「新・労働基準法」の実務解説
1.労働契約期間の上限(H14改正改訂版)
■HOMEPAGE ■640/480 ■新労基法と実務へ
労働契約期間の上限 | 1 | 予備知識 |
2 | H10年改正のポイント | |
3 | H14年改正によって追加された専門的知識等 | |
4 | Q&Aでおさらい | |
5 | H10施行通達確認 |
H10年改正のポイント H14.2.13一部改正あり |
労働契約 | 期間 |
取扱い要件など |
運用に当たって留意すること |
原則 | 1年以内 | ||
新設・例外取扱いの要件 |
|||
例外1 | 最長3年 | (1) 専門的知識等であって (2) 高度のものとして労働大臣が定める基準、に該当する労働者との (3) 要員不足対策として結ぶ新規の労働契約 |
(従って3年契約での更新は不可。また、現雇用者の契約を解除して3年契約とすることも不可) H14.2.13改正あり |
例外2 | 最長3年 | (1) 事業の開始、転換、拡大、廃止のための業務であって一定期間内に完了が予定されているものに必要な (2) 専門的知識等であって (3) 高度のものとして労働大臣が定める基準、に該当する労働者との (5) 要員不足対策として結ぶ新規の労働契約 |
(従って3年契約での更新は不可。また、現雇用者の契約を解除して3年契約とすることも不可) ・例外1の労働契約を除いて適用 |
例外3 | 最長3年 | (1) 満60歳以上の労働者との間に締結する労働契約 | ・例外1及び2の労働契約を除いて適用 |
Q&Aでおさらい |
Q:新規学卒者は3年契約の対象にならないと理解してよいか
A:そのとおり。新規学卒者はまず60歳未満であろうし、専門的知識等を有する者に該当しないとされているから、3年契約の対象とならない。
Q:同人を引き続き雇用したいが、契約更新時に再度3年契約を結ぶことはできないとすれば、一般的にどうなるか
A:期間の定めのない労働契約にするか、原則の1年以内の契約とすることとなる。
Q:例外2のケースで、3年の有期契約を交わした労働者に対して、プロジェクトが予定より早く完了した場合、3年の契約期間満了前に解雇できるか
A:有期雇用契約は「やむを得ざる事由があるとき」に限って解約できるものであるからプロジェクトが予定より早く完了した事実のみをもって解約は出来ない。2年半で完了予定のプロジェクトでありながら契約期間をとりあえず3年で結んでおくケースの横行は制度の趣旨ではないからだ。但し、事案によっては「やむを得ざる事由があるとき」に該当するとして解約が認められる場合もあるだろう。
専門的知識等であって
専門的知識等とは
新商品、新役務、新技術の開発または科学に関する研究に必要な知識、技術又は経験
高度のもの専門的知識等の基準(平成10年12月28日労働省告示第153号、平成14年2月13日一部改正)
1 博士の学位を有する者
2 修士の学位で就こうとする業務に3年2年以上従事した経験を有する者
3 公認会計士、医師、歯科医師、獣医師、弁護士、一級建築士、薬剤師、不動産鑑定士、弁理士、技術士、社会保険労務士、税理士、中小企業診断士(H14.2.13追加)
4 次のいずれかの能力評価試験合格者(H14.2.13追加)
(1)情報処理技術者試験のうち aシステムアナリスト試験合格者 bプロジェクトマネージャー試験合格者
cアプリケーションエンジニア試験合格者
(2)アクチュアリー資格試験合格者
5 特許発明者、登録意匠創作者、登録品種育成者で就こうとする業務に5年以上従事した経験を有する者
6(1)一定の学歴及び実務経験(注)を有する次の者で年収が575万円以上のもの(H14.2.13追加)
(1) 農林水産業の技術者
(2) 鉱工業の技術者
(3) 機械・電気技術者
(4) 建築・土木技術者
(5) システムエンジニア
(6) デザイナー
(注) 学歴及び実務経験の用件は、大学卒+実務経験5年以上、短大・高専卒+実務経験6年以上、高卒+実務経験7年以上
(注) 学歴の用件は、大学等で専門的知識等に係る過程の専攻が必要
(2)システムエンジニアとしての実務経験5年以上を有するシステムコンサルタントで年収が575万円以上のもの(H14.2.13追加)
7 国、地方公共団体、民法の法人が認定して労働基準局長から認められた者で、就こうとする業務に5年以上従事した経験を有する者
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新規の労働契約
高度の専門的知識等をもった労働者が不足している事業場において、その高度の専門的知識等を必要とする業務に新たに就く者に限る。
従って、契約更新は新たに就くものに該当しないから再度3年契約を行うことはできない。