労働条件・労働基準めぐる法改正情報


2008/07/29 労基法改正案は?

 平成19年通常国会に法案が上がったまま(1年半)、継続審議(審議なし)扱いとなっている労基法改正案だが、まだ、取扱いが定まっていない。

 争点は、時間外労働が1か月80時間超えの時点から割増率を、50%増しにするという部分の取扱いだ。この案には、理由は違うものの、労使とも反対の立場。ただ、政府与党はできれば修正してでも成立を図りたい立場で、80時間はさすがに問題だから、「60時間超え」で手が打てないかと、調整、根回しを行っているのが現状だというが、見通しは「・・・・」明らかでない!


2008/07/29 不安定な若者の姿は社会も歓迎していない

(再掲)
 2008.7.28厚生労働省有識者研究会が派遣労働について報告書をまとめた。「派遣制度を社会的に許容されるよう見直す」(研究会座長)として、これまでの経済効率性一辺倒からの転換を示唆した。
 具体的な規制強化項目は
○30日以内の派遣は原則禁止(日雇い派遣を含む)
○派遣会社のマージンの公開
○直接雇用の回避ねらいのグループ内派遣を規制(8割以下に)
○偽装請負等違法行為の発覚時に、直接雇用の勧告制度
○派遣先での労災事故に派遣先企業の費用負担を課す
など。
 今後、厚労省は労政審の議論も踏まえ派遣法の改正案をまとめる。


2008/07/20 契約社員の雇用管理ガイドライン(検討素案)

 標記に関連して、現在、「有期契約労働者の雇用管理の改善に関するガイドライン」のとりまとめが進んでいる。
 このガイドラインの対象者は
 「有期契約労働者であって、一週間の所定労働時間が通常の労働者と同一であり、かつ契約を数回更新しているような者を主たる対象とする」としているから、いわゆる「短時間労働者=パートタイマーは含まない。
 フルタイムの契約社員を対象にしたガイドラインと理解すればいいだろう。

 それにしては、作成の意図、目的がいま一つ明確でないし、ガイドラインの内容に新しいものもない。フルタイム契約社員のために、知識整理をしたという感じもものだ。
 まぁ、知っていること知らないことを含めて、一読するのが、無意味とは思われない。
 なお、「有期契約労働者の雇用管理の改善に関するガイドライン(素案)」は、以下のURLから参照できる。
 http://www.mhlw.go.jp/shingi/2008/06/dl/s0618-11d.pdf


2008/07/08 2008.3.1施行「労働契約法」のパンフレット

 厚生労働省労働基準局が、2008.3.1新法施行された「労働契約法」についてのぱんんふれっとをサイトにアップしている。
 読んでみると、パンフレットというより小解説書のようであり、それより何より、施行通達、判例等これまで通達された事項をパンフレット風に編集したものといった方が近いかもしれない。
 (それでも、通達原本、判例ペーパーを無味乾燥に読むより、こちらの方が良いだろう。)


 パンフレット「労働契約法のあらまし」
 構成は次のようになっている。
 (目次)
 第1章 総則
 第2章 労働契約の成立及び変更
 第3章〜第5章 労働契約の継続及び終了、期間の定めのある労働契約、雑則 
 参考となる主な裁判例
 関連する他の法令


2008/07/07 H18.4後施行・労働関係改正法のポイント整理

法改正の直後は、あれこれ詳細をチェックした憶えのある改正内容も、日時の経過とともに、虚ろとなるのはやむを得ないことです。
ふり返って、ここ数年の労働関係法律の改正ポイント(詳細に非ずして、記憶喚起を促してくれそうな-そう「箇条書き的なもの」)をシンプルに確認したいことがあります。
  (何を隠しましょう)当編集部でもそのニーズが高かったのです。
ならば、企業の人事労務担当者にも、似たような需要があるかも知れないと思い、以下のページを編集してみました。


最近の労働関係法律の改正について

平成18 4 月以降に改正・施行されている労働関係法律は、次に示すようにかなり広範多岐に渡っています。以下、改正の要点等を、箇条書きにしました。
 (このページのPDF版もこちらに掲載しています。印刷される場合はレイアウトされたPDF版が良いかもしれません。あわせてご利用ください。)

 

 

法律 改正等 施行日 図解 リーフ等
最低賃金法 改正 H20.7.1施行 図解/最低賃金法  
パート労働法 改正 H20.4.1施行   パートタイム労働法とH19年改正
労働契約法 新法 H20.3.1施行 図解/労働契約法  
雇用対策法 改正 H19.10.1施行    
男女雇用機会均等法 改正 H19.10.1施行   改正男女雇用機会均等法のあらまし
労働安全衛生法 改正 H18.4.1施行    
高年齢者雇用安定法 改正 H18.4.1施行    


2008/06/24 最低賃金の「減額の特例の許可基準」に関する通達

 改正最低低賃金法の施行(2008.7.1)によって「最低賃金の減額措置制度」の運用が開始されますが、このたびその許可基準が示されました。
 詳細はH20.6.1基発第0601001号「最低賃金法第5条の現物給与等の適正評価基準及び同法第7条の最低賃金の減額の特例の許可基準について」を参照してください。(以下の許可基準概要の解説は、わかりやすい表現に主眼を置きましたので、正確な内容につきましては前記通達を直接確認されるようお願いします。)

● 第7条の最低賃金の減額の特例の許可基準の概要

1 精神又は身体の障害により著しく労働能力の低い者
 当該業務の遂行に支障の程度が著しい場合にのみ許可される。支障の程度が著しいとは、労働能率の程度が、類似の仕事をしている労働者のうちでも最低位の能力を有するものの労働能率の程度にも達しないような場合をいいます。

2 試の使用期間中の者
 当該業種、職種等の実情に照らし必要と認められる期間(最長6カ月を限度とします)に限定して許可されます。

3 認定職業訓練を受ける者
 1日平均の生産活動に従事する時間が、認定職業訓練の時間より長く所定労働時間の3分の2程度以上である訓練年度については、許可されません。また、訓練期間が2年又は3年であるものの最終年度については、原則として許可されません。

4 軽易な業務に従事する者
 従事する業務負担の程度が、当該労働者と異なる業務に従事する労働者のうち最も軽易な者の負担の程度と比較してもなお軽易である者に限って許可されます。
(常態として身体又は精神の緊張の少ない監視の業務に従事する者などが該当します)。

5 断続的労働に従事する者
 常態として作業が間欠的であるため労働時間中においても手待ち時間が多く実作業時間が少ない者が許可対象になります。


2008/06/23 最低賃金-5年間で高卒初任給の最も低位の水準をめざす!

 6月20日、政府の「成長力底上げ戦略推進円卓会議」で議論された最低賃金(現状は全国平均で687円)の引き上げテーマ。
 合意事項は
 「小規模事業所の高卒初任給の最も低位の水準との均衡を勘案して、当面5年程度で引上げる」とするもの。
 高卒初任給目標の目安は合意したが、金額は労使に開きがある。
 労働側:従業員10-99人企業の高卒初任時給の「755円」
 使用者側:小規模企業者20人以下の企業を指標として採用すべきだ。

今後は厚生労働省の中央最低賃金審議会に舞台を移して、金額の詰めを行う段取りとなる。

(編注)労使の主張に金額面で隔たりがあるとはいえ、1,2円せいぜい4〜5円といった引上げ水準の展開が当たり前と思ってきた「事情通」が一番驚いている!!?


2008/06/21 労働安全衛生法上の定期健康診断項目の追加等について

 定期健康診断の受診項目(2008.4.1改正施行)

 1 既往歴及び業務歴の検査
 2 自覚症状及び他覚症状の有無の検査
 3 身長,体重,腹囲,視力及び聴力(千ヘルツ及び四千ヘルツの音に係る聴力)の検査
 4 胸部エックス線検査及びかくたん検査
 5 血圧の測定
 6 貧血検査(赤血球数,ヘモグロビン)
 7 肝機能検査(GOT,GPT,γ−GTP)
 8 血中脂質検査(血清総コレステロールLDLコレステロール,HDLコレステロール,血清トリグリセライド)
 9 血糖検査
 10 尿検査(尿中の糖及び蛋白の有無)
 11 心電図検査(安静時心電図検査) 

2008.4.1施行の検査項目の追加等及び省略基準等について

 腹囲、LDLコレステロールの追加(検査項目の改正)は、2008.4.1から適用。
 なお、上記10の尿検査(尿中の糖及び蛋白の有無)にいう尿糖の検査は2008.4.1以降医師の判断による省略ができない。(必須項目となるものであること。)

 なお、腹囲の検査は、40歳未満の者(35歳の者を除く)、妊娠中の女性その他の者であってその腹囲が内臓脂肪の蓄積を反映していないと診断されるもの、BMI(体重÷身長の二乗)が20未満である者、自らの腹囲を測定しその値を申告した者(BMIが22未満である者に限る。)については、医師の判断により省略可能。
 また、LDLコレステロールは、40歳未満の者(35歳の者を除く)については、医師の判断により省略可能。


2008/06/18 通勤途中で家族の介護を行う労働者への通勤災害の適用追加について

 (2008.4.1から適用)
 通勤災害においては、労働者が通勤に係る移動の経路を逸脱し、または中断した場合においては、当該逸脱または中断の間およびその後の移動は、「通勤」としないこととされていますが、これについては法律で例外が設けられており、日常生活上必要な行為であって、厚生労働省令で定めるものをやむを得ない事由により最小限度の範囲で行う場合には、逸脱又は中断の間を除き、合理的な経路に復した後は再び通勤となります。
 今回(2008.4.1から)、この法律で定める例外の一つに、「通勤途中に家族の介護を行う場合」が加えられたのです。具体的には、下記(5)のとおりです。

(1)  日用品の購入その他これに準ずる行為
(2)  職業訓練、学校教育法第1条に規定する学校において行われる教育その他これらに準ずる教育訓練であって職業能力の開発向上に資するものを受ける行為
(3)  選挙権の行使その他これに準ずる行為
(4)  病院又は診療所において診察又は治療を受けることその他これに準ずる行為
(5) 要介護状態にある配偶者、子、父母、配偶者の父母並びに同居し、かつ、扶養している孫、祖父母及び兄弟姉妹の介護(継続的に又は反復して行われるものに限る)


2008/06/15 外国人研修・実習生の受け入れ団体に許可制に

 厚生労働省の「研修・技能実習制度研究会」は13日、外国人研修・実習生の受け入れ団体に許可制を導入することなどを柱にした最終報告書をまとめた。これを受け政府は出入国管理法などの改正案を来年の通常国会に提出する方針だ。(2008.6.13/14日経新聞関連記事より)


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