職手当は支給されるが従来の時間外手当より少なく、タイムカードを打刻し時間外勤務にも工場長代理の許可を要する等」、会社の利益を代表して工場の事務を処理するような職務内容、権限、待遇を与えられていたとは言えないから、管理監督者に当たらない」(S58.7.12大阪地裁「サンド事件」)

(2) 「コック等6,7名を統制し、ウエイター採用にも一部関与し(ウエイターの労働条件も最終的には会社で決定している)、材料の仕入れ、売上金の管理をまかせられ、店長手当月額2〜3万円を受けていたとしても、営業時間である午前11時から午後10時まで完全に拘束されて出退勤の自由はなく、仕事の内容もコック、ウエイター、レジ係、掃除等の全般に及んでおり、店舗経営者と一体的な立場にあるとは言えないから、管理監督署に当たらない」(S61.7.30大阪地裁「レストラン・ビュフェ事件」)


2008/06/17 サービス残業

 前記の「労働時間の適正管理」の第2は「サービス残業」だ。
 取り締りだけでサービス残業の問題を解決することは難しい。
 それは分かっているのだが、
 それにしても、現代人は
 己をふりかえり...ふり返りつつ、歩を進めるという単純高等テクニックは大変、苦手のようだ!


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