労災補償の話題

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2011/01/17 精神疾患で休職の公立学校教職員-「小学校、40-50代」が多数、なお,民間は「30代」最多

 うつ病などの精神疾患で休職した公立小中高校などの教職員が2009年度は5,458人になり、前年度に比べて58人増えて過去最多になった。

文部科学省
→ http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/jinji/1300256.htm



日本経済新聞2010.12.25朝刊によると
学校の精神疾患による休職者は
(1) 病気を理由にした休職の63%を占め
(2) 学校種別にみると、小学校が44%、中学校が30%、高校が16%。
(3) 年齢別は50代が39%で最も多く、40代が35%、30代が19%、20代が7%という。


(参考)
平成21年度労災による精神障害認定件数(計234件)の年齢別内訳は以下のとおり(労務安全情報センター)
19歳以下 0.4%
20〜29歳 23.5%
30〜39歳 32.1%
40〜49歳 24.4%
50〜59歳 16.2%
60歳以上 3.4%

単純比較はできないが、教職員の方が、50代、40代の管理職層へのシフト状況が顕著。


2010/12/10 顔に障害が残った場合-(労災)障害等級の男女差是正へ

(再掲)

 2010年5月、京都地裁判決「顔に障害を負ったことにつき、現状の障害認定の男女差のつけ方は憲法14条違反」を受けての厚生労働省内「外ぼう障害に係る障害等級の見直しに関する専門検討会」の報告書(11月公表)に基づき、要旨、次の点について省令改正を行う。
 改正条項の施行日は、平成23年2月1日。

 (1)外ぼう障害に係る障害等級の男女差の解消
  現行の女性の障害等級を基本として、現在男女別となっている外ぼう障害に係る障害等級の規定を改めること
 (2)外ぼう障害に係る障害等級の新設
  外ぼう障害に係る医学技術の進展を踏まえ、醜状の程度を相当程度軽減できるとされる障害を、新たに第9級として規定すること

 なお、障害等級の改正内容は次のリーフレットが判りやすい。
 → http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000000xpjz-att/2r9852000000xq85.pdf


2010/11/30 精神障害、労災審査短縮へ、8.7ヵ月を半年に(日経新聞記事から)

 厚生労働省は、精神障害の労災認定について、支給決定までの時間が現状で平均約8・7カ月のところ、これを半年程度まで縮めたい考え。という。
 (来夏をめどに報告書をまとめ、精神障害の認定指針(同省労働基準局長の通知)を改定する。)
というもの。
 
 労基署による判断は、調査計画作りから同僚・上司などの聴取、資料収集などの作業を伴うが、その中でも最も時間がかかるのが精神科医による協議だ。
 指針は客観性の確保を理由に、すべての審査で複数の精神科医による協議を実施することを求めているが、協議にかかる平均期間は約2・5カ月と審査時間全体の3割を占める。今後、検討会では例えば「月200時間近い残業」「上司からの過度の暴力」など、業務上の強いストレスが明白な例では精神科医の協議を省略する、などの考え方が議論される見通し。(以上、2010.11.29の日本経済新聞朝刊記事の一部を抜粋し紹介した)要旨


2010/11/30 労災「顔の傷」男女差撤廃へ

 厚生労働省の検討会は2010.11.19、労災の外ぼう障害に伴う災害等級基準の見直しを行い、障害等級から性差をなくし男女同じくする報告書案をまとめた。
 関連労災保険法施行規則の改正は、年度内の改正を目指す方針。
   → http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000000wvac.html


2010/11/10 健康保険

 健康保険事業状況報告によると
現在、健康保険は、
1) 健康保険の加入者数は3492万人、
2) 被保険者数は1972万人、
3) 平均標準報酬月額は27万4464円となっている。   
 → http://www.mhlw.go.jp/bunya/iryouhoken/database/seido/kenpo_zyoukyou.html


2010/10/24 労働保険の年度更新事務は「6月1日から7月10日まで」

 平成21年度から、年度更新の手続は6月1日から7月10日までの間に行うよう、変更になっている。

(注意点)
○ 平成22年度労災保険料率として適用される料率は、平成21年4月1日改定の料率から変更はありませんが、雇用保険料が平成22年4月1日付で、以下の改定があっているので、年度更新事務にあたって注意が必要です。


・一般の事業の保険料率 1000分の11から1000分の15.5へ変更。
・農林水産清酒製造の事業の保険料率 1000分の13から1000分の17.5へ変更。
・建設の事業の保険料率 1000分の14から1000分の18.5へ変更。


2010/10/12 業務災害又は通勤災害に対する法定外給付制度の有無

 表記の制度を有する企業の割合は、業務災害による死亡で59.3%、通勤災害による死亡で53.8%、業務災害による後遺障害で53.8%、通勤災害による後遺障害で48.9%とな
っている。
 法定外給付制度を有する企業のうち給付額を定額としている企業の平均給付額をみると、業務災害による死亡で1,874万円、通勤災害による死亡で1,490万円、業務災害による後遺障害(第1級)で1,854万円、通勤災害による後遺障害(第1級)で1,512万円となっている。

[以上は、人事院が2010.10.3発表した「平成21年民間企業の勤務条件制度等調査結果の概要」から]
上記資料のURLは→ http://www.jinji.go.jp/kisya/1009/mincho-aki22.pdf


2010/09/14 HIV感染者診療時の針刺し事故〜感染予防薬投与(抗HIV薬投与)に労災適用

 医療従事者等が、HIV感染者の診療時に使用した注射針を誤って刺したなどの事故にあった場合に、感染を予防するため投与される抗HIV薬の費用を、労災保険給付の対象とする。
 労災保険におけるHIV感染症の取扱いについて(平成22年9月9日基発0909第1号)の改正
 前記通達記の2の(3)のイの(ロ)のbの後に
「受傷等の後、HIV感染の有無が確認されるまでの間に行われた抗HIV薬の投与を療養の範囲として取り扱う」の文言を追加したもの。


2010/06/27 石綿訴訟-国が控訴(6月1日)

 少々、日時も経過しましたが、2010.6.1石綿訴訟の大阪地裁判決を不服として、国が控訴しました。
 以下関連事項です。

 大阪地裁2010.5.19アスベスト対策訴訟判決において、判決が(労災対策に関して)国家賠償4億3000万円を認めた部分の判決ポイントは、以下のとおりでした。
(前略)
【被害、対策の必要性の認識時期】
 アスベスト(石綿)関連疾患の医学的、疫学的知見は石綿肺については1959年に、肺がん、中皮腫については72年におおむね集積された。国はそれぞれの時期に石綿肺などが石綿粉じんの長期、多量のばく露によって生ずることを認識するに至ったのだから、職業ばく露を防止する措置を講じる必要性を認識したというべきだ。
【60年時点の国の違法性】
 労相は石綿肺の医学的知見が59年におおむね集積され、石綿粉じんの職業ばく露が石綿肺の原因であること、重大な被害が発生していることを認識していたのだから、石綿肺の防止策を総合的に講じる必要性を認識していた。旧じん肺法が成立した60年までに防止策を策定することが求められていた。
 防止策の中核である局所排気装置を設置する技術的基盤はあり、粉じん測定機器もあったのだから、同法成立までに石綿粉じんの抑制措置を使用者に義務付けることが求められていた。しかし労相はこの時点で省令を制定せず、71年の旧特定化学物質障害予防規則(特化則)まで、排気装置設置を義務付けなかった。
 労相が旧じん肺法制定時までに省令を制定、改正して措置を義務付けなかったのは、旧労基法の趣旨、目的などに照らし、不行使が許容される限度を逸脱して著しく合理性を欠き、違法だった。(以下略)


[コメント]
 これを読んでスジの通った話だと思うか、違和感を覚えるか、多分反応は分かれるのだろう。
 企業の安全配慮義務ではなく、国の規制の不作為を責めるには極めてシンプルな理屈構成。これが一審判決で確定するなどは法律家の間では考えられないのですが、この判決の持つ意味を理解できない大臣もいらっしゃるようで、ハラハラしました。


2010/06/18 21年度の「過労死」「精神障害」の労災補償状況

 厚生労働省は2010.6.16、平成21年度における脳・心臓疾患及び精神障害等に係る労災補償状況について、発表した。

 これによると、「過労死」等事案請求件数は767件であり、前年度に比べ122件(13.7%)減少しているが、精神障害等事案請求件数(下記の請求、決定、支給確定の件数をグラフにした図表左参照)は1136件と、前年度に比べ209件(22.5%)増加した。

 精神障害事案についての請求件数では、
(1)社会福祉、介護業(66件)
(2)医療業(60件)
(3)その他の小売業(58件)
(4)情報サービス業(48件)
(5)道路貨物運送業(46件)
の順に多い。(図表右参照)


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