労働時間管理のいま

労働時間のはあくから、管理職の範囲まで労働時間管理のいまを「追う」
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2008/10/19 残業は上司が命じるものの基本に戻り、どのくらいの時間が必要かを明確にする

2008.10.16日経産業新聞朝刊の記事「ムダ残業 こう減らす(上)」は、ムダな残業排除に取り組む企業の実態を記事にしているが、
そこに登場している手法は、
何と
「上司による仕事の管理」という産業革命以来の最も伝統的かつオーソドックスな方法というところが面白い。


例えば、キヤノンの取組の紹介では、
「東京都大田区のキヤノン本社の人事部。夕方になると各課長の周りに人だかりができる。午後5時以降の仕事について、課員が課長と打ち合わせをするためだ。

課長「資料を今日中に仕上げてほしい。どのくらい時間がかかるか」
課員「2時間くらいです」
課長「分かった。取りかかってくれ」

同社では毎日、このように上司と部下が話し合って残業の予定時間を決めている。部下は予定時間を「時間外管理表」に記入し、仕事を終えた後に実際にかかった時間も記録する。

「残業は上司が命じるもの。基本に戻り、どのくらいの時間が必要かを明確にする」。原一郎・人事部長は導入目的を語る。2007年に始めたところ、深夜残業(午後10時以降)の全社の合計時間は06年までの約7分の1に減ったという。」


その他、野村総合研究所の取組紹介では、
「野村総合研究所は夜10時以降に会社を出た社員のリストを自動的に作成し、翌朝の11時にはすべての部長に配布している。部長は自分の部下がリストに載っていれば、深夜残業の理由を問いただす。」
という手法が効果を上げている様を記事にしている。


2008/10/19 午後10時の強制消灯

「インテージ、午後10時で強制消灯、無駄な残業の削減促す。
 市場調査サービスのインテージは長時間労働の抑制を目的に、東京・秋葉原にある本社ビルの照明を午後10時以降は強制消灯するようにした。社員に無駄な残業の削減を促し、ワークライフバランスの確保につなげる。

 強制消灯後は社員が再点灯しても10分間隔で強制的に消灯する。消灯しないフロアを1カ所設けており、必要な仕事はそこで続ける。午後10時以降に残業する場合は事前申告を義務付けている。
 同社は以前から午後8時に強制消灯しているが、再点灯して残業を続ける社員もいる。勤労意欲の低下や健康障害を防ぐためにも、従来より強制力のある仕組みを導入した。同制度を導入した7月の一般社員の時間外労働時間は、前年同月に比べて約2時間減少した。」 (以上は,2008.10.6日本経済新聞朝刊の記事から引用)

(編注)苦労のほどが感じられます。午後8時の強制消灯が十分には機能しなかった?のですね。午後10時からのより強化した「強制消灯」+「事前申請」!どういう結果がでるのか興味深いです。


2008/10/03 厚生労働省が、H20.9.9の管理監督者通達に対する疑義に答えてQ&Aと趣旨補強の通達!

(再掲)
 厚生労働省は、H20.10.3労働基準局監督課長名平成20年10月3日基監発第1003001号通達を発して、先に発出のH20.9.9付基発第0909001号「多店舗展開する小売業、飲食業等の店舗における管理監督者の範囲の適正化について」の趣旨を補強した。
  要は、
 (4) 通達において示した否定される要素に該当しない場合に、管理監督者性が認められるという反対解釈が許されるものではないこと。これらに該当しない場合には、基本通達において示された「職務内容、責任と権限」、「勤務態様」及び「賃金等の待遇」の実態を踏まえ、労務管理について経営者と一体的な立場にあるか否かを慎重に判断すべきものであること。
という”当り前のことを確認した”もの。

 
  それより、注目すべきが一点ある。
 監督課長名通達は、先のH20.9.9付基発第0909001号では、そこまでは読み込めなかった以下の取扱い解釈を明確に示したのが注目点だ!(次の箇所)

≪(3) 通達で示した判断要素は、監督指導において把握した管理監督者の範囲を逸脱した事例を基に管理監督者性を否定する要素を整理したものであり、これらに一つでも該当する場合には、管理監督者に該当しない可能性が大きいと考えられるものであること。≫

≪新通達等は≫
前記の監督課長通達並びに、先のH20.9.9付基発第0909001号通達に関するQ&Aが以下のURLに掲載されている。
 ⇒ http://www.mhlw.go.jp/topics/2008/10/tp1003-1.html


2008/10/01 教員の残業代、夏休みなどに制度変更を提言(文科省有識者会議)

 文部科学省の有識者会議は、2008.9.8、勤務実態に応じた「時間外勤務手当」の導入検討や夏休みなど長期休業中と通常学期中の給与に差をつける「変形労働時間制」を検討するよう提言した。

 (編注)現行制度では教員の時間外手当は、一律4%=月8時間相当を「教員調整額」として支給。しかし、2006年に文科省が実施した調査では、残業時間が月平均約34時間にも上っている現状が報告されている。)


2008/10/01 連合=「管理監督者の新通達」について、厚生労働省に要請

(再掲)
 連合は、9月30日、厚生労働省に対し、「管理監督者の新通達」について要請を行った。
 冒頭、古賀事務局長が、金子労働基準局長に要請書を手交し、「9月9日に発出された『多店舗展開する小売業、飲食業等の店舗における管理監督者の範囲の適正化について』は、これは問題ではないかと大変反響が大きい。管理監督者のハードルが下がってしまうのではないか、との懸念もされている。撤回または再度の発出をお願いしたい」と要請の趣旨を述べた。
 金子労働基準局長は、「通達が誤解されているのは残念。今回の通達は、チェーン店の店長等の長時間労働を適正化する必要があるために発出した。この要素に該当すれば管理監督者としては認められない、という要素を列挙しただけで、基本通達を変えるものではない。指摘も踏まえて、誤解を生んでいる別添の表をつくり変えることをはじめとして必要な対応を鋭意検討しているところである」との見解を示した。
(以上、連合ホームページ「連合ニュース」より)


[コメント] なるほど。
正確に読めば、 
労務安全情報センター解説⇒ http://labor.tank.jp/k/roudou_qa/29-11.html
のとおりなのだが、
連合が「使用者側に有利に使われかねないという懸念がある」というのも、分かる!
なぜ、今、この新通達が必要だったか、理解しにくい(説明不足=説明がない)のが、一番の問題か。

 なお、問題の新通達はこちらで確認できる
 ⇒ http://www.mhlw.go.jp/houdou/2008/09/h0909-2.html


2008/09/09 「名ばかり管理職」排除へ 厚労省が管理監督者の範囲で認定基準!

(2008.9.9速報=再掲)
 厚生労働省は9日、労働基準法に基づく管理監督者の明確な判断基準を都道府県労働局長あてに通達した。「多店舗展開する小売業や飲食業などを対象としたもの」だということです。
(日本経済新聞夕刊記事より)

 ⇒通達全文等は入手次第、「労務安全情報センターのホームページ」に掲載します。


[続報]

新通達の表題は
「多店舗展開する小売業、飲食業等の店舗における管理監督者の範囲の適正化について」
(平成20年9月9日付け基発第0909001号厚生労働省労働基準局長から都道府県労働局長あて)
通達全文は、以下のURLから確認が可能です。

http://www.mhlw.go.jp/houdou/2008/09/h0909-2.html


2008/09/02 変形労働時間制の運用

 別に珍しい制度ということでもないが、以下「1か月単位変形労働時間制の運用例」
 2008.9.1日経新聞朝刊記事から
 「フェニックスリゾート(宮崎市)は、従業員の1日の勤務時間を繁閑に合わせ4〜12時間の間で変動させる制度を導入した。
 新制度は「長短勤務シフト」。繁忙日は最大12時間勤務し、閑散日は最低4時間勤務すれば退社できるようにした。従来は勤務時間は原則7時間15分で、繁忙日には残業で対応し、閑散日は仕事がなくても会社に拘束される場合があった。
 ホテルやゴルフ場などを運営する同社は夏休みやゴールデンウイークなどの繁忙期と平日で仕事量の差が大きい。新制度で会社は繁忙日の残業コストを削減でき、従業員も閑散期は早く仕事を切り上げて家庭や趣味などに時間を使える。働く意欲や顧客サービスの向上につなげる考えだ。」

(編注)
  事業者が受けるメリットほどには労働者にメリットはないのだが、メリハリのある勤務が否定される理由もないだろう。


2008/08/13 年間100時間の時短(残業・休出減で70時間、有給取得で30時間)

 2008.8.11日本経済新聞朝刊に掲載された記事!
 神戸製鋼所は2008年度から、
(1) 全社員を対象に労働時間を年間100時間減らす。残業の削減が柱で、24時間操業の製鉄所を除き、夜10時以降の深夜労働を原則禁止する。
(2) 部下の休日出勤を減らすよう管理職に通告し、
(3) 有給休暇は年間五日以上の取得を促す。
 残業が目立つホワイトカラーの生産性を高め、採用活動で学生に働きやすい会社であることをアピールする狙いもある。

 ---神鋼によると2007年度の総実労働時間の平均は年間2,150時間。これを2008年度に2,050時間以下にする。すでに全社員に対し、残業時間を70時間減らす一方で、有給の取得日数を30時間分増やして100時間削減を目指すよう勧告した。
 ---社員の労働時間は社内の各カンパニーの人事部門が集計し、目標未達の可能性があれば部長か室長に指導する、という。

(編注)
具体的目標を明らかにした時短取組として注目。
100時間削減は具体的でいい目標だが、
ムダの排除でこれをひねり出す?
人員増の措置は?
方法論が読み取れない記事なので、・・・・・ムムム(ノーコメです)


2008/08/12 規制改革会議「中間とりまとめ」に対する厚生労働省の考え方

2008.8.12付け厚生労働省ホームページに
規制改革会議「中間とりまとめ」に対する厚生労働省の考え方
が掲載されている。
URL  http://www.mhlw.go.jp/houdou/2008/08/h0812-1.html

労働時間に関する件では、次の規制改革会議の見解と厚生労働省の反論が掲載されている。

>規制改革会議
長時間労働による疾病等を防ぐための労働基準法上の労働時間規制は当然必要であるが、画一的に労働時間の上限を規制することは、労働者の価値観やニーズ、ライフスタイルが多様化する中、自律的で自由度の高い柔軟な働き方を望む労働者の利益や多様な働き方を放棄させることとなる為、ワークライフバランスの観点から設定される労働時間規制とは区別して議論すべきである。

>厚生労働省
【労働時間規制】
○ 労働者の健康の確保と仕事と生活の調和を図るために、長時間労働を抑制するための労働時間に係る制度を設けることが必要である。疾病等の予防や仕事と生活の調和の観点は、労働者の生活の在り方を総合的に考えた場合いずれも欠かせないものである。

○ 我が国の労働時間に係る現行の規制は、週40 時間、1日8時間という上限を設けつつ、一定の要件のもと時間外労働を認めており、御指摘のような「画一的な労働時間の上限規制」とはなっていない。


2008/07/05 警備ロボと残業者チェック

 総合警備保障は2008.7.4警備ロボットがエレベータ使いフロアを移動として、警備ロボの新しい開発状況を公表したが、
 http://www.alsok.co.jp/company/news/news_details.htm?alpc_news.news_detail[id]=545

 このプレス発表の事前取材記事と思われる同7月4日日本経済新聞朝刊の次の記事が面白い!
 (労働時間管理の面からも参考になる新しい動きだと思う。)

 『綜合警備保障は契約企業の社員の残業をチェックする機能を持つ警備ロボットを開発した。深夜にエレベーターで階を移動し、社内に残っている人を調べる。第1号機をダスキンの社内で使い始めた。綜合警備はロボットに防犯・防災以外の多彩な機能を持たせて契約拡大を狙う。
 ロボットが建物内を巡回しながら、各階に残っている社員を呼び集める。社員がロボット本体にある読み取り機に社員証をかざすと、時刻と社員番号が記録される。ダスキンは記録をもとに残業の多い社員に対して定期面談などで注意する。
 エレベーターの制御装置と通信する機能を持たせて、各階を自由に移動できるようにした。
 レンタル料金は月額39万9千円。警備員が交代で24時間担当するのと比べ月間費用は半額以下にできるという。』



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