労災補償の話題

オープニング画面


2009/08/09 中国人実習生、過労死で初の労災申請

 茨城県内で技能実習生として働いていた中国人男性(当時31)が2008年に急性心不全で死亡(=06年12月から技能実習生として働いていたが、08年6月に勤務先のメッキ会社の寮で急性心不全で亡くなった。)したのは長時間労働が原因だったとして、男性の遺族が7日、鹿嶋労働基準監督署に労災申請。
 
 [長時間労働の実態]に関して
 2009.8.8日本経済新聞記事によると、遺族と会社側で次のように主張に違いがあるようだ。
 弁護団によると、研修生の時は月100時間程度、実習生の時は月150時間程度の残業を続けており、休みは月2日程度だった(遺族側)
 「月に20時間程度しか残業させていない」(会社側)


2009/07/02 「石綿救済法」による時効切れ救済は121人(昨年度)

 石綿救済法は、アスベスト(石綿)の被害を受けながら、時効で労災補償を受けることができなかった労働者の遺族に、「特別遺族給付金」の支給を行っているが、昨年度は121人がその支給決定を受けたことが分かった。
 昨年度の関連労災認定は1063人。肺がん503人、中皮腫560人だった。 (2009.6.29厚生労働省発表)


2009/06/09 平成20年度における脳・心臓疾患及び精神障害等に係る労災補償状況

(再掲)
 厚生労働省は、2009.6.8「平成20年度における脳・心臓疾患及び精神障害等に係る労災補償状況」を公表。その概要は以下のとおりです。
 公表原文は、以下のURLから確認することができます。
 ⇒http://www.mhlw.go.jp/houdou/2009/06/h0608-1.html

1 「過労死」等事案の労災補償状況
(1) 請求件数は889件。前年度比で42件(4.5%)減少。
(2) 支給決定件数は377件。前年度比で15件(3.8%)減少。
   これは認定率にして47.3%で、前年度比1.5%増。
(3) 業種別では「運輸業」が最も多い。
(4) 職種別では「運輸・通信従事者」が最も多い。
(5) 年齢別では50〜59歳が最も多い。

2 精神障害等事案の労災補償状況
(1) 請求件数は927件。前年度比で25件(2.6%)減少。
(2) 支給決定件数は269件。前年度比で1件(0.4%)増加。
   これは認定率にして31.2%で、前年度比1.9%減。
(3) 業種別では「製造業」が最も多い。
(4) 職種別では請求件数は「事務従事者」が最も多く、一方、支給決定件数は「専門的・技術的職業従事者」が最も多い。
(5) 年齢別では30〜39歳が最も多い。


2009/05/15 すかいらーく契約店長過労死

「外食産業大手の「すかいらーく」(本社・東京都武蔵野市)で非正規の契約店長として働いていた埼玉県加須市のMさん(当時32歳)が、長時間労働が原因で過労死した問題で、遺族と遺族が加入する労働組合は13日、正社員の年収計算での損害賠償、再発防止などで会社側と合意したことを明らかにした。生きていれば受け取れるはずだった「逸失利益」を正社員と同じ年収で算定した。・・・また、不払い残業代の精算では、前沢さんに約122万円が支払われるほか、同社の他の契約店長55人にも計1746万円(2年分)支払われるという
・・・ 前沢さんは91年にアルバイトとして入社。06年3月から1年契約の契約店長となり、遺族によると月200時間を超える残業をし、翌年10月に脳出血で死亡。08年6月に春日部労基署から過労死と認定されたていた。」(毎日新聞記事から)

[編注]
店長も正社員でない状況。
労働時間管理、安全配慮義務の責務には正社員、非正社員に区別はないのだが、契約店長ならそのような配慮は不要と考えていたのだろうか、(詳細はまだ、わからないが、、)


2009/04/25 労災保険の新規受給者数

(再掲)
 平成19年度中に新たに保険給付の支払を受けた者の数(以下、「新規受給者数」という。)は、607,348人で前年度に比べ703人(0.1%)増となった。
 業種別(大分類)にみると、「その他の事業」が338,262人(構成比55.7%)と最も多く、次いで「製造業」が164,292人(同27.1%)と、この2業種で全体の82.7%を占めている。以下、グラフ参照。


2009/04/25 「上司の違法な叱責なかった」原告が逆転敗訴

 2009.4.23読売新聞が以下の記事を報じている。

 『上司の執拗な叱責(しっせき)が原因で自殺したとして、労災認定された道路建設会社「前田道路」(本社・東京)の営業所長(当時43歳)の妻、Iさん(47)(松山市)ら遺族2人が、同社に慰謝料など約1億4500万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が23日、高松高裁であった。
 杉本正樹裁判長は「違法な叱責はなかった」などとして、会社側に約3100万円の賠償を命じた1審・松山地裁判決を取り消し、原告側の請求を棄却した。
 1審判決は「社会通念上許される指導の範囲を超える叱責があった」と認定したが、所長が営業成績を水増ししていたことが叱責の背景にあるとして賠償額を減額。控訴審で原告側は、賠償額の見直しを求め、会社側は「違法な叱責はなく、上司の指導は適切だった」と主張していた。』

[編注]
 一審「松山地裁」判断には、「本人の不正経理に対して叱責もできないのか」という素朴な疑問とあわせて、判決論理の「飛躍」が随所に認められ、裁判官の不勉強も裁判の独立性の一部として保証されるのだということを実感したものだが、控訴審判決の結論を聞いて、「ほっ」とした次第。
  


2009/04/10 労災認定に使用する精神障害の業務上外判断指針の見直し

 厚生労働省は、2009.4.6、精神障害の業務上外判断指針の拡充(改定)を全国の労働局に通知した。平成11年版の改定となる。

 仕事上でのストレス(心理的負荷)の評価項目に12項目を加え、計43項目にした。
 「違法行為を強要された」「困難達成なノルマを課せられた」「複数名で担当していた業務を1人で担当するようになった」などの項目を追加されている。
 なお、労災認定はこれらの評価項目の総合判定となる。

 「心理的負荷による精神障害等に係る業務上外の判断指針」の一部改正について
 ⇒ http://www.mhlw.go.jp/houdou/2009/04/h0406-2.html


2009/03/31 「労災保険」の適用事業場数及び適用労働者数

厚生労働省が明らかにした「平成19年度労働者災害補償保険事業の概況」によると、
○平成19年度末における適用事業場数は、2,642,607事業場で前年度に比べ微増。(産業別内訳はグラフ参照。)
○適用労働者数は、51,313,223人で前年度に比べ1.2%増となった。

ニュースソースは「平成19年度労働者災害補償保険事業の概況」です
URLは⇒ http://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/138-1c.pdf


2009/03/21 精神障害労災認定基準の見直しへ

 厚生労働省は2009.3.19、精神障害に係るの労災認定基準を見直す方針を明らかにした。
 具体的には、ストレス強度の評価項目を31項目から43項目に増やし、より職場の実態を反映しやすくする。追加項目は12だが、例えば、「ひどい嫌がらせやいじめ」「暴行を受けた」「違法行為の強要」などがこれに入る。

改定基準の施行は、新年度からの予定。


2009/03/18 平成21年度の労働保険の年度更新手続等について

厚生労働省が17日、21年度労働保険年度更新関係の案内を開始した。
⇒ http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/roudouhoken01/tetsuzuki.html


平成21年度から、
日程に変更がある。
従来の5月20日までではなく
年度更新の手続は6月1日から7月10日までの間に行うよう変更があった。
そのための年度更新申告書は5月末に事業場に送付される予定。

なお、労働保険料の算定は、従来とおり4月1日から翌年3月31日までに支払う賃金総額に保険料率を乗じて得た額で行う。


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