[平成20年]労働基準法-改正Q&A
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「新・労働基準法」と実務
1998年=平成10年改正を中心に解説

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平成20年改正
労働基準法-改正Q&A

このページは、H20.12.5第170国会で成立した労働基準法改正に係る情報をQ&A形式でフォローします。〔労務安全情報センター〕

改正労働基準法■施行日(附則1条)-平成22年4月1日



平成20年改正関係 Q&Aのページ (順次追加して参ります)

Q&Aのもくじ


問01 改正労基法〜まとめて〜割増賃金の支払義務がある時間外労働・休日労働は、どうなる?

問02 改正労基法〜1か月60時間を超える時間外労働に関しては、割増賃金の支払に代えて「有給の休暇」を与える方法もあると聞きましたが、どのようなものですか

問03 「特別条項」付き36協定を結ぶときには、必ず、月45時間超えの時間外労働について割増賃金率を定めることが必要になるのですか

問04 年次有給休暇を時間単位に取得できるようになると聞きましたが、どのような条件を整えることが必要でしょうか

 

 










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問01 改正労基法〜まとめて〜割増賃金の支払義務がある時間外労働・休日労働は、どうなる?
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■ 割増賃金の支払義務が生じるのは、次の労働時間、休日の原則を超える労働をさせた場合及び深夜時間帯に労働させた場合である。
・1日8時間、週40時間という労働時間制の一般原則とその変形制(労基法第32条〜第32条の5)
・労基法第40条の労働時間の特例
・毎週少なくとも1回の休日(又は4週4日の休日)
・深夜(午後10時〜翌午前5時まで)時間帯の労働
■ 割増賃金率は、時間外労働が2割5分以上(*)、休日労働が3割5分以上とされている。
■ (*) 前記の時間外労働の割増率2割5分以上の原則に対しては、平成20年の法改正(平成22年4月1日施行)によって、1か月60時間を超える時間外労働について、5割以上の割増率で計算した割増賃金の支払が必要となりました。この措置は、時間外労働を対象としたものであることから、休日労働には適用がなく、また当分の間、中小企業には適用されません。
 適用が猶予される中小企業の範囲は、@資本金が「小売業、サービス業では5000万円以下、卸売業1億円以下、その他3億円以下」又は、A労働者数が「小売業50人以下、サービス業100人以下、卸売業100人以下、その他300人以下」のいずれかに該当する企業(企業単位に判断します)です。
■ 深夜(午後10時〜翌午前5時まで)時間帯の労働には、さらに2割5分以上の割増賃金の支払いが必要。したがって、時間外が深夜に及んだ場合には、5割以上(時間外2割5分+深夜2割5分)の(*ただし、1か月60時間超えの時間外労働の部分が深夜と重なっている場合には、7割5分以上(時間外5割+深夜2割5分))、また、休日労働が深夜に及んだ場合には、6割以上(休日労働3割5分+深夜2割5分)の率で計算した割増賃金の支払いが必要となる。

 

 

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問02 1か月60時間を超える時間外労働に関しては、割増賃金の支払に代えて「有給の休暇」を与える方法もあると聞きましたが、どのようなものですか
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■ 平成20年の法改正(平成22年4月1日施行)によって、1か月60時間を超える時間外労働について、5割以上の割増率で計算した割増賃金の支払が必要となりました。今回改正による追加措置に対応する割増賃金(1か月60時間を超えに対しては5割増の割増賃金の支払が義務付けられるが、このうち従来から義務化されている2割5分部分を除いた残り(=新設)の2割5分に相当する部分の割増賃金)に限り、それに代えて、「有給の休暇」を付与することも可能とされています。
■ 当該労働者の時給額×時間外労働時間数×1.5のうち、1.25部分は、改正前から義務付けられたものですからこれを除き、残り(新設)の0.25(時間数に換算すると、時間外労働1時間につき15分間)が有給の休暇付与対象時間となります。1日(8時間)分の有給の休暇に振り替えるには、60時間超えの時間外労働32時間(32×0.25=8時間)がこれに相当します。
■ なお、制度の導入には、事業場における労働者の過半数代表者との書面協定が必要です。
■ 詳細は、改正法の施行日(平成22年4月1日)までに、労働基準法施行規則に規定されますが、一定期間内に半日単位等のまとまった有給の休暇(年休とは別に)を付与する方法が検討されているようです。
なお、この場合、労働者が「実際に有給の休暇を取得した」ことが要件になりますから、取得しなかった場合には5割増以上で計算した割増賃金の支払が必要となります。

 

 

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問03 「特別条項」付き36協定を結ぶときには、必ず、月45時間超えの時間外労働について割増賃金率を定めることが必要になるのですか
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■ 時間外労働は、本来、事業場において労使が36協定を結んで実施する場合であっても、「時間外労働の限度基準告示」(平成10年労働省告示第154号)が限度基準として示す1か月45時間等を超えて行うことはできないものですが、特別の事情(臨時的なもの)がある場合に限るという条件で、1か月45時間超えの36協定が認められています。これが、「特別条項」付き36協定と云われるものです。
■ 平成20年の法改正(平成22年4月1日施行)によって、1か月45時間を超えて時間外労働を行なう必要がある事業場において、「特別条項」付き36協定を締結するに当たっては、「月45時間を超える時間外労働に対する割増賃金率も定めること」とされ、その場合の割増賃金率は、25%を超える率とするように努めること(改正労基法第36条2項、及び限度基準告示第154号に割増賃金率に関する事項を追加する改定も予定されています)とされたものです。
 25%を超える率にするように努めるとは、「努力義務」の規定ですから、対応できない場合は従うまでの義務はありません。この場合は、「月45時間を超える時間外労働に対する割増賃金率」の欄は、法定割増率である「25%」と記入することになるでしょう。現時点で詳細はわかりませんが、法定割増率のとおりであっても、その旨を「特別条項」付き36協定に記入して届け出ることが必要になると思われます。
■ 「特別条項」付き36協定は、所轄労働基準監督署へ届け出してはじめて効力が生ずることもあって、届出率も極めて高く、かつ、限度基準告示に定める基準に関して、行政官庁は必要な助言・指導を行う権限をもっています(第36条4項)。とは言え、努力義務規定ですからね。(さて)

 

 

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問04 年次有給休暇を時間単位に取得できるようになると聞きましたが、どのような条件を整えることが必要でしょうか
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■ 平成20年の法改正(平成22年4月1日施行)によって、1年間に5日分(但し、労使協定の範囲内)まで、年次有給休暇の時間単位取得が、労働者の権利として認められることになりました。
■ 時間単位取得の制度を事業場に導入するためには、労働者の過半数代表者との間で、「対象労働者」、「年間5日以内の何日を時間単位取得の対象に組み入れるのか」等について、書面協定を結ばなければなりません。
  協定事項である「対象労働者」に制限はありませんから、比例付与のパートタイム労働者も対象にすることができます。
■ 年次有給休暇を、日単位で取得するか、時間単位で取得するかは労働者が選択するところによります。