「新・労働基準法」の実務解説
 
10.14の労使協定・決議の周知義務を新設

 
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H10改正・労基法の実務解説10
文責は労務安全情報センターにあります。施行通達が出た段階で一部書き換えがありますからご注意ください。(H11.1.24 記)


14の労使協定・決議の周知義務を新設 予備知識
H10年改正のポイント
Q&Aでおさらい
施行通達確認




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予備知識

1.法律にもとづく労使協定は、事業場における法の具体的適用のあり方を規定するものですから、労働者に周知する意義は大きいものがあります。
本来、労使協定は、使用者が事業場の労働者の過半数代表者と協定するものですから、関係労働者が承知しているはずのものですが、実際には、締結された労使協定の内容を、自由に確認できないといった状況も一部に散見されていました。

2.今回改正では、使用者に対して、労使協定及び決議の周知義務が新たに課されることになりました。

3.法令・就業規則の周知義務については、従来どおりの取扱いです。
  今回改正で、必要になった「法令、就業規則、労使協定・決議の一覧表」を改正ポイントにまとめましたので参照してください。





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H10年改正のポイント



1.使用者の周知義務として、今回の法改正で、”法令及び就業規則”の他に、「労使協定・決議」が加わりました。

周知の方法は次のいずれかによることが必要です。
1.  作業場の見やすい場所への掲示又は備付け
2.  書面の交付
3.  磁気テープ、磁気ディスクその他これに準ずる物に記録し、かつ、各作業場に労働者がその記録の内容を常時確認することができる機器を設置すること。


2.新たに周知義務が課された「労使協定」は労働基準法に規定するすべての労使協定が対象となりますが、それを列挙すると次のとおりです。
  なお、今回の改正ではありませんが、従来から、法令及び就業規則(付属規定を含む。)の周知義務が課されていることにも注意が必要です。

○労働基準法第106条等により周知義務が化されている法令・就業規則・労使協定、決議一覧表

○新たに周知義務が課された労使協定・決議
1. 貯蓄金管理協定 (法18条2項)
2. 賃金控除協定 (法24条1項但し書)
3. 1カ月単位の変形労働時間制の協定 (法32条の2第1項)
4. フレックスタイム制に関する協定 (法32条の3)
5. 1年単位の変形労働時間制の協定 (法32条の4第1項)
6. 1週間単位の非定型的変形労働時間制の協定 (法32条の5第1項)
7. 一せい休憩の適用除外の協定 (法34条2項但し書)
8. 時間外・休日労働に関する協定 (法36条1項)
9. 事業場外労働の労働時間算定に関する協定 (法38条の2第2項)
10. 裁量労働制に関する協定 (法38条の3第1項)
11. 年次有給休暇の計画付与に関する協定 (法39条5項)
12. 年次有給休暇に対する支払額に関する協定 (法39条第6項但し書)
13. 新たな裁量労働制に関する労使委員会の決議
H12.4.1から適用
(法38条の4第1項及び5項)
14. 時短推進委員会の決議 (時短促進法第7条)
○就業規則  (従来から周知義務が課されています)
○法令    (従来から以下の法令・規則の周知義務が課されています)
1. 労働基準法  
2. 労働基準法施行規則  
3. 年少者労働基準規則  
4. 女性労働者基準規則  
5. 事業附属寄宿舎規程  
6. 建設業附属寄宿舎規程  





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Q&Aでおさらい


Q:イントラネットによる周知方法は可能か

A:可とされている周知方法の一つに、「磁気テープ、磁気ディスクその他これに準ずる物に記録し、かつ、各作業場に労働者がその記録の内容を常時確認することができる機器を設置すること。」があげられているが、イントラネットによる方法はこれに含まれます。