[平成20年改正] 改正労働基準法施行規則及び関連告示
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「新・労働基準法」と実務
1998年=平成10年改正を中心に解説

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平成20年改正
改正施行規則(2009.5.29公布)関係
(時間外労働の延長限度基準の改定の件を含む。)

 

 このページは、H20.12.5第170国会で成立した労働基準法改正に係る情報のサブページです。 メインページ「労働基準法平成20年改正のすべて」と併せてご覧ください。〔労務安全情報センター〕

 2009.5.29、いよいよ改正法の「施行規則」が公布されました。直接は、以下の「官報」で内容確認を行ってください。

5.労働基準法施行規則の一部を改正する省令 (省令113号) 官報 new!
6.労基法第36条1項の協定で定める労働時間の延長の限度等に解する基準(告示改正) (省令316号) 官報 new!

ここでは、2009.5.29の省令・告示の公布に関連して、次の各項目について解説を掲載しております。

(1) 1か月60時間を超える時間外労働について割増賃金の支払に代えて「有給の休暇」を与える場合

(2) 年次有給休暇を時間単位に付与するための要件

(3) 1か月45時間超え(60時間未満)の時間外労働の割増賃金率について、「特別条項」付き36協定に定める件(告示改正)





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-改正施行規則19条の2関係-

1か月60時間を超える時間外労働について割増賃金の支払に代えて「有給の休暇」を与える場合

 平成20年の法改正(平成22年4月1日施行)により、1か月60時間を超える時間外労働について、5割以上(従来分2割5分(+)新設加算分2割5分)の割増率で計算した割増賃金の支払が必要とされましたが、このうち、新設加算された2割5分相当部分の割増賃金の支払は、「有給の休暇」の付与をもって代えることができるものです。
  〔もちろん、そのまま割増賃金を支払うことも可(=この方が一般的かも知れません)ですし、有給の休暇を付与する予定であった場合でも、それを2か月以内に付与できなかったなら、原点に帰って、割増賃金の支払いが必要です。〕

【有給の休暇=代替休暇制度の導入要件は次のように定められています】(労基法施規第19条の2)

労働者の過半数代表者との間で、次の事項について、書面協定を締結することが必要となります。
(1) 代替休暇として与えることができる時間の時間数の算定方法
(2) 代替休暇の単位(1日又は半日として協定を要す。なお、通常の有給休暇と合わせて与える場合は、その旨を定めること)
(3) 代替休暇を与えることができる期間(カウント期間たる1箇月の末日の翌日から2箇月以内として協定を要す。)

〔時間数算定の例〕
例えば、1か月に60時間超えの時間外労働が32時間あった場合、「32×0.25=8時間」となり、代替休暇を8時間に相当する「1日分」として付与することとなります。
2箇月の期間内に、労働者が代替休暇を取得しなかった場合には、5割増以上で計算した割増賃金の支払が必要となります。

少々細かくなりますが、規則の該当箇所は以下のとおりです。(参考)

労働基準法施行規則 第十九条の二 (新設)


使用者は、法第三十七条第三項の協定をする場合には、次の各号に掲げる事項について、協定しなければならない。

一 法第三十七条第三項の休暇(以下「代替休暇」という。)として与えることができる時間の時間数の算定方法
二 代替休暇の単位(一日又は半日(代替休暇以外の通常の労働時間の賃金が支払われる休暇と合わせて与えることができる旨を定めた場合においては、当該休暇と合わせた一日又は半日を
含む。)とする。)
三 代替休暇を与えることができる期間(法第三十三条又は法第三十六条第一項の規定によつて延長して労働させた時間が一箇月について六十時間を超えた当該一箇月の末日の翌日から二箇
月以内とする。)

前項第一号の算定方法は、法第三十三条又は法第三十六条第一項の規定によつて一箇月について六十時間を超えて延長して労働させた時間の時間数に、労働者が代替休暇を取得しなかつた場合に当該時間の労働について法第三十七条第一項ただし書の規定により支払うこととされている割増賃金の率と、労働者が代替休暇を取得した場合に当該時間の労働について同項本文の規定により支払うこととされている割増賃金の率との差に相当する率(次項において「換算率」という。)を乗じるものとする。
法第三十七条第三項の厚生労働省令で定める時間は、取得した代替休暇の時間数を換算率で除して得た時間数の時間とする。

第二十条第一項中「前条第一項各号」を「第十九条第一項各号」に改め、「五割以上」の下に「(その時間の労働のうち、一箇月について六十時間を超える労働時間の延長に係るものについては、七割五分以上)」を加える。
第二十一条中「第三十七条第四項」を「第三十七条第五項」に、「 第三項」を「第四項」に改める。

 

 

 

 

 

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-改正施行規則24条の4関係-

年次有給休暇を時間単位に付与するための要件

 平成20年の法改正(平成22年4月1日視行)によって、1年間に5日分(但し、労使協定の範囲内)まで、年次有給休暇の時間単位取得が可能となります。なお、時間単位取得は、労働者の権利として保障されます。(年次有給休暇の取得に当たって、労働者が「日又は時間」の別を指定して取得することとなります。

【制度導入の要件】

労働者の過半数代表者との間で、次の事項について、書面協定を締結することが必要となります。
(1) 対象となる労働者の範囲(法第39条4項)
(2) 時間を単位として与えることができる有給休暇の日数(5日以内に限る)(法第39条4項)
(3) 時間を単位として与えることができる有給休暇1日の時間数〔1日の所定労働時間数(日によって所定労働時間数が異なる場合には、1年間における1日平均所定労働時間数)を下回ってはならない〕(規則24条の4)
(4) 1時間以外の時間を単位として有給休暇を与える場合は、その時間数(1日の所定労働時間数未満であること)(規則24条の4)

なお、協定事項である「対象労働者」に制限はありません。

少々細かくなりますが、規則の該当箇所は以下のとおりです。(参考)

労働基準法施行規則 第二十四条の四 (新設)



法第三十九条第四項第三号の厚生労働省令で定める事項は、次に掲げるものとする。
一 時間を単位として与えることができることとされる有給休暇一日の時間数(一日の所定労働時間数(日によつて所定労働時間数が異なる場合には、一年間における一日平均所定労働時間数。次号において同じ。)を下回らないものとする。)
二 一時間以外の時間を単位として有給休暇を与えることとする場合には、その時間数(一日の所定労働時間数に満たないものとする。)

第二十五条中「第三十九条第六項」を「第三十九条第七項」に改め、同条に次の二項を加える。
法第三十九条第七項本文の厚生労働省令で定めるところにより算定した額の賃金は、平均賃金若しくは前項の規定により算定した金額をその日の所定労働時間数で除して得た額の賃金とする。
法第三十九条第七項ただし書の厚生労働省令で定めるところにより算定した金額は、健康保険法(大正十一年法律第七十号)第九十九条第一項に定める標準報酬日額に相当する金額をその日の所定労働時間数で除して得た金額とする。
第二十一条中「第三十七条第四項」を「第三十七条第五項」に、「 第三項」を「第四項」に改める。

 

 

 

 

 

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1か月45時間超え(60時間未満)の時間外労働の割増賃金率について、「特別条項」付き36協定に定める件(告示改正)

 今回の法改正によって、労働基準法第36条2項の規定が、時間外労働の延長限度基準を定めるのみならず、割増賃金の率についても基準を設けることが出来るように改正されました。(労基法第36条2項)。 この改正を受け、「労働時間の延長の限度等に関する基準」(告示154号)が、2009.5.29付けにて改定されました。(下記囲み参照)

 改定された「限度基準告示」の第3条3項において、1か月45時間を超えて時間外労働を行なう場合に必要な「特別条項付き36協定」について、「政令で定める率(25%)を超える率とするように努めなければならない。」と規定しています。

 25%を超える率にするように努めるとは、「努力義務」の規定ですから、対応できない場合は従うまでの義務はありません。
  この場合は、「月45時間を超える時間外労働に対する割増賃金率」の欄は、法定割増率である「25%」と記入することになるでしょう。現時点で詳細はわかりませんが、法定割増率のとおりであっても、その旨を「特別条項」付き36協定に記入して届け出ることが必要になると思われます。

 

少々細かくなりますが、改正告示の該当箇所は以下のとおりです。(参考)

青色の部分

労働基準法第36条第1項の協定で定める労働時間の延長の限度等に関する基準

(平成10年12月28日・労働省告示第154号)


(一定期間についての延長時間の限度)

第3条  労使当事者は、時間外労働協定において一定期間についての延長時間を定めるに当たっては、当該一定期間についての延長時間は、別表第1の上欄に掲げる期間の区分に応じ、それぞれ同表の下欄に掲げる限度時間を超えないものとしなければならない。ただし、あらかじめ、限度時間以内の時間の一定期間についての延長時間を定め、かつ、限度時間を超えて労働時間を延長しなければならない特別の事情(臨時的なものに限る。)が生じたときに限り、一定期間についての延長時間を定めた当該一定期間ごとに、労使当事者間において定める手続を経て、限度時間を超える一定の時間まで労働時間を延長することができる旨及び限度時間を超える時間の労働に係る割増賃金の率を定める場合は、この限りでない。

2 労使当事者は、前項ただし書の規定により限度時間を超える一定の時間まで労働時間を延長することができる旨を定めるに当たっては、当該延長することができる労働時間をできる限り短くするように努めなければならない。

3 労使当事者は、第一項ただし書の規定により限度時間を超える時間の労働に係る割増賃金の率を定めるに当たっては、当該割増賃金の率を、法第三十六条第一項の規定により延長した労働時間の労働について法第三十七条第一項の政令で定める率を超える率とするように努めなければならない。